イソトレチノイン
難治性、重症ニキビの切り札治療『イソトレチノイン』
イソトレチノインは重度のニキビの切り札といえる内服薬です。国内では未承認ですが、欧州や米国のガイドラインでは中等症から重度のニキビに対して推奨されています。再発を予防することができる(根治が期待できる)、重症の炎症性ニキビにも効果が高いといった特徴があり、中等度以上の繰り返すニキビや難治性のニキビ、ニキビ跡が残りやすい方などによい適応があります。
イソトレチノインが対象となるかたは?
☑︎ 難治性のにきびのあるかた
☑︎ にきび痕ができやすいかた
☑︎ 繰り返しにきびができるかた
☑︎ 皮脂の過剰な分泌が気になるかた
☑︎ 保険適応のにきび薬で効果が不十分なかた
☑︎ 保険適応のにきび薬が副作用で使用できないかた
イソトレチノインにはどのような効果がありますか?
❶ 皮脂の分泌を減少
イソトレチノインを内服することで皮脂腺が退縮し、皮脂分泌が大きく減少します。0.5~1.0mg/kg/日の投与で、6週間以内に皮脂排泄が90%程度劇的に減少すると報告されています。
❷ 毛穴の詰まりを減少
過剰な角化を抑えることにより、白ニキビの発生を抑えます。
❸ アクネ菌の増殖を抑える
微小環境を変化させることで抗生物質よりもはるかにアクネ菌の増殖を抑制し、赤にきびを改善します。
中等症のニキビ患者に対して20mg/日の投与を行うことで98.99%の患者が改善すると報告されています。また、重度のニキビ患者に対して1mg/kg/日の投与により90%の患者で95%以上の炎症性ニキビの減少がみとめられました。
イソトレチノインにはどのような副作用がありますか?
皮膚の乾燥、口・鼻・眼の粘膜の乾燥:ほぼ100%の患者さんに起こります。乾燥に伴う皮膚炎や赤ら顔、鼻出血も60-70%の患者さんで起こります。
稀な合併症として潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、アナフィラキシー、うつや自殺などの報告もあります。
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副作用 |
発生率 |
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乾燥 |
100% |
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口唇炎 |
98% |
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結膜炎/眼瞼炎 |
35% |
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顔の赤み |
65% |
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鼻出血 |
35% |
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脱毛 |
5% |
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かゆみ |
25% |
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結膜炎 |
40% |
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乾燥肌 |
50% |
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粘膜炎 |
50% |
胎児の催奇形性
中枢神経系の奇形、耳の欠損や奇形、目の異常、心奇形、口蓋裂、胸腺や副甲状腺の奇形が報告されています。内服期間注及び内服前後1ヶ月間は必ず避妊を行う必要があります。もし妊娠が判明した場合は服用を中止のうえすぐに担当医に相談をしてください。低容量ピルとコンドームなど複数の方法で避妊を行ってください
肝機能障害
投与前、投与1ヶ月後、以降適宜血液検査を行う必要があります
当院では副作用の早期発見するために定期的な血液検査をお願いしています。
イソトレチノインによる治療を受けられないかた
☑︎ 妊娠中のかた、妊娠の疑いのあるかた
☑︎ 授乳中のかた
☑︎ 成長期のかた骨端製の閉鎖により身長が伸びにくくなる可能性があります。
☑︎ イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤、ビタミンAでアレルギーを起こしたことのあるかた
☑︎ テトラサイクリン系の薬剤を内服されている方(ミノマイシン(ミノサイクリン塩酸塩)、ビブラマイシン(ドキシサイクリン塩酸塩)、レダマイシン(デメチルクロルテトラサイクリン塩酸塩)、アクロマイシンV(テトラサイクリン塩酸塩))
☑︎ 重篤な肝機能障害や腎機能障害のあるかた
☑︎ 中性脂肪、コレステロールが非常に高いかた
☑︎ ビタミンA過剰症のかた
治療の流れ
STEP 1 初回診察と事前採血
❶ これまでの治療歴や現在のニキビの状態を確認し、イソトレチノイン治療の適応を判断します。
❷ イソトレチノイン治療の効果と治療上の注意についての説明をした上で、ご了承いただければ同意書にサインを頂戴します。
❸ 治療開始前の採血を行います。
❹ 治療を開始(肝機能障害や脂質異常症を指摘されたことのある方は採血結果をした後に開始となるため1週間後に再度受診をしていただきます)
STEP 2 フォローアップ
❶ 1ヶ月後に再診となります。
❷ 1-2ヶ月ごとに定期的に通院します。適宜採血により肝機能障害などの副作用が起こっていないか確認を行います。
イソトレチノインの投与量や投与スケジュールは?
投与量
- まずはイソトレチノイン 20mgを1日1回1錠食後に内服します。
- にきび改善の程度や副作用の状態をみながら、改善が乏しい場合は0.5mg~1.0mg/kg/日(体重60kgの場合30mg〜60mg)まで増量を行います。
- 副作用が強い場合は低容量間歇的投与(4週間ごとに1週間だけ連続して内服する方法)でもにきび改善に有効です。
- 飲むタイミングも重要です。イソトレチノインは食事と一緒に飲む方が2倍吸収が良いとされているため、食後に毎日決まったタイミングで服用するようにしましょう。
投与期間
- 治療期間は4〜7ヶ月となります。まずは5ヶ月間内服し、治癒していない場合は追加で1ヶ月内服します。
- 治療開始後1〜2週間は約3割の患者様に一過性のニキビの増悪(好転反応)が認められます。焦らず内服を継続していくと、約4〜6週間で症状は落ち着きます。
- 16~24週間ほどで効果が期待できます。早い方では4~12週間で効果があらわれます。
累積投与量
再発を防ぐためには120-150mg/kgの累積投与量が必要と言われていますが、日本人ではこれより少ない投与量でも寛解状態を維持することができると言われています。(体重60㎏、治療期間6カ月間とすると、120㎎/kg以上になるための1日内服量は40mg以上となります。)
イソトレチノイン後再発の兆候が見られることがありますが、軽度であることがおおくディフェリンなどの外用薬を中心に治療を行います。それでも改善しない場合は最低2ヶ月(できれば6ヶ月)の間隔をあけて2クール目のイソトレチノイン内服治療を開始することもあります。
イソトレチノイン治療の費用
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アクネトレント 20mg |
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30日分 |
16,500円(税込) |
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7日分 |
5,500円 |
イソトレチノインの処方は自由診療となります。
※薬剤の他に以下の通り初診料(1,100円)再診料(550円)や採血料金が必要となります。
当院で取り扱っているお薬の注意事項
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未承認医薬品等 |
イソトレチノインは、にきび治療目的での処方は国内で承認されていません。 |
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入手経路等 |
日本国内未承認医薬品・医療機器等は厚生局の正式なプロセスを経て、当院医師の判断の下、輸入をしたものになります。 |
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国内の承認医薬品等の有無 |
ビブラマイシン等が、にきび治療薬として国内で承認されています。 |
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諸外国の安全等の情報 および副作用 |
イソトレチノインはアメリカ食品医薬品局(FDA)でにきび治療薬として承認されています(承認年月日:1982/5/7) |
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医薬品副作用被害救済制度について |
万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。 |
よくある質問
イソトレチノインで治りますか?
イソトレチノインによる通常4~7ヵ月の治療をを終了したかたの約8割が長期にきびが改善することが分かっています。
イソトレチノインをの治療終了後10年間経過を観察したところ40%の患者さんが追加治療が不要であり、21%の患者さんでは外用薬のみで治療が可能であったとの報告があります。
British Journal of Dermatology 1993 129,292-296
長期的なにきび改善効果があることがイソトレチノインの特徴で、服用している期間しか効果がない他のほとんどのニキビ治療薬とは異なる点です。
イソトレチノインの効果はどのくらい続きますか?
イソトレチノインをの治療終了後10年間経過を観察したところ40%の患者さんが追加治療が不要であり、21%の患者さんでは外用薬のみで治療が可能であったとの報告があります。
British Journal of Dermatology 1993 129,292-296
イソトレチノインの治療後再発をしづらくするためには?
イソトレチノインを服用後に再発の兆候が見られることがありますが、軽度であることが多く、ディフェリンなどの外用薬を中心に治療を行います。
イソトレチノインによる治療後にエピデュオを使用することで再発率が大きく低下したとの報告があります。
Dermatology (2013) 227 (2): 97–102.
塗り薬を継続したり、女性が抗ホルモン治療(ピルやアルダクトン)を行うことで再発予防に有効であったとの報告もあります。
Actas Dermosifiliogr. 2013 Jan;104(1):61-6
イソトレチノインの副作用(乾燥やかさつき、あかみ)がつらい場合はどうしたら良いですか?
- イソトレチノインの副作用が強いかたは低容量間歇投与を検討します。
- 1日あたり0.5mg/kgを4週間のうち1週間、6ヶ月服用します。
この方法でも9割以上のかたでにきびが改善し副作用が少ないことが報告されています。通常の服用法と比べて再発する可能性が高いため6ヶ月間は内服を継続します。
当院では1週間分(7錠)から処方できますので、副作用が強い方に関しては少量間歇投与も可能です。
イソトレチノインをやめたあと皮脂はどうなりますか?
- イソトレチノインを投与することで皮脂が70-80%減少します。
- イソトレチノインは10年経過しても長期的に皮脂が抑えられることが報告されています。
British Journal of Dermatology 1993 129,292-296
イソトレチノインを再開するには何ヶ月空けますか?
- 1コースの治療で治らない患者さんもいるので、2コース目の治療を選択することもあります。2回目の治療を受けることで、肌がきれいになる患者さんもいます。治療間隔は少なくとも8週間空ける必要があります。薬
イソトレチノインの効果がでるのにどのくらいかかりますか?
- 0.5-1.0mg/kg/日の投与を受けた患者の85%は、16週までにニキビがほとんど消失します。13%の患者は治癒までに5、6ヵ月を要し、3%の患者はそれ以上の期間を要します。1%未満の患者は12ヵ月までの継続治療が必要です。
イソトレチノインの服用期間はどのくらいですか?
- 通常、1コースの治療期間は約4~5ヵ月です。これより短い場合も長い場合もあります。
イソトレチノインはどのように作用するのですか?
- イソトレチノインは、ニキビの4つの原因(過剰な皮脂分泌、毛穴の詰まり、増えすぎたアクネ菌、炎症)すべてに作用する唯一のニキビ治療薬です。そのため、イソトレチノインは非常に効果的です。
にきび以外にイソトレチノインが有効な病気はありますか?
イソトレチノイン使用中に日焼けは出来ますか?
- イソトレチノインの服用中は、鼻の乾燥や日光過敏症もよくみられます。
- 日頃から保湿剤を塗ったり日焼け止めや日傘を使用したりし、なるべく副作用症状を防ぎましょう。
