結節性痒疹
結節性痒疹とは?
痒疹という病気の中で、直径1cmくらいの、大きめのブツブツ(結節)ができるのが結節性痒疹です。個々のブツブツどうしはまとまったりせず、それぞれ孤立して左右対称にできているのが特徴です。
炎症を引き起こす物質が強いかゆみを引き起こし、掻き壊しを起こすことによってさらにかゆみが強くなります。
炎症により神経がかゆみに対して過敏になることで悪化していきます。
結節性痒疹はどのように診断しますか?
❶ 診察
❷ 検査
結節性痒疹の原因となる甲状腺機能異常、糖尿病、ウイルス感染(HIVやB型肝炎、C型肝炎)の有無を検査します。
《結節性痒疹の原因となる疾患》
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皮膚疾患 |
全身疾患 |
感染症 |
薬剤 |
精神疾患 |
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アトピー性皮膚炎 |
慢性腎不全 |
帯状疱疹 |
抗がん剤 |
うつ病 |
❸ 生検
難治性出会ったり、他の疾患と区別がつかない場合には生検によって診断を確定します。
結節性痒疹はどのように治療しますか?
❶ ステロイド外用薬
ステロイドが第一選択薬です。ブツブツができている部位と、その周囲に塗って治療します。
❷ 抗ヒスタミン薬
痒みを抑えるために使用します。
❸ 光線療法
結節性痒疹の治療には、ナローバンドUVB(NB-UVB)などの光線療法を実施する場合もあります。治療に有効な波長の紫外線を照射することで、炎症やかゆみの軽減を図ります。
❹ その他の治療
痒疹へのステロイド注射や液体窒素による治療、活性化ビタミンD3軟膏やタクロリムス軟膏、鎮痒性外用薬が用いられることもあります。
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ミチーガ
ミチーガは、結節性痒疹の皮膚で増加しているIL-31のはたらきをブロックします。IL-31は結節性痒疹のかゆみ、結節の形成、神経の増加に関与しており、ミチーガにより症状が改善します。
《ミチーガの適応》
❶ 13歳以上
❷ ステロイド外用薬などの塗り薬や抗アレルギー薬を一定期間使用しても十分に改善しない
❸ かゆみが強く、痒疹の数が多い(概ね全身で20個以上)
《ミチーガの効果》
❶ 1週目からかゆみが大きく改善します
❷ 16週間の投与で約4割がほぼ消失もしくは消失する
❸ 16週間の投与で約6割がかゆみが大きく改善
❹ 生活の質(QoL)も大きく改善する
《ミチーガの副作用》
感染症
ヘルペス感染、蜂巣炎(蜂窩織炎)、 膿痂疹(とびひ)などの皮膚の感染症や、上気道炎などの全身の感染症がみられる場合があります。
皮膚症状の悪化
ミチーガ治療中に、結節性痒疹とは異なる浮腫性紅斑(少し膨らみのある皮膚の赤み)や湿疹などの皮膚症状があらわれる場合があります。
《ミチーガの投与方法》
ミチーガは、通常、初回60mg、その後4週間に1回ずつ30mgを皮下注射します。
ミチーガ皮下注用30㎎バイアルは1本67,112円で、3割負担の患者さまですと20,134円(薬剤費のみ)となります。
デュピクセント
デュピクセントⓇは、「IL-4」と「IL-13」という物質のはたらきを直接おさえることで、「炎症」「かゆみ」をおさえ、「結節性病変」も改善が期待されます。
《デュピクセントの適応》
❶ 15歳以上
❷ ステロイド外用薬などの塗り薬や抗アレルギー薬を一定期間使用しても十分に改善しない
❸ かゆみが強く、痒疹の数が多い(概ね全身で20個以上)
《デュピクセントの効果》
❶ かゆみが徐々に改善します
❷ 24週間の投与で約4割がほぼ消失もしくは消失する
❸ 16週間の投与で約6割がかゆみが大きく改善
❹ 生活の質(QoL)も大きく改善する
《デュピクセントの副作用》
ヘルペス感染:口周りや唇に発疹などがみられる場合があります。
結膜炎:目やまぶたの炎症症状(赤み、腫れ、かゆみ、乾燥など)がみられる場合があります。
《デュピクセントの投与方法》
デュピクセントは、通常、初回600mg、その後2週間に1回ずつ300mgを皮下注射します。
生活上の注意点は?
結節性痒疹の症状は、皮膚への刺激やストレスの影響を受けて悪化することがあるため以下の点に注意して過ごしましょう
❶ からだを清潔に保ちましょう
石けん・シャンプーはよく泡立てて使い、洗い終わったあとはしっかり洗い流しま
しょう。
お風呂やシャワーの温度は39-40℃に設定します。
❷ ダニ、ホコリをためずに室内を清潔にし、適度な温度・湿度を保ちましょう
❸ 爪を短く切り、やすりで磨くようにします
❹ 洗剤や柔軟剤ののこりに気をつけて洗濯します
洗濯は十分にすすぎが行えるように『通常コース』を使用します。柔軟剤も香料による刺激がなければ使用可能です。
