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卵アレルギー

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卵アレルギー加熱でどこまで食べられるか

 

卵アレルギーは、卵をすべてやめる病気ではありません。生卵ではだめでも、しっかりゆでた卵なら食べられる。同じ卵の量でも、クッキーに入っていれば症状が出ない。加熱の程度と調理の仕方で、食べられる範囲は大きく変わります。離乳食をどう進めるか、保育園にどう伝えるか、いつ食べられるようになるかまで、実際に必要になる順に整理しました。

豊洲駅 徒歩3分加熱の段階でわかる食べられる量離乳食の進め方土日も診療
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卵アレルギーについて

卵アレルギーの症状

卵アレルギー(たまごアレルギー、玉子アレルギー、鶏卵アレルギー)は、卵に含まれるたんぱく質に体が過剰に反応して症状が出る状態です。乳児期に発症する食物アレルギーのなかでもっとも多く、次いで牛乳、小麦と続きます。

もっとも多いのは皮膚の症状です。じんましん(蕁麻疹)、赤み、かゆみ、まぶたや口のまわりのはれ。赤ちゃんでは顔だけに出ることもよくあります。口の中や唇のかゆみ、違和感も多い症状です。

卵アレルギーは、ほかの食材にくらべて腹痛・嘔吐・下痢といったお腹の症状が出やすいことも特徴です。皮膚に何も出ず、お腹の症状だけということもあります。

食べてからどのくらいで出るのかは、多くの場合で30分以内、遅くとも2時間以内です。ごく一部に、数時間たってから出るタイプがあります。この発症時間が、原因を絞り込むうえでもっとも大切な手がかりになります。

出る場所 主な症状
皮膚 じんましん、かゆみ、赤み、まぶたや唇のはれ、発疹、湿疹の悪化
口・のど 口の中や唇のかゆみ、違和感、のどのイガイガ、声のかすれ
消化器 腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、お腹がゆるくなる
呼吸器 咳、息苦しさ、ゼーゼーする、鼻水、くしゃみ
全身 顔色が悪い、ぐったりする、血圧低下、意識がもうろうとする

ひとりの方に複数の症状が同時に出ることがあります。赤ちゃんでは、食べたあとに顔だけ赤くなる、嘔吐だけがある、下痢のみ、という出方もめずらしくありません。口のまわりの赤みは、卵が皮膚についただけの刺激によることもあり、アレルギーかどうかは出方と経過で判断します。じんましんや発疹がおさまるまでの時間は通常、数時間から24時間ほどです。食べてから何時間後に出て、どのくらいでおさまったかを控えておいてください。湿疹や肌荒れが長引くという形で気づかれることもあります。

すぐに救急要請が必要な症状(アナフィラキシー)

次のような症状があるときはアナフィラキシーの可能性があります。様子をみたり、自分で運転して受診したりせず、ただちに救急要請(119番)をしてください。エピペンをお持ちの方は、迷ったら早い段階で使用してください。

息が苦しい、ゼーゼーする、声がかすれる、のどが締めつけられる
くり返し吐く、我慢できない強い腹痛
顔色が悪い、唇が青白い、ぐったりする、意識がもうろうとする
じんましんが全身に広がり、急速に悪化していく
赤ちゃんでは、母乳やミルクを飲まない、呼びかけへの反応が鈍い、といった変化も重い症状のサインです

病院に行く目安

卵アレルギーそのもので発熱することはありません。卵を食べたあとに熱が出る場合は、食中毒や感染症など別の原因を考えますので、その旨をお伝えください。

救急要請までは必要ないけれど受診したほうがよいのか、というご相談をよくいただきます。次のいずれかにあてはまるときは、一度ご相談ください。赤ちゃんで卵を食べたあとに症状が出た場合の、病院に行く目安でもあります。

卵を食べたあとにじんましんや嘔吐が出た。1回だけでも、次に同じことが起きたときのために原因を確かめておく意味があります
同じ食べ物で2回以上、似た症状がくり返している
症状が出たので自己判断で卵をやめている。必要のない除去になっていないか確かめます
離乳食で卵を始めたいが、湿疹があって不安がある
保育園や学校に提出する生活管理指導表が必要になった
卵アレルギーと言われて何年もたっており、今も同じ範囲で除去を続けている

卵白と卵黄は分けて考えます

卵白と卵黄のどちらが問題になるのか、どっちを先に食べさせてよいのか。卵アレルギーのほとんどは、卵白に含まれるたんぱく質が原因です。卵白アレルギーという呼び方をされるのはこのためで、卵白と卵黄では症状の出やすさがまったく違います。離乳食で卵黄から始めるのも、この差があるからです。

主な原因はオボアルブミンとオボムコイドという2つのたんぱく質です。オボアルブミンは熱に弱く、加熱するとほとんど壊れます。一方のオボムコイドは熱に強く、しっかり加熱しても残ります。加熱した卵を食べられるかどうかを見るときにオボムコイドを測るのは、この性質のためです。

卵黄そのもののアレルゲン性は低いのですが、卵黄アレルギーという形で相談を受けることはあります。理由のひとつは、固ゆで卵から卵黄を取り出しても0.01g程度の卵白が混ざることがあるためです。もうひとつは、乳児で卵黄によって起こる食物蛋白誘発胃腸症(下に説明します)です。

なお、飼い鳥を飼っている方が卵黄と鶏肉で症状を起こすバードエッグ症候群という別のしくみもあります。これは肉アレルギーのページで扱っています。

加熱の程度でアレルゲンは大きく変わります

卵アレルギーでもっとも大切な考え方がこれです。同じ1個の卵でも、生なのか、半熟なのか、しっかりゆでたのかで、症状の出やすさはまったく違います。加熱が不十分なほど症状が出やすく、しっかり加熱するほど出にくくなります。

生卵では症状が出るのに加熱した卵は食べられる、という方は多くいらっしゃいます。逆に、加熱した卵でも症状が出る方は、オボムコイドに反応していると考えます。

加熱の程度 食べもの・料理の例 症状の出やすさ
生卵 卵かけご飯、すき焼きの生卵、自家製マヨネーズ、ティラミス、ムース もっとも出やすい
温泉卵・半熟卵 温泉卵、半熟のゆで卵、半熟の目玉焼き、親子丼のとじ卵 出やすい
炒り卵・スクランブルエッグ 炒り卵、オムレツ、スクランブルエッグ 中くらい
薄焼き卵 錦糸卵、卵焼き やや出にくい
12分ゆでた固ゆで卵 ふつうのゆで卵 出にくい
20分ゆでた固ゆで卵 しっかりゆでた固ゆで卵、その卵黄 もっとも出にくい

同じ「ゆで卵」でも、ゆで時間が長いほどアレルゲンは減ります。加熱の時間・温度・混ぜる材料によって症状の出やすさが変わるため、どの段階まで食べてよいかは必ず医師と相談しながら進めてください。

20分ゆでるとオボアルブミンはほぼ残りません

加熱で何がどれくらい減るのかを数字で見ると、卵白の2つのたんぱく質の性質の違いがはっきりします。

加熱の程度 オボアルブミン(熱に弱い) オボムコイド(熱に強い)
温泉卵 80%以上が残る 約20%が残る
20分ゆでた固ゆで卵 0.01%未満 約10%

オボアルブミンは20分の加熱でほとんど失われますが、オボムコイドは加熱しても1割ほど残ります。加熱した卵で症状が出るかどうかの手がかりとしてオボムコイド特異的IgE抗体を調べるのは、このためです。

一緒に加熱する材料でも変わります

卵は、小麦粉や米粉と一緒に加熱するとアレルゲン性がさらに下がることが知られています。マトリックス効果と呼ばれるしくみで、粉と混ざることで卵のたんぱく質が消化されやすい形になるためと考えられています。

このため、クッキーやパン、ケーキのように粉と一緒に焼いたものは、同じ卵の量でも症状が出にくくなります。

逆に、たまごボーロ(卵ボーロ)は小麦をほとんど含まないため、卵の量のわりに症状が出やすい食品です。たまごボーロで初めて症状に気づく赤ちゃんが多いのは、離乳食の早い時期に食べる機会があることに加えて、この理由があります。

卵を食べたあとのお腹の不調が、すべてアレルギーとは限りません

くり返し起きているか、量を減らすと起きないか、加熱の程度で違うかが手がかりになります。

生卵を食べるとお腹を壊す、卵を食べるとお腹が痛い、卵かけご飯でお腹がゆるくなる、ゆで卵で下痢をする、胃痛や吐き気が出る。こうしたご相談はとても多いのですが、原因はひとつではありません。次のようなものを一緒に考えます。

即時型の卵アレルギー — 食べてから2時間以内、多くは30分以内に起こります。じんましんや口のかゆみをともなうことが多いのですが、お腹の症状だけのこともあります
食中毒(サルモネラ) — 生卵や半熟卵で起こります。食べてから数時間から2日後の、発熱をともなう下痢や腹痛が特徴です。くり返さないのであればこちらを考えます
食物不耐性(卵不耐症と呼ばれることがあります) — アレルギーの検査は陰性で、食べた量に応じて不調が出ます。少量なら平気というのが手がかりです
食べた量そのもの — 卵の食べ過ぎ、脂の多い調理(天ぷら、マヨネーズを多く使った料理)が原因のことがあります。食べ過ぎでアレルギーになるわけではありませんが、量が多いときだけ不調が出るのであれば量の問題を先に考えます
過敏性腸症候群など、卵以外の理由 — 卵を食べたときにたまたま重なっているだけのこともあります
乳児では食物蛋白誘発胃腸症 — 下の項目で説明します

赤ちゃんが卵黄で嘔吐する(食物蛋白誘発胃腸症)

多くは成長とともに食べられるようになりますが、いつ再開するかは自己判断せず、必ず相談しながら進めてください。

新生児や乳児で、はじめて卵黄を食べたあとにくり返し吐く、血便が出る、下痢が続く、体重が思うように増えない、という形で気づかれるタイプがあります。食物蛋白誘発胃腸症(消化管アレルギー、FPIES)と呼ばれます。

IgEが関与しないアレルギーで、じんましんなどの皮膚症状をともなわないのが特徴です。そのため血液検査で卵白やオボムコイドを調べても陰性のことが多く、検査で出なかったから違う、とはなりません。何を食べて何時間後に何が起きたかという記録が診断の決め手になります。

卵黄は日本の乳児でとくに報告が多く、離乳食で卵黄を始めた時期と重なることから見逃されやすい病態です。

急性の食物蛋白誘発胃腸炎 — 原因の食物を食べてから1時間から4時間で嘔吐をくり返します
慢性の食物蛋白誘発胃腸炎 — 嘔吐や慢性的な下痢(血便を含む)が続きます

大人になってから急に卵アレルギーになることがあります

何十年も食べてきた卵で、大人になってから突然、症状が出るようになることがあります。急になる、途中から食べられなくなった、後天性の卵アレルギーではないか、というご相談は少なくありません。子どもの卵アレルギーとは事情が違い、成人で発症したものは自然に治りにくいことが知られています。

大人では、生卵や半熟卵でだけ症状が出るという形が多くみられます。これは熱に弱いオボアルブミンに反応しているためで、しっかり加熱した卵なら食べられることがあります。生卵で口が痒くなる、卵を食べると痒くなる、卵かけご飯でじんましんが出る、というのが典型的な出方です。

生卵アレルギーと卵アレルギーの違いを聞かれることがありますが、別の病気ではありません。同じ卵アレルギーのなかで、生卵までは反応するが加熱卵は大丈夫、という段階にいるという意味です。

そのほか、飼い鳥との暮らしがきっかけで卵黄と鶏肉に反応するようになるバードエッグ症候群、食べたあとに運動が重なったときだけ症状が出る食物依存性運動誘発アナフィラキシーも、大人の発症では考えます。

大人になっても治らない、大人になってから治るのかというご質問をよくいただきます。断定はできませんが、成人発症では除去を続けながら定期的に見直していく形になります。それでも、加熱の程度によって食べられる範囲が残っていることが多いため、すべての卵をあきらめる必要はありません。

湿疹・アトピー性皮膚炎との関係

乳児のアトピー性皮膚炎があると、皮膚のバリア機能が落ちているところからアレルゲンが入り込み、食物アレルギーを発症しやすくなります。経皮感作と呼ばれるしくみです。卵アレルギーの予防を考えるうえで、湿疹をきれいな状態に保つことは検査や除去と同じくらい大切です。

一方で、1歳を過ぎてから始まった湿疹やアトピー性皮膚炎については、卵が原因であることは多くありません。卵を除去しても湿疹がよくならない場合、ほかの要因を考える必要があります。

湿疹があるうちに自己判断で卵を除去してしまうと、あとで食べられなくなる可能性があります。除去を始める前に一度ご相談ください。

EXAMINATION

検査と診断

まず問診で絞り込みます

卵アレルギーの診断は、検査の数値だけでは決まりません。何を、どのくらい、どんな加熱で食べて、何分後に、どんな症状が出たか。この4つがそろって初めて判断できます。

パン、クッキー、唐揚げ、コロッケ、ハンバーグ、練り製品など、卵を含む食品をこれまでどこまで食べられていたかも重要な情報です。加熱した卵をすでに食べられているのであれば、それだけで除去の範囲は大きく変わります。

何を食べたか — 生卵か、半熟か、固ゆでか、加工品か。卵黄だけか、全卵か
どのくらい食べたか — ひと口か、1個か。たまごボーロなら何粒か
何分後に症状が出たか — 30分以内か、2時間以内か、数時間後か
どんな症状が、どのくらい続いたか — じんましんの写真が残っていればお持ちください
くり返しているか — 同じものを別の日に食べたときはどうだったか
そのとき重なっていたこと — 運動、入浴、体調不良、解熱鎮痛薬

血液検査(特異的IgE抗体検査)

卵白特異的IgE抗体とオボムコイド特異的IgE抗体を調べます。オボムコイドとは卵白に含まれるたんぱく質のひとつで、加熱しても壊れにくいという性質があります。このため、加熱した卵を食べられるかどうかを見るうえでは、卵白よりもオボムコイドのほうが参考になるといわれています。

ご家庭でのチェックだけでアレルギーかどうかを決めることはできません。市販のアレルギーチェックや、少しずつ食べさせて反応をみるという方法は、強い症状が出たときに対応できないため危険です。卵アレルギーのチェックは、これまでの症状の記録と検査を組み合わせて行います。

保険診療で算定できるのは13項目までです。ほかの食物や、乳児であればダニ・ハウスダストなどを一緒に調べることもありますが、やみくもに項目を増やさず、症状の出方から必要なものを選びます。

結果は後日のご説明となります。当日その場ではお伝えできません。

結果はクラス0から6の段階で報告されます。数値が高いほど症状が出る可能性は高くなりますが、数値の高さと症状の重さは一致しません。陽性というだけで食べられる卵まで除去することはしませんし、陰性でも症状をくり返すならアレルギーと考えます。判定は必ず症状と合わせて行います。

調べる項目 何がわかるか
卵白特異的IgE抗体 卵白全体への感作の程度。生卵や半熟卵での症状の出やすさの参考になります
オボムコイド特異的IgE抗体 加熱に強いたんぱく質への感作の程度。加熱した卵を食べられるかどうかの参考になります

血液検査は特異的IgE抗体1項目あたり110点で、保険で算定できるのは13項目までです。乳児でも採血は行えます。

クラス0から6の見方(レベル・軽度・重度という言い方について)

特異的IgE抗体の結果は、測定値とあわせてクラス0からクラス6の7段階で報告されます。クラスやレベルという言い方をされますが、同じものを指しています。

クラス1は判定保留、クラス2以上が陽性の目安です。クラス4、クラス5、クラス6と数字が上がるほど症状が出る可能性は高くなりますが、クラスの高さは症状の重さそのものではありません。クラス6でも加熱した卵を食べられている方はいますし、クラス2でも強い症状を起こす方はいます。

軽度の卵アレルギー、重度の卵アレルギーという言い方も、クラスの数字ではなく、これまでにどんな症状が出たかで決まります。ごく少量で呼吸の症状や血圧低下を起こしたことがあるかどうかが、いちばん重要な情報です。

クラス5やクラス6でも治らないと決まったわけではありません。数値は年単位でゆっくり下がっていくことが多く、定期的に測り直して除去の範囲を見直していきます。

下の図は、卵白特異的IgE抗体の値と、実際に症状が出る可能性の関係を年齢別に示したものです。同じ抗体価でも、年齢が上がるほど症状が出る可能性は下がっていきます。たとえば抗体価が同じでも、1歳未満と2歳以上ではまったく違う読み方になります。数値だけを見て「去年より上がった/下がった」と一喜一憂する必要はありません。

クラス 意味あい
クラス0 陰性。ただし症状をくり返しているなら、それだけで否定はしません
クラス1 判定保留。食べられていることも多い段階です
クラス2・クラス3 陽性。加熱の程度によって食べられる範囲を探ります
クラス4・クラス5・クラス6 強い陽性。ただし食べられる量がゼロという意味ではありません

クラスは食べてよい量を直接示すものではありません。どこまで食べられるかは、これまでの症状と食物経口負荷試験の結果で決まります。

横軸が卵白特異的IgE抗体価(kUA/L)、縦軸が症状が出る可能性です。同じ抗体価でも1歳未満(青)がもっとも症状が出やすく、2歳以上(緑)ではかなり低くなります。抗体価が3のとき、1歳未満では8割近くが症状を出しますが、2歳以上では3割程度です。図はクリックすると拡大できます。

クラス2・クラス3ではどのくらい食べられるか

クラスの数字が出ると、どれくらい食べられるのかが気になります。目安として、これまでに報告されている症状の出やすさを示します。あくまで統計上の割合で、その方が食べられる量そのものではありません。

大切なのは、クラスが高くても完全に除去する必要はないことです。食べられる範囲で食べ続けたほうが、食べられるメニューが広がり、耐性の獲得も促される可能性があります。採血の結果だけを理由に、これまで食べられていたものまでやめる必要はありません。

食べるもの 卵白クラス2の場合 卵白クラス3の場合
加熱した卵黄(つなぎ程度) ほとんどの場合、食べられます 5〜15%で症状が出ます
加熱全卵4分の1(つなぎ程度) 5〜20%で症状が出ます 20〜40%で症状が出ます
炒り卵1個 30〜60%で症状が出ます 60〜80%で症状が出ます

割合は症状が出た方の割合です。多くの方が食べられる段階から順に進めていきます。

年齢別にみた全卵の目安

オボムコイドのクラス別に、全卵を食べたときの症状の出やすさを年齢別に示したものです。同じクラスでも年齢が上がるほど食べられる量は増えていきます。

年齢 オボムコイドクラス2の場合 オボムコイドクラス3の場合
1歳 全卵2分の1個相当で20〜40%に症状 全卵2分の1個相当で20〜50%に症状
2〜6歳 全卵1個相当で15〜40%に症状 全卵1個相当で20〜40%に症状

いずれも目安です。実際に食べられる量は、食物経口負荷試験の結果を参考に決めます。数字だけを見て自己判断で量を増やさないでください。

皮膚プリックテスト

当院では皮膚プリックテストを実施しています。皮膚にアレルゲンの液を1滴たらし、細い針でごく浅く傷をつけて、15分後の反応の大きさを測る検査です。その日のうちに結果をご説明できます。

卵では、実物の食品を使うプリック・プリックテストも行えます。生の卵白と加熱した卵で反応が違うかを確かめたいときや、市販の試薬では反応が出にくいときに役立ちます。

検査の前に抗ヒスタミン薬(アレルギーの飲み薬)を中止していただく必要がありますが、中止する期間は薬の種類によって異なります。自己判断で中止せず、一度受診してご相談ください。強い症状を起こしたことがある方では、実施の可否を慎重に判断します。

食物経口負荷試験は当院では実施していません

食物経口負荷試験(実際に医療機関で少しずつ卵を食べて症状が出るかを確かめる検査)は、検査中に強い症状が出る可能性があるため、当院では実施しておりません。必要と判断した場合は、体制の整った医療機関をご紹介します。

卵アレルギーでは、どこまで食べられるかを最終的に決めるのは負荷試験です。血液検査のクラスだけで量を決めることはできません。負荷試験が必要な段階かどうかの判断と、紹介先の手配は当院で行います。

経口免疫療法(原因の食べ物を少しずつ食べて体を慣らしていく治療)も、当院では行っておりません。

問診と血液検査・皮膚プリックテストによる原因の絞り込み、除去の範囲の相談、離乳食の進め方、エピペンの処方、保育園・学校の生活管理指導表の作成は当院で承ります。

MANAGEMENT

どこまで食べられるか

完全除去ではなく、食べられる範囲で続けます

卵アレルギーの管理の基本は、症状が出ない範囲で食べ続けることです。抗体の数値が高くても、必ずしも完全に除去する必要はありません。必要最小限の除去にとどめることで、食べられるメニューが広がり、耐性の獲得が促される可能性があります。

どのくらいの量まで食べてよいかは、これまでに何を食べて症状が出たか、どの加熱段階までは大丈夫だったかをもとに決めます。すでに食べられているものは、そのまま続けます。

自己判断で量を増やしたり、加熱の弱いものに進めたりすることは避けてください。進めるときは、体調のよい日の平日の日中に、少量から。医療機関を受診できる時間帯に試すのが原則です。

離乳食で卵をどう進めるか

卵アレルギーが心配だからといって、離乳食での卵の開始を遅らせないでください。近年の研究では、開始を遅らせないほうが卵アレルギーの発症を抑えられると考えられています。

進め方は、もっともアレルゲン性の低い「20分ゆでた固ゆで卵の卵黄」から始めて、量と加熱段階を少しずつ進めていくのが基本です。

段階 時期の目安 進め方
かたゆで卵の卵黄 離乳初期(生後5〜6か月ごろ) 20分ゆでた卵の卵黄を耳かき1さじから。数日ごとに少しずつ増やし、卵黄1個まで
かたゆで卵の全卵 離乳中期(生後7〜8か月ごろ) 卵黄1個が食べられたら、固ゆで全卵を少量から。慣れたら全卵3分の1個程度まで
加熱した卵を使った料理 離乳後期(生後9〜11か月ごろ) 全卵2分の1個程度まで。しっかり火の通った卵焼きやオムレツなど
半熟卵・生卵 1歳を過ぎてから 加熱の不十分な卵は、アレルギーの面でも食中毒の面でも、乳幼児では避けます

授乳・離乳の支援ガイドに沿った一般的な目安です。初めての卵でアレルギー反応が出るとしたら、多くは食べてから30分以内です。はじめての食材は、体調のよい日の平日の日中に、少量から試してください。湿疹がある赤ちゃん、これまでに卵で症状が出たことがある赤ちゃんでは、始める前に必ずご相談ください。たまごボーロは卵の量のわりに症状が出やすいため、最初の一歩には向きません。

除去が必要なもの、必要ないもの

卵アレルギーで避けるものと、避けなくてよいものははっきりしています。必要のない除去は栄養の偏りにつながるだけなので、範囲を広げすぎないことが大切です。

扱い 食品
除去の対象になるもの 鶏卵と、鶏卵を含む加工食品
原則として除去するもの うずらの卵、あひるの卵(鶏卵と共通の抗原があり、症状が出ることがあります)
除去の必要がないもの 鶏肉。卵と鶏肉ではたんぱく質が異なります
除去の必要がないもの 魚卵(いくら、たらこ、明太子など)。鶏卵とはたんぱく質の構造が異なります
除去の必要がないもの 卵殻カルシウム。卵のからが原料で、卵たんぱく質をほとんど含みません

除去の必要がないものまでやめてしまうと、たんぱく質やカルシウムが不足しやすくなります。魚卵で症状が出た経験がある方は、卵アレルギーとは別の問題として調べます。

卵を含む加工食品とつなぎ

加工食品の原材料表示では、卵は特定原材料として必ず表示されます。卵白、卵黄、全卵、乾燥卵、マヨネーズ、オボアルブミン、リゾチームといった表記も卵に由来します。卵アレルギーで食べれないものを一覧で知りたいというご相談をよくいただきますが、一覧を丸ごと避けるのではなく、どこまで食べられるかを決めてから必要な分だけ避けるほうが、結果として食べられるものは増えます。

つなぎとは、ハンバーグやミートボール、かまぼこなどの練り製品で、材料をまとめるために少量だけ加えられている卵のことです。料理全体に対する卵の量がごくわずかで、しっかり加熱されているため、症状が出にくくなります。

完全に除去が必要な場合は、鶏卵そのものだけでなく加工食品にも注意が必要です。ただし、つなぎ程度の少量であれば食べられる方が多いことも知っておいてください。つなぎ程度の卵が入ったハンバーグや練り製品を食べられるかどうかは、除去の範囲を決めるうえで実用的な目安になります。

パン、菓子パン、ロールパン
練り製品(かまぼこ、はんぺん、ちくわ、さつま揚げ)、ハム、ウインナー
揚げ物の衣、ハンバーグ、ミートボール、コロッケ、天ぷら
洋菓子(クッキー、ケーキ、ドーナツ、プリン、アイスクリーム、カスタード)
マヨネーズ、タルタルソース、一部のドレッシング
たまごボーロ(卵ボーロ)、卵を使った麺類

加熱全卵8分の1が食べられる場合の目安

負荷試験などで加熱全卵8分の1個までは食べられると分かった場合、加工食品ではおおよそ次の量まで食べられる可能性があります。

食品 目安の量
ロールパン 2個
ウインナー 2本
ちくわ 1〜2本
クッキー 2枚
ドーナツ 2分の1個

商品によって卵の量は異なります。加熱時間や温度、混ぜてある材料によっても症状の出やすさが変わるため、医師と相談しながら進めてください。

卵をやめた分のたんぱく質を補います

卵を除去すると、動物性たんぱく質が不足しやすくなります。鶏卵M玉1個(50g、たんぱく質6.1g)に相当する量を、ほかの食品で補います。

食品 重量 目安
肉(鶏肉、豚肉、牛肉) 30〜40g
30〜40g 2分の1切れ
納豆 40g 1パック
豆腐(絹ごし) 115g 3分の1丁

除去する食品が多い場合は栄養が偏りやすくなります。体重の増えが気になるときは、遠慮なくご相談ください。

卵アレルギーは治りますか

いつ治るのか、何歳で治るのか、治る確率はどのくらいかは、いちばん多いご質問です。乳幼児期に発症した卵アレルギーは、3歳までにおよそ30%、6歳までにおよそ60%が自然に治るといわれています。食物アレルギーのなかでは治りやすいほうです。

ただし、オボムコイド特異的IgE抗体が高い方、アナフィラキシーや全身の症状を起こしたことがある方は、耐性を獲得しにくいことが分かっています。また、大人になってから発症した卵アレルギーは自然には治りにくい傾向があります。

卵アレルギーの治し方として、飲めば治る薬はありません。完治の目安を決めるのも検査の数値ではなく、実際に食べられたかどうかです。食べられる範囲で食べ続けること、定期的に検査と症状を見直して除去の範囲を狭めていくことが、そのまま治るまでの道のりになります。年に1回程度の見直しをおすすめしています。

保育園・学校の生活管理指導表を作成します

保育園・幼稚園・学校に提出する「アレルギー疾患生活管理指導表」を当院で作成します。卵は給食でもっとも多く登場する食材のひとつで、書類の内容がそのまま毎日の給食対応になります。

卵アレルギーの指導表では、完全除去なのか、つなぎ程度なら食べられるのか、加熱の程度でどこまで許可するのかを書き分けることが大切です。園や学校では、給食の現場で確実に運用できることが優先されるため、完全除去での対応をお願いされることもあります。ご家庭での状況をふまえて、実情に合う内容にします。

除去の解除も指導表を通して行います。まずご家庭で同じ量を複数回問題なく食べられることを確認し、そのうえで園と相談して段階的に進めるのが安全です。園で急に量を増やすことは避けてください。

新学期の前は依頼が集中します。提出期限に間に合うよう、余裕をもってご相談ください。血液検査の結果が必要な場合は、結果が出るまでに1週間ほどかかります。

予防接種は受けられます

インフルエンザワクチンは鶏卵を使って製造されるため、ごく微量の卵たんぱく質が含まれます。ただしその量は極めてわずかで、卵アレルギーがあっても副反応の頻度に差はないと報告されており、原則として接種できます。

卵で重いアナフィラキシーを起こしたことがある方は、念のため事前にお申し出ください。接種後の観察時間を長めにとるなど、体制を整えたうえで接種します。

麻疹・風疹(MR)ワクチン、おたふくかぜワクチンは鶏胚由来の細胞で製造されますが、卵たんぱく質はほとんど含まれておらず、卵アレルギーは接種の禁忌にはあたりません。

黄熱ワクチンなど鶏卵そのものを用いて製造されるワクチンでは扱いが異なります。渡航前のワクチンをご検討の方は、卵アレルギーがあることを必ずお伝えください。

エピペン(アドレナリン自己注射薬)

アナフィラキシーを起こす可能性がある方には、アドレナリンの自己注射薬エピペンをおすすめしています。当院では0.3mg製剤を院内に在庫しており、診察のうえ当日お渡しできます。0.15mg製剤は院外処方となります。

注射に抵抗がある方には、鼻にスプレーするタイプのアドレナリン製剤ネフィーもあります。体重15kg以上のお子さんにも使用でき、院外処方となります。

卵アレルギーでは、外食や園の給食、おやつなど、誤って食べてしまう機会が生活のなかに多くあります。持っておく意味の大きいアレルギーです。使い方は処方時にご説明します。使用したあとは症状が落ち着いたように見えても、必ず救急要請をして医療機関を受診してください。

過去にアナフィラキシーを起こしたことがある
ごく少量で即時型の症状を起こしたことがある
即時型の症状をくり返している
コントロールが不十分な気管支喘息を合併している
保育園や学校で集団生活をしていて、誤食の可能性がある

お薬の副作用と注意していただきたいこと

抗ヒスタミン薬では眠気、口の渇き、だるさが出ることがあります。運転や危険をともなう作業をされる方は、あらかじめお伝えください。小さなお子さんではまれに興奮やぐずりが出ることがあります。

抗ヒスタミン薬はアナフィラキシーの進行を止める薬ではありません。呼吸の症状や血圧低下があるときに、飲み薬で様子をみることは危険です。

エピペンは太ももの外側に、衣服の上からでも打てます。使用後に一時的に動悸や手のふるえ、頭痛が出ることがありますが、迷って打たないことのほうが危険です。

自己判断で加熱の弱い卵に進めたり、量を大きく増やしたりしないでください。前回食べられたからといって、体調不良や運動が重なった日には同じ量で症状が出ることがあります。

かつて卵白由来のリゾチームを含む薬(塩化リゾチーム製剤)を避けるよう説明されていましたが、これらは2016年に販売が中止され、現在は流通していません。お薬手帳をお持ちいただければ、現在服用中のお薬について確認します。

COST

費用の目安

健康保険3割負担の場合の目安です。実際の費用は検査する項目数や処方する内容によって変わります。

血液検査は特異的IgE抗体1項目110点で、保険で算定できるのは13項目までです。13項目に免疫学的検査判断料144点を加えた1,574点が3割負担で約4,720円になります。卵白とオボムコイドの2項目のみであれば220点に判断料144点を加えた364点で、3割負担で約1,090円です。皮膚プリックテストは21箇所以内で1箇所16点(22箇所以上は1箇所12点)で、これに使用するアレルゲン試薬の薬剤料が加わります。実物の食品を用いるプリック・プリックテストでは試薬代はかかりません。お薬の欄は薬剤料のみの目安で、診察料・調剤料は別にかかります。未就学のお子さんは自治体の医療費助成の対象となることがあります。生活管理指導表の作成については診察時にご案内します。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。

FAQ

よくある質問

卵アレルギーの症状は?たまごアレルギーで何が起こりますか。
もっとも多いのは皮膚の症状で、じんましん、赤み、かゆみ、まぶたや唇のはれ、発疹です。赤ちゃんでは顔だけに出ることもよくあります。卵アレルギーは、ほかの食材にくらべて腹痛・嘔吐・下痢といったお腹の症状が出やすいことも特徴で、皮膚に何も出ずお腹の症状だけということもあります。そのほか、口の中のかゆみ、咳、息苦しさが出ることもあります。多くは食べてから30分以内、遅くとも2時間以内に始まります。
卵アレルギーの症状は何時間後に出ますか。
即時型の場合、典型的には食べてから1時間以内、多くは30分以内に症状が出ます。まれに数時間後に出ることがあります。乳児の食物蛋白誘発胃腸症では1時間から4時間で嘔吐をくり返します。食べてから半日以上たって出た症状は、卵以外の原因も考えます。じんましんは通常、数時間から24時間以内に消えていきます。何を食べて何分後に何が起きたかを記録しておくと、診断が早くなります。
卵白アレルギーと卵黄アレルギーは違いますか。
違います。卵アレルギーのほとんどは卵白に含まれるたんぱく質が原因で、卵黄そのもののアレルゲン性は低いとされています。ただし、固ゆで卵から卵黄を取り出しても0.01g程度の卵白が混ざることがあるため、卵黄でも症状が出ることはあります。また、赤ちゃんがはじめて卵黄を食べたあとにくり返し吐く場合は、食物蛋白誘発胃腸症という別のタイプを考えます。このタイプは血液検査では見つからないため、経過をうかがって判断します。
加熱すれば食べられますか。
多くの場合、加熱するほど症状は出にくくなります。生卵、温泉卵や半熟卵、炒り卵、薄焼き卵、12分ゆでた固ゆで卵、20分ゆでた固ゆで卵の順に、アレルゲン性は下がっていきます。卵白の主なたんぱく質のうちオボアルブミンは熱に弱く、20分の加熱でほぼ壊れます。一方でオボムコイドは熱に強く、加熱しても1割ほど残るため、加熱した卵でも症状が出る方はオボムコイドに反応していると考えます。どこまで進めてよいかは自己判断せず、ご相談ください。
ゆで卵なら大丈夫ですか。ゆで卵で下痢や腹痛が起きます。
同じゆで卵でも、ゆで時間が長いほどアレルゲンは減ります。20分ゆでた固ゆで卵がもっとも症状が出にくく、半熟に近いほど出やすくなります。ゆで卵のあとの下痢や腹痛については、アレルギー以外の原因も考えます。食べた量そのもの、鮮度や保存の問題、食物不耐性、卵とは無関係な胃腸の不調などです。くり返し起きているか、量を減らすと起きないかが手がかりになりますので、経過を整理してご相談ください。
生卵でお腹を壊します。大人になってからです。
いくつかの可能性があります。ひとつは、熱に弱いオボアルブミンに反応する生卵アレルギーで、生卵や半熟卵だけで症状が出て、加熱した卵は食べられるという形になります。もうひとつはサルモネラによる食中毒で、こちらは発熱をともなう下痢が数時間から2日後に出て、くり返しません。そのほか、食物不耐性(卵不耐症)や食べた量そのものが原因のこともあります。生卵でくり返し症状が出るのであれば、加熱した卵は食べられるかどうかを含めて一度調べる価値があります。
たまごボーロ(卵ボーロ)でアレルギー症状が出やすいのはなぜですか。
卵は小麦粉や米粉と一緒に加熱するとアレルゲン性が下がることが知られています。マトリックス効果と呼ばれるしくみです。クッキーやパンのように粉と一緒に焼いたものは症状が出にくいのですが、たまごボーロは小麦をほとんど含まないため、卵の量のわりに症状が出やすい食品になります。離乳食の早い時期に食べる機会が多いこともあって、たまごボーロで初めて症状に気づく赤ちゃんが少なくありません。卵をはじめて試すときの食品としては向きません。
つなぎ程度の卵は大丈夫ですか。
つなぎ程度の少量であれば食べられる方が多いのは事実です。ハンバーグや練り製品、パンなどに入っているつなぎの卵は量が少なく、ほかの材料と一緒に加熱されているため、症状が出にくくなります。ただし、つなぎなら誰でも大丈夫というわけではありません。卵白クラス3の方でも加熱した卵黄のつなぎ程度であれば9割近くが食べられる一方、加熱全卵4分の1のつなぎでは2割から4割で症状が出ると報告されています。どの段階までよいかは診察で決めます。
卵白クラス2、クラス3ではどのくらい食べられますか。
目安として、卵白クラス2では加熱した卵黄のつなぎ程度はほとんどの場合食べられ、加熱全卵4分の1のつなぎで5〜20%、炒り卵1個で30〜60%に症状が出るとされています。クラス3では加熱卵黄つなぎで5〜15%、加熱全卵4分の1つなぎで20〜40%、炒り卵1個で60〜80%です。いずれも統計上の割合で、その方が食べられる量そのものではありません。クラスが高いというだけで、これまで食べられていたものまでやめる必要はありません。
オボムコイドのクラスは何を意味しますか。
オボムコイドは加熱しても壊れにくい卵白のたんぱく質です。このため、オボムコイド特異的IgE抗体は、加熱した卵を食べられるかどうかを判断する手がかりとして卵白よりも参考になるといわれています。目安として、オボムコイドクラス2では1歳で全卵2分の1個相当を食べたときに20〜40%、2〜6歳では全卵1個相当で15〜40%に症状が出るとされています。オボムコイドが高い方は耐性を獲得しにくい傾向があることも分かっています。
離乳食で卵はいつから、どう始めればよいですか。
卵アレルギーが心配だからといって開始を遅らせないでください。遅らせないほうが発症を抑えられると考えられています。離乳初期(生後5〜6か月ごろ)に、20分ゆでた固ゆで卵の卵黄を耳かき1さじから始め、数日ごとに少しずつ増やして卵黄1個まで進めます。卵黄1個が食べられたら、離乳中期に固ゆで全卵を少量から。体調のよい日の平日の日中に、医療機関を受診できる時間帯に試してください。湿疹がある赤ちゃんでは、始める前にご相談ください。
赤ちゃんの卵アレルギーはどんな症状ですか。顔だけ赤くなるのもそうですか。
赤ちゃんでは、食べたあとに顔や口のまわりが赤くなる、じんましんが出る、嘔吐する、機嫌が悪くぐったりする、といった形で気づかれます。顔だけに出ることもよくあります。ただし、口のまわりの赤みは卵が皮膚についただけの刺激でも起こるため、それだけでアレルギーとは決まりません。食べたものを口のまわりにつかないよう拭き取ったうえで、同じことがくり返し起きるかが手がかりになります。写真を撮っておいていただけると診断の助けになります。
赤ちゃんが卵黄でくり返し吐きます。血液検査は陰性でした。
食物蛋白誘発胃腸症(消化管アレルギー)の可能性があります。IgEが関与しないタイプのアレルギーで、じんましんなどの皮膚症状をともなわず、血液検査で卵白やオボムコイドを調べても陰性のことが多いのが特徴です。原因の食物を食べてから1時間から4時間で嘔吐をくり返す、血便が出る、下痢が続く、体重が増えないといった症状で気づかれます。検査で出なかったから違う、とはなりません。何を食べて何時間後に何が起きたかを記録してご相談ください。
卵アレルギーは治りますか。何歳ごろに治りますか。
乳幼児期に発症した卵アレルギーは、3歳までにおよそ30%、6歳までにおよそ60%が改善するといわれています。食物アレルギーのなかでは治りやすいほうです。ただしオボムコイド特異的IgE抗体が高い方、アナフィラキシーを起こしたことがある方は耐性を獲得しにくいことが分かっています。治るのを待つあいだも、食べられる範囲で食べ続け、年に1回程度は検査と症状を見直して除去の範囲を狭めていくことが大切です。
大人になってから急に卵アレルギーになることはありますか。治りますか。
あります。大人では、生卵や半熟卵でだけ症状が出るという形が多くみられます。熱に弱いオボアルブミンに反応しているためで、しっかり加熱した卵は食べられることがあります。そのほか、飼い鳥との暮らしがきっかけで卵黄と鶏肉に反応するようになるバードエッグ症候群、食べたあとに運動が重なったときだけ症状が出る食物依存性運動誘発アナフィラキシーも考えます。成人発症は子どもにくらべて自然には治りにくいのですが、加熱の程度によって食べられる範囲が残っていることが多く、すべての卵をあきらめる必要はありません。
うずらの卵は食べられますか。
うずらの卵とあひるの卵は、鶏卵と共通する抗原をもつため、鶏卵アレルギーがある方では症状が出ることがあり、原則として除去の対象になります。うずらの卵の水煮は中華丼やお弁当に入っていることが多く、気づかずに食べてしまいやすい食品です。なお、鶏卵は食べられるのにうずらの卵だけで症状が出たという場合は、別の考え方が必要になりますので、そのときの状況をお伝えください。同じように、生卵だけで症状が出て加熱卵は食べられるという場合も、除去の範囲は大きく変わります。
卵アレルギーで鶏肉は食べられますか。
食べられます。卵と鶏肉ではたんぱく質が異なるため、卵アレルギーがあっても鶏肉を除去する必要はありません。鶏肉もだめだと考えて避けている方がいらっしゃいますが、必要のない除去です。例外は、飼い鳥との暮らしがきっかけで発症するバードエッグ症候群で、このタイプでは鶏肉と加熱の不十分な卵黄の両方で症状が出ます。インコなどを飼っていて鶏肉でも症状が出る場合は、肉アレルギーのページもあわせてご覧ください。
卵アレルギーで魚卵は食べられますか。卵殻カルシウムはどうですか。
いずれも除去の必要はありません。いくら、たらこ、明太子などの魚卵は、鶏卵とはたんぱく質の構造が異なるため、鶏卵アレルギーがあっても食べられます。卵殻カルシウムは卵のからを原料としたもので、卵たんぱく質をほとんど含まないため摂取できます。お菓子やふりかけに卵殻カルシウムと表示されていても避ける必要はありません。なお、魚卵そのもので症状が出た経験がある方は、鶏卵とは別のアレルギーとして調べます。
卵アレルギーで食べられないものを教えてください。
除去が必要なのは鶏卵と鶏卵を含む加工食品、そしてうずらの卵とあひるの卵です。加工食品では、パン、練り製品(かまぼこ、はんぺん、ちくわ)、ハム、ウインナー、揚げ物の衣、ハンバーグ、洋菓子(クッキー、ケーキ、プリン、アイスクリーム)、マヨネーズ、たまごボーロなどがあります。ただし、これは完全除去が必要な場合の話です。多くの方はつなぎ程度や十分に加熱した卵を食べられます。どこまで避けるかは診察で決めますので、はじめから広く除去しないでください。
保育園や学校ではどう対応してもらえますか。除去の解除はどう進めますか。
保育園・幼稚園・学校に提出する「アレルギー疾患生活管理指導表」を当院で作成します。卵は給食にもっとも多く登場する食材のひとつなので、完全除去なのか、つなぎ程度なら食べられるのかを書き分けておくことが大切です。ただし給食の現場では確実に運用できることが優先されるため、完全除去での対応をお願いされることもあります。解除を進めるときは、まずご家庭で同じ量を複数回問題なく食べられることを確認し、そのうえで園と相談して段階的に進めます。園で急に量を増やすことは避けてください。
卵アレルギーがあってもインフルエンザワクチンは受けられますか。
原則として接種できます。インフルエンザワクチンは鶏卵を使って製造されるため、ごく微量の卵たんぱく質が含まれますが、その量は極めてわずかで、卵アレルギーがあっても副反応の頻度に差はないと報告されています。卵で重いアナフィラキシーを起こしたことがある方は、念のため事前にお申し出ください。麻疹・風疹(MR)ワクチンやおたふくかぜワクチンも、卵アレルギーは接種の禁忌にはあたりません。渡航前のワクチンをご検討の方は、卵アレルギーがあることを必ずお伝えください。
卵で湿疹が悪くなります。卵をやめれば治りますか。
1歳未満の乳児では、アトピー性皮膚炎があると皮膚から卵のアレルゲンが入り込み、食物アレルギーを発症しやすくなります。この場合に大切なのは、湿疹をきれいな状態に保つ治療です。一方で、1歳を過ぎてから始まった湿疹やアトピー性皮膚炎については、卵が原因であることは多くありません。卵をやめても湿疹がよくならない場合は、ほかの要因を考えます。湿疹があるうちに自己判断で卵を除去すると、あとで食べられなくなる可能性がありますので、除去の前にご相談ください。
卵アレルギーは何科を受診すればよいですか。検査の結果は当日わかりますか。
内科・皮膚科・アレルギー科のいずれでも診療します。当院はアレルギー科として、皮膚の症状も消化器の症状も合わせて診察します。血液検査(特異的IgE抗体検査)の結果は後日のご説明となり、当日その場ではお伝えできません。皮膚プリックテストは15分後に反応をみるため、その日のうちに結果をご説明できます。なお、食物経口負荷試験と経口免疫療法は当院では行っておらず、必要と判断した場合は体制の整った医療機関をご紹介します。
豊洲イーウェルクリニック
卵をどこまで食べてよいか迷っている方へ

離乳食で卵をどう進めればよいか、加熱すればどこまで食べられるのか、保育園にどう伝えればよいか。検査の数値だけでは決まらないことが多いアレルギーです。これまでに何を食べて何が起きたかをうかがえば、除去の範囲は今より狭められることがあります。豊洲駅から徒歩3分、土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本アレルギー学会(食物アレルギー診療ガイドライン)
  2. 消費者庁(即時型食物アレルギー全国モニタリング調査・アレルギー表示)
  3. 厚生労働省(授乳・離乳の支援ガイド)

本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と除去の範囲は、症状・年齢・検査結果をふまえて診察のうえで判断します。記載した割合や量はいずれも目安であり、実際に食べられる量は食物経口負荷試験の結果を参考に決めます。自己判断で量を増やさないでください。記載は2026年8月時点の情報です。強い症状が出たときは、記載にかかわらず救急要請をしてください。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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