コレクチム軟膏
コレクチム軟膏とは
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)とはどんな薬ですか
コレクチム軟膏は、デルゴシチニブという成分の塗り薬です。読みかたは「これくちむなんこう」です。かゆみや赤みを起こす信号が細胞の中に伝わる経路(JAK/STAT経路)をブロックすることで、炎症とかゆみの両方を抑えます。飲み薬や注射のJAK阻害薬と同じ考えかたの薬を、塗り薬にしたものです。
ステロイドではありません。そのため、長く使ったときに皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つといったステロイド特有の変化が起こりにくく、皮膚の薄い顔や首、まぶたの周りにも使いやすいという特徴があります。プロトピック軟膏で塗りはじめのヒリヒリや灼熱感が強かった方にも選ばれます。
濃度は0.25%と0.5%の2種類があり、いずれも軟膏です。「コレクチムクリーム」という剤形の製品はありません。
何に効く薬ですか — 効能・効果はアトピー性皮膚炎だけです
コレクチム軟膏が国から認められている効能・効果は、アトピー性皮膚炎のみです。ここが、この薬でいちばん誤解の多いところです。かゆみ(痒み)に効く薬という印象から、アトピー以外の症状、たとえばあせも(汗疹)、脂漏性皮膚炎、蕁麻疹(じんましん)、ニキビ、やけど、虫刺され、乾燥や肌荒れ、水虫やカンジダにも使えるのではないかと考えて調べる方がとても多いのですが、これらはコレクチム軟膏の対象ではありません。「アレルギー性皮膚炎」という言いかたをされることもありますが、この薬の対象はアトピー性皮膚炎です。
かゆみの原因になる皮膚の病気はたくさんあり、それぞれ治しかたが違います。原因の違う湿疹に炎症だけを抑える薬を塗ると、症状が隠れて診断が遅れたり、感染症では悪化したりします。まず何の病気かを決めてから薬を選ぶ、という順番が大切です。
どの症状にどう対応するかは、次の「この部位・この症状に塗れますか」で1つずつ整理しています。
ステロイド外用薬とはどこが違いますか
いちばん多いご質問です。ステロイド外用薬は炎症に関わる幅広い遺伝子の働きを抑えるのに対し、コレクチム軟膏はサイトカインの信号が細胞内に伝わる一部の経路だけをブロックします。効きかたの幅と、長く使ったときの皮膚への影響が違ってきます。
実際の診療では、まずステロイド外用薬でしっかり炎症を鎮め、落ち着いてきたところや、皮膚が薄くステロイドを続けにくい部位をコレクチム軟膏に切り替える、という組み合わせかたをすることが多いです。どちらが上ということではなく、役割が違います。
| 比べるところ | ステロイド外用薬 | コレクチム軟膏 |
|---|---|---|
| 効きかたのしくみ | 炎症に関わる多くの経路をまとめて抑えます | JAK/STAT経路をブロックし、炎症とかゆみの信号を止めます |
| 強さの分類 | 5段階のランクがあり、部位と症状で使い分けます | ランクの分類はありません。濃度が0.25%と0.5%の2種類です |
| 皮膚が薄くなる変化 | 強いランクを長く使うと起こることがあります | 起こりにくいとされています |
| 顔・首・まぶた | 弱めのランクを、期間を区切って使います | 使いやすい薬です |
| 塗りはじめの刺激感 | ほとんどありません | ヒリヒリ感が出ることがあります |
| 長く続けること | 部位によっては続けにくいことがあります | 続けやすく、良い状態を保つ場面で使いやすい薬です |
| 薬の値段 | 1gあたり十数円程度のものが中心です | 1gあたり135〜141円で、ステロイド外用薬より高くなります |
ステロイド外用薬のランクや部位ごとの選びかたは別のページで詳しく説明しています。なお「コレクチムの強さはどのくらいか」というご質問をよくいただきますが、コレクチム軟膏にはステロイドのようなランクの分類はありません。0.25%と0.5%の違いは強さの段階ではなく、おもに年齢に合わせた濃度の違いです。
塗ってはいけない皮膚があります
コレクチム軟膏は免疫のはたらきに関わる薬なので、細菌・ウイルス・真菌による感染が起きている皮膚には使いません。とびひ、みずむし(白癬)、カンジダ、ヘルペス、みずいぼなどが混じっているところに塗ると、感染が広がることがあります。
また、皮膚がめくれてジュクジュクしているところ(びらん)や、深くえぐれているところ(潰瘍)にも塗りません。薬が吸収されやすくなるためです。かき壊して血がにじんでいる部分は、まずその傷を治す処置を優先します。
目に入らないようにしてください。まぶたの皮膚に塗ることはできますが、まつげの生え際より内側や結膜には使いません。
この部位・この症状に塗れますか
判断の基準は「アトピー性皮膚炎かどうか」です
コレクチム軟膏を塗ってよいかどうかは、塗る場所ではなく、そこにある湿疹がアトピー性皮膚炎かどうかで決まります。アトピー性皮膚炎であれば、顔に塗ることも、首や体に塗ることも、手足に塗ることもできます。アトピー性皮膚炎でなければ、どの部位であっても対象外です。
「この部位に塗ってよいか」は、診察でとくに多くいただくご質問です。よくお尋ねいただく部位と症状について、順番にお答えします。当てはまるものがないときは、自己判断で塗らずにご相談ください。
顔・首・まぶた・口のまわり
アトピー性皮膚炎による顔の湿疹には使えます。顔に塗る薬として選びやすい理由は、顔・首が皮膚が薄く薬が吸収されやすいため、ステロイドを長く続けにくい部位だからです。コレクチム軟膏はこの部位でこそ持ち味が出る薬で、顔と首の湿疹に対する効果が高いことが報告されています。顔の赤みや顔の痒み、口の周り(口のまわり)や目の周り(目のまわり)の湿疹にも、アトピー性皮膚炎によるものであれば使います。まぶたに塗ることもできますが、目に入らないようにしてください。
一方で、顔の赤みには酒さ(赤ら顔)、脂漏性皮膚炎、化粧品によるかぶれなど、アトピー性皮膚炎とは別の原因が隠れていることが少なくありません。塗っても赤みが引かない、かえって赤くなるという場合は、診断そのものを見直します。美容目的(肌をきれいにする、赤みを消す)で使う薬ではありません。
塗る量の目安は、人差し指の先から第一関節まで軟膏を出した量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の広さです。顔全体ならおよそ1回0.5〜1gが目安になります。
陰部・デリケートゾーン・陰嚢・肛門・おしり
結論から言うと、アトピー性皮膚炎の湿疹が陰部にある場合は塗れます。ただし、陰部のかゆみでコレクチム軟膏が正解になる方は、実際にはそれほど多くありません。
陰部・デリケートゾーンのかゆみは、原因がはっきり分かれます。股部白癬(いんきんたむし)や性器カンジダは真菌(カビ)による感染で、炎症を抑える薬だけを塗ると範囲が広がり、見た目が変わって診断も難しくなります。陰嚢湿疹や亀頭包皮炎は、こすれ・蒸れ・洗いすぎが引き金になっていることが多く、洗いかたを変えるだけで良くなる方もいます。
陰部は皮膚が薄く、薬が吸収されやすい部位でもあります。だからこそ「まず何であるかを確かめる」ことが、ほかの部位以上に大切です。市販薬や家にある塗り薬を試す前に、一度診せていただくことをおすすめします。当院では女性・男性いずれもご相談いただけます。
乾燥・肌荒れ・かさつきだけのとき
乾燥や肌荒れが気になる、かゆいというだけの理由でコレクチム軟膏を塗ろうとされる方がいますが、この薬に保湿効果はありません。赤みやかゆみを伴う炎症があってはじめて意味のある薬です。かさつき、粉をふく、ひび割れといった乾燥肌の症状だけであれば、保湿剤を使ってください。
アトピー性皮膚炎の皮膚は、湿疹が出ていないところでもバリア機能が落ちた乾燥肌の状態にあります。ですから保湿剤は、湿疹のあるなしにかかわらず全身に続けます。コレクチム軟膏は、そのうえで湿疹のあるところにだけ重ねる薬という位置づけです。
入浴後は皮膚から水分が逃げやすいため、タオルで押さえたらできるだけ早く保湿剤を塗ります。石けんはよく泡立て、こすらず手で洗い、お湯はぬるめにします。これだけで乾燥して痒くなる症状がかなり楽になる方もいます。
赤ちゃん・子どもは何歳から使えますか
濃度によって使える年齢が変わります。0.25%はお子さん向けの濃度で、生後6か月以上から15歳までの方に使います。0.5%は16歳以上の方に使う濃度で、大人はこちらです。どちらを使うかは、年齢と症状の強さ、塗る部位を見て診察で決めます。
お子さんの場合、大人よりも体重に対する皮膚の面積が広く、薬が相対的に多く入りやすいことが知られています。1回に塗る量の上限(5g、1日10gまで)や、塗る範囲の上限(体表面積の30%まで)は必ず守ってください。処方された本人以外に使うことはしないでください。
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎の区別がつきにくい時期もあります。診断がはっきりしないうちは、まず保湿とスキンケアから始めて、経過を見ながら判断していきます。
| 濃度 | 使える年齢 | おもな使いかた |
|---|---|---|
| コレクチム軟膏0.25% | 生後6か月以上15歳まで | お子さんのアトピー性皮膚炎に用います |
| コレクチム軟膏0.5% | 16歳以上 | 大人のアトピー性皮膚炎に用います |
1回に塗る量は、濃度にかかわらず5gまで、1日では10gまでです。塗る範囲は体表面積の30%までです。5gは5gチューブ1本分、10gチューブなら半分にあたります。年齢と体格に応じて、実際に塗る量はこれより少なくなります。
この症状に使えますか
診察でよくお尋ねいただく症状について、コレクチム軟膏が使えるかどうかと、その症状で実際に必要になる治療をまとめました。「使えません」は、効果がないという意味ではありません。この薬の効能・効果として認められていない、あるいはほかにもっと適した治療がある、という意味です。
症状が重なっていることもよくあります。あせもとアトピー性皮膚炎が同時にある、脂漏性皮膚炎とアトピー性皮膚炎が顔で混じっている、といったケースです。その場合は部位ごとに薬を分けます。
| 症状 | コレクチム軟膏 | 実際に必要なこと |
|---|---|---|
| アトピー性皮膚炎の湿疹(顔・首・体・手足) | 使えます | この薬の本来の対象です。ステロイド外用薬・保湿と組み合わせます |
| あせも(汗疹)・汗かぶれ | 使いません | 汗の出口がつまって起こります。汗を流す、冷やす、必要なら短期のステロイド外用で対応します |
| 脂漏性皮膚炎 | 使いません | マラセチアという真菌が関わるため、抗真菌薬の外用が中心になります |
| 蕁麻疹(じんましん・じんま疹) | 使いません | 皮膚の深いところで起こる反応で、塗り薬では治りません。抗ヒスタミン薬の内服が中心です |
| ニキビ(ざ瘡)・吹き出物・陰部ニキビ | 使いません | ニキビには専用の外用薬があります。コレクチム軟膏はむしろ副作用としてニキビが出ることがあります |
| 手湿疹・手荒れ・あかぎれ | 場合によります | アトピー性皮膚炎による手の湿疹なら使えます。水仕事による刺激性の手湿疹は、保護と保湿が先です |
| 口角炎・口唇炎・口囲皮膚炎(口周りの湿疹)・唇の荒れ・口内炎 | 使いません | 唇に塗る薬ではありません。口に入る部位で、カンジダやビタミン不足が原因のこともあり、原因に応じて治療します |
| やけど(火傷)・切り傷・傷口 | 使いません | 傷口に塗る薬ではありません。皮膚がめくれた面には塗らず、冷却と創傷の処置が優先です |
| 虫刺され・ダニ刺され | 使いません | 短期のステロイド外用と、かゆみ止めの内服で対応します |
| 花粉皮膚炎・花粉症皮膚炎(花粉による顔の赤み・かゆみ) | 場合によります | アトピー性皮膚炎が花粉で悪化しているなら使います。花粉症そのものの治療も並行します |
| かぶれ(接触性皮膚炎) | 使いません | 原因になっている物質を避けることが治療の中心です |
| とびひ・みずいぼ(水いぼ)・みずむし(水虫)・カンジダ・口唇ヘルペス | 使えません | 感染症です。塗ると広がることがあります。それぞれの原因に応じた薬が必要です |
| 乾燥・肌荒れ・乾燥肌・ひび割れ | 使いません | 赤みやかゆみを伴う炎症がなければ、保湿剤の出番です。コレクチム軟膏に保湿効果はありません |
| 乾癬 | 使いません | コレクチム軟膏の効能・効果には含まれていません。乾癬そのものの診察・治療は当院で行っています。生物学的製剤(バイオ製剤)が必要と判断した場合は、専門の医療機関にご紹介します |
| 皮膚をきれいにする・赤みを消す(美容目的) | 使いません | 美容目的の薬ではありません。保険診療の対象にもなりません |
同じ「かゆみ」でも原因はさまざまで、見た目だけで区別がつかないこともあります。迷われたときは塗る前にご相談ください。
使い方・副作用・ほかの塗り薬との使い分け
塗りかた — 1日2回、1回5gまで(1日10gまで)
1日2回、朝と入浴後などに、湿疹のあるところへ塗ります。1回に塗る量は5gまで、1日では10gまでです。5gは5gチューブ1本分、10gチューブなら半分にあたります。指示された部位以外には塗らないでください。
塗ってよい範囲にも上限があり、1回に塗るのは体表面積の30%までです。体表面積の30%は、たとえば両腕と両脚をあわせたくらいの広さにあたります。全身にくまなく塗る薬ではありません。どこに塗るかは診察でお伝えします。
塗る量の目安には、指の先から第一関節までの長さに出した量(約0.5g、1FTUと呼びます)を使います。これで大人の手のひら2枚分の広さに塗れます。ティッシュが軽く貼りつくくらいが適量で、すりこまずに、のせて広げる感覚で塗ります。少なすぎると効きが悪くなります。
保湿剤と一緒に処方されている場合、塗る順番に決まりはありませんので、塗り分けやすい順で構いません。保湿剤は湿疹のあるなしにかかわらず全身に続け、コレクチム軟膏は湿疹のあるところにだけ塗ります。化粧水やお化粧をされる方は、薬が乾いてからにしてください。
どれくらいで効きますか — 効果が出るまでの目安
かゆみは比較的早く変化することが多く、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の方を対象とした試験では、塗りはじめて2日目からかゆみの改善がみられたと報告されています。湿疹の見た目は、4週間ほどかけて段階的に良くなっていくのが一般的な経過です。
長く続けたときの成績も報告されています。16歳以上の方の試験では16週の時点で湿疹の程度が約49%改善し、52週の時点でも約58%の改善が保たれていました。2歳以上16歳未満の方の試験では4週で約50%、52週で約61%の改善が報告されています。生後6か月以上2歳未満の方でも、4週で約74%、52週で約82%という報告があります。
これらは試験に参加した方の平均的な数字で、効果が出るまでの時間には個人差があります。1〜2週間で変化がないからといって、すぐに合わないと判断する必要はありません。どれくらいで効くのか、どれくらいで効果が出るのかがご心配なときは、途中の状態を診せていただければ続けるかどうかを一緒に判断できます。
| 時期 | 目安になる変化 |
|---|---|
| 2日目ごろ | かゆみが少し楽になってくる方がいます |
| 1〜2週 | 赤みが薄くなり、かき傷が減ってきます |
| 4週 | 湿疹の見た目がはっきり改善してくる時期です |
| 16週〜52週 | 良くなった状態を保つ段階に入ります |
出典は、16歳以上を対象とした試験(J Am Acad Dermatol 2020;82:823-31)、2歳以上16歳未満を対象とした試験(J Am Acad Dermatol 2021;85:854-62)、生後6か月以上2歳未満を対象とした試験(Allergology International 2024;73:137-142)です。数字は試験集団での平均的な改善の程度を示すもので、個々の方の効果を保証するものではありません。
いつまで塗りますか — 長期に使えます
使用期間にあらかじめ上限は決められていません。ステロイド外用薬のように「この部位には何週間まで」といった制限がなく、良い状態を保つために長く続けやすいことが、この薬の利点のひとつです。52週にわたって使用した試験でも、効果が保たれることが報告されています。
湿疹がきれいになったからといってすぐにやめると、ぶり返しやすくなります。見た目が治まっても皮膚の下では炎症が残っていることが多いためです。そこで、良くなったあとも週に2回ほど塗り続けて再燃を抑える「プロアクティブ療法」という続けかたをとることがあります。
減らしかたや、いつやめるかは、皮膚の状態を見ながら診察で決めます。自己判断で急にやめず、次の受診でご相談ください。保湿剤は、湿疹があってもなくても続けてください。なお、やめたときに急に強く悪化する、いわゆるリバウンドという現象が知られているわけではありません。ぶり返すのは、もともとの炎症がまだ残っていたためと考えます。
効かない・かえって悪くなるときに考えること
効果が感じられないときは、薬が合っていないと決める前に、いくつか確かめることがあります。もっとも多いのは、塗る量が足りていないことです。1FTUの目安より薄く塗っていると、十分な効果が出ません。次に多いのが、炎症が強い時期にいきなりコレクチム軟膏だけで対応しているケースで、この場合はまずステロイド外用薬で炎症を抑えてから切り替えます。
塗ってかえって悪くなる、赤みが強くなるという場合は、診断そのものを見直します。真菌感染やヘルペス感染が混じっている、かぶれを起こしている、といったことがあります。塗ったところに小さな水ぶくれが集まって出てきたときは、いったん中止してご連絡ください。
塗り薬とスキンケアを正しく続けても中等症以上の状態が変わらないときは、注射(生物学的製剤)や飲み薬(JAK阻害薬)による全身療法という次の選択肢があります。当院ではデュピクセント・ミチーガなどの注射と、リンヴォック・オルミエント・サイバインコといった飲み薬にも対応しており、自己注射の指導も行っています。
副作用 — ヒリヒリ、毛包炎、ニキビのようなブツブツ
塗り薬なので体全体への影響は少ない薬ですが、塗ったところに出る副作用があります。塗りはじめにヒリヒリする、しみる、ほてるといった刺激感は比較的よくみられます。多くは数日から1〜2週間で和らいでいきますが、強いときは無理に続けず一度ご相談ください。
毛穴に一致した赤いブツブツ(毛包炎、毛嚢炎)や、ニキビのような発疹(ざ瘡)が出ることがあります。「ニキビができた」と感じて調べる方が多いのですが、これは薬が効いていないのではなく、副作用として知られているものです。
もっとも注意が必要なのはウイルス感染です。単純ヘルペス、帯状疱疹、カポジ水痘様発疹症が出ることがあります。免疫の働きに関わる薬なので、感染のサインを見逃さないことが大切です。
| 副作用 | 気づきかた |
|---|---|
| 刺激感(ヒリヒリ・しみる・ほてる) | 塗った直後から数分。塗りはじめの時期に多く、続けるうちに和らぐことが多いです |
| 毛包炎・毛嚢炎 | 毛穴に一致した赤いブツブツ。塗っている部位に出ます |
| ざ瘡(ニキビのような発疹) | 顔や体に、白または赤いブツブツとして出ます |
| 紅斑(赤くなる) | 塗ったところが赤みを帯びます |
| 接触皮膚炎 | 塗った範囲にぴったり一致してかゆみと赤みが出ます |
| 単純ヘルペス・カポジ水痘様発疹症 | 小さな水ぶくれが集まって出る、痛みを伴う、急に広がる |
| 帯状疱疹 | 体の片側にピリピリした痛みが出て、遅れて水ぶくれが並んで出ます |
ここに挙げたものがすべてではありません。なお、炎症が治まったあとに残る茶色い色素沈着は、薬の副作用ではなく、炎症そのものが残したあとです。時間をかけて薄くなっていきます。気になる症状が出たときは、次の受診を待たずにご連絡ください。妊娠中・授乳中の方、ほかの塗り薬や飲み薬を使っている方は、処方の前にお申し出ください。
すぐに中止してご相談いただきたいとき
次のような症状が出たときは、塗るのをいったんやめて、次の予約を待たずにご連絡ください。感染症が起きているサインのことがあります。
特に、小さな水ぶくれが集まって急に広がる、強い痛みを伴う、発熱を伴うといった場合は、早めの受診をお願いします。
ステロイド・プロトピック・モイゼルト・ブイタマーとの使い分け
アトピー性皮膚炎の塗り薬は選択肢が増え、当院ではコレクチム軟膏のほか、プロトピック軟膏、モイゼルト軟膏、ブイタマークリーム、そして各ランクのステロイド外用薬を処方しています。どれが一番よいということはなく、部位・年齢・刺激感への強さ・続けやすさで選びます。
大まかには、炎症が強いときはステロイド外用薬で早く鎮め、落ち着いてきたところや皮膚の薄い部位を非ステロイドの薬に移す、という流れになります。非ステロイドの4剤のなかでは、刺激感の少なさと顔・首への使いやすさがコレクチム軟膏の持ち味です。
| 薬(成分) | しくみ | 部位 | 年齢 | 刺激感 | 長く使うこと |
|---|---|---|---|---|---|
| ステロイド外用薬 | 炎症に関わる多くの経路をまとめて抑えます | ランクを部位に合わせて選びます | 年齢の制限はありません | ほとんどありません | 部位によっては続けにくいことがあります |
| コレクチム軟膏(デルゴシチニブ) | JAK/STAT経路をブロックします | 顔・首を含め全身に使えます | 0.5%は16歳以上、0.25%は生後6か月以上のお子さん | 出ることがあります | 続けやすい薬です |
| プロトピック軟膏(タクロリムス) | T細胞の活性化を抑えます | 顔・首の赤みに向きます | 小児用0.03%があります | 塗りはじめのほてり・刺激感が強めです | 続けやすい薬です |
| モイゼルト軟膏(ジファミラスト) | PDE4を阻害します | 幅広い部位に使えます | 0.3%と1%があります | 少ないとされています | 続けやすい薬です |
| ブイタマークリーム(タピナロフ) | AhRに働きかけます | 幅広い部位に使えます | 製剤は1%です | 少ないとされています | 1日1回で済みます。毛包炎が出ることがあります |
それぞれの薬の年齢や濃度の条件、詳しい特徴は各薬のページで説明しています。組み合わせて使うこともあり、たとえば体はステロイド外用薬、顔はコレクチム軟膏、という分けかたをすることがあります。どの薬をどこに塗るかは診察でお伝えします。
「高い」と感じるとき — 薬価と、市販薬・ジェネリックについて
コレクチム軟膏は、ステロイド外用薬に比べると薬の値段が高い薬です。1gあたりの薬価は0.25%が135円80銭、0.5%が141円20銭で、よく使われるステロイド外用薬の1gあたり十数円と比べると8倍前後になります。広い範囲に長く使うほど差が出ます。
コレクチム軟膏は市販されていません。ドラッグストアや通販で買うことはできず、医師の処方が必要な薬です。またデルゴシチニブの後発医薬品(ジェネリック)は、2026年8月時点の薬価基準に収載されていません。市販薬で代用できるものもありませんので、「同じ成分の安いもの」を探すのではなく、部位ごとに薬を使い分けて必要量を適切にする、というのが現実的な考えかたになります。
アトピー性皮膚炎の治療は健康保険が使えます。自由診療ではありません。お子さんは自治体の医療費助成の対象になることが多く、その場合は窓口でのご負担がさらに軽くなります。
| 塗り薬(10gあたり) | 薬価(10g) | 3割負担の目安 |
|---|---|---|
| コレクチム軟膏0.25% | 1,358円 | 約410円 |
| コレクチム軟膏0.5% | 1,412円 | 約420円 |
| モイゼルト軟膏1% | 1,451円 | 約440円 |
| ブイタマークリーム1% | 3,008円 | 約900円 |
| プロトピック軟膏0.1% | 470円 | 約140円 |
| アンテベート軟膏0.05%(ステロイド) | 189円 | 約60円 |
2026年8月12日時点の薬価基準にもとづく計算です。3割負担の目安は、薬価の合計を10で割って点数にし、四捨五入したうえで3割をかけ、10円未満を四捨五入した金額です。実際のお支払いは、このほかに診察料・処方箋料と、調剤薬局での調剤料などが加わります。
費用の目安
すべて健康保険3割負担の場合の目安です。アトピー性皮膚炎の診療は保険診療で行います。
診察料と薬剤費の目安です。薬剤費は2026年8月12日時点の薬価にもとづき、薬価の合計を点数に直して3割をかけ、10円未満を四捨五入した金額です。実際には保湿剤やほかの塗り薬が一緒に処方されること、調剤薬局で調剤料などが加わることがあり、金額は前後します。お子さんは自治体の医療費助成の対象になることがあります。初診料・再診料は当院で診察を受けられた場合の目安で、加算の有無により変わります。
よくある質問
コレクチム軟膏を顔に塗る(顔に塗っても大丈夫)ですか?+
陰部やデリケートゾーンのかゆみに使ってよいですか?+
あせも(汗疹)に効きますか?+
0.25%と0.5%はどう違いますか?どちらが強いのですか?+
1回にどれくらいの量を塗ればよいですか?+
塗るとヒリヒリします。続けてよいですか?+
いつまで塗り続けるのですか。長期使用しても大丈夫ですか?+
塗っているのに効かない、かえって悪くなった気がします。+
ニキビができました。コレクチム軟膏はニキビに効きますか?+
市販されていますか。ジェネリックはありますか?+
コレクチム軟膏はステロイドですか?+
内科でも処方してもらえますか?+
コレクチム軟膏を処方されたけれど塗る場所に迷っている、ほかの薬から切り替えたい、塗っても良くならない。どの段階でもご相談いただけます。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。薬の選択は症状・年齢・部位・持病・併用薬・妊娠の希望をふまえて診察のうえで決めます。効果の出かたには個人差があります。薬価は2026年8月12日時点、その他の記載は2026年8月時点の情報です。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
診療のご案内
内科・皮膚科・アレルギー科・泌尿器科を中心に、健康診断や予防接種、オンライン診療まで対応しています。
