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肉アレルギー

MEAT

肉アレルギー牛肉・豚肉・鶏肉で症状が出たら

 

牛肉を食べるとお腹をこわす、鶏肉でじんましんが出る、大人になってから急に肉がだめになった。ひとくちに肉アレルギーといっても、原因のしくみは4つに分かれます。どのタイプかで、どの肉なら食べられるか、加熱すれば食べられるかが変わります。マダニに咬まれたあとに起こるα-gal症候群のように、血液検査ではわからず問診で見つけるタイプもあります。

豊洲駅 徒歩3分牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉マダニ後のα-gal症候群土日も診療
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肉アレルギーについて

肉を食べたあとに出る症状

肉アレルギーとは、牛肉・豚肉・鶏肉などのお肉を食べたあとにアレルギー症状が出る状態をまとめた呼び方です。牛肉アレルギー・豚肉アレルギー・鶏肉アレルギー(鳥肉アレルギー)は、牛アレルギー、豚アレルギー、鶏アレルギー、鳥アレルギー、チキンアレルギーとも呼ばれます。羊アレルギー(ラム肉アレルギー)や猪肉・鹿肉のアレルギーも同じ枠組みで考えます。呼び方が違っても、確かめることは同じです。

肉アレルギーは、牛肉・豚肉・鶏肉・羊肉などに含まれるたんぱく質や糖鎖に体が過剰に反応して起こります。もっとも多いのは皮膚の症状で、じんましん(蕁麻疹)、かゆみ、赤み、まぶたや唇のはれです。

肉アレルギーでは、腹痛・下痢・吐き気・嘔吐といったお腹の症状が目立つことも特徴です。牛肉を食べるとお腹が痛くなる、牛肉を食べると具合が悪くなる、いつもお腹を下す、鶏肉を食べると気持ち悪くなる、豚肉で下痢をする、といった形で気づかれる方が少なくありません。皮膚の症状がないため食べ物と結びつけにくく、肉が合わない体質、肉が食べられない体質なのだと思われたまま何年も続いていることがあります。

症状が出るまでの時間は、タイプによって大きく違います。食べて30分以内のこともあれば、3〜6時間たった夜中に始まることもあります。何時間後だったかは、原因を絞り込むうえでもっとも大切な手がかりです。

出る場所 主な症状
皮膚 じんましん、かゆみ、赤み、まぶたや唇のはれ、湿疹の悪化
消化器 腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、お腹が張る
口・のど 口の中の違和感、のどのイガイガ、声のかすれ
呼吸器 咳、息苦しさ、ゼーゼーする
全身 頭痛、動悸、血圧低下、意識がもうろうとする

ひとりの方に複数の症状が同時に出ることがあります。牛肉で頭が痛くなる、肌荒れや湿疹が長引く、生肉や鶏肉を触ると手が痒い、手が痒くなるという出方もあります。突然そうなった、という方が少なくありません。

すぐに救急要請が必要な症状(アナフィラキシー)

次のような症状があるときはアナフィラキシーの可能性があります。様子をみたり、自分で運転して受診したりせず、ただちに救急要請(119番)をしてください。エピペンをお持ちの方は、迷ったら早い段階で使用してください。

息が苦しい、ゼーゼーする、声がかすれる、のどが締めつけられる
くり返し吐く、我慢できない強い腹痛
顔色が悪い、唇が青白い、ぐったりする、意識がもうろうとする
じんましんが全身に広がり、急速に悪化していく

大人になってから急に肉アレルギーになることがあります

何十年も食べてきた牛肉や豚肉で、大人になってから急に症状が出るようになることがあります。これは珍しいことではなく、肉アレルギーではむしろ成人発症のほうが目立ちます。

理由は、肉アレルギーの多くが「肉そのものを最初から食べられない」タイプではなく、肉以外のもの(マダニ、ネコ、飼い鳥)に対して体が反応を覚えたあとで、肉に含まれる似た成分に反応するようになるタイプだからです。感作が成立してから症状が出るまでに時間がかかるため、発症は学童期から成人以降になります。

そのため「昔は平気だったから肉ではない」とは言えません。急に肉で症状が出るようになった場合ほど、このあとに説明する4つのタイプを整理する意味があります。

肉アレルギーの4つのタイプ

牛肉アレルギーとは牛肉で、豚肉アレルギーとは豚肉で、鶏肉アレルギーとは鶏肉で症状が出る状態を指しますが、お肉アレルギーはひとまとめにできるものではなく、原因のしくみによって次の4つに分けられます。どのタイプかによって、症状が出るまでの時間、避けるべき肉、加熱で食べられるかどうかが変わります。

タイプ きっかけ 症状が出るまで 主に問題になる肉
原発性の肉アレルギー 肉のたんぱく質そのものに対するアレルギー。乳児期のアトピー性皮膚炎に合併することが多い 食べてから30分以内が中心 牛肉(ウシ血清アルブミン Bos d 6)、まれに鶏肉
α-gal症候群(アルファガル症候群・α-galアレルギー・獣肉アレルギー) マダニに咬まれたことで、獣肉に含まれる糖鎖α-galに反応するようになる 食べてから3〜6時間後。夕食後の夜中に起こりやすい 牛肉・豚肉・羊肉・鹿肉など四つ足の獣肉。鶏肉は含まない
ポークキャット症候群(pork-cat症候群・キャットポーク症候群) ネコの毛やフケに含まれるネコ血清アルブミン(Fel d 2)を吸い込んで感作し、ブタの似たたんぱく質に反応する 食べてから30分〜2時間 豚肉が中心。牛肉・羊肉でも出ることがある
バードエッグ症候群(bird-egg症候群)・フィッシュチキン症候群 セキセイインコ・カナリア(カナリアアレルギー)・オウムなど飼い鳥の羽やふんを吸い込んで感作する、または魚のアレルゲンと鶏肉が交差反応する 食べてから30分〜2時間 鶏肉と卵黄。魚アレルギーに合併する鶏肉アレルギー

ペットの飼育歴と屋外での活動歴が、タイプを見分ける決め手になります。ネコを飼っている方は豚肉、インコなどの飼い鳥がいる方は鶏肉、山や草むらに入る方は牛肉・豚肉、という対応関係があります。

肉アレルギーは珍しいですか

消費者庁の全国調査で報告される食物アレルギーの原因食物を多い順に並べると、上位は鶏卵・牛乳・木の実類・小麦・甲殻類・果物などで、肉類は上位に入りません。全体からみれば多いアレルギーではありません。

肉アレルギーの割合や確率をはっきりした数字で示した国内の統計はありません。ただし、豚肉アレルギーや鶏肉アレルギーが「珍しい」と言われるのは、原発性の肉アレルギーが少ないという意味です。α-gal症候群やポークキャット症候群まで含めると、大人の肉アレルギーは決してまれな相談ではありません。珍しいから違うだろう、と考える必要はありません。

牛肉アレルギーと牛乳アレルギーの関係

原発性の牛肉アレルギーの主な原因は、ウシ血清アルブミン(Bos d 6)というたんぱく質です。これは牛乳にも含まれるため、牛肉アレルギーの方は牛乳アレルギーを合併することがあります。とくにBos d 6に感作している方では、牛乳で即時型の反応が出たという報告があります。

一方、マダニが原因のα-gal症候群では事情が違います。乳製品には牛肉ほどα-galが含まれないため、8〜9割の方は牛乳・チーズ・ヨーグルトを問題なく続けられます。肉をやめただけで症状が消えるのであれば、乳製品まで除去する必要はありません。

「牛肉がだめなら牛乳もだめ」と一律に決めず、どちらのタイプかを確かめてから判断します。

アレルギーではないこともあります

肉を食べたあとの不調が、すべてアレルギーとは限りません。次のようなものも一緒に考えます。

脂質による消化不良 — 焼肉やホルモン、脂の多い部位のあとの腹痛や下痢は、脂そのものの量が原因のことがあります。牛脂アレルギー、脂アレルギー、肉の油のアレルギーではないかというご相談の多くはこちらで、量を減らすと起きなくなるかどうかが手がかりになります
ヒスタミンによる症状(仮性アレルゲン) — 鮮度の落ちた肉や魚、加工肉に含まれるヒスタミンで、アレルギーがなくても赤みやかゆみが出ることがあります
食中毒・感染 — 加熱の足りない鶏肉や鶏刺しではカンピロバクター、生肉全般で細菌性の食中毒が起こります。食べた数時間から数日後の激しい腹痛と下痢が特徴です
香辛料や食品添加物による刺激 — 焼肉のたれ、加工肉の発色剤や亜硫酸塩が刺激になっていることがあります
慢性じんましん — 食べ物とは関係なく、疲れや感染をきっかけにくり返し出るじんましんもあります
胆石・膵炎など消化器の病気 — 脂の多い食事のあとにくり返し強い痛みが出る場合は、こちらも確かめます
体質という言葉で片づけないでください — 肉が合わない体質、肉が食べられない体質、牛肉が身体に合わない、と説明されてきた方のなかに、あとからα-gal症候群と分かる方がいます。くり返しているなら一度整理する価値があります
EXAMINATION

検査と診断

肉アレルギーで測れるもの、測れないもの

肉アレルギーの診断では、まず「何が血液で測れて、何が測れないか」を知っておくことが役に立ちます。牛肉・豚肉・羊肉・鶏肉・ゼラチンの特異的IgE抗体は測定できます。ネコ皮屑、セキセイインコの羽毛やふん、ミルク、卵白・オボムコイド、魚も測定できます。

一方で、α-gal症候群の原因物質であるα-gal(ガラクトース-α-1,3-ガラクトース)に対する特異的IgE抗体は、一般の検査会社で受託されておらず、当院にかぎらずどの医療機関でも測定できません。ほかの病院を紹介すれば測れる、というものでもありません。

同じように、ネコ血清アルブミン(Fel d 2)やブタ血清アルブミン(Sus s 1)といった個々の成分を直接測ることも、保険診療ではできません。

α-galアレルギー検査を受けたい、どこで測れるのかというご相談をいただきますが、測れる施設をお探しいただく必要はありません。存在しない検査です。

では血液検査に意味がないのかというと、そうではありません。牛肉・豚肉・羊肉・鶏肉・ゼラチンの特異的IgEは、ほかのアレルギーが合併していないかの確認と、タイプの鑑別のために調べます。たとえば牛肉と豚肉が陽性で鶏肉が陰性という並び方は、α-gal症候群を考える手がかりになります。

疑うタイプ 血液検査で調べる項目 何のために調べるか
原発性の牛肉アレルギー 牛肉、ミルク、(小児では卵白・オボムコイド) 牛肉そのものへの感作と、牛乳アレルギーの合併を確認する
α-gal症候群 牛肉、豚肉、羊肉、ゼラチン、鶏肉(区別のため) α-gal自体は測れないため、獣肉が陽性で鶏肉が陰性という並び方を手がかりにする。ゼラチンの扱いを決める材料にもする
ポークキャット症候群 豚肉、牛肉、ネコ皮屑 ネコへの感作があるかを確認する。Fel d 2そのものは保険では測れない
バードエッグ症候群・フィッシュチキン症候群 鶏肉、卵白、オボムコイド、セキセイインコ羽毛、セキセイインコのふん、魚 飼い鳥への感作、卵黄や魚との関係を確認する

血液検査で保険診療の対象になるのは13項目までです。何を何項目調べるかは、症状の出方と生活歴をふまえて診察で決めます。α-galのように測れない項目があるため、検査の前に問診で候補を絞り込むことがそのまま診断の精度につながります。

α-gal症候群は、検査ではなく問診で診断します

マダニに咬まれたあとに獣肉で症状が出るようになるα-gal症候群(αgal症候群、アルファガルアレルギー、アルファギャルアレルギーとも書かれます)は、血液検査で白黒をつける病気ではありません。α-galを測る検査が存在しない以上、診断は問診で行います。次の3つがそろうかどうかが決め手です。

マダニに咬まれた経験、あるいは咬まれる機会 — 山や草むらに入った、キャンプや野外での作業をした、犬の散歩で草地を歩く、といった心当たり。幼ダニはごく小さく、咬まれても気づかないことがあります
食べてから3〜6時間という時間差 — 夕食に肉を食べて、夜中にじんましんや腹痛で目が覚めるというパターンが典型的です。食べた直後ではないため、ご本人も肉を疑っていないことがほとんどです
鶏肉は平気で、牛肉・豚肉だけで症状が出るという分布 — α-galは牛・豚・羊・鹿など哺乳類の肉に含まれ、鶏肉・七面鳥などの鳥類や魚には含まれません

検査で出なかったから違う、とはなりません

α-gal症候群では、牛肉や豚肉の特異的IgEが陰性でも診断が否定されるわけではありません。測っているのは肉のたんぱく質であって、原因である糖鎖そのものではないからです。

「アレルギー検査を受けたが何も出なかった」と言われて終わっている方が少なくありません。検査が陰性でも、時間差の症状をくり返しているのであれば、あらためて経過をうかがう価値があります。

皮膚プリックテスト

当院では皮膚プリックテストを実施しています。皮膚にアレルゲンの液を1滴たらし、細い針でごく浅く傷をつけて、15分後の反応の大きさを測る検査です。その日のうちに結果をご説明できます。

肉アレルギーでは、実物の食品を使うプリック・プリックテストも行えます。市販の試薬では反応が出にくい場合や、加熱した肉と生の肉で反応が違うかを確かめたい場合に有用です。生肉を触ると手がかゆくなるという方では、この検査が診断の手がかりになります。

検査の前に抗ヒスタミン薬(アレルギーの飲み薬)を中止していただく必要がありますが、中止する期間は薬の種類によって異なります。自己判断で中止せず、一度受診してご相談ください。強い症状を起こしたことがある方では、実施の可否を慎重に判断します。

血液検査(特異的IgE抗体検査)

疑われる食品に対する抗体を血液で調べる検査です。採血だけで済むため負担が少なく、小さなお子さんにも行えます。保険診療で算定できるのは13項目までと決められています。

結果は後日のご説明となります。当日その場ではお伝えできません。

結果はクラス0から6の段階で報告されます。数値が高いほど症状が出る可能性は高くなりますが、数値の高さと症状の重さは一致しません。陽性というだけで食べられる肉まで除去することはしませんし、陰性でも症状をくり返すならアレルギーと考えます。判定は必ず症状と合わせて行います。

受診の前にメモしてきていただきたいこと

肉アレルギーは、検査よりも問診で決まる部分が大きい病気です。次の点をメモしてお越しいただけると、診断が早くなります。

何の肉を、どのくらい、どんな調理で食べたか — 牛肉か豚肉か鶏肉か、内臓かどうか、生ハムや加工肉か、火の通り方はどうだったか
食べてから症状が出るまでの時間 — 何分後か、何時間後か。夜中に始まった場合は、その日の夕食の内容
どんな症状が出て、どのくらい続いたか — じんましんの写真が残っていればお持ちください
くり返しているか — 同じ肉で何度か起きているか、鶏肉のときは平気か
生活歴 — ネコやイヌ、インコなどを飼っているか、山や草むらに入る機会、キャンプやアウトドアの習慣、マダニに咬まれた経験
そのとき重なっていたこと — 運動、入浴、飲酒、解熱鎮痛薬、寝不足、体調不良

食物経口負荷試験について

食物経口負荷試験(実際に医療機関で少しずつ食べて症状が出るかを確かめる検査)は、検査中に強い症状が出る可能性があるため、当院では実施しておりません。必要と判断した場合は、体制の整った医療機関をご紹介します。

問診と血液検査・皮膚プリックテストによる原因の絞り込み、除去の範囲の相談、エピペンの処方、日常の管理、生活管理指導表の作成は当院で承ります。

MANAGEMENT

どの肉なら食べられるか

すべての肉をやめる必要は、ほとんどありません

肉アレルギーの管理でいちばん大切なのは、タイプに応じて必要な分だけ避けることです。牛肉・豚肉・鶏肉のすべてを除去しなければならないケースは、きわめてまれです。

タイプが決まれば、食べられる肉がはっきりします。とくにα-gal症候群では鶏肉が食べられるため、たんぱく質が不足することはあまりありません。

タイプ 避けるもの 食べられることが多いもの
原発性の牛肉アレルギー 加熱の不十分な牛肉。牛乳アレルギーを合併していれば乳製品も 十分に加熱した牛肉で食べられることがあります。鶏肉、豚肉、魚
α-gal症候群 牛肉・豚肉・羊肉・鹿肉などの獣肉、レバーやホルモンなどの内臓、ゼラチン、カレイの魚卵 鶏肉、七面鳥、魚。乳製品は8〜9割の方で症状が出ません
ポークキャット症候群 加熱の不十分な豚肉、生ハム・ベーコン・薫製肉などの加工品 十分に加熱した豚肉なら食べられることがあります。鶏肉、魚
バードエッグ症候群 鶏肉と卵黄。加熱の足りない卵黄や生肉への接触でとくに出やすい 牛肉、豚肉、魚

表は目安です。どこまで食べてよいかは症状の強さによって変わります。自己判断で範囲を広げず、医師の指示に従ってください。

加熱で食べられるようになるもの、ならないもの

肉アレルギーでよく誤解されるのが、加熱の効果です。加熱で変わるかどうかは、原因が「たんぱく質」か「糖鎖」かで決まります。

原発性の牛肉アレルギー、ポークキャット症候群、バードエッグ症候群の原因は血清アルブミンというたんぱく質で、これは熱に弱い性質があります。そのため、しっかり火を通せば食べられることがあります。逆に、生ハム・ベーコン・サラミ・薫製肉・ローストビーフのように加熱が不十分な加工肉では、少量でも症状が出ることがあります。焼肉やジンギスカンでレアに近い状態で食べたときだけ症状が出る、というのはこのためです。

一方、α-gal症候群の原因であるα-galは糖鎖で、加熱しても壊れません。よく焼けば食べられる、ということはありません。むしろ脂の多い部位や内臓でα-galの量が多く、症状が強く出やすいことが知られています。

冷凍や熟成でも同じで、α-galは減りません。加熱で食べられるかどうかは、必ずタイプを確かめてから判断してください。

レバー・ホルモン・牛タンなどの内臓とゼラチン

α-gal症候群では、レバー・ホルモン・もつ・腎臓といった内臓にα-galが多く含まれます。肉は少量なら平気なのに、もつ鍋やホルモン焼き、レバーで強い症状が出るという場合は、この病気を強く疑います。もつアレルギー、ホルモンアレルギー、レバーアレルギー、牛タンアレルギーではないかというご相談は、実際にはα-gal症候群であることがあります。

なお、鶏レバー(鳥レバー)は鳥類なのでα-galを含みません。鶏レバーアレルギーを疑う場合は、鶏肉そのものへのアレルギーや、鮮度・食中毒のほうを考えます。

ささみアレルギー、鶏胸肉アレルギー、ひき肉アレルギー、赤身肉アレルギー、焼肉アレルギー、生ハムアレルギー、加工肉アレルギーといった呼び方でご相談をいただきますが、これらは食品名がついているだけで、しくみは上の4つのどれかです。まず部位ではなくタイプを確かめます。

部位や料理で反応が違うことはよくあります。ささみ(鶏ささみ)や鶏胸肉のような脂の少ない部位では平気なのに、鶏皮や焼き鳥、唐揚げでは症状が出る。ハンバーグやひき肉、牛丼、焼肉では出るのに、家で焼いた赤身肉では出ない。鳥刺しでだけ出る。チキンエキスやスープでは出ない。こうした違いは、脂の量、火の通り方、食べた量のどれかで説明できることが多く、原因を絞り込む材料になります。

ゼラチンは牛や豚の皮・骨からつくられるため、α-galを含みます。グミ、マシュマロ、ゼリー、プリン、一部のヨーグルト、薬のカプセル、坐薬、そして一部のワクチンにもゼラチンが使われています。

ゼラチンをどこまで避けるかは、症状の強さによって変わります。多くの方は食品のゼラチンで強い症状を起こしませんが、以前ゼリーやグミで具合が悪くなったことがある方、アナフィラキシーを起こしたことがある方では、医薬品やワクチンの添加物についても確認します。ワクチン接種の際は、肉アレルギーがあることを必ずお申し出ください。

栄養が偏らないようにします

除去する肉が増えると、動物性タンパク質(動物性タンパク質アレルギーと呼ばれることもあります)と鉄が不足しやすくなります。とくに成長期のお子さんや女性では、貧血につながることがあります。

肉アレルギーがあっても、肉エキスやだしは問題なく食べられる方が多いことが知られています。必要以上に広く除去しないことが、結果として栄養を守ることになります。

獣肉を除去する場合 — 鶏肉、魚、大豆製品、卵でたんぱく質を補います
鶏肉を除去する場合 — 牛肉・豚肉・魚・大豆製品で補います
鉄が不足しやすいため、赤身の魚、あさり、小松菜、大豆製品などを意識して取り入れます
除去する食品が多い場合は栄養が偏りやすくなるため、定期的にご相談ください

肉アレルギーは治りますか

タイプによって見通しが違います。断定はできませんが、次のように考えられています。

乳児期に発症した原発性の牛肉アレルギー — 成長とともに食べられるようになることが多く、数年で症状が出なくなる方が多いとされています
α-gal症候群 — 新たにマダニに咬まれなければ、年単位で抗体が下がり、また肉を食べられるようになることがあります。逆にもう一度咬まれると再び上がります。草地に入るときは長袖・長ズボン、虫よけ、帰宅後の入浴と衣服の確認を習慣にしてください
ポークキャット症候群 — ネコとの接触を減らすことでネコ血清アルブミンに対する抗体が下がり、豚肉を食べられるようになる可能性があります
バードエッグ症候群 — 飼い鳥との接触が続くかぎり症状は続きやすく、環境の調整を含めて相談します

エピペン(アドレナリン自己注射薬)

アナフィラキシーを起こす可能性がある方には、アドレナリンの自己注射薬エピペンをおすすめしています。当院では0.3mg製剤を院内に在庫しており、診察のうえ当日お渡しできます。0.15mg製剤は院外処方となります。

注射に抵抗がある方には、鼻にスプレーするタイプのアドレナリン製剤ネフィーもあります。体重15kg以上のお子さんにも使用でき、院外処方となります。

肉アレルギーでは、症状が夜間に出ることや、外食先で気づかずに食べてしまうことがあるため、持っておく意味が大きいタイプです。使い方は処方時にご説明します。使用したあとは症状が落ち着いたように見えても、必ず救急要請をして医療機関を受診してください。

過去にアナフィラキシーを起こしたことがある
ごく少量で即時型の症状を起こしたことがある
即時型の症状をくり返している
コントロールが不十分な気管支喘息を合併している
外食や旅行の機会が多く、誤って食べてしまう可能性がある

お薬の副作用と注意していただきたいこと

抗ヒスタミン薬では眠気、口の渇き、だるさが出ることがあります。運転や危険をともなう作業をされる方は、あらかじめお伝えください。

抗ヒスタミン薬はアナフィラキシーの進行を止める薬ではありません。呼吸の症状や血圧低下があるときに、飲み薬で様子をみることは危険です。

エピペンは太ももの外側に、衣服の上からでも打てます。使用後に一時的に動悸や手のふるえ、頭痛が出ることがありますが、迷って打たないことのほうが危険です。

α-gal症候群の方では、大腸がんの治療に使われるセツキシマブという薬でアレルギー反応が起こることが知られています。手術や治療を受ける際は、肉アレルギーがあることを必ず担当の医師にお伝えください。

経口免疫療法(原因の食べ物を少しずつ食べて体を慣らしていく治療)は、当院では行っておりません。

保育園・学校の生活管理指導表を作成します

保育園・幼稚園・学校に提出する「アレルギー疾患生活管理指導表」を当院で作成します。給食での除去や、症状が出たときに誰がどう動くかを園や学校と共有するための書類です。

肉アレルギーでは、除去する肉の種類だけでなく、加熱の程度、加工肉やゼラチンをどう扱うか、宿泊行事での対応まで書き分けておくと安全につながります。

新学期の前は依頼が集中します。提出期限に間に合うよう、余裕をもってご相談ください。血液検査の結果が必要な場合は、結果が出るまでに1週間ほどかかります。

COST

費用の目安

健康保険3割負担の場合の目安です。実際の費用は検査する項目数や処方する内容によって変わります。

血液検査は特異的IgE抗体1項目110点で、保険で算定できるのは13項目までです。13項目に免疫学的検査判断料144点を加えた1,574点が3割負担で約4,720円になります。皮膚プリックテストは21箇所以内で1箇所16点(22箇所以上は1箇所12点)で、これに使用するアレルゲン試薬の薬剤料が加わります。実物の食品を用いるプリック・プリックテストでは試薬代はかかりません。お薬の欄は薬剤料のみの目安で、診察料・調剤料は別にかかります。生活管理指導表の作成については診察時にご案内します。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。

FAQ

よくある質問

牛肉アレルギーの症状は?大人になってから急に出ることはありますか?
牛肉アレルギー症状としては、じんましん、かゆみ、まぶたや唇のはれといった皮膚の症状に加えて、腹痛・下痢・吐き気などお腹の症状が出やすいのが肉アレルギーの特徴です。大人になってから急に出ることは珍しくありません。マダニに咬まれたあとに成立するα-gal症候群では、それまで何十年も食べていた牛肉で、食後3〜6時間たってから症状が出るようになります。夕食後の夜中に始まることが多く、肉が原因だと気づかれにくいタイプです。
鶏肉アレルギーの症状は?急に鶏肉がだめになりました。
鶏肉アレルギー症状としては、食べて30分以内のじんましん、口やのどの違和感、腹痛や下痢が中心です。鶏肉の原発性アレルギーは青年から若年成人にみられます。そのほか、インコなどの飼い鳥の羽やふんを吸い込んで感作するバードエッグ症候群、魚のアレルゲンと交差するフィッシュチキン症候群でも、大人になってから鶏肉で症状が出ることがあります。飼い鳥がいるか、魚で症状が出たことがあるかが手がかりになります。
豚肉アレルギーは珍しいのでしょうか?
豚肉そのものに対する原発性のアレルギーは多くありません。ただし、ネコを飼っている方に起こるポークキャット症候群(pork-cat症候群)や、マダニが関係するα-gal症候群まで含めると、大人の豚肉アレルギーはまれな相談ではありません。ネコアレルギーの方の1〜3%にポークキャット症候群がみられるという報告があります。珍しいから違うだろう、と考えずにご相談ください。
猫を飼っています。豚肉で症状が出るのはなぜですか?
ネコの毛やフケ、唾液に含まれるネコ血清アルブミン(Fel d 2)を吸い込んで抗体ができ、それが豚肉に含まれる似たたんぱく質と反応するためです。ポークキャット症候群と呼ばれます。食べてから30分〜2時間で、口の違和感、じんましん、咳、腹痛、下痢などが出ます。豚肉が中心ですが牛肉でも出ることがあります。血液検査ではネコ皮屑と豚肉・牛肉を調べ、ネコへの感作を確認します。動物アレルギーのページもあわせてご覧ください。
マダニに咬まれたあと肉アレルギーになると聞きました。検査でわかりますか?
α-gal症候群(アルファガル症候群)のことです。大切な点として、原因であるα-galを測る血液検査は一般の検査会社で受託されておらず、当院にかぎらずどの医療機関でも実施できません。この病気は検査で白黒をつけるのではなく、マダニに咬まれた経験や屋外での活動歴、食べてから3〜6時間という時間差、鶏肉は平気で牛肉と豚肉だけで症状が出るという分布から診断します。牛肉や豚肉の特異的IgEが陰性でも否定はできません。検査で出なかったから違う、とはなりません。
α-gal症候群でも鶏肉は食べられますか?
食べられます。α-galは牛・豚・羊・鹿など哺乳類の肉に含まれる糖鎖で、鶏肉や七面鳥などの鳥類、魚には含まれません。鶏肉と魚でたんぱく質を確保できるため、栄養面で困ることはあまりありません。逆に、鶏肉は平気なのに牛肉と豚肉で症状が出るという分布そのものが、α-gal症候群を疑う手がかりになります。
よく焼けば食べられますか?生ハムや焼肉、ジンギスカンはどうでしょう。
タイプによります。原発性の牛肉アレルギー、ポークキャット症候群、バードエッグ症候群の原因は血清アルブミンというたんぱく質で熱に弱いため、十分に加熱すれば食べられることがあります。この場合、生ハム・ベーコン・サラミ・薫製肉やレアに近い焼肉・ジンギスカンで症状が出やすくなります。一方、α-gal症候群の原因は糖鎖で加熱では壊れないため、よく焼いても食べられるようにはなりません。加熱で対応できるかどうかは、必ずタイプを確かめてから判断してください。
レバーやホルモン、牛タンなどの内臓はどうですか?
α-gal症候群では、レバー・ホルモン・もつ・腎臓といった内臓にα-galが多く含まれるため、赤身の肉より強い症状が出やすくなります。肉は少量なら平気なのに、もつ鍋やホルモン焼き、鶏レバーで具合が悪くなるという場合は、この病気を疑います。部位によって反応が違うと感じている方は、その内容を診察でお伝えください。
ゼラチンやグミ、薬のカプセル、ワクチンは大丈夫ですか?
ゼラチンは牛や豚の皮・骨からつくられるためα-galを含みます。グミ、マシュマロ、ゼリー、プリン、薬のカプセルや坐薬、一部のワクチンに使われています。多くの方は食品のゼラチンで強い症状を起こしませんが、ゼリーやグミで具合が悪くなったことがある方、アナフィラキシーを起こしたことがある方では、医薬品やワクチンの添加物まで確認します。ワクチンを受けるときは、肉アレルギーがあることを必ずお申し出ください。
牛肉アレルギーだと牛乳は大丈夫ですか?
タイプによります。乳児期から続く原発性の牛肉アレルギーでは、原因のウシ血清アルブミン(Bos d 6)が牛乳にも含まれるため、牛乳アレルギーを合併することがあります。一方、マダニが原因のα-gal症候群では、乳製品には牛肉ほどα-galが含まれないため、8〜9割の方は牛乳・チーズ・ヨーグルトを問題なく続けられます。肉をやめただけで症状が消えるなら、乳製品まで除去する必要はありません。牛乳で症状が出たことがあるかどうかを確かめたうえで判断します。
牛肉を食べるとお腹が痛くなる・下痢をします。アレルギーでしょうか?
腹痛や下痢だけの場合、アレルギー以外の原因も考えられます。脂の多い部位や焼肉・ホルモンでは脂質そのものによる消化不良、加熱の足りない鶏肉ではカンピロバクターなどの食中毒、鮮度の落ちた肉ではヒスタミンによる症状のことがあります。一方で、α-gal症候群では消化器症状だけが前面に出て、じんましんが出ないこともあります。くり返しているか、食後何時間で起きるか、鶏肉でも起きるかが手がかりになりますので、一度ご相談ください。
生肉を触ると手がかゆくなります。食べていないのに関係ありますか?
関係することがあります。生の肉に触れて赤みやかゆみ、じんましんが出るのは接触によるアレルギー反応で、ポークキャット症候群やバードエッグ症候群の手がかりになります。血清アルブミンは熱に弱いため、生の状態でだけ反応するという形になりやすいのです。当院では実物の食品を使うプリック・プリックテストも行えますので、生肉での反応を確かめることができます。
肉アレルギーは治りますか。治し方はありますか。
原因を取り除くことが治療です。乳児期に発症した原発性の牛肉アレルギーは、成長とともに食べられるようになることが多いとされています。α-gal症候群では、新たにマダニに咬まれなければ年単位で抗体が下がり、また肉を食べられるようになることがあります。ポークキャット症候群では、ネコとの接触を減らすことで豚肉を食べられるようになる可能性があります。いずれも時間がかかり、必ず治るとは言えません。定期的に再評価しながら、除去の範囲を見直していきます。なお経口免疫療法は当院では行っておりません。
赤ちゃんや子ども(子供)の肉アレルギーはどう考えますか?離乳食はどうすればよいですか?
離乳食で初めて鶏肉や牛肉を与えるときは、少量から、体調のよい日に、平日の日中に試してください。乳児期の牛肉アレルギーは、アトピー性皮膚炎に合併して現れることが多く、ウシ血清アルブミンが原因になります。牛乳アレルギーを合併することがあるため、あわせて確認します。成長とともに食べられるようになることが多いタイプです。α-gal症候群やポークキャット症候群は感作から発症までに時間がかかるため、学童期以降にみられます。採血は乳児でも行えますが、調べられる項目に限りがあるため、問診で絞り込んでから選びます。
羊肉(ジンギスカン)、鴨肉、鯨肉なども避けたほうがよいですか?
α-gal症候群では、羊・鹿・馬・鯨といった哺乳類の肉にもα-galが含まれるため、同じように症状が出ます。ジンギスカンで初めて症状が出て気づかれることもあります。鴨肉や七面鳥は鳥類なのでα-galを含みません。原発性の肉アレルギーやポークキャット症候群では、どの動物の肉まで反応するかが人によって違いますので、実際に症状が出た肉を整理したうえで判断します。
肉アレルギーは何科を受診すればよいですか。検査の結果は当日わかりますか?
内科・皮膚科・アレルギー科のいずれでも診療します。当院はアレルギー科として、皮膚の症状も消化器の症状も合わせて診察します。血液検査(特異的IgE抗体検査)の結果は後日のご説明となり、当日その場ではお伝えできません。皮膚プリックテストは15分後に反応をみるため、その日のうちに結果をご説明できます。
同じ肉を食べ過ぎるとアレルギーになりますか。花粉症があるとなりやすいですか?
食べ過ぎでアレルギーになる、同じ肉を食べ続けるとアレルギーになる、という考え方には根拠がありません。花粉症があるから肉アレルギーになりやすい、という関係も知られていません。花粉症と関係が深いのは果物や野菜のアレルギー(口腔アレルギー症候群)のほうです。肉アレルギーで関係するのは、マダニに咬まれた経験、ネコやイヌ、飼い鳥との暮らしといった生活歴です。
軽度と言われました。除去は必要ですか?
血液検査は陽性でも症状なし、あるいは症状が軽かったというだけで、今後も軽いとは限りません。とくにα-gal症候群では、脂の多い部位や内臓、飲酒や運動が重なったときに強く出ることがあります。一方で、症状が出たことのない肉まで数値を理由に除去する必要はありません。どこまで食べてよいかは、症状の出方と量をふまえて診察で決めます。
豊洲イーウェルクリニック
肉を食べたあとの症状が気になる方へ

牛肉で下痢をする、鶏肉でじんましんが出る、夜中に原因のわからないじんましんが出る。検査で何も出なかったと言われた方も、食べてから症状までの時間と生活歴をうかがえば、原因にたどり着けることがあります。豊洲駅から徒歩3分、土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本アレルギー学会(食物アレルギー診療ガイドライン)
  2. 消費者庁(即時型食物アレルギー全国モニタリング調査・アレルギー表示)
  3. 厚生労働省(ダニ媒介感染症・マダニ対策)

本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と除去の範囲は、症状・年齢・生活歴・検査結果をふまえて診察のうえで判断します。記載は2026年8月時点の情報です。強い症状が出たときは、記載にかかわらず救急要請をしてください。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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