薬疹
薬疹とは
薬物アレルギーとは、ある特定の薬物に対する過剰な免疫反応のことで、それによって自らの体を傷つけてしまいます。薬物アレルギーの多くは内服薬や注射薬によって起こりますが、湿布や塗り薬、目薬、吸入薬なども原因になります。
薬疹の症状は?
❶ 播種状紅斑丘疹型
体を中心に赤い皮疹が生じます。最も頻度が高く、薬疹の40-50%を占めます。遅延型アレルギーでありはじめて服用した薬では投与後5-14日程度で発症します。以前に服用したことがある薬であれば24時間以内症状が出ることもあります。
《原因となる薬剤》
- 抗菌薬(特にペニシリン系)
- 痛み止め(非ステロイド性炎症薬)
❷ 多型紅班型(EM)
手足左右対称に標的状の皮膚病変が出現します。環状で中心部が紫色調で、その外側に淡い輪状の部分、その周囲をピンク色の紅暈が取り囲んで弓矢の的のようになるため標的状病変と呼ばれます。
《原因となる薬剤》
- 痛み止め(非ステロイド性炎症薬)
- 抗けいれん薬
- 抗菌薬
❸ 固定薬疹(FED)
紫褐色調の丸い皮疹が、原因薬剤を摂取するたびに同じような部位(例えば口唇、おでこ わきの下、太ももの内側など)にじんわりと出てくるのが特徴です。後に長く茶色い色素沈着を残します。風邪薬や頭痛薬など一時的にのむ薬が原因のことが多いため、見逃されてしまいがちです。
《原因となる薬剤》
- 去痰薬(カルボシステイン)
- 抗菌薬(ミノマイシン、ジェニナック)
- 非ステロイド性炎症薬(ポンタール、ブルフェン)
❸ 蕁麻疹型薬疹
薬剤摂取後、すぐに出る薬疹です。機序としては、IgEが関与する即時型アレルギーが代表です。これはショック状態につながることがあるので、速やかな対応が必要です。
❹ 扁平苔癬型
主に降圧剤を原因としますが、服用開始後半年~数年して皮疹が出現するため、薬疹と結びつけられないこともあります。
《原因となる薬剤》
- 降圧剤(プロプラノロール、ニフェジピン、エナラプリル、トキサゾシン)
- 利尿薬(ヒドロクロロチアジド、フロセミド、スピロノラクトン)
- 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)
- 抗うつ薬、抗けいれん薬
❺ ざ瘡型
副腎皮質ホルモンやビタミンB12などを原因とすることが多くなります。
❻ 光線過敏型薬疹
日光に当たりやすい顔や手に症状が強く出るタイプです。《原因となる薬剤》
- 降圧薬(ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、ジルチアゼム)
- 糖尿病治療薬(アマリール、メトホルミン)
- 湿布
スティーブンス・ジョンソン症候群(SjS)
目、口腔粘膜、陰部粘膜など、粘膜を中心に発赤、びらんを生じます。皮膚にも発赤、びらん(多形滲出性紅斑)を生じますが、それが広範囲に及ぶと、次のTEN型薬疹に移行したと判断します。目の後遺症をしばしば残します。薬以外に、感染に対するアレルギー反応として生じる場合もあります。
中毒性表皮壊死症(TEN)
全身にびらんを生じ、100%熱傷に近い状態になるため、生命の危険性が最も高い最重症型の薬疹です。
薬剤誘発性過敏症症候群(DIHS)
特定の薬物(抗けいれん薬など)が原因となり、肝機能障害や腎障害を伴う重症型薬疹です。薬を投与しているうちに、ヒト6型ヘルペスウイルスが再び暴れ出す(再活性化)事が重症化に関係している事が明らかになっています。
急性汎発性膿疱症(AGEP)
重症型薬疹の場合は、全身管理のできる医療機関に入院の上、治療することが必要があります。
薬疹はどのように診断しますか?
❶ 内服歴の確認
処方薬だけではなく市販の薬剤や漢方薬、健康食品まで摂取した医薬品も薬疹の原因となります。
内服を開始してから症状が出るまでの期間も重要です。
❷ 血液検査
薬疹の多くを占める播種状紅斑丘疹型薬疹や多型紅班型ではウイルス性発疹症と区別するために各種検査を行うことがあります。
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検査 |
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ストレプトリジン-0(ASO) |
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単純ヘルペスIgM抗体/IgG抗体 |
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EBウイルス |
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サイトメガロウイルス |
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麻疹IgM抗体 |
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風疹IgM抗体 |
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マイコプラズマIgM抗体 |
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HCV抗体 |
❸ 皮膚生検
❹ 原因薬剤を見つけるための検査
(1) 薬剤リンパ球刺激試験(DLST)
血液を薬疹の原因と疑われる薬剤と培養する検査です。
(2) パッチテスト
(3) 皮内テスト
薬疹はどのように治療しますか?
❶ 原因薬剤の中止
原因となる薬剤を中止することにより改善します。
❷ 内服治療
ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服を行います。
重度薬疹の場合は副腎皮質ステロイドの投与が必要となります。
