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手湿疹

       

手や指にあかみやかゆみ、亀裂など症状がでる疾患を手湿疹と言います。手に触れる物質による刺激やアレルギー等によって生じます。女性や水仕事を行う方、アトピー性皮膚炎がある人に生じやすく非常にありふれた皮膚疾患です。放置することによってアレルギーを発症しやすくなることからも早期の治療介入と適切な予防によるケアが望まれます。

手湿疹はどのような症状がでますか?

手湿疹は赤みやかゆみ、小さなぶつぶつ、亀裂などの症状が生じます。

手湿疹はどのように診断しますか?

手湿疹は原因との接触をさけることができれば根治できる疾患であり原因を確定することは非常に重要です。

見た目からの診断、問診、検査を組み合わせて行うことで可能な限り原因を特定します

手や手以外の湿疹の特徴を診察から確認し原因を推測する

原因として思い当たるもの、触れると症状がする現するもの、触れてから症状が出るまでの『時間』などを問診で確認し趣味や職業、生活で原因を推測します

診察と問診から機序を推定

推定される機序から適切な検査を選択し原因を確定する

検査方法名

内容

目的

視診

皮膚の外見を目で確認

赤み、湿疹の範囲、皮膚の変化の程度などを評価

パッチテスト

アレルギー物質を皮膚に貼り48時間以降の反応を確認

アレルギー性接触皮膚炎の原因物質を特定

プリックテスト

アレルギー物質を皮膚に垂らした上に針で指し15分後の反応を確認

蛋白質接触皮膚炎の原因物質を特定

《手湿疹のパターン》

角化性手湿疹

掌の皮膚が硬く厚くなり亀裂を伴うこともあります。原因不明の場合が多いタイプです。

日本皮膚科学会より引用

❷ 進行性指掌角化症

指先(特に利き腕)が乾燥してがさつき、悪化すると亀裂を伴います。

水仕事をする方、キーボードタイプなど指先を使う仕事をされる方に多く認めます。

貨幣状型手湿疹

手の甲にコイン大の円い湿疹を認めます。刺激性,化学物質によるアレルギー性接触皮膚炎,アトピー型いずれからも生じます。

汗疱型手湿疹

掌や指の縁に小さな水ぶくれができ強いかゆみを伴います。夏に悪化する傾向があります。

ニッケルなどの金属アレルギーが原因となることがあります。

乾燥、亀裂型手湿疹

慢性的に手のひらや指先が乾燥してガサガサし、時にひび割れを伴います。皮膚バリアの低下が原因と考えられており、冬に悪化することが多い手湿疹です。

日本皮膚科学会より引用

《手湿疹の要因》

趣味、生活歴、職業、アトピー性皮膚炎の既往など問診から原因となる要因を探ります

原因物質

症状

洗剤

刺激性皮膚炎をおこします、頻度が高い要因

染毛剤

手から前腕にかけてかゆみの強い難治性の接触性皮膚炎

金属
 ニッケル
 コバルト
 クロム

接触部位の湿疹や全身型の金属アレルギーを生じます
金属を含むもの(皮革・塗料・コイン・はさみ)などに触れて症状が出ることが多い

樹脂(レジン)

手のみではなく顔面にも症状が出現します。

ゴム

手袋や長靴のゴムが問題となることが多い
加硫促進剤が原因

農薬

手や顔面、首に赤みやごわごわ、亀裂が出現します。
刺激性接触皮膚炎を引き起こします

植物

アレルギー性接触性皮膚炎を引き起こします

食物

蛋白質接触皮膚炎を引き起こします

ラテックス

I型アレルギーの原因物質

《手湿疹の発症の仕組みによる分類》

刺激性接触皮膚炎

物理的および化学的刺激が手の皮膚にダメージを与えて起こる皮膚炎で、手湿疹の多くのケースはこのタイプとなります。消毒液やハンドソープなど、日常的に使うものが刺激となることが多いです。

アレルギー性接触皮膚炎

アレルギー反応(いわゆる「かぶれ」)が引き起こされて起こる皮膚炎で、ニッケル、クロムといった金属や、ゴム手袋、クリームなどが原因になることが多いです。

蛋白質接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎と同様、アレルギー反応によって引き起こされる皮膚炎ですが、即時型アレルギーと言って接触後すぐに痒みや発疹を認める点が特徴です。

アトピー型手湿疹

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下しており、外的な刺激を受けやすい状態となっています。

手湿疹はどのように治療しますか?

パッチテストなどによって原因が特定できた場合には原因を除去するようにします。職場で使用している薬品などで除去が難しい場合は手袋などの防護具や配置、代替品の使用について産業医や安全衛生管理者と連携をとることも可能です。

手湿疹のタイプや重症度によっても治療効果は異なりますが、4週間程度をめどに治療効果を判定し治療のステップアップを検討します。角化型手湿疹では塗り薬への反応が不十分であり時間がかかることもあります。

 

《軽症から中等症の手湿疹》

手湿疹の原因、刺激因子の除去

保湿剤、バリアクリーム

保湿剤は回数に制限はないため、都度確実に、たっぷりと塗ることが重要です。

保湿剤も刺激の少なく保護作用があるワセリンからサラっとしたローション剤までさまざまなタイプがあるため,病状や患者さんの使いやすさに併せて処方をいたします。

 

グローブを使用し、スキンケアを行います

手の水分や皮脂を触ったものに奪われないように手の保湿、保護のために木綿の手袋で手を保護することお勧めします。

 

ステロイド外用薬

湿疹がある場合はステロイド外用薬を使用します。手は角質が厚いなどの特徴から吸収が不十分であるためストロング以上のステロイド薬を使用します。

12回を基本としててかるくらいの十分な量を塗布します。湿疹が改善した場合は塗布する量を2回を1回に、11回を数日に1回と徐々に回数を減らして様子を見ます。

テープ剤は亀裂部分を保護したり、軟膏やクリームで効果が不十分なごわごわが強い部分に治療を強化するために使用します。

 

抗ヒスタミン薬内服

痒みを抑える的に補助として使用します。

 

《重症の手湿疹》

紫外線療法

ステロイドなどの外用治療で効果が不十分な場合に使用します。

 

ステロイドや免疫抑制薬の内服

生活上気をつけることはありますか?

原因抗原に触れないことが最も大切

原因抗原を特定して除去するのが最も大切であり、治療後も再び触れないように避ける必要があります。

手など治療中も刺激を受けやすい部位では、刺激から保護するように工夫します。

  • 手湿疹:手袋の着用。夜に保湿外用薬を塗布し、薄手の綿手袋を朝までつけるのも有用
  • それ以外の部位:薬剤塗布後、ガーゼを貼付など

絆創膏をはったままにしない

絆創膏を貼ったままにしたり、プラスティック製の密封性手袋をし続けたりすると、角質が浸軟して症状が悪化してしまいます。

こまめな保湿を心がける

手の皮膚の水分保持能力が弱まりバリア機能が低下するため、手洗いの後はよくふいてから保湿外用薬を塗布するなど、こまめに保湿を行います。

よくある質問

手に湿疹ができる原因は何ですか?

アルコールや洗剤、水仕事などによる刺激、アレルギー反応、汗やストレスなどが主な原因です。手の皮膚は繊細で、繰り返し刺激にさらされやすいため湿疹ができやすくなります。

手湿疹はどうやったら治りますか?

原因となる刺激やアレルゲンを避け、保湿や外用薬で炎症を抑えることが大切です。症状が長引く場合は皮膚科での適切な治療が必要です。

手のひらに小さいプツプツができる湿疹は?

「汗疱(かんぽう)」と呼ばれる水ぶくれ状の湿疹が考えられます。透明な小さな水疱が特徴です。

手湿疹を放っておくとどうなる?

慢性化し、ひび割れや強いかゆみ、色素沈着、感染を起こすことがあります。早めの治療が重要です。

手湿疹はうつりますか?

いいえ。手湿疹は感染症ではないため、人にうつることはありません。

手湿疹 何を塗る?

一般的にはステロイド外用薬や保湿剤を使います。症状に応じて抗ヒスタミン薬などを併用することもあります。

指のひび割れにステロイド軟膏は使えますか?

はい。炎症を抑える目的で使用することがありますが、状態により軟膏の種類を使い分ける必要があります。

手湿疹は何で治りますか?

軽いもので数日、慢性化していると数週間かかることもあります。治療の継続が大切です。

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