乳児湿疹
乳児湿疹は生後1~2週間後以降にみられる主に顔や頭皮にできる湿疹です。乳児脂漏性湿疹が代表的ですが、アトピー性皮膚炎などさまざま皮膚疾患が原因となります。
乳児湿疹の原因は?
乳児湿疹はは単一の病気ではなく乳児期に出来る湿疹の総称です。
❶ 新生児中毒性紅斑
生後1- 3 日に胸や背中、腰にに赤いぶつぶつや水ぶくれができ、ほぼ数日で自然に改善します。出生直後に始まる皮膚の常在菌が棲みつくことに対する免疫反応であると考えられています。
❷ 乳児脂漏性湿疹(新生児脂漏性湿疹)
皮脂が過剰になりやすい生後間もなくから発症し、頭皮やおでこなどに黄色のかさぶたや湿り気のあるフケが出てきます。
シャンプーや石鹸を泡立てて優しく洗います。かさぶたはオリーブオイルで拭いてから洗浄を行うと効果的です
炎症が強い場合はステロイドの外用薬を使用します。マラセチアが関与するといわれており抗真菌薬(ケトコナゾール)を使用することもあります。
❸ アトピー性皮膚炎
❹ 皮脂欠乏性湿疹
新生児期をすぎると、母親から受けついだホルモンの減少とともに急激に皮脂の分泌が減っていきます。
皮脂欠乏症は、皮脂が少なくなることでって保湿が効かず、すぐに肌か乾燥してしまう状態です。またそれによって肌に炎症が起こって湿疹になったものが皮脂欠乏性湿疹です。
❺ 新生児ざ瘡
生後2週頃の赤ちゃんに多く見られ、ニキビのような赤くとがった発疹が出ます。お母さんからのホルモンが血中に残っていることで皮脂の分泌が盛んになることで生じるといわれています。
❻ おむつかぶれ・おむつ皮膚炎
肛門やおむつの下に尿や便が刺激すること、おむつ内の群れなどにより炎症をおこしかぶれをおこします。ワセリンや亜鉛華単軟膏などを塗布します。炎症が強い場合はステロイドを使用します。カンジダなど真菌の感染が関与する場合は抗真菌薬を使用します。
アトピー性皮膚炎と乳児脂漏性皮膚炎の違いは?
乳児のアトピー性皮膚炎の方が乳児脂漏性皮膚炎よりかゆみが強くて、顔だけでなく首や肘や膝の内側など全身に発症することが多いです。乳児脂漏性皮膚炎は、生後3か月頃に自然に良くなることが多いですが、アトピー性皮膚炎ではかゆみのある湿疹が2か月以上続きます。
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乳児脂漏性湿疹 |
アトピー性皮膚炎 |
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部位 |
おでこ、まゆ、耳まわり |
肘の内側 |
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かゆみ |
軽度 |
強い |
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症状の特徴 |
黄色のかさぶた |
皮膚乾燥 |
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アレルギー体質 |
アレルギー性疾患の家族歴があるかは問わない |
親族が喘息やアレルギー性鼻炎。食物アレルギー、アレルギー性結膜炎などのアレルギー疾患がある |
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皮膚の乾燥 |
問わない |
全身の皮膚の乾燥 |
皮膚バリアを保ち、食物アレルギーの発症から守ります
乳児期に湿疹があることで食物アレルギーの危険性が高まることがわかっています。炎症で破綻した皮膚バリアから食物アレルゲンに経皮感作することで食物アレルギーを発症することがわかってきました。
100%の家庭のこどもの寝具から鶏卵アレルゲンが高濃度で検出されることが報告されています。いくら気をつけていても環境中の食物アレルゲンとの接触をを避けることは困難であり、湿疹を適切に治療し皮膚バリアを保つことが重要です。
アレルギー・マーチ
小児期には乳児湿疹、乳幼児期のアトピー性皮膚炎を始まりとし、続いて食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と次々と異なる時期に出現してくることが多く、これを「アレルギー・マーチ」と呼びます。近年小児のアレルギー疾患が増加傾向にあり、「アレルギー・マーチ」への進展を予防することが重要な課題です。
アレルギー・マーチを予防するために早期から皮膚治療を行います
アレルギー・マーチを予防するためには月齢に応じて皮膚、食事双方からの適切な介入を行うことが重要です。
❶ 乾燥症状があれば保湿剤を使用します。
新生児期から保湿を行うことでアトピー性皮膚炎の発症を予防出来る可能性があります。
❷ アトピー性皮膚炎を発症したら早期から抗炎症治療を開始します。
生後7-12週のアトピー性皮膚炎の乳児に対して早期にプロアクティブ治療(湿疹がある部位のみではなく、湿疹がない部位にも療法にステロイド塗布をする)ことにより、湿疹がある部位のみにステロイド外用薬を塗る従来治療よりも卵アレルギーの発症を防ぐことが出来る可能性がわかっています。また、適切な介入が遅れるほど食物アレルギーの発症リスクが高まります。
痒みや全身の湿疹を伴う乳児湿疹の多くはアトピー性皮膚炎と診断出来ることが少なくありません。保護者への方への気持ちの配慮から乳児湿疹とだけ告げられているケースも少なくなく、アトピー性皮膚炎と適切に早期診断し、治療を行うことでその後のアレルギー性疾患の発症を防ぐために皮膚科を受診しましょう。
