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逆流性食道炎(胃食道逆流症:GERD)

GERD

逆流性食道炎胸やけだけの病気ではありません

 

胃酸が食道に逆流して起こる病気です。胸やけや呑酸が代表的な症状ですが、長引く咳、のどの痛み、眠りの浅さ、狭心症とまぎらわしい胸の痛みも、実は逆流が原因のことがあります。多くは4〜8週間の内服で症状が落ち着きます。江東区豊洲、豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。

豊洲駅 徒歩3分長引く咳の原因にも4〜8週間で改善寝る向きで変わります
ABOUT

逆流性食道炎について

胃食道逆流症とは

胃の中の酸が食道に逆流することで、胸やけや酸っぱいものが上がってくる症状が出たり、食道の粘膜がただれたりする病気です。

胃酸の逆流は食後2〜3時間に起こることが多く、食後に胸やけを感じる場合は逆流による症状が疑われます。ただし胸やけを起こす病気は逆流性食道炎だけではなく、食道がんなど重い病気が隠れていることもあります。

❶ 胃酸の分泌が多い
❷ 胃酸が長時間食道内にとどまる
❸ 胃酸の逆流を防ぐしくみ(下部食道括約筋)の障害
❹ 食道の粘膜が過敏になっている
逆流のしくみと、生活のなかの原因・予防をまとめた図です。

胃食道逆流症と逆流性食道炎の違い(GERDとは)

よくいただくご質問です。結論からいうと、胃食道逆流症(GERD)が大きな傘で、逆流性食道炎はその一部です。

胃酸が食道へ逆流して症状が出ている状態をまとめて胃食道逆流症(GERD)と呼びます。そのうち、内視鏡で食道の粘膜に実際に傷(びらん)が見えるものを逆流性食道炎といいます。

傷が見えないのに症状だけがあるタイプもあり、これを非びらん性胃食道逆流症(NERD)と呼びます。日本ではむしろこちらのほうが多く、GERDのおよそ半数を占めるといわれます。

つまり「胃カメラで異常なしと言われたのに胸やけが続く」というのは、矛盾ではなくNERDという状態です。治療の対象になります。

呼び方 内視鏡での見え方 症状
胃食道逆流症(GERD) ── 下の2つをまとめた総称です ── 胸やけ・呑酸など
逆流性食道炎(びらん性) 食道の粘膜に傷が見える 傷の程度と症状の強さは必ずしも一致しません
非びらん性胃食道逆流症(NERD) 傷は見えない 症状は同じように強く出ます

「難治性逆流性食道炎」は、標準的な薬を8週間使っても症状や傷が残るものを指します。こちらは別の原因がないかを含めて調べ直します。

「逆流性胃腸炎」という病気はありません

「逆流性胃腸炎」と調べて来られる方が多くいらっしゃいます。この名前の病気はなく、「逆流性食道炎」の言い間違い・覚え違いであることがほとんどです。

胃腸炎は、ウイルスや細菌で胃と腸に炎症が起きるもので、吐き気・下痢・腹痛が主な症状です。数日で治ります。

逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流して食道の粘膜が傷つくもので、胸やけ・呑酸(すっぱいものが上がる)・胸のつかえが主な症状です。腸は関係しません。

症状がまったく違うため、胸やけやすっぱいものが上がる感じがあれば逆流性食道炎、吐き気と下痢であれば胃腸炎、と考えてください。

内視鏡で異常が出ない逆流もあります

胃食道逆流症(GERD)は、内視鏡で胃と食道のつなぎ目が赤く腫れていることを確認して診断します。

ただし GERD のうち内視鏡で異常が見つかるのは約40%で、残りは異常が見られません。これを非びらん性GERD(NERD)といいます。「カメラで異常なし」と言われても、症状があれば治療の対象になります。

逆流性食道炎の重症度・GERDグレード(ロサンゼルス分類)

内視鏡で傷が見えた場合は、その広がりによってグレードA〜Dに分けます。ロサンゼルス分類と呼ばれ、治療の強さや続ける期間を決める目安になります。

グレード 内視鏡での見え方
グレード A 長さ5mm以内の傷が、粘膜のひだを越えずにある
グレード B 長さ5mmを超える傷があるが、2本のひだにまたがってはいない
グレード C 2本以上のひだにまたがる傷があるが、食道を一周してはいない
グレード D 食道の内側を一周するか、それに近い範囲に傷がある

重症度と症状のつらさは一致しません。グレードAでも症状が強い方、グレードCでもほとんど症状のない方がいらっしゃいます。治療は症状と所見の両方を見て決めます。

ロサンゼルス分類。粘膜の傷が長くなるほど、また周囲に広がるほど重症とされます。

こんな症状が出ます

主な症状は胸やけです。

胸やけ(みぞおちの上の焼けるような、ジリジリする感じ・しみる感じ)
呑酸(酸っぱいものが上がってくる)
胸の痛み
長引く咳
膨満感や食後の胃もたれ
ゲップ

胃腸以外にも症状が出ます

「胃の病気」と思われていないところに症状が出るのが、この病気の見つけにくいところです。

症状 なぜ起きるか・どう治るか
長引く咳 会話中・起床時・食事中や、体重増加に伴う乾いた咳が特徴です。内服で数日で改善することが多いですが、2〜3か月かかることもあります。気管支喘息の方では、喘息の悪化にも関わっていると考えられています
のどの痛み(咽喉頭逆流症:LPRD) 逆流した胃酸による粘膜の障害と、神経への刺激によると考えられています
睡眠障害 逆流性食道炎の方の約半数が睡眠障害を伴います。眠りが浅いこと自体が食道粘膜の知覚過敏につながり、症状を悪化させる悪循環になります。プロトンポンプ阻害薬で症状とともに睡眠障害も改善したという報告があります
胸の痛み(逆流性胸痛症候群) 心臓に原因のない胸痛(NCCP)の20〜40%が胃食道逆流症によるという報告があります。狭心症と区別がつきにくいことがあるため、必要に応じて心臓の検査も行います

「咳が3週間以上続く」「のどの違和感が取れない」で受診された方の中に、逆流性食道炎が見つかることがあります。

胸やけ以外の感じ方 — 胃がかゆい、皮膚のかゆみ、肌荒れ

「胸やけ」という言葉がしっくりこない方も多くいらっしゃいます。実際には、こんな表現でご相談を受けます。

《胃がかゆい感じ・むずむずする》食道の粘膜が過敏になっている状態で、痛みとして自覚されないことがあります。

《しみる感じ》酸っぱいものや熱いものを飲んだときに、みぞおちから胸にかけてしみると感じます。

《熱っぽい・ほてる感じ》胸の奥が熱いと表現されます。発熱そのものではありません。実際に体温が上がっているときは、別の原因を考えます。

《のどのつかえ・違和感》食道の知覚が過敏になると、何もないのに詰まっている感じが続くことがあります。

こうした感じ方は、内視鏡で傷が見えないタイプ(NERD)で目立ちます。「気のせい」ではありませんので、そのままお伝えください。

「逆流性食道炎で肌荒れするか」というご質問をいただきます。逆流そのものが肌を荒らすことはありません。ただし、胸やけで眠りが浅くなる、食事の量や内容が偏る、といった間接的な影響で肌の調子が落ちることはあります。症状が落ち着けば戻ることがほとんどです。

肌荒れが続くときは、逆流のせいと決めずに皮膚科でも診させてください。当院は内科と皮膚科を同じ日に診られます。

こんなときは早めに受診してください

次の症状があるときは、早めの内視鏡検査が推奨されます。内視鏡ができる医療機関へご紹介します。

飲み込みにくい(嚥下困難)
体重が減ってきた
吐血・黒い便が出た
繰り返し吐く
貧血を指摘された
胸の痛みがある

胸の痛みは心臓の病気との区別も大切です。冷や汗を伴う強い胸の痛みは、すぐに救急要請してください。

EXAMINATION

検査と診断

診断の進め方

胃食道逆流症は、自覚症状と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で診断します。

❶ 問診で自覚症状を確認します。典型的なのは胸やけと呑酸ですが、咳などの胃腸以外の症状もあわせて確認します
❷ 上部消化管内視鏡検査で重症度を確認します。正常(Grade LA-N)、Grade LA-M(Minimal change)→ A → B → C → D の順に悪化します

逆流性食道炎のうち10〜71%は無症状、GERDのうち約半数は非びらん性GERDです。自覚症状と内視鏡の重症度は一致しないことがあります。

当院で行う検査

問診で診断できることが多い病気です。症状が続くとき、年齢が高いときは食道や胃のほかの病気を確かめます。

検査 何を見るか いつ行うか 窓口負担の目安(3割)
血液検査(貧血・炎症) 出血の有無、ほかの病気の手がかり 症状が強いとき 約1,000〜1,500円
(項目数により変わります)
ピロリ菌検査 胃の炎症の原因になる菌の有無 胃の症状もあるとき 約410円
 
腹部エコー 胆のう・膵臓など、みぞおちの痛みのほかの原因 必要に応じて 約1,590円
 

横にスクロールできます。金額は3割負担の方の目安で、採血を伴う検査は調べる項目数によって変わります。

飲み込みにくい、体重が減る、黒い便が出るときは、内視鏡ができる医療機関へご紹介します。

診察料の目安

上の検査費用に加えて、診察料がかかります。3割負担の方の目安です。

初診:約870円/再診:約230円/処方箋料:約180円

このほか、慢性の病気で計画的に管理する場合は特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料が加わることがあります。薬代は別に薬局でお支払いいただきます。

2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。実際の金額は行った検査と加算によって変わります。

TREATMENT

治療と生活の工夫

薬による治療

胃酸の分泌を抑える薬が有効です。自覚症状や食道炎の程度に応じて、標準的なプロトンポンプ阻害薬(PPI)と、より強力に酸分泌を抑えるカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)を使い分けます。

4〜8週間の内服で、多くの方の自覚症状は改善します。

分類 代表的な薬 はたらき
プロトンポンプ阻害薬(PPI) ネキシウムなど 胃酸の分泌を抑える標準的な薬
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB) タケキャブ より強力に、より早く酸分泌を抑えます
酸による刺激を弱める薬 アルロイドG内用液(アルギン酸ナトリウム) 食道の粘膜を保護します
消化管運動改善薬 ガスモチン錠(モサプリド) 胃の動きを良くして、食べたものが長くとどまるのを防ぎます
漢方薬 症状に応じて併用することがあります

いつまで飲みますか

まず8週間で症状と粘膜の改善を評価します。その後は、効く範囲でいちばん少ない量での維持、または症状が出たときだけ飲むオンデマンド療法を検討します。

重症のびらん(LA C/D)がある方、再発を繰り返す方、バレット食道を合併している方は、治療を続けることが推奨されます。

生活で気をつけること — 緑茶・コーヒー・炭酸・アルコール

軽度の逆流性食道炎では、薬を使わず生活習慣の改善だけで症状が良くなることがあります。また治療で症状が改善しても再発することがあるため、生活習慣の見直しは治療と同じくらい大切です。

《緑茶》カフェインが下部食道括約筋をゆるめるため、症状が強いあいだは控えめにしてください。ただし、緑茶で必ず悪化するというものではありません。ご自身で悪化を感じるかどうかが判断の中心です。

《コーヒー・炭酸・アルコール・チョコレート・脂の多い食事》いずれも逆流を起こしやすくする代表です。全部やめる必要はありません。夕食後から就寝までの時間帯だけ避ける、という工夫でも効果があります。

❶ 胃酸の分泌を促す食べ物をとりすぎない — カフェイン(コーヒー・紅茶・抹茶・濃い緑茶)、唐辛子など刺激の強い食品、柑橘類
❷ 胃に長くとどまるものを控える — あんこ・饅頭・チョコレートなどの甘いもの
❸ 禁煙し、飲酒を控える — 喫煙も飲酒も下部食道括約筋をゆるめます
❹ 夜間に症状がある方は、遅い夕食(就寝前2時間以内)を避ける
❺ 食べたあとすぐ横にならない。クッションなどで頭側を高くして寝る
❻ 腹圧を上げない — コルセット、重い物の運搬、筋トレ、炭酸飲料、食べすぎ
❼ 肥満のある方は減量を心がける — 肥満は腹圧を上げて悪化させます

寝るときは左を下に

左側臥位(左を下にする)と、頭側を高くする姿勢が、夜間の逆流を減らす可能性が示されています。右を下にすると逆流が増える傾向があります。

マットレスの下に傾斜をつける方法もおすすめです。枕だけを高くすると腹部が折れ曲がって逆に腹圧が上がることがあるため、上半身全体を傾けるようにしてください。

COST

費用の目安

健康保険3割負担の場合の目安です。診察の内容や検査の項目によって変わります。

記載は3割負担の場合の目安です。このほかに処方箋料(約180円)とお薬代がかかります。診療内容により変わります。

FAQ

よくある質問

どっちを下にして寝ると楽ですか
左側臥位(左を下)にしましょう。左側や頭側挙上が夜間の逆流を軽減する可能性が示されています。右側は逆流が増える傾向があります。就寝前の飲食を避け、マットレス下に傾斜をつける方法がおすすめです。
ストレスで悪化しますか
直接の原因ではありませんが、ストレスや不安・抑うつは症状の感じ方を強めたり、症状と相互に悪循環をつくることが知られています。リラクゼーションや睡眠衛生の改善、必要に応じて心身両面のケアが役立ちます。
水を飲むと治りますか
一時的に食道内の酸を洗い流して楽に感じることはありますが、治療そのものにはなりません。生活改善と薬による治療が基本です。
ヨーグルトは良い?チョコレートはダメ?
乳製品でも低脂肪なら問題ない方が多い一方、高脂肪のものは逆流を誘発しやすくなります。チョコレートは下部食道括約筋(逆流を防ぐ弁)をゆるめるという報告があり、症状と関係する方は控えましょう。
いつまで薬を続けますか
まず8週間で症状と粘膜の改善を評価し、その後は最少有効量での維持やオンデマンド(症状があるときだけ)の内服を検討します。重症のびらん(LA C/D)、再発を繰り返す方、バレット食道を合併している方は継続治療が推奨されます。
受診のタイミングは?どんな症状が要注意ですか
飲み込みにくい、体重が減る、吐血・黒色便、繰り返す嘔吐、貧血、胸痛。これらは早めの内視鏡が推奨されます。胸痛は心臓の病気との区別も重要です。
胃カメラで異常なしと言われましたが、症状があります
GERDのうち約半数は内視鏡で異常が見られない非びらん性GERD(NERD)です。「異常なし」でも症状があれば治療の対象になります。
長引く咳が逆流のせいということがありますか
あります。会話中・起床時・食事中の乾いた咳が特徴的です。内服で数日から数週間で改善することが多いですが、2〜3か月かかることもあります。
市販の胃薬で対応できますか
一時的に楽になることはありますが、食道の炎症を治すには十分でないことが多く、症状を隠して受診が遅れる原因にもなります。2週間以上続くときは受診をご検討ください。
内視鏡はどこでできますか
当院では行っていません。必要と判断した場合は、内視鏡検査ができる連携先の医療機関へご紹介します。
豊洲イーウェルクリニック
胸やけ以外の症状でも、ご相談ください

長引く咳、のどの違和感、眠りの浅さ。どれも「胃の病気」とは結びつきにくい症状ですが、逆流が原因のことがあります。多くは4〜8週間の内服で落ち着きます。土日も診療していますので、受診しやすいときにお越しください。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン(日本消化器病学会)

本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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