マイコプラズマ・ウレアプラズマ
淋菌とクラミジアがともに検出されない尿道炎を非クラミジア性非淋菌性尿道炎と呼びます。
非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因としてはトリコモナス尿道炎とマイコプラズマ・ジェニタリウムが挙げられ、クラミジアならびに淋菌が陰性であるにもかかわらず、尿道炎や頚管炎などの症状がある場合に保険適応で検査が可能です。
尿道炎の原因となる病原体
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病原体 |
頻度 |
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淋菌 |
30.0% |
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クラミジア・トラコマティス |
41.7% |
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マイコプラズマ・ジェニタリウム |
10.6% |
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マイコプラズマ・ホミニス |
3.8% |
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ウレアプラズマ・ウレアリチカム |
13.4% |
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ウレアプラズマ・パルバム |
6.8% |
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アデノウイルス |
6.6% |
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インフルエンザ菌 |
5.2% |
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単純ヘルペス |
HSV-1 (2.8%) |
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髄膜炎菌 |
1.4% |
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腟トリコモナス |
0.7% |
International Journal of UrologyVolume 23, Issue 4 p. 325-331
マイコプラズマ、ウレアプラズマにはいくつかの種類がありますが。泌尿器科領域で問題となる病原体としてはマイコプラズマ・ジェニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカムとウレアプラズマ・パルバムが挙げられます。
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マイコプラズマ・ |
マイコプラズマ・ |
ウレアプラズマ属 |
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尿道炎 急性 |
++++ |
ー |
+++ |
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亀頭包皮炎 |
+++ |
ー |
ー |
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慢性前立腺炎 |
+ |
ー |
ー |
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精巣上体炎 |
++ |
ー |
++ |
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子宮頚管炎 |
+++ |
ー |
ー |
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不妊 |
++ |
ー |
++ |
|
骨盤内炎症性疾患 |
+++ |
++ |
ー |
|
産褥熱 |
データなし |
+++ |
ー |
CLINICAL MICROBIOLOGY REVIEWS, July 2011, p. 498–514
マイコプラズマ・ジェニタリウム
マイコプラズマ・ジェニタリウムはマイコプラズマ・ウレアプラズマのなかで最も病原体について明らかになっています。
男性の症状
主に尿道炎症状を主に引き起こし、排尿時の痛みが尿道からの膿の症状が出現します。
精巣上体炎の原因になりますが、男性では尿道炎症状が出やすいため稀です。
女性の症状
マイコプラズマ・ジェニタリウム感染の40-70%は症状を引き起こしません。女性では主に子宮頚管炎としておりものの増加や変化(50%未満)、排尿困難(30%)、不正出血や性交渉のあとの出血などが認められます。
放置してしまうとクラミジアと同様に骨盤内炎症性疾患や卵管炎を引き起こし不妊に繋がる可能性もあります。
検査が推奨されるかた
マイコプラズマ・ジェニタリウムは尿や膣分泌液のPCR検査で診断を行います。
淋菌、クラミジアが陰性である尿道炎や子宮頚管炎の症状がある方は保険適応で検査が可能です。
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男性 |
女性 |
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尿道炎の症状または徴候 |
子宮頚管炎 |
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50歳未満の急性睾丸上体炎 |
原因が不明な排尿障害 |
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直腸炎(淋菌とクラミジアが陰性の場合) |
不正出血や性交渉のあとの出血 |
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骨盤内炎症性疾患 |
2021 European guideline on the management ofMycoplasma genitalium infections
咽頭炎への保菌は非常に稀といわれており、ヨーロッパのガイドラインでは咽頭検査は推奨されていません。
治療
❶ ビブラマイシン錠(ドキシサイクリン) 100mg 1日2回 7日間
❷ グレースビット錠(シタフロキサシン)1回100mg 1日2回 7日間
- アジスロマイシンで改善しない場合
- マイコプラズ・ジェニタリウム感染を強く疑う場合
ジスロマック(アジスロマイシン)の有効率は10-30%と言われており多くが抗菌薬に耐性を持っていいます。
マイコプラズマ・ジェニタリウムに対する二段階治療(自由診療)
米国CDCでは初回経験療法としてドキシサイクリンを投与し、菌量を減らして菌の排出を促進し、その後モキシフロキサシンを投与する2段階治療が推奨されており、90%以上の高い有効性があるといわれています。
ドキシサイクリン1回100mg1日2回7日間に続いて、モキシフロキサシン) 1回400mg、1日2回7日間投与します。
マイコプラズマ・ホミニス
女性では、細菌性膣炎(かゆみ、におい、おりものの増加)、骨盤内炎症性疾患、早産、産褥熱との関連があると報告されています。
国内の妊婦 の11.2% が保菌しているという報告があります。
男性では、慢性前立腺炎の起因菌として考えられており、男性不妊症の原因とも考えられています。
検査
マイコプラズマ・ホミニスの検査は尿や膣分泌液のPCR検査で診断を行います。
検査は保険適応外のため、当院に限らず自由診療のみとなります。
治療
マイコプラズマ・ホミニスの治療は検査と同じく保険適応外のため、当院に限らず自由診療のみとなります。
❶ ビブラマイシン錠(ドキシサイクリン) 100mg 1日2回 7日間
❷アベロックス錠(モキシフロキサシン) 400mg 1日1回 7〜14日間
ウレアプラズマ
ウレアプラズマはマイコプラズマ科の細菌で、ウレアプラズマ・ウレアリチカムとウレアプラズマ・パルバムが泌尿器科領域感染症の原因となり、非クラミジア性非淋菌性尿道炎を引き起こします。
ウレアプラズマは8.5-77.5%のかたから検出されるなど常在菌であるという考えもありましたが、現在では病原性の低い細菌であると考えられています。
潜伏期間は性的感染後10~20日と考えられています。
男性の症状
主に尿道炎症状を主に引き起こし、排尿時の痛みが尿道からの膿の症状が出現します。
精巣上体炎の原因になりますが、男性では尿道炎症状が出やすいため稀です。
女性の症状
女性の場合は細菌性膣症を起こし、おりものの異常や膣のかゆみ、排尿障害、下腹部の違和感といった症状がでます。骨盤内炎症性疾患や不妊症、早産との関連があると考えられています。
検査
ウレアプラズマの検査は尿や膣分泌液のPCR検査で診断を行います。
検査は保険適応外のため、当院に限らず自由診療のみとなります。
治療
ウレアプラズマの治療と検査は保険適応外のため、当院に限らず自由診療のみとなります。
❶ ビブラマイシン錠(ドキシサイクリン) 100mg 1日2回 7日間
❷アベロックス錠(モキシフロキサシン) 400mg 1日1回 7〜14日間
マイコプラズマ・ウレアプラズマはどのように診断しますか?
PCR検査
男性は尿検査、女性は膣分泌のぬぐい液による検査を行います。
治療後はどのように効果を判定しますか?
2-3週間後に再度PCR検査を行い、治癒判定を行います。
よくある質問
マイコプラズマ・ウレアプラズマは常在菌ですか?
常在菌ではなく低病原性細菌として認識されています。マイコプラズマ、ウレアプラズマと多くの疾患の関連が指摘されています。マイコプラズマやウレアプラズマを保菌していてみ無症状なかたも、防御機構が破綻すると尿道や子宮頚管から感染が広がり、骨盤内や卵巣に感染が波及することも考えられます。このため症状がある時はもちろん治療対象ですが、無症状であったとしても将来の妊娠や妊娠に伴う合併症のリスクも考慮して治療を行うことを勧めます。
マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査は保険適用ですか?
マイコプラズマ・ウレアプラズマの4種類を調べるPCR検査は、保険適用外です。
尿道炎や子宮頚管炎の症状があり、淋菌、クラミジア感染がない場合にはトリコモナス/マイコプラズマ・ジェニタリウム(TV/MG)同時核酸検出(PCR検査)が保険適応となります。
他院で治療をしましたがよくなりません
ピンポン感染をしていないか、他の性感染症の合併がないか、検査時期が早すぎないかが重要です。
適切な治療と効果判定をしているのにもかかわらず症状がよくならない、検査が陰性にならない場合には耐性菌が考えられます。マイコプラズマ、ウレアプラズマは耐性菌も多いため、これまでの治療内容も踏まえて適切な抗菌薬と内服期間を御案内します。
マイコプラズマ、ウレアプラズマは性行為以外で感染しますか?トイレで感染しますか?
肺炎を起こす肺炎マイコプラズマは咳や痰などの飛沫感染をしますが、マイコプラズマ、ウレアプラズマは性行為によって感染します。ウイルスの感染力は強くはないため、トイレや温泉などから感染してしまう可能性は非常に低いと考えられます。
セックスワーカーの咽頭の保菌率はM. genitalium 0%、M. hominis 1.2%、U. parvum 0.2%、U. urealyticum 0.7%と低い感染率ですが報告されており、キスやオーラルセックスから感染する可能性はあります。
ウレアプラズマ、マイコプラズマはキスで感染しますか?
セックスワーカーの咽頭の保菌率はM. genitalium 0%、M. hominis 1.2%、U. parvum 0.2%、U. urealyticum 0.7%と低い感染率ですが報告されており、キスやオーラルセックスから感染する可能性はあります。
マイコプラズマ、ウレアプラズマは自然に治りますか?
マイコプラズマ、ウレアプラズマは症状がなくても細胞内に寄生し体内に留まります。このため症状がある時はもちろん治療対象ですが、無症状であったとしても将来の妊娠や妊娠に伴う合併症のリスクも考慮して治療を行うことを勧めます。
マイコプラズマ、ウレアプラズマは完治しますか?
マイコプラズマ、ウレアプラズマは耐性菌もおおく、治療が難しい感染症の一つです。二段階治療などを高い有効率の治療法も提案が可能ですので、これまでの治療の内容も踏まえて適切な抗菌薬と内服期間を御案内します。
マイコプラズマ、ウレアプラズマは放置するとどうなりますか
男女ともに不妊症との関連が示唆されています。女性では流産や早産、早期破水の原因菌として考えられています。
マイコプラズマ、ウレアプラズマ治療中に性行為をしても感染しますか?
耐性菌などが原因で、初期治療がうまくいかないケースもあります。2-3週間後に再度PCR検査を行い、治癒が確認されるまでは性交渉を避けてください。
マイコプラズマ、ウレアプラズマはのどから感染しますか?
セックスワーカーの咽頭の保菌率はM. genitalium 0%、M. hominis 1.2%、U. parvum 0.2%、U. urealyticum 0.7%と低い感染率ですが報告されており、キスやオーラルセックスから感染する可能性はあります。
咽頭炎への保菌は非常に稀といわれており、ヨーロッパのガイドラインでは咽頭検査は推奨されていません。
