急性膀胱炎
急性単純性膀胱炎とは、いわゆる膀胱炎のことを指します。多くの女性が経験し、女性の半数が一生のうちに一度は経験すると言われています。
急性膀胱炎の症状は?
急性膀胱炎の主な症状は排尿時痛、頻尿、残尿感です。
☑︎ 排尿時や排尿後にしみる感じや痛みがある(排尿時痛)
☑︎ 排尿後もまだ尿が残った感じがする(残尿感)
☑︎ トイレに行く回数が増える(頻尿)
急性膀胱炎の原因は?
膀胱は通常は無菌状態ですが、特に女性は尿道が短いため細菌が尿道、膀胱に侵入しやすくなっています。進入した細菌が膀胱の粘膜に付着し細菌が増えることで炎症が起こることで膀胱炎を発症します。
急性膀胱炎の原因菌の70%は大腸菌といわれています。
まれに薬剤や放射線療法、カテーテルなどが原因となることもあります。
男性では急性膀胱炎は非常に稀であり、前立腺肥大症などの尿のながれを
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年齢 |
女性 |
男性 |
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罹患率(%) |
リスク |
罹患率 |
リスク |
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6-15歳 |
5% |
膀胱尿管逆流 |
0.5% |
なし |
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16-35歳 |
4% |
性交・避妊装置など |
0.5% |
同性間性交渉 |
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36-65歳 |
35% |
婦人科手術 |
20% |
前立腺肥大 |
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65歳以上 |
49% |
婦人科手術 |
35% |
前立腺肥大 |
急性膀胱炎はどのように診断しますか?
❶ 尿検査
亜硝酸塩、白血球エステラーゼ、血尿の3つの組み合わせて診断します。
《白血球エラスターゼ》
尿中に白血球(膿)があると陽性となります。細菌感染により白血球が集まってくるときに放出されるエラスターゼを検出しています。感度は70-80%程度です。
《亜硝酸塩》
尿中に細菌があると陽性となります。大腸菌などの細菌は尿中の硝酸塩を亜硝酸塩に変えるはたらきがあるため大腸菌などの感染で陽性となります。この変換には4時間程度かかるといわれており検出の感度は低い検査です。
《尿潜血》
細菌感染により出血を引き起こします。
❷ 尿培養
尿の培養検査を行うことによって膀胱炎の原因菌と抗菌薬の効きやすさを判断します。培養検査は結果が判明するまでに数日かかりますが、抗菌薬治療の効果がなかった際に抗菌薬するにあたり参考とします。
膀胱炎を繰り返す方、急性腎盂腎炎を合併する方、男性、糖尿病患者、免疫抑制者、および妊婦などで特に検査が推奨されます。
急性膀胱炎はどのように治療しますか?
抗菌薬により治療を行います。
《膀胱炎によく使われる抗菌薬》
持病がなく、妊娠していない閉経前の女性の膀胱炎に対しては短期治療(3日間)でよいとされています。
❶ クラビット錠(レボフロキサシン) 500mg 1日1回 3日間
❷ ケフラールカプセル(セファクロル) 1日3回 5日間
❸ バクタ錠 1回2錠 1日2回 3日間
抗菌薬は有効な治療ですが、1割程度は薬剤耐性菌などにより治療が不成功となる可能性があります。しっかり治癒していないと再発する原因となりますので治癒確認のために1週間後に受診していただくことをお勧めします。
膀胱炎から急性腎盂腎炎に至ることもあるため発熱が見られたり、症状が改善しない場合は早期に受診しましょう、。
急性膀胱炎はどのように予防しますか?
18-39歳女性の膀胱炎の発症率は0.5回を超えると推測されており、そのうち25-50%が膀胱炎を繰り返すと言われています。
膀胱炎は再発しやすいため、膀胱炎にならないように予防につとめましょう。
❶ トイレを可能な限り我慢しない
通常膀胱炎は無菌ですので、トイレを我慢しただけでは膀胱炎にかかることはありません。細菌が侵入した状態で排尿を我慢してしまうと膀胱内で細菌が繁殖しやすくなるため、細菌が膀胱内にとどまらないように水分を普段から多く摂ってトイレを可能な限り我慢しないようにしましょう。
❷ 性交渉のあとに排尿し、シャワーをあびる
1ヶ月に4-8回性交渉があるかたは5.8倍、9回以上のかたは10.3倍膀胱炎を起こしやすいことが報告されています。性交渉後すぐに排尿をしたり、シャワーで洗い流す等をするだけでも、膀胱炎予防に繋がります。
生理用ナプキンやおりものシートをはやめに交換するなどして、清潔さを保ちましょう。
❸ 身体の抵抗力や免疫力を落とさない
❹ 排尿後などウォシュレットの使用はさける
❺ 排尿後は肛門側から前に吹かないように、尿道の付近を軽くふき取る
よくある質問
膀胱炎はほっておいても治りますか?
細菌による感染が原因の急性膀胱炎は軽いものであれば1週間程度で自然に治ることもあります。細菌が残っていると再発の原因となったり、放置することによって急性腎盂腎炎にまで悪化し入院が必要になることもありますので病院を受診し抗生物質による治療を行いましょう。
膀胱炎の原因はストレスですか?
ストレスや疲労によって免疫力が低下すると細菌が繁殖しやすくなる可能性があります。ストレスや疲労などで膣内の善玉菌が少なくなることで大腸菌が膣内で繁殖し膀胱炎になる可能性もあります。
膀胱炎はうつりますか?
膀胱炎は大腸菌などの細菌の感染が原因ですがうつることはありません。
性交渉は急性膀胱炎発症のリスクですが、性交渉自体で感染する性感染症ではありません。
膀胱炎は市販薬で治せますか?
膀胱炎に対する市販薬は漢方が含まれているものが多く、抗生物質ではありません。細菌が残っていると再発の原因となったり、放置することによって急性腎盂腎炎にまで悪化し入院が必要になることもありますので病院を受診し抗生物質による治療を行いましょう。
膀胱炎を治すにはどんな飲み物がいいですか?
水分をしっかりと摂取しましょう
1.5Lの水分を摂取することによって、膀胱炎の発症回数が約半分となり、膀胱炎を発症する間隔も約1.7倍となることが報告されています。
膀胱炎と尿道炎や膣炎の違いは何ですか?
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膀胱炎 |
尿道炎 |
膣炎 |
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主な原因 |
大腸菌などの腸内細菌 |
淋菌 |
カンジダ |
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症状 |
中の方の排尿時の不快感 |
中の方の排尿時の不快感 |
外の方の排尿時の不快感 |
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経過 |
2-3日の経過 |
1週間以上の経過 |
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検尿結果 |
細菌尿 |
膿尿 |
膿尿はない |
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尿培養検査 |
大腸菌などが陽性 |
陰性 |
陰性 |
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尿道子宮頚管 |
陰性 |
淋菌、クラミジアなどが核酸増幅検査で陽性 |
陰性 |
