舌下免疫療法
舌下免疫療法とはどんな治療ですか
原因に体を慣らしていく治療です
アレルギーの原因となっている物質(アレルゲン)を、ごく少量から毎日体に入れ続けることで、体を少しずつ慣らしていく治療です。くしゃみや鼻水をその場でおさえる薬とは考え方が異なり、体質そのものの改善を目指します。
当院ではスギ花粉に対するシダキュアと、ダニに対するミティキュアを扱っています。どちらも舌の下に置いて溶かす錠剤で、1日1回、自宅で服用します。
対象となる方
次のいずれかにあてはまる方が対象です。始められるかどうかは、血液検査の結果と症状をあわせて判断します。
どのくらい効きますか
スギ花粉症に対するシダキュアでは、およそ7割の方に効果があると報告されています。内訳としては、薬がほとんど不要になるほどよく効く方が1〜2割、はっきり改善する方が2〜3割で、一方で2〜3割の方では効果がはっきりしません。
ダニによるアレルギー性鼻炎に対するミティキュアも、同様に多くの方で症状の改善が報告されています。
すぐに効く治療ではありません。初回から数ヶ月後の花粉飛散期に大きく改善する方もいれば、2〜3年かけて改善する方もいます。効果の判定は治療開始から1〜2年で一度行い、効果が確認できれば合計4〜5年の継続をお勧めしています。
いつから始められますか
スギ(シダキュア)は、花粉が飛んでいる時期に新しく始めることができません。飛散が終わったあとの6月から12月の間に開始します。
ダニ(ミティキュア)は時期を問わず、いつでも開始できます。ただしダニの症状が出やすい梅雨時や秋口は避けたほうがよいとされています。
花粉の時期に「今年こそ」と思われた方は、その年の6月以降が最初のタイミングになります。ご相談だけでも構いません。
治療を始める前に必要な検査
血液検査でアレルゲンを確かめます
舌下免疫療法を始めるには、血液検査でスギ花粉またはダニのアレルギーがあると確認されている必要があります。診察で症状や経過をうかがったうえで、血液のIgE抗体検査を行います。
ほかのアレルギー疾患を合併していないか、喘息の状態はどうかもあわせて確認します。
結果は後日のご説明となります。当日その場ではお伝えできません。
他院での検査結果もお使いいただけます
当院でアレルギー検査を受けていない方でも、1年以内の検査結果をお持ちいただければ、そのまま治療を開始いただけます。検査結果の写しをご持参ください。
当院での舌下免疫療法の流れ
❶ 問診・診察と血液検査
症状や経過、ほかのアレルギー疾患の合併を確認したうえで、血液のIgE抗体検査を行います。1年以内の他院の結果をお持ちの場合は、この検査を省略できます。
❷ 初回の服用はクリニックで
初回はクリニックで服用していただき、そのあと30分間、院内で様子をみさせていただきます。強い副作用が出ないことを確認するためです。
30分の観察時間が必要なため、初回は診療終了の1時間前までにお越しください。
❸ 2回目以降はご自宅で毎日
2回目からはご自宅で1日1回服用していただきます。
❹ 1週間後にもう一度受診
開始から1週間後に受診いただき、副作用が出ていないかを確認します。
❺ その後は1ヶ月ごとの通院
処方のため、1ヶ月ごとの通院が必要です。2回目以降であれば、ご希望に応じてオンライン診療での処方にも対応しています。お薬はご自宅に届きます(配送料無料)。
服用するときの注意
毎日の服用を続けていただくことが治療の中心です。次の3点を守ってください。
服用を中止していただく場合
次のようなときは服用を中止し、ご相談ください。
シダキュアとミティキュアは併用できますか
スギ花粉症とダニのアレルギー性鼻炎を両方お持ちの方では、2剤を併用することがあります。当院でも併用は可能です。ただし添付文書には「他の減感作療法薬との併用の経験はないが、併用によりアナフィラキシー等のアレルギー反応を含む副作用の発現が増加するおそれがある」と注意が記載されているため、慎重に進めます。
発売後に、両剤の併用時の安全性を調べた臨床試験が行われています。スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎を併せ持つ約100名を対象に、まず片方を4週間服用し、そのあと8週間もう一方を併用して12週間観察した試験です。この試験では高度な副作用は認められず、副作用の99.5%(372件中370件)が軽度、0.5%(2件)が中等度で、主な症状は口の中の腫れ、かゆみ、のどの刺激感でした。
2剤を同時に始めることはできますか(同時開始について)
同時には始めません。かならず片方を先に始めて、4週間あけてからもう一方を追加します。
鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版には「ダニとスギ花粉に対するSLITの併用治療については、4週間の間隔を開けて開始することで、それぞれの単独治療と比較し安全性は同等である」と記載されています。当院もこの考え方に沿って進めます。
2剤を同じ日に始めると、副作用が出たときにどちらの薬によるものか判断できません。間隔をあけるのは、安全性の確認のためでもあります。
スギは花粉の飛散期に開始できないため、併用を目指す場合はダニ(ミティキュア)を先に始めて、6月以降にスギ(シダキュア)を追加する順序になることが多くなります。
2剤を同じ時間に飲んでよいですか(同時服用について)
併用が軌道に乗ったあとは、毎日同じタイミングでまとめて服用していただけます。ただし2錠を口の中で同時に溶かすのではなく、1剤目を飲み込んでから5分ほどあけて2剤目を服用します。
前述の併用試験でも、2剤を同時ではなく、1剤目から5分以内に2剤目を服用する方法がとられていました。
どちらを先に飲むかの決まりはありません。服用のあと5分間はうがいと飲食を控える点、前後2時間は激しい運動・飲酒・入浴を避ける点は、1剤のときと同じです。
3〜5年でいくらかかりますか(トータルの費用)
舌下免疫療法は3〜5年続ける治療です。毎月の金額は小さくても、総額で考えておいたほうが続けやすくなります。3割負担の場合のおおよその総額は次のとおりです。
別に、治療開始前のアレルギー検査が約6,000円かかります(1年以内の検査結果をお持ちの場合は不要です)。
| お薬 | 1ヶ月 | 3年間の目安 | 5年間の目安 |
|---|---|---|---|
| シダキュア(スギ) | 約1,800〜1,900円 | 約7万円 | 約11万円 |
| ミティキュア(ダニ) | 約2,300〜2,400円 | 約8万円 | 約14万円 |
| 2剤を併用 | 約3,600〜3,700円 | 約13万円 | 約22万円 |
クリニックの窓口と調剤薬局のお薬代を合わせた目安です。月に1回の通院を12ヶ月続けた場合で計算しています。調剤薬局では別に調剤技術料などがかかります。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく試算で、改定により変わります。
費用の目安
舌下免疫療法は健康保険が使えます。3割負担の場合のおおよその金額です。初回はクリニックで1週間ぶんをお渡しし、2回目からは1ヶ月ぶんを院外処方でお出しします。お薬は調剤薬局で受け取っていただきます。
クリニックの窓口とお薬代を合わせたおおよその金額です。調剤薬局では別に調剤技術料などがかかります。アレルギー検査はView39(39項目をまとめて調べる検査)の場合で、1年以内の検査結果をお持ちの場合は不要です。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安で、改定により変わります。
よくある質問
副作用にはどのようなものがありますか?+
何歳から受けられますか?+
治療はどのくらい続けますか?+
治療をやめたあとも効果は続きますか?+
シダキュアとミティキュアは一緒に使えますか?+
2剤を毎日同じ時間に飲んでよいですか?+
3〜5年でいくらくらいかかりますか?+
通院は毎月必要ですか? 仕事で通いにくいのですが。+
当院でアレルギー検査を受けていなくても始められますか?+
スギは6月から12月、ダニは通年で開始できます。まずは血液検査でアレルゲンを確かめるところから始めます。ご相談だけでも構いません。
