急性膀胱炎
急性膀胱炎について
急性膀胱炎とは(急性単純性膀胱炎・単純性膀胱炎)
急性膀胱炎は、膀胱の粘膜に細菌が入りこんで炎症を起こした状態です。腎臓や膀胱に持病のない方に起こるものを急性単純性膀胱炎と呼びます。単純性膀胱炎とは、この持病のない方に起こるタイプのことです。急性膀胱炎と膀胱炎の違いを気にされる方がいますが、日常で「膀胱炎」と呼ばれているもののほとんどが、この急性単純性膀胱炎です。膀胱・尿道・腎臓をまとめて尿路と呼ぶため、尿路感染症の一種でもあります。
女性にとても多い病気です。尿道が短く、肛門や膣に近いため、腸内細菌が膀胱にたどりつきやすいという体のつくりが理由です。原因菌のほとんどは大腸菌などの腸内細菌です。まれに薬剤や放射線治療、尿道カテーテルが原因になることもあります。
呼び方や書き方は人によってさまざまで、膀胱炎、ぼうこう炎、急性膀胱炎、急性単純性膀胱炎、尿路感染症、いずれも同じ病気を指しています。当院では内科・泌尿器科のどちらのご予約でも診察できます。
急性膀胱炎の症状 — こんなときは膀胱炎かもしれません
急性膀胱炎の症状として代表的なのは、排尿時痛(排尿痛)、残尿感、頻尿の3つです。女性に多いため膀胱炎の症状 女性として調べられることが多いですが、症状の内容は男女で大きくは変わりません。数日のうちに急に症状が出てくるのが特徴で、「昨日までなんともなかったのに」という出かたをします。
膀胱炎はどこが痛いのか。痛みの場所は、おなかの下のほう、恥骨のすぐ上あたりです。腹痛として感じる方もいます。膀胱が痛い、下腹部痛がある、尿道が痛いといった感じ方をされます。おしっこの終わりごろにいちばんしみるのが典型的です。
急に膀胱炎になるのはなぜですか。何日で発症しますか
「昨日までなんともなかったのに膀胱炎が急になる」というのが急性膀胱炎の典型的な出かたです。細菌が尿道から入って膀胱の中で増えはじめてから症状が出るまで、いわば潜伏期間にあたる時間は、早ければ数時間、多くは1日から2日ほどです。何時間でなるかは決まっていません。性行為やトイレを我慢したあとの翌日に始まる、という形がよくみられます。
発症までの時間、いわゆる潜伏期間として何日、何時間という決まった長さがあるわけではなく、入った細菌の量と体調によって変わります。急に膀胱炎になること自体は珍しくありませんので、心当たりが思い当たらなくても不思議ではありません。
軽い膀胱炎・痛くない膀胱炎・初期症状のとき
「軽い膀胱炎かもしれないけれど、病院に行くほどではない気がする」というご相談はとても多いです。軽い症状とはどの程度か、軽度の膀胱炎とはどういう状態かと聞かれますが、初期症状は「なんとなく違和感がある」「少ししみる程度」「痛みなしで回数だけが多い」という軽いものから始まります。
軽度のうちは市販薬や水分でしのぎたくなりますが、症状の軽さと細菌の量は必ずしも一致しません。軽い症状のまま数日たって、急に熱が出て腎盂腎炎で受診される方がいらっしゃいます。反対に、しっかり痛むのに尿の検査ではごく軽い炎症、ということもあります。
判断の目安は「痛みの強さ」ではなく「続いているかどうか」です。1〜2日で自然に消えていくなら様子をみてもよいのですが、2日以上続く、だんだん強くなる、というときは尿を調べたほうが早く終わります。
熱・背中の痛み・吐き気が出たときは急いでください
このページでいちばん緊急性が高いのがこの項目です。まず知っておいていただきたい原則があります。急性膀胱炎では、ふつう熱は出ません。膀胱は尿をためる袋で、そこだけの炎症では全身の反応が起こらないためです。
ですから、38度以上の発熱、悪寒やふるえ、背中や腰(わき腹)の痛み、たたくと響くような痛みが出たときは、細菌が膀胱から腎臓に上がった急性腎盂腎炎を考えます。腎盂腎炎は点滴や入院が必要になることがあり、膀胱炎とは急ぎ方がまったく違います。
吐き気や嘔吐も、膀胱炎そのものの症状ではありません。熱がなくても、吐き気が強い、水分がとれないというときは同じように受診してください。頭痛やめまい、強いだるさも、膀胱炎だけでは説明のつかない症状です。
次のいずれかにあてはまるときは、その日のうちにご相談ください。
膀胱炎と間違えやすい病気があります
排尿時の痛みや残尿感は、膀胱炎以外でも起こります。とくに紛らわしいのが尿道炎と膣炎です。尿道炎はクラミジアや淋菌など、性行為でうつる菌が原因のことが多く、尿の検査のしかたも治療薬も膀胱炎とは違います。
見分けるヒントは、痛む場所と経過です。膀胱炎はおなかの奥のほうが数日で急に痛くなり、尿道炎は尿の出口そのものが1週間以上かけてじわじわ痛くなることが多くみられます。
このほか、症状が長く続くのに尿の検査で細菌が出ない場合は、間質性膀胱炎や過活動膀胱、尿路結石といった別の病気を考えます。頻尿だけが続いている方は、頻尿のページもあわせてご覧ください。
| 膀胱炎 | 尿道炎 | 膣炎 | |
|---|---|---|---|
| 主な原因 | 大腸菌などの腸内細菌 | クラミジア・淋菌・マイコプラズマなど(性行為でうつる菌) | カンジダ・トリコモナスなど |
| 痛む場所 | おなかの奥、膀胱のあたり。排尿の終わりごろにしみる | 尿の出口(尿道)そのもの。排尿のはじめから痛む | 外陰部。尿がふれてしみる |
| ほかの症状 | 頻尿・残尿感・血尿・下腹部痛 | 尿道から膿やおりものが出る | おりものの変化・かゆみ・におい |
| 経過 | 数日で急に強くなる | 1週間以上かけてじわじわ強くなる | かゆみや不快感が続く |
| 尿の検査 | 白血球も細菌も出る | 白血球は出るが、細菌の培養は陰性のことが多い | 尿そのものは正常なことが多い |
| 調べかた | 尿検査・尿培養 | 尿の核酸検査(クラミジア・淋菌など) | 分泌物の検査 |
症状だけで見分けるのは難しく、尿の検査で判断します。心当たりのある性行為のあとに症状が出た、尿道から分泌物が出る、というときは診察でお伝えください。
男性の膀胱炎はまれです
男性の急性膀胱炎は、女性にくらべてとてもまれです。尿道が長く、細菌が膀胱まで届きにくいためです。ですから男性で排尿時の痛みや頻尿が出たときは、膀胱炎と決めつけずに、まず尿道炎と前立腺炎を考えます。
尿道炎はクラミジアや淋菌などが原因で、尿の出口の痛みや、尿道から膿が出るのが特徴です。前立腺炎では、会陰部(肛門と陰嚢のあいだ)の重い痛み、排尿しづらさ、発熱をともなうことがあります。
また、男性で本当に膀胱炎が起きているときは、前立腺肥大や尿路の通過障害など、尿の流れが悪くなる背景が隠れていることがあります。このため男性の尿路感染症は複雑性尿路感染症として扱い、抗菌薬の日数も女性より長くなるのが一般的です。市販薬で様子をみずに受診してください。
急性膀胱炎の原因ときっかけ
膀胱の中の尿は、通常は無菌です。肛門のまわりにいる大腸菌などが尿道の出口から入り、膀胱の粘膜にくっついて増えることで炎症が起こります。
きっかけとして多いのは、性行為のあと、長時間トイレを我慢したあと、生理中や生理用ナプキン・おりものシートを長く替えなかったとき、体が冷えたり疲れがたまったときです。性交渉の回数が多いほど起こりやすいことが報告されており、いわゆるハネムーン膀胱炎もこれにあたります。
ただし、膀胱炎は性感染症ではありません。性行為がきっかけになることはあっても、うつる病気ではなく、パートナーの治療も基本的には必要ありません。性行為が原因かどうかを気にして受診をためらう必要はまったくありません。
下痢や頭痛、めまいをともなうとき
膀胱炎と同時に下痢がある、膀胱炎になると下痢になる、というご相談はよくあります。膀胱炎そのものが下痢を起こすわけではありません。多くは、腸の不調と膀胱炎がたまたま重なっている、飲み始めた抗菌薬の副作用で軟便になっている、体調をくずして両方が出ている、のいずれかです。抗菌薬を飲み始めてから下痢が出たときは、自己判断でやめずにご相談ください。
頭痛、めまい、気持ち悪い感じ、強いだるさも、膀胱炎だけでは説明がつきません。発熱や脱水が隠れていないか、腎盂腎炎に進みかけていないかを確かめる必要があります。
まれですが、帯状疱疹を併発することがあります。おしりから陰部にかけて帯状疱疹が出ると、排尿しにくい、尿が出にくいといった症状が起こることがあります。片側の皮膚だけにピリピリした痛みと水ぶくれが出るのが特徴で、細菌ではなくウイルスによるものなので抗菌薬は効きません。
検査でわかること
尿検査で3つのことを確かめます
診断の中心は尿の検査です。試験紙による尿検査では、白血球エステラーゼ、亜硝酸塩、尿潜血の3つの組み合わせを見ます。
白血球エステラーゼは、尿の中に白血球(膿)があると陽性になります。細菌感染に反応して集まった白血球が出す酵素をとらえる検査です。亜硝酸塩は、大腸菌などの細菌が尿の中の硝酸塩を亜硝酸塩に変えるはたらきを利用したもので、陽性なら細菌がいる可能性が高くなります。ただしこの変化には膀胱の中に尿がたまっている時間が必要なため、細菌がいても陰性に出ることがあります。尿潜血は、炎症で粘膜から出血すると陽性になります。
尿沈渣(にょうちんさ)は、尿を遠心分離して顕微鏡で見る検査です。白血球や赤血球、細菌が実際にどれくらいいるかを数えられるため、試験紙だけよりくわしく判断できます。
「尿検査で異常なし」と言われたのに症状があるとき
尿検査で引っかからないこともあります。症状が出たばかりで細菌がまだ少ないとき、直前にたくさん水を飲んで尿が薄まっているとき、すでに市販薬や残っていた抗菌薬を飲んでしまったときなどです。
また、症状はあるのに尿に細菌が出ない場合は、尿道炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱など、別の病気を考える手がかりになります。「異常なし」は「なんでもない」という意味ではありませんので、症状が続くようならもう一度ご相談ください。
検査の数値の見かたは診察のときにご説明します。細菌が1プラス、白血球が何個、といった結果だけで治療が決まるわけではなく、症状の出かたと合わせて判断します。
尿培養が役に立つ方
尿培養検査は、尿を培養して原因菌が何かを確かめ、どの抗菌薬が効くか(薬剤感受性)を調べる検査です。結果が出るまでに数日かかるため、最初の治療はこの結果を待たずに始めます。培養の結果は、最初の抗菌薬で良くならなかったときに薬を選びなおすための材料になります。
はじめての、経過も典型的な膀胱炎では、毎回必要な検査ではありません。一方で、膀胱炎をくり返す方、腎盂腎炎を合併している方、男性、妊娠中の方、糖尿病のある方、免疫を抑える薬を使っている方では、あらかじめ調べておく意味が大きくなります。
尿の検査をどこまで行うか、結果をいつお伝えできるかは、症状と経過をうかがったうえで診察のときにご案内します。尿培養については、結果が出るまで数日お待ちいただきます。
性感染症が心配なとき、女性で不正出血があるとき
心当たりのある性行為のあとに症状が出た、尿道から分泌物が出る、パートナーが治療を受けたという場合は、クラミジアや淋菌による尿道炎を鑑別する必要があります。膀胱炎の抗菌薬ではこれらの菌に届かないことがあるためです。ご心配があれば、検査について診察でご相談ください。
女性で、生理でもないのに出血が続いているときは、膀胱からの血尿なのか性器からの出血なのかを分けて考える必要があります。血尿は膀胱炎でよくみられますが、性器出血は婦人科の病気を示していることがあります。どちらか分からないときも、そのままお伝えいただければ大丈夫です。
治療と何日で治るか
急性膀胱炎は何日で治りますか
治療の中心は抗菌薬(抗生物質)です。原因が細菌なので、細菌に効く薬を飲むのがいちばん確実で早い方法です。
膀胱炎はいつ治るのか、いつまで続くのか、どのくらいで治るのか、どれくらいで治るのか。治す方法としていちばん確実なのは抗菌薬です。抗菌薬を飲み始めると、多くの方は1〜2日で排尿時の痛みがやわらぎ、3日ほどで日常生活に支障がない程度まで落ち着いていきます。持病がなく妊娠していない閉経前の女性であれば、3日間の短期治療でよいとされています。治療期間としては、この3日間から5日間が目安です。
ここで大切なのは、症状が消えても処方された日数は飲みきることです。症状が消えるのは細菌が減ったサインであって、いなくなったサインではありません。途中でやめると生き残った細菌が増えて再発し、しかも次に同じ薬が効きにくくなります。「治りかけでやめる」がいちばん長引くパターンです。
なお、効果や治る期間には個人差があり、必ず治るとお約束できるものではありません。経過をみながら調整していきます。
膀胱炎に使う抗菌薬と日数
膀胱炎に使う抗菌薬にはいくつかの系統があります。当院で用いることのある処方の例は次のとおりです。実際にどれを何日分お出しするかは、妊娠の有無、腎臓の状態、アレルギー、これまでに使った抗菌薬、症状の重さをふまえて診察のうえで判断します。
どれか1つが「いちばん強い薬」というわけではありません。菌の種類と体の状態に合っているかどうかが効き目を決めます。
なお、かぜや気管支炎でよく使われるマクロライド系(クラリスロマイシン、ロキシスロマイシンなど)は、膀胱炎の原因になる大腸菌には届きにくく、膀胱炎の治療として選ぶ薬ではありません。手元に残っていても使わないでください。
| 系統 | 薬の例 | 飲みかたの例 |
|---|---|---|
| キノロン系 | クラビット錠(レボフロキサシン)500mg | 1日1回 3日間 |
| セフェム系 | ケフラールカプセル(セファクロル)250mg | 1日3回 5日間 |
| ST合剤 | バクタ配合錠(スルファメトキサゾール・トリメトプリム) | 1回2錠 1日2回 3日間 |
あくまで処方の一例です。ケフラールが何日、クラビットが3日間か5日間か、といった日数は薬の系統ごとに考え方が違うため、自己判断で日数を変えないでください。妊娠中の方には使える薬が限られます。
抗菌薬が効かない、耐性菌ということもあります
抗菌薬はよく効く治療ですが、一定の割合で効かないことがあります。原因のひとつが薬剤耐性菌です。同じ抗菌薬をくり返し使ったり、必要のない場面で使ったりすると、その薬が効かない菌が増えていきます。キノロン系(クラビットなど)やST合剤(バクタ)、セフェム系(ケフラール、フロモックスなど)はいずれも耐性が問題になっている系統です。
「以前もらった薬が残っているから、それを飲んでおこう」というのがいちばん避けたい使い方です。残薬は量も日数も足りないことがほとんどで、菌を中途半端に生き残らせて耐性をつくり、しかも尿検査の結果をあいまいにしてしまいます。
抗菌薬を始めて2〜3日たっても症状が変わらない、いったん良くなったのにぶり返した、というときは、菌の種類が想定と違う、耐性がある、そもそも膀胱炎ではない、のいずれかを考えて調べなおします。
市販薬やボーコレンなどの漢方はどうですか
「膀胱炎に効く」として薬局で売られている薬の多くは、猪苓湯(ちょれいとう)や五淋散(ごりんさん)といった漢方薬です。ボーコレンもこの系統の市販薬です。これらは排尿時の不快感をやわらげる目的のもので、細菌をやっつける抗菌薬ではありません。
つまり、飲んで症状が軽くなったとしても、膀胱の中の細菌はそのまま残っています。ここがいちばん心配な点です。症状が軽くなったぶん受診が遅れ、そのあいだに細菌が腎臓へ上がって急性腎盂腎炎になり、点滴や入院が必要になる、という経過があります。市販の抗生物質は日本では買えませんし、一晩で治す市販薬というものもありません。
クランベリーのジュースやサプリメントについても、くり返す方の予防に役立つかどうかは研究によって結果が分かれており、いま起きている膀胱炎の治療にはなりません。
すでに市販薬を使っていても、まったく問題ありません。何をいつから使ったかを診察でお伝えいただければ、そこから組み立てなおせます。責められることはありませんので、そのままお話しください。
痛み止め(カロナール・ロキソニン・イブ)は飲んでもよいですか
痛みが強いときに市販の痛み止めを使うこと自体は、ふつう問題ありません。ただし痛み止めは痛みの信号を抑えるだけで、細菌には作用しません。痛みが消えたことを「治った」と受け取ってしまうのがいちばんの落とし穴です。
また、熱や背中の痛みが出はじめていても、痛み止めでその熱がわかりにくくなり、腎盂腎炎に気づくのが遅れることがあります。痛み止めでしのいでいる状態が2日以上続くようなら、受診してください。
持病がある方、ほかのお薬を飲んでいる方は、どの痛み止めが合うかが変わります。すでに飲んだ薬の名前を診察でお伝えください。
1週間たっても治らない、何度もくり返す
抗菌薬を飲みきったのに一週間たっても症状が残る、いったん治って1週間後にまた同じ症状が出た、1ヶ月(一ヶ月)ずっとすっきりしない。一週間以上おなじ状態が続いている。こうしたご相談は少なくありません。
考えることは大きく4つです。抗菌薬が菌に合っていなかった(耐性菌)、飲みきれていなかった、膀胱炎ではなく尿道炎や間質性膀胱炎など別の病気だった、あるいは腎臓や尿路に細菌が残る背景がある、です。ここからは、尿培養で菌と効く薬を確かめる段階になります。
年に何回も膀胱炎をくり返す方(反復性膀胱炎)では、症状が出たときの対処だけでなく、起こりにくくする方法まで含めて相談します。閉経後の方では、女性ホルモンの低下によって膀胱炎をくり返しやすくなることが知られています。
当院では、症状が消えたことの確認のために、治療のあと一度受診していただくことをおすすめしています。治りきっていない状態を放置すると再発の原因になるためです。
自然に治りますか。放置するとどうなりますか
ごく軽いものであれば、水分を多くとって尿の量を増やしているうちに一週間ほどで自然に治まることもあります。膀胱炎は自然に治る、膀胱炎が勝手に治る、という情報は、この範囲では間違っていません。自然治癒することがある病気ではあります。
一方で、自然に治るかどうかを事前に見分ける方法はありません。自然に治すにはどうすればよいか、膀胱炎を放っておくとどうなるか、というご質問をよくいただきますが、放置した場合にいちばん心配なのは、細菌が尿管を通って腎臓に上がる急性腎盂腎炎です。高い熱と背中の痛みが出て、点滴や入院が必要になることがあります。膀胱炎は数日でおさまる病気ですが、腎盂腎炎は1〜2週間かかることもある、まったく別の重さの病気です。
目安としては、症状が2日以上続く、だんだん強くなる、血尿が出た、熱が出た、というときは自然に治るのを待たずに受診してください。とくに妊娠中の方、男性、お子さん、糖尿病のある方は、様子をみる時間をつくらないほうが安全です。
妊娠中・お子さん・ご高齢の方は扱いが違います
妊娠中の膀胱炎は、放っておくと腎盂腎炎に進みやすく、早産などにつながることがあるため、必ず治療します。使える抗菌薬が限られるので、妊娠していること、妊娠の可能性があることは必ずお伝えください。妊娠中は症状がなくても尿に細菌が出ているだけで治療する場合があります。
お子さんの尿路感染症では、発熱をともなうことが多く、腎臓のほうまで炎症が及んでいることがあります。また、くり返す場合には尿の逆流など生まれつきの背景が見つかることがあり、専門的な検査が必要になることがあります。年齢によって対応が変わりますので、まずはご相談ください。
ご高齢の方では、排尿時の痛みなどのはっきりした症状が出にくく、なんとなく元気がない、食欲がない、受け答えがぼんやりする、といった形で気づかれることがあります。一方で、症状がまったくないのに尿に細菌がいるだけの状態(無症候性細菌尿)は、原則として抗菌薬を使いません。判断が分かれるところなので、自己判断で残薬を使わずご相談ください。
予防のためにできること
膀胱炎はくり返しやすい病気なので、起こりにくくする習慣が役に立ちます。1日に1.5リットルの水分を追加して飲んだ女性で、膀胱炎の回数がおよそ半分になり、次に起こるまでの間隔が約1.7倍になったという報告があります。
トイレを我慢しないことも大切です。尿が無菌の状態であれば我慢しただけで膀胱炎になるわけではありませんが、細菌が入りこんだ状態で長く我慢すると、膀胱の中で細菌が増えやすくなります。
お風呂・お酒・運動・仕事はどうすればよいですか
膀胱炎中にやってはいけないこと、として気にされる方が多い項目です。入浴そのものは差し支えありません。湯船につかって温めるとかえって楽になる方もいます。ただし体調がすぐれないときは湯冷めに気をつけてください。
お酒は、利尿作用で頻尿や不快感が強く出ることがあり、症状が落ち着くまでは控えたほうが楽に過ごせます。抗菌薬との組み合わせによっては避けたほうがよいものもありますので、ふだんお酒を飲まれる方は診察でお伝えください。
運動や仕事を休む必要は、通常はありません。ただし、トイレに行きにくい立ち仕事や長時間の移動は、我慢する時間が長くなるため症状に響きます。熱が出た場合は別で、その日は無理をせず受診してください。
膀胱炎はうつりますか
膀胱炎が人にうつることはありません。大腸菌などの、もともとご自身の腸にいる細菌が膀胱に入って起こる病気だからです。お風呂やトイレの共用、タオルの共用でうつることもありません。
性行為は膀胱炎のきっかけにはなりますが、性行為でうつる病気(性感染症)ではありません。パートナーに検査や治療をお願いする必要も、基本的にはありません。
治療中の性行為については、症状が落ち着くまではお休みされることをおすすめします。刺激で症状がぶり返しやすいためです。
受診をためらっている方へ
デリケートな症状なので、受診しづらいと感じる方が多い病気です。膀胱炎は内科でもいいのか、泌尿器科でないといけないのかと迷う方が多いのですが、膀胱炎は内科でもよく診る、ごくありふれた病気です。当院は内科・皮膚科・アレルギー科・泌尿器科を標ぼうしており、内科でご予約いただいても診察できます。何科に行けばよいか分からないことを理由に受診を先延ばしにするのが、いちばんもったいない状況です。
診察は、症状の出かたと経過をうかがい、尿を調べるのが中心です。内診が必要になることはほとんどありません。WEBから予約できますので、受付で症状を口頭で説明していただく必要もありません。問診票への記入だけでも構いません。
性行為のあとに出た症状であっても、そのことをお話しいただく必要は必ずしもありません。ただ、尿道炎との見分けに関わる情報なので、話せる範囲でお伝えいただけると診断が早くなります。診察の内容が誰かに伝わることはありません。
診察・検査・お薬の費用の目安
すべて健康保険3割負担の場合の目安です。急性膀胱炎の診療は保険診療で行います。
2026年8月時点の診療報酬点数・薬価にもとづく計算です。初診料291点、再診料76点、尿一般26点、尿沈渣(鏡検法)27点、尿・糞便等検査判断料34点、細菌培養同定検査(泌尿器)190点、微生物学的検査判断料150点、細菌薬剤感受性検査(1菌種)185点、処方箋料60点で計算しています。検体検査の判断料(尿・糞便等検査判断料、微生物学的検査判断料)は同じ月にいくつ検査をしても月1回のみの算定です。したがって同じ月に再検査を受けた場合、2回目以降は上記より安くなります。実際の金額は、行った検査の内容や処方するお薬の量によって変わります。お薬は院外の調剤薬局でお受け取りいただくため、薬剤費に加えて薬局での調剤料などがかかります。
よくある質問
急性膀胱炎は何日で治りますか。どのくらいで治りますか+
膀胱炎は自然に治りますか。放置するとどうなりますか+
膀胱炎は市販薬で治せますか。ボーコレンや猪苓湯はどうですか+
抗生物質を飲んでも治りません。1週間たっても症状が残ります+
熱が出ています。膀胱炎で熱は出ますか+
膀胱炎で血尿が出ました。どれくらいで治りますか+
軽い膀胱炎で痛くないのですが、受診したほうがよいですか+
膀胱炎は何科を受診すればよいですか。内科でも大丈夫ですか+
膀胱炎は人にうつりますか。性行為が原因ですか+
男性でも膀胱炎になりますか+
妊娠中に膀胱炎になりました+
膀胱炎と同時に下痢や頭痛があります。関係ありますか+
お風呂に入ってもよいですか。お酒や運動は+
水をたくさん飲む、クランベリーは効きますか+
尿検査で異常なしと言われたのに症状があります+
検査の結果はいつわかりますか+
何度もくり返します。どうすればよいですか+
急性膀胱炎は、抗菌薬を始めれば多くが数日で落ち着きます。逆に、市販薬や残っていた薬でしのいでいるあいだに、熱が出て腎盂腎炎になってしまうことがあります。内科でも泌尿器科でもご予約いただけます。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。症状の出かたや治りかたには個人差があり、記載した経過や日数を保証するものではありません。費用は2026年8月時点の診療報酬点数および薬価にもとづく目安です。記載は2026年8月時点の情報です。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
診療のご案内
内科・皮膚科・アレルギー科・泌尿器科を中心に、健康診断や予防接種、オンライン診療まで対応しています。
