円形脱毛症
円形や楕円形の脱毛斑が突然生じる病気です。10円玉程度のものから頭部全体や体毛にまで及ぶものまで重症度は様々です。脱毛斑の大きさや症状の進行の段階によってステロイドの注射などの治療法を選択します。治療後に完全に発毛しても再発することもあります。
円形脱毛症の症状は?
円形脱毛症の原因ははっきりわかっていませんが、毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために生じる自己免疫疾患と考えられています。
脱毛症の原因は?
髪の毛が抜ける病気は円形脱毛症のみならずさまざまな原因があります。
- 男性型脱毛症(AGA)
- 女性型脱毛症(FAGA)
- 抜毛症(トリコチロマニア)
- 梅毒性脱毛
- 頭部白癬
- 湿疹性脱毛
- 乾癬性脱毛
円形脱毛症の検査は?
❶ トリコスコピー
トリコスコピーという拡大鏡で頭髪を確認することで、他の脱毛症(男性型/女性型脱毛症、抜毛症など)と区別をします。
❷ 毛髪牽引試験(ヘアプルテスト)
20本程度の髪の毛をつかんで抜けやすいかを確認します。
4-7本以上の×横臥ある場合は易脱毛性と判断します。
❸ 血液検査
脱毛症の原因や合併症を調べるために実施します。
|
血液検査 |
|
甲状腺機能(f-T4, fT3, TSH) |
|
膠原病の検査(抗核抗体など) |
|
鉄欠乏の検査(血清鉄やフェリチンなど) |
❹ 頭皮生検
4mmの円形のメスで皮膚ごと切除を行い病理検査を行います。
円形脱毛症の治療は?
年齢や脱毛斑の大きさ、発症からの経過(さらに進行する状況か、脱毛の進行が止まっているか)により治療法を選択します。
❶ ステロイドステロイド局所注射
- 炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドを、脱毛斑に注射で注入する治療法です。
- 月1回程度のペースで投与を行ないます。
- 小児には使用できません。
❷ ステロイド外用薬
- 炎症や免疫機能を抑える効果のあるステロイドの塗り薬です。
- 1日1-2回脱毛斑に塗布します。
❸ その他の治療薬
- 頭皮の血流を促進するフロジンという外用薬や、血流促進・免疫調整作用のあるセファランチンやグリチロンという内服薬を、補助的に併用することもあります。
急速に進行する重症例や難治例では点滴によるステロイド大量投与や局所免疫療法などの専門治療が必要になるため脱毛専門外来のある高次医療機関をご紹介いたします。
生活での注意点は?
❶ 十分な睡眠をとりましょう
円形脱毛症の原因の一つであるストレスこ解消に努めます。
早寝で十分睡眠をとって体調を整えましょう。
❷ 軽度の運動や入浴で血行を促進します
発毛に必要な栄養分は毛細血管から補給されています。血行促進のために
❸ バランスの取れた食事を取りましょう
頭髪の成長に必要なビタミンやミネラルを摂取しましょう。
よくある質問
円形脱毛症の一番の原因は何ですか?
自己免疫反応が最も大きな原因と考えられています。体の免疫が誤って毛根を攻撃することで髪が抜けてしまいます。
円形脱毛症はストレスが原因ですか?
ストレスが発症や悪化の引き金になることがありますが、ストレスだけが原因ではありません。
円形脱毛症は放っておいたらどうなる?
軽症であれば自然治癒することもありますが、広がる・再発を繰り返すこともあるため早期治療が望ましいです。
円形脱毛症はどうやって気づきますか?
A頭皮に丸く毛が抜けた部分ができ、周囲の人に指摘されて気づくことが多いです。抜け毛が急に増えることで気づく方もいます。
円形脱毛症は何人に一人くらいですか?
生涯で100人に1人(約1%)が経験するとされており、珍しい病気ではありません。
円形脱毛症は何歳ごろに発症しますか?
全年齢に起こりますが、特に10代〜30代に多く、子どもにも発症することがあります。
円形脱毛症は完治しますか?
多くの方が時間をかけて治りますが、再発する人もいます。再発予防や根本治療には継続的なケアや生活改善が大切です。
円形脱毛症はどこにできやすいですか?
頭の後頭部や側頭部が多いですが、まゆ毛・ひげ・体毛など全身どこでも起こることがあります。
