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モイゼルト軟膏

MOIZERTO

モイゼルト軟膏(ジファミラスト)ステロイドではない塗り薬

モイゼルト軟膏は、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)という酵素のはたらきを抑えて皮膚の炎症をしずめる塗り薬です。ステロイドでもJAK阻害薬でもないため強さのランクという考えかたがなく、生後3か月から、顔にも体にも同じ薬を使えます。「強さはどのくらい?」「顔や陰部に塗ってよい?」「効かないときは?」といった、診察でよくいただく質問に順にお答えします。

豊洲駅 徒歩3分PDE4阻害薬(ステロイドではありません)生後3か月から顔にも使えます
ABOUT

モイゼルト軟膏とは

モイゼルト軟膏(ジファミラスト)はどんな薬ですか

モイゼルト軟膏は、成分名をジファミラストという塗り薬です。アトピー性皮膚炎の湿疹とかゆみを抑える目的で使います。医療用医薬品のため、市販薬(ドラッグストアで買える薬)としては販売されておらず、診察を受けて処方箋が出る薬です。

モイゼルト軟膏の特徴を一言でいえば、ステロイドではないのに湿疹とかゆみの両方に効き目があり、塗る部位や量の制限がないことです。いちばん多いご質問は「これはステロイドですか?」というものですが、モイゼルト軟膏はステロイドではありません。塗るJAK阻害薬であるコレクチム軟膏とも違うしくみの薬で、PDE4阻害外用薬という別のグループに入ります。

濃度は0.3%と1%の2種類があり(0.3%・1%、1パーセントとも表記されます)、主に0.3%をお子さんに、1%を大人に使います。1日2回、患部に塗ります。

モイゼルト軟膏(一般名ジファミラスト)。0.3%と1%の2つの濃度があります。

モイゼルト軟膏は何に効きますか — 効能・効果

モイゼルト軟膏が保険で使えるのは、アトピー性皮膚炎に対してだけです。効能・効果としてほかの病名は認められていません。「何に効く薬か」を一言でいえば、アトピー性皮膚炎の湿疹(赤み・ブツブツ・ゴワゴワ)と、それにともなうかゆみに効く薬、ということになります。痒み止めそのものではありませんが、炎症がしずまることでかゆみも軽くなります。

15歳以上の軽症から中等症のアトピー性皮膚炎の方を対象とした臨床試験では、4週間の使用で湿疹の面積と強さ、かゆみが改善したことが報告されています。また長く続けることで、良くなった状態を保つはたらきも報告されています。効きかたには個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるものではありません。

急に強く悪化しているとき、ジュクジュクして赤みが強いときには、まずステロイド外用薬で炎症を抑えきってから、モイゼルト軟膏に切り替えて良い状態を保つ、という順番をとることが多い薬です。

どうやって効くのですか — PDE4阻害という作用機序

皮膚の細胞のなかには、cAMPという「炎症を抑える側」の物質があります。PDE4(ホスホジエステラーゼ4)はこのcAMPを分解してしまう酵素で、アトピー性皮膚炎の皮膚ではPDE4のはたらきが高まっていることが知られています。

モイゼルト軟膏の成分ジファミラストは、このPDE4のはたらきを阻害します。その結果、細胞のなかのcAMPが保たれ、炎症をひきおこす物質の産生と、炎症を抑える物質の産生のバランスが整えられます。免疫の反応を広く抑え込むのではなく、炎症に関わる物質の出かたを調節する、というのがモイゼルト軟膏の作用機序です。

ステロイドとは全く別のしくみで効くため、ステロイド外用薬を長く使ったときに問題になる皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)や毛細血管の拡張は、モイゼルト軟膏の副作用としては報告されていません。いわゆるステロイドのリバウンドという心配もない薬です。

ステロイド・コレクチム・プロトピック・ブイタマーとの位置づけ

アトピー性皮膚炎の塗り薬には、大きく分けてステロイド外用薬と、ステロイド以外の塗り薬(非ステロイド外用薬)があります。モイゼルト軟膏は後者に入ります。ステロイド以外の塗り薬は現在4種類あり、それぞれ効くしくみが違います。

どれか1つが優れているというものではなく、症状の強さ、塗る部位、年齢、これまでに使った薬の効きかたや刺激感の出かたを見て選びます。4剤の使い分けや、注射・飲み薬まで含めた全体像は、アトピー性皮膚炎のページにまとめています。

塗り薬 分類(効くしくみ) 濃度の種類
モイゼルト軟膏(ジファミラスト) PDE4阻害薬 0.3%/1%
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ) 塗るJAK阻害薬 0.25%/0.5%
プロトピック軟膏(タクロリムス) カルシニューリン阻害薬 0.03%(小児用)/0.1%
ブイタマークリーム(タピナロフ) AhR調節薬 1%
ステロイド外用薬 ステロイド(副腎皮質ホルモン) 5段階のランクに分かれます

モイゼルト軟膏はステロイドでもJAK阻害薬でもありません。当院ではこの5種類すべてを処方しています。どれを選ぶかは診察でご相談ください。

アトピー以外の湿疹にも使えますか — あせも・脂漏性皮膚炎・手湿疹・陰部

「あせもに効く薬はモイゼルト軟膏ですか」というご質問をはじめ、あせも(汗疹)、脂漏性皮膚炎、手湿疹・手荒れ、陰部やデリケートゾーンの湿疹、唇の荒れ、乳児湿疹、花粉皮膚炎といったご相談で「アトピー以外にもモイゼルト軟膏は使えますか」とよく聞かれます。前述のとおり、モイゼルト軟膏が保険で使えるのはアトピー性皮膚炎に対してです。ほかの湿疹や皮膚炎には、それぞれに合った別の薬を選びます。

大切なのは、見た目が似ていても病気が違えば効く薬が違う、ということです。とくに、かびや細菌が原因のものにステロイドや抗炎症薬を塗ると、かえって広がることがあります。長引く湿疹が実は白癬(水虫)やカンジダだった、ということも珍しくありません。

当院では、それぞれの病気について個別のページを用意しています。ご自身の症状に近いものをご覧いただき、判断に迷うときは診察でご相談ください。

あせも(汗疹)・汗をかいたあとのブツブツ
脂漏性皮膚炎(頭皮・小鼻・眉のあいだの赤みとフケ)
手湿疹・手荒れ・あかぎれ
陰嚢や外陰部、股、おしり、肛門まわりのかゆみ
唇の荒れ(口唇炎)、口の端が切れる(口角炎)、口のまわりの赤み
顔の赤みが続く(酒さ・酒さ様皮膚炎)
乳児湿疹、よだれかぶれ、おむつかぶれ
かぶれ(接触皮膚炎・接触性皮膚炎)、虫刺され
花粉皮膚炎(花粉症の時期に顔がかゆくなる、赤くなる)
肌荒れ・乾燥肌だけで湿疹が出ていない状態(この場合は保湿剤を使います)
とびひ(伝染性膿痂疹)、水いぼ、ヘルペス、手足口病、水虫(白癬)、ニキビ(ざ瘡)
乾癬(かんせん)

乾癬には使えません

モイゼルト軟膏に乾癬(かんせん)の効能・効果はありません。乾癬に使われるPDE4阻害薬は飲み薬のオテズラであり、モイゼルト軟膏とは別の薬です。名前が似ているためによく混同されます。

乾癬は治療が専門的になるため、当院では診断と初期のご相談までを行い、光線療法(紫外線治療)や生物学的製剤が必要と考えられる場合は連携先の医療機関へご紹介しています。光線療法は当院では実施していません。

次の受診を待たずにご相談いただきたいとき

モイゼルト軟膏を塗っている途中で次のような変化があったときは、次の予約を待たずにご連絡ください。感染の合併や、薬の見直しが必要なことがあります。

とくに、水ぶくれが集まって出てきた場合や、黄色い汁とかさぶたが急に増えた場合は、塗り薬を続けずに受診してください。高熱をともなう、全身が赤くなる、体調が悪いといった場合は、休日夜間でも医療機関の受診をご検討ください。

塗った部分がかえって赤くなる、腫れる、かゆみが強くなった
強い痛みやヒリヒリ感が数日たっても続く
水ぶくれやくぼんだ潰瘍が集まって出てきた(ヘルペスの合併が疑われます)
黄色い汁やかさぶたが増え、痛みや熱をともなう(とびひなど細菌感染の合併)
目のまわりの症状が強い、見えかたが変わった
かゆみで眠れない日が続いている
2〜4週間しっかり塗っても良くならない、または悪化している
STRENGTH

強さ(ランク)と0.3%・1%の使い分け

モイゼルト軟膏の強さ(ランク)はどのくらいですか

もっとも多くいただくご質問です。結論から申し上げると、モイゼルト軟膏に「強さのランク」はありません。ストロンゲスト・ベリーストロング・ストロング・ミディアム・ウィークという5段階のランクは、ステロイド外用薬だけに使われる分類です。モイゼルト軟膏はステロイドではないため、この物差しには乗りません。

「ステロイドでいうとどのくらいの強さですか」と聞かれることもありますが、効くしくみが違うため、ランクに換算して比べることはできません。強さのかわりに、モイゼルト軟膏には濃度が0.3%と1%の2種類ある、と考えていただくのが実際に近い理解です。

「顔にはロコイド軟膏とモイゼルト軟膏のどちらがよいですか」といったご質問もいただきます。ロコイド軟膏はミディアム(ランクⅣ)のステロイドで、顔にも使える強さのものです。どちらを選ぶかは、炎症の強さと、どのくらいの期間使う見込みかで決めます。使いかたのイメージとしては、強い炎症を一気に抑え込む場面はステロイド外用薬が受け持ち、落ち着いた状態を長く保つ場面や、ステロイドを長く使いたくない部位をモイゼルト軟膏が受け持つ、という組み立てになります。

質問 答え
強さのランクは何段階目ですか ランクという分類がありません。ランクはステロイド外用薬の分類です
ステロイドでいうと何に相当しますか しくみが違うため換算できません
では何が違うのですか 濃度が0.3%と1%の2種類あり、年齢と症状で使い分けます
強い炎症にはどうしますか まずステロイド外用薬で抑え、落ち着いてからモイゼルト軟膏に切り替えることが多いです

強さのランクがないことは、弱い薬という意味ではありません。ステロイドとは別の物差しの薬だとお考えください。

0.3%と1%の違い — どちらが処方されますか

モイゼルト軟膏には0.3%と1%の2つの濃度があります。処方箋やお薬手帳には「モイゼルト軟膏0.3%」「モイゼルト軟膏1%」(1%と全角で書かれることもあります)と記載されます。基本は、お子さんには0.3%、大人には1%です。ただしお子さんでも、症状に応じて1%を使うことがあります。

「1パーセントのほうが強いのですか」と聞かれますが、濃度が高いぶん成分の量は多くなります。年齢と症状、塗る部位を見て、どちらを出すかを診察で決めます。ご自宅に両方ある場合は、混ぜたり入れ替えたりせず、指示された部位に指示されたほうを使ってください。

モイゼルト軟膏0.3% モイゼルト軟膏1%
主な対象 小児 成人
小児への使用 基本はこちら 症状に応じて使うことがあります
塗る回数 1日2回 1日2回
包装 5g/10gのチューブ 5g/10gのチューブ

どちらの濃度も、塗る回数は1日2回です。0.3%で足りないときに1%へ切り替えることも、良くなってきたら1%から0.3%へ移すこともあります。

何歳から使えますか — 生後3か月から

モイゼルト軟膏は、生後3か月以上のお子さんから使えます。ステロイド以外の塗り薬のなかでも低い年齢から使えるため、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎で選びやすい薬です。生後3か月未満の乳児や新生児、低出生体重児を対象とした試験は行われていないため、その年齢では使いません。

年齢の上限はありません。大人の方も、ご高齢の方も同じように使えます。

赤ちゃんの湿疹がアトピー性皮膚炎なのか、乳児湿疹やよだれかぶれ、あせもなのかは見分けが必要です。生後まもない時期の湿疹は経過を見ながら診断していくため、自己判断でご家族の薬を流用せず、まず診察を受けてください。

HOW TO USE

塗りかた・効果の出かた・副作用

塗りかた — 1日2回、量と面積の制限がありません

モイゼルト軟膏は1日2回、朝と入浴後などに患部へ塗ります。「一日何回ですか」「いつから塗り始めますか」というご質問には、1日2回、処方されたその日から、とお答えしています。塗る量の目安はFTU(フィンガーチップユニット)です。大人の人差し指の先から第一関節までチューブから出した量が約0.5gで、これで手のひら2枚分の面積に塗れます。薄く伸ばしすぎず、ティッシュが軽くつく程度にのせるのが目安です。

モイゼルト軟膏には、1回あたりの塗布量や塗ってよい面積の上限が用法・用量に定められていません。そのため、背中や体、首、手足など広い範囲に湿疹が出ている方でも、範囲を気にせず塗れます。頭皮に使うこともできます。

保湿剤(ヘパリン類似物質や白色ワセリンなど)と一緒に使うときは、混合せず別々に塗ってください。順番はどちらが先でも構いませんが、塗り分けがわかりやすいのは、先に保湿剤を全体に塗り、少し置いてから湿疹のある部分にモイゼルト軟膏を重ねる方法です。ステロイド外用薬と併用する場合は、部位ごとに塗り分ける(顔はモイゼルト、体はステロイド、など)のが基本で、同じ場所に重ね塗りはしません。

1日何回塗るか:1日2回です(朝と入浴後などに患部へ)
1FTU(約0.5g)で手のひら2枚分が目安です
1回あたりの量・面積の上限は定められていません
保湿剤やほかの塗り薬と混ぜず、別々に塗ってください
同じ場所にステロイド外用薬と重ねて塗らず、部位で塗り分けます
良くなっても自己判断で急にやめず、減らしかたは診察でご相談ください

顔・まぶた・唇・陰部にも塗れますか

塗ってよい部位に制限がないため、顔にも使えます。ステロイド外用薬では皮膚が薄くなる変化が心配で長く使いにくい、顔・首・まぶたのまわり・陰部といった部位でも、モイゼルト軟膏は選びやすい薬です。実際、顔の湿疹が続く方でモイゼルト軟膏を選ぶことはよくあります。

ただし、目のなかに入らないよう、まぶたに塗るときは薄くのばしてください。唇に塗る場合、口に入るぶんを完全には避けられないため、量を控えめにします。粘膜そのもの(口のなか、まぶたの裏、腟の内側)には塗りません。

陰部やデリケートゾーン、お股、おしり、肛門まわりのご相談も多くいただきます(おしりかぶれ、おむつかぶれを含みます)。この部分の皮膚は薄く、薬が吸収されやすい一方で、湿疹に見えても白癬(いんきんたむし)やカンジダ、かぶれのことがあり、原因によって使う薬が変わります。市販薬で様子を見て長引かせてしまう方が多い部位です。人に相談しにくい場所ですが、自己判断で余った軟膏を流用せず、一度ご相談ください。

効果が出るまでどのくらいかかりますか

モイゼルト軟膏は、塗った翌日に劇的に変わるタイプの薬ではありません。臨床試験では4週間の使用で湿疹とかゆみの改善が確認されており、まずは4週間を1つの区切りとして評価します。かゆみのほうが先に軽くなり、赤みやゴワゴワが遅れて引いてくる、という順で感じる方が多い薬です。

さらに続けると、数か月かけて徐々に良くなり、その状態が保たれることも報告されています。半年ほどの単位で見ていくと変化がわかりやすい薬だとお考えください。効きかたには個人差があります。

急に強く悪化しているときに、モイゼルト軟膏だけで抑え込もうとすると時間がかかります。そうした場面ではステロイド外用薬でいったん炎症を抑え、落ち着いてからモイゼルト軟膏に切り替えるほうが、結果的に早く落ち着きます。

効かない・かえって悪化した気がするとき

「モイゼルト軟膏が効かない」「塗ったら悪化した」と感じたとき、原因はいくつか考えられます。よくあるのは、塗る量が足りていない、塗る回数が1日1回になっている、良くなったところでやめてすぐ再燃している、というものです。まずは塗りかたを一緒に見直します。

塗りはじめに一時的にヒリヒリする、かゆみが強くなる、赤くなる、という反応が出ることがあります。数日で和らぐことが多いですが、痛みが強い、日をおいても引かない場合は続けずにご相談ください。

炎症が強い時期にモイゼルト軟膏から始めると、効きが足りずに「悪化した」と感じられることがあります。この場合はステロイド外用薬を組み合わせます。また、湿疹だと思っていたものが白癬やカンジダ、ヘルペス、疥癬といった別の病気だった場合、抗炎症薬では良くならず広がることがあります。2〜4週間しっかり塗っても改善しないときは、診断そのものを見直します。

塗る量が足りない(FTUの目安より少ない)
1日2回ではなく1回になっている
良くなった時点でやめ、数週間で再燃している
炎症が強い時期で、ステロイド外用薬による導入が必要
保湿ができておらず、バリアが戻っていない
診断が違う(白癬・カンジダ・ヘルペス・疥癬・接触皮膚炎など)

いつまで塗りますか — 長期に続けてよい薬です

あらかじめ「何週間まで」と決まっている薬ではありません。使用期間の上限は定められておらず、長期使用ができる薬です。良い状態を保つために長く続けられます。むしろモイゼルト軟膏が力を発揮するのは、良くなったあとの維持の場面です。

見た目がきれいになっても皮膚の下では炎症がくすぶっているため、症状が消えた時点でやめるとぶり返しやすくなります。良くなってからも週に数回だけ塗り続けるプロアクティブ療法という続けかたをとると、再燃までの間隔をあけやすくなります。

減らしかたは、塗る回数を1日2回から1日1回へ、次に週に数回へ、という順で段階的に調整します。自己判断で急にやめず、診察で相談しながら決めていきましょう。保湿剤は症状のあるなしにかかわらず続けてください。

副作用 — 色素沈着・刺激感・毛包炎・ざ瘡など

モイゼルト軟膏で報告されている主な副作用は、塗った部分の刺激感、毛包炎(毛穴の炎症、いわゆるおでき)、ざ瘡(ニキビのようなブツブツ)、色素沈着、伝染性膿痂疹(とびひ)、かゆみ、かぶれです。ステロイド外用薬で問題になる皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)や毛細血管の拡張は、モイゼルト軟膏の副作用としては報告されていません。

色素沈着についてのご質問が多いのですが、湿疹をかき続けたあとに残る茶色い色(黒ずみ)は、多くの場合、炎症そのものが原因の炎症後色素沈着です。これは炎症が治まると数か月から1年ほどかけて自然に薄くなり、多くは治るものです。一方で、モイゼルト軟膏の副作用としても色素沈着が報告されています。気になる変化があるときは、原因を診察で確認しますのでお知らせください。

なお、プロトピック軟膏では塗りはじめの灼熱感やほてりが比較的よくみられますが、モイゼルト軟膏の主な副作用として報告されているのは上記のとおりで、ほてり感は挙げられていません。使い心地の感じかたには個人差がありますので、実際の使用感は診察でお伝えください。

塗った部分の刺激感、ヒリヒリ感
毛包炎(毛穴の炎症)、ざ瘡(ニキビのようなブツブツ)
色素沈着
伝染性膿痂疹(とびひ)などの皮膚の感染
かゆみ、かぶれ、赤み、腫れ

使えない場合・注意が必要な場合

この薬の成分に対して過敏症の既往がある方は使えません。また、湿疹の治療薬であるため、次のような場面では塗らずにご相談ください。

傷口や擦り傷、切り傷、やけどのあと、ひどい日焼けのあとなど、皮膚がむけている面(びらん・潰瘍)には塗りません。薬の吸収が高まるうえ、傷そのものを治す薬ではないためです。かき壊してジュクジュクしている部分も同様で、まず傷の手当てと感染の確認を優先します。

ヘルペス、とびひ、水いぼ、水虫(白癬)、カンジダなど、ウイルス・細菌・かびによる皮膚の病気があるところには使いません。抗炎症薬を塗ると広がることがあります。妊娠中・授乳中の方は、使用の可否を診察で判断しますのでお申し出ください。

成分に対する過敏症の既往がある
傷口・擦り傷・切り傷・やけど・強い日焼けのあとなど、皮膚がむけている面
ヘルペス、とびひ、水いぼ、水虫(白癬)、カンジダなどの感染がある部位
口のなか、まぶたの裏、腟の内側といった粘膜そのもの
妊娠中・授乳中の方(使用の可否を診察で判断します)
COST

モイゼルト軟膏の費用の目安

「モイゼルト軟膏は高いのでは」「値段はいくらくらいですか」というご質問をよくいただきます。健康保険が使える薬です。以下は健康保険を使ったときの目安で、自由診療ではありません。

2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。薬価はモイゼルト軟膏1%が1gあたり145.10円、0.3%が1gあたり135.40円です。薬剤費は院外の調剤薬局でお支払いいただくもので、上の金額には薬局の調剤料や薬学管理料は含まれていません。1割負担の方は10g1本あたり約140円、2割負担の方は1%で約290円・0.3%で約270円が目安です。複数本まとめて処方する場合は本数分がそのまま合算されるわけではなく、点数の計算方法により多少前後します。保湿剤やほかの塗り薬を一緒に処方する場合、その分の薬剤費が加わります。お子さんは自治体の医療費助成の対象になることがあります。

FAQ

よくある質問

モイゼルト軟膏はステロイドですか?+
いいえ、ステロイドではありません。モイゼルト軟膏はPDE4(ホスホジエステラーゼ4)のはたらきを抑える塗り薬で、ステロイド(副腎皮質ホルモン)とは全く別のしくみで炎症を抑えます。塗るJAK阻害薬であるコレクチム軟膏とも違うグループの薬です。ステロイドではないため、強さのランク(ストロング、ミディアムといった5段階の分類)もありません。ステロイド外用薬を長く使ったときに問題になる皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)は、モイゼルト軟膏の副作用としては報告されていません。
モイゼルト軟膏の強さはどのくらいですか?+
モイゼルト軟膏には強さのランクという分類がありません。ランクはステロイド外用薬だけに使われる分け方で、しくみの違うモイゼルト軟膏をランクに換算して比べることはできません。かわりに0.3%と1%という2つの濃度があり、基本はお子さんに0.3%、大人に1%を使います。強い炎症を早く抑えたい場面ではステロイド外用薬を使い、落ち着いてからモイゼルト軟膏に切り替える、という組み立てをとることが多い薬です。
顔に塗ってもいいですか? まぶたや唇に塗っても大丈夫ですか?+
顔に塗れます。塗ってよい部位の制限がないため、ステロイドを長く使いにくい顔・首にも選びやすい薬です。まぶたのまわりや口周りに塗るときは、目や口のなかに入らないよう薄くのばしてください。唇に塗る場合は口に入る分を完全には避けられないため、量を控えめにします。口のなかやまぶたの裏といった粘膜そのものには塗りません。
赤ちゃんや子どもに使えますか? 何歳から、何ヶ月から使えますか?+
生後3か月以上(生後3ヶ月以上)のお子さんから使えます。生後3か月未満の乳児・新生児を対象とした試験は行われていないため、その年齢では使いません。お子さんには基本的に0.3%を使い、症状に応じて1%を使うことがあります。赤ちゃんの湿疹はアトピー性皮膚炎のほかに乳児湿疹・よだれかぶれ・あせもなどの可能性があり、見分けが必要です。まず診察を受けてください。
1日に塗ってよい量や範囲に制限はありますか? 一度に何本まで出せますか?+
モイゼルト軟膏には、1回あたりの塗布量や塗ってよい面積の上限が用法・用量に定められていません。広い範囲に湿疹がある方でも範囲を気にせず塗れます。本数についての処方制限が薬に定められているわけではありません。1回にお出しする本数は、湿疹の範囲と次の受診までの期間から必要量を計算して決めています。足りない、余っているといったことがあれば診察でお知らせください。
効果はどれくらいで出ますか? いつまで塗り続けますか?+
まずは4週間を目安に評価します。かゆみが先に軽くなり、赤みやゴワゴワが遅れて引いてくる方が多い薬です。数か月かけて徐々に良くなり、その状態が保たれることも報告されています。使用期間の上限は定められておらず、長く続けられる薬です。良くなったあとも週に数回塗り続けるプロアクティブ療法をとると、ぶり返しまでの間隔をあけやすくなります。やめかたは診察で相談しながら段階的に決めます。
塗ったのに効きません。悪化した気もします。+
塗る量が足りない、1日2回ではなく1回になっている、良くなった時点でやめて再燃している、といった原因がよくあります。まず塗りかたを見直します。炎症が強い時期にモイゼルト軟膏だけで始めると効きが足りないことがあり、その場合はステロイド外用薬を組み合わせます。塗りはじめに一時的なヒリヒリ感やかゆみが出ることもあり、数日で和らぐことが多いですが、痛みが続くときは続けずにご相談ください。2〜4週間しっかり塗っても改善しないときは、白癬やカンジダ、ヘルペスなど別の病気が混じっていないか診断を見直します。
色素沈着が心配です。モイゼルト軟膏のせいでしょうか?+
湿疹をかき続けたあとに残る茶色い色の多くは、炎症そのものが原因の炎症後色素沈着です。炎症が治まると数か月から1年ほどかけて自然に薄くなり、多くは治ります。一方で、モイゼルト軟膏の副作用としても色素沈着が報告されています。どちらによるものかは、色がついた時期と塗った部位の関係から判断しますので、気になる変化があれば診察でお知らせください。
保湿剤やほかの塗り薬と混合してもいいですか? 塗る順番はありますか?+
混ぜずに、別々に塗ってください。順番はどちらが先でも構いませんが、先に保湿剤を全体に塗り、少し置いてから湿疹のある部分にモイゼルト軟膏を重ねる方法がわかりやすいです。ステロイド外用薬と併用するときは、同じ場所に重ね塗りせず、顔と体のように部位で塗り分けるのが基本です。モイゼルト軟膏は軟膏の基剤による保湿効果が多少ありますが、保湿剤の代わりにはなりませんので、保湿は別に続けてください。
市販薬はありますか? 代用になる薬をドラッグストアで買えますか?+
モイゼルト軟膏は医療用医薬品で、市販薬としては販売されていません。同じ成分(ジファミラスト)の市販薬も、代用になる市販薬もありません。市販のステロイド外用薬は弱いランクが中心で、アトピー性皮膚炎の炎症には力不足のことがあります。長引く湿疹を市販薬で様子見せず、一度診察を受けてください。
コレクチム軟膏やプロトピック軟膏とはどう違いますか?+
3剤ともステロイド以外の塗り薬ですが、効くしくみが違います。モイゼルト軟膏はPDE4阻害薬、コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)は塗るJAK阻害薬、プロトピック軟膏(タクロリムス)はカルシニューリン阻害薬です。どれが優れているというものではなく、症状の強さ、塗る部位、年齢、これまでの効きかたや刺激感の出かたを見て選びます。それぞれの詳しい説明は各ページをご覧ください。
内科でも処方してもらえますか?+
できます。当院は内科・皮膚科・アレルギー科を標ぼうしており、どの診療科でご予約いただいてもアトピー性皮膚炎の診察と処方を行えます。内科の受診のついでにご相談いただいても構いません。ぜんそくやアレルギー性鼻炎を合併している方は、まとめて診られる利点があります。
豊洲イーウェルクリニック
湿疹とかゆみが続いている方へ

モイゼルト軟膏が合うかどうかは、湿疹の種類と部位、年齢、これまでに使った薬の効きかたによって変わります。いま使っている塗り薬の見直しから、ステロイド外用薬・コレクチム軟膏・プロトピック軟膏・ブイタマークリームを含めた選び直しまでご相談いただけます。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」
  2. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療用医薬品情報検索

本ページは一般的な情報提供を目的としています。薬の選択は症状・年齢・部位・持病・併用薬・妊娠の希望をふまえて診察のうえで決めます。効果の出かたには個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるものではありません。費用は2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。記載は2026年8月時点の情報です。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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