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重度なスギ花粉症でお悩みな方へのゾレアによる治療

XOLAIR

豊洲の重症スギ花粉症へのゾレア(オマリズマブ)受けられる条件と費用

飲み薬と点鼻薬を続けてもスギ花粉症の症状が抑えきれない方に対する注射薬です。健康保険が使えますが、誰でも受けられる薬ではありません。年齢・重症度・血液検査の3つで対象になるかどうかが決まります。このページでは、その条件と実際にかかる費用、始める時期を、省略せずにご説明します。

豊洲駅 徒歩3分保険適用(自由診療ではありません)12歳以上・条件あり豊洲駅徒歩3分
ABOUT

ゾレア(オマリズマブ)はどんな注射薬か

アレルギー反応が起こる手前を抑える注射です

ゾレア(一般名オマリズマブ、英語表記Xolair)は、スギ花粉によってつくられたIgE抗体に結合し、IgEがマスト細胞と結びつくのを邪魔する注射薬です。くしゃみや鼻水を起こす物質が出てから抑えるのではなく、アレルギー反応が始まる手前で止めにいく、という考え方の薬です。

抗ヒスタミン薬(飲み薬)や鼻噴霧ステロイド薬(点鼻薬)とはしくみが違います。そのためゾレアは、これらの薬を「やめて置き換える」薬ではなく、これまでの治療に上乗せして使う薬です。ゾレアを始めたあとも飲み薬・点鼻薬は続けていただきます。

重症・最重症のスギ花粉症に対して健康保険が使えます。花粉症治療のなかでは新しい部類の薬ですが、自由診療ではありません。ただし後述のとおり、投与を始めるための条件が細かく決められている薬です。

ゾレアは、血液中を流れているIgEにくっついて、マスト細胞の表面に付けなくする薬です。症状をその場で止める薬ではなく、反応が起こる手前を抑えます。図はクリックすると拡大できます。

花粉症の「注射」といっても、ステロイドの注射とは別のものです

「花粉症の注射」という言葉で、ステロイドの筋肉注射(デポ剤の注射)を思い浮かべる方が多くいらっしゃいます。ゾレアはこれとはまったく別の薬です。

ステロイドの筋肉注射は、1回打つと効果が数週間続く反面、途中で副作用が出ても薬を取り除くことができません。鼻アレルギー診療ガイドラインでも推奨されておらず、当院では花粉症に対して行っておりません。

ゾレアは皮下注射で、2週間ごとまたは4週間ごとに投与します。全身のホルモンバランスに作用する薬ではなく、IgEという特定の分子だけを狙います。花粉症に対して健康保険で認められている注射による治療は、現在のところゾレアです。

比べるところ ゾレア(オマリズマブ) ステロイドの筋肉注射
打ち方 皮下注射(2週または4週ごと) 筋肉注射(1回で数週間)
作用のしかた IgEという分子だけを狙う 全身の免疫・ホルモンに広く作用する
途中でやめられるか 次回の注射を見合わせれば止められる 一度打つと体から取り除けない
保険での位置づけ 重症・最重症のスギ花粉症に保険適用 鼻アレルギー診療ガイドラインで推奨されていない
当院での取り扱い 行っています 行っておりません

ステロイドの飲み薬(セレスタミン、サンベタゾンなどの配合剤)は、症状が強いときに短期間だけ使うことがあります。注射のデポ剤とは分けて考えます。

ゾレアが使える病気・使えない病気(猫アレルギーやイネ科は対象外です)

ゾレアは「アレルギー全般に効く注射」ではありません。国内で保険が認められているのは、気管支喘息、季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)、特発性の慢性じんま疹の3つで、それぞれに別々の条件があります。

猫アレルギー、犬アレルギー、ダニ・ハウスダストによる通年性のアレルギー性鼻炎、イネ科花粉(カモガヤ・オオアワガエリ)、ブタクサなどの雑草花粉、食物アレルギーに対しては、ゾレアの保険適用はありません。これらの症状で「ゾレアを打ってほしい」というご相談をいただくことがありますが、お受けできません。

ヒノキ花粉についても同じ考え方になります。条件にスギ特異的IgE抗体の陽性が含まれるため、ヒノキだけに反応している方は対象になりません。この点は後ほど詳しくご説明します。

猫・犬・ダニによる鼻炎でお困りの方には、飲み薬と点鼻薬の組み立て直し、ダニについては舌下免疫療法という選択肢があります。診察でご相談ください。

どのくらい効きますか・効かないと感じるとき

臨床試験では、飲み薬・点鼻薬に上乗せしてゾレアを使うことで、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの鼻症状スコアと、目のかゆみ・涙目の眼症状スコアが改善したことが報告されています。ただし効き方には個人差があり、症状がまったくなくなるわけではありません。ゾレアは症状を軽くすることを目指す薬です。

「思ったより効かない」と感じるとき、当院では次の順に確かめます。第一に、開始の時期が花粉の飛散のピークに間に合っていたか。効果が現れるまでには時間がかかるため、ピークの直前や最中に始めると、そのシーズンは十分に体感できないことがあります。

第二に、これまでの飲み薬・点鼻薬をきちんと併用できているか。ゾレアを始めたことで内服をやめてしまうと、かえって症状が戻ることがあります。第三に、投与量と投与間隔が体重・血清総IgE値に対して適切か。これらは血液検査の結果で決まりますが、体重が大きく変わった場合などは見直しの対象になります。

第四に、いま出ている症状が本当にスギ花粉症によるものか。ヒノキやイネ科の花粉が重なっている、副鼻腔炎(蓄膿症)を合併している、血管運動性鼻炎が背景にあるといった場合、ゾレアだけでは症状が残ります。ここは診察で鼻の中を確認して判断します。

飲み薬・点鼻薬に上乗せしてゾレアを使ったときの鼻症状の重症度スコアです。くしゃみ・鼻汁・鼻閉のいずれもプラセボ群より低くなっていますが、ゼロにはなっていません。ゾレアは症状を軽くすることを目指す薬だとお考えください。図はクリックすると拡大できます。

このページは重症スギ花粉症に対するゾレアについてご説明しています。じんま疹に対するゾレア、気管支喘息やアトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤は、それぞれ別のページにまとめています。

ELIGIBILITY

受けられるかどうか — 5つの条件

5つすべてを満たす必要があります

ゾレアは、投与を始める前の確認事項が細かく決められている薬です。次の5つをすべて満たすことが必要で、ひとつでも外れると保険で投与を開始できません。「重症の花粉症だから使える」というものではない点にご注意ください。

条件を満たすかどうかを確かめるために、投与を始める前に数回の受診が必要になります。血液検査の結果は当日にはお出しできないため、少なくとも検査の日と結果をご説明する日が別になります。

12歳以上であること
スギ花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)で、重症または最重症であること
抗ヒスタミン薬・鼻噴霧ステロイド薬などの既存の治療を1週間以上続けても、効果が不十分であること
スギ花粉に対する特異的IgE抗体が陽性(クラス3以上)であること
血清総IgE値と体重の組み合わせが、投与量を決められる範囲に入っていること(血清総IgE値30〜1500 IU/mL、体重20〜150kg)

「重症・最重症」はどう判定しますか

重症度は、くしゃみの回数、鼻をかむ回数、鼻づまりの程度の3つで判定します。3つのうちいちばん強い症状で決まります。最重症は「最重度」と表現されることもあります。たとえばくしゃみが中等症でも、鼻づまりが重症であれば重症と判定します。

下の表はご自身の状態を確かめるための目安です。実際の判定は診察で行います。ご自身で「重症だと思う」という段階から、診察と検査で条件を満たすかどうかを一緒に確認していきます。

症状(1日あたり) 中等症 重症 最重症
くしゃみの回数 6〜10回 11〜20回 21回以上
鼻をかむ回数 3〜5回 6〜10回 11回以上
鼻づまりの程度 強く、ときどき口呼吸になる かなり強く、しばしば口呼吸になる 1日中つまり、ほとんど口呼吸

鼻アレルギー診療ガイドラインの重症度分類にもとづく目安です。ゾレアの対象になるのは重症・最重症の方です。中等症までの方は、まず飲み薬と点鼻薬の組み立てを見直します。

くしゃみ・鼻をかむ回数(横)と鼻づまりの程度(縦)が交わるマスが、ご自身の重症度です。2つの症状のうち強いほうで決まります。図はクリックすると拡大できます。

スギ特異的IgE抗体が「クラス3以上」であること

血液検査でスギ花粉に対する特異的IgE抗体を測り、クラス3以上であることが条件です。クラス0からクラス6までの7段階のうち、クラス3は3.50〜17.4 UA/mLにあたります。クラス2以下の方は、症状が強くてもゾレアの対象にはなりません。

「スギがレベル3と言われた」「クラス3だった」という健康診断や以前の検査結果をお持ちの方は、診察のときにお持ちください。1年以内の結果があれば、あらためて測り直さずに済むことがあります。

なお、クラス3以上であることは、症状が重いことを意味するわけではありません。抗体の量と症状の強さは必ずしも一致しないため、重症度の判定は別に行います。

ヒノキ花粉症だけの方は対象になりません

ここは間違えやすいところです。ゾレアが保険で認められている条件にはスギ特異的IgE抗体の陽性が含まれるため、ヒノキ花粉だけに反応している方はゾレアの対象になりません。「ヒノキの時期がいちばんつらいのでゾレアを打ちたい」というご相談は多いのですが、ヒノキのみを理由に投与を始めることはできません。

一方で、スギとヒノキの両方に感作されている方は多くいらっしゃいます。この場合はスギ花粉症としてゾレアの対象になり、治療を受けている期間にヒノキの飛散時期(例年4月がピークで6月ごろまで)が重なります。結果としてヒノキの時期のつらさもあわせて和らぐことがあります。「ヒノキのために使う」のではなく「スギ花粉症の治療期間にヒノキの季節が含まれる」という関係です。

ご自身がスギとヒノキのどちらに反応しているかは、血液検査で別々の項目として調べられます。ヒノキだけが陽性という結果であれば、飲み薬と点鼻薬による治療を組み立て直すことになります。

血清総IgE値と体重で、1回の量と間隔が決まります

ゾレアは全員が同じ量を打つ薬ではありません。投与を始める前の血清総IgE値(非特異的IgE)と体重の組み合わせで、1回の投与量(75mgから600mg)と投与間隔(2週間ごとまたは4週間ごと)が決まります。

この組み合わせには決められた範囲があり、血清総IgE値が30 IU/mL未満または1500 IU/mLを超える場合、体重が20kg未満または150kgを超える場合は、投与量を決められないため使用できません。総IgE値が高すぎても低すぎても対象外になる、という点は意外に思われる方が多いところです。

たとえば血清総IgE値90 IU/mL・体重67kgの方であれば、150mgを4週間ごとという組み合わせになります。ご自身の量がいくつになるかは、検査の結果が出てからのご説明になります。

スギ花粉に対する特異的IgEと、血清総IgEは別の検査です。ゾレアを検討する場合は両方を測ります。

投与前の血清総IgE値(縦)と体重(横)が交わるマスが、ご自身の1回の投与量です。左半分が4週間ごと、右半分が2週間ごとの投与になります。白いマスは投与量を決められないため対象外です。図はクリックすると拡大できます。

1か月の薬剤費(投与量ごとの一覧)

上の換算表で決まった1か月あたりのシリンジの本数から、薬剤費が決まります。下の表は、その組み合わせごとの1か月の薬剤費と窓口でのご負担額です。

この金額は薬剤費のみです。これとは別に、診察料・注射の手技料・血液検査の費用がかかります。

型 1か月に使うシリンジ 薬剤費(10割) 3割負担 2割負担 1割負担
A 75mg 1本 11,476円 3,444円 2,296円 1,148円
B 150mg 1本 20,822円 6,246円 4,164円 2,082円
C 75mg 1本・150mg 1本 32,298円 9,690円 6,460円 3,230円
D 150mg 2本 41,644円 12,492円 8,328円 4,164円
E 150mg 3本 62,466円 18,741円 12,494円 6,247円
F 150mg 4本 83,288円 24,987円 16,658円 8,329円
G 75mg 2本・150mg 2本 64,596円 19,380円 12,920円 6,460円
H 150mg 4本 83,288円 24,987円 16,658円 8,329円
I 75mg 2本・150mg 4本 106,240円 31,872円 21,248円 10,624円
J 150mg 6本 124,932円 37,479円 24,986円 12,493円
K 75mg 2本・150mg 6本 147,884円 44,364円 29,576円 14,788円
L 150mg 8本 166,576円 49,974円 33,316円 16,658円

2026年8月12日時点の薬価(ゾレア皮下注75mgシリンジ 11,476円/150mgシリンジ 20,822円)にもとづく計算です。薬価は改定によって変わります。ご自身がどの型になるかは、血液検査の結果と体重が分かってからのご案内になります。

年齢や所得による負担割合の違いまで含めた一覧です。ただしこの図の金額は2024年4月時点の薬価にもとづくもので、現在の薬価とは差があります。実際の金額は上の表をご覧ください。

開始前に必要な検査と、その費用

必要なのは、スギ特異的IgE抗体(クラス3以上かどうか)と血清総IgE値(投与量の決定)、そして体重です。すでにスギの検査結果をお持ちの方でも、血清総IgE値が測られていないことが多く、その場合は追加で採血します。

費用は、健康保険3割負担で次のとおりです。診察料は別にかかります。飛散期に入る前、できれば1月から2月のうちに検査を済ませておくと、シーズンに入ってからの判断がスムーズです。

検査 内容 3割負担の目安
スギ特異的IgE+血清総IgE ゾレアの判断に必要な最小限の組み合わせ 約1,180円
特異的IgE 13項目+血清総IgE View39など39項目をまとめて調べる検査。スギ・ヒノキ・イネ科・ダニなどを一度に確認できます 約5,140円

診療報酬点数から計算した検査料の目安です(特異的IgE半定量・定量110点/1項目、保険で算定できる上限は13項目、非特異的IgE定量100点、免疫学的検査判断料144点、静脈採血40点)。別に初診料または再診料がかかります。血液検査は外部の検査機関に提出するため、結果は後日のご説明になります。当日その場ではお伝えできません。2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。

TREATMENT

治療の進め方

いつ始めますか(飛散が始まって、症状が出てからです)

ここが舌下免疫療法といちばん違うところです。ゾレアは、花粉が飛び始める前に予防的に打つ薬ではありません。スギ花粉の飛散が始まり、飲み薬と点鼻薬を1週間以上続けても症状が抑えきれない、と確認できた段階で投与を開始します。「既存治療で効果不十分であること」が条件に入っているためです。

当院では、例年2月から4月にかけて投与しています。症状が早くから出る方や長引く方では、1月や5月に投与することもあります。治療の効果を感じていただくためには、遅くとも3月までに開始することをおすすめしています。4月に入ってから始めると、スギの飛散が終わりに近づいており、そのシーズンに体感できる期間が短くなるためです。

逆算すると、1月から2月のうちに受診して、重症度の確認と血液検査を済ませておくのが現実的です。「つらくなってから考えよう」だと、検査の結果が出て条件を確認するまでにピークが過ぎてしまうことがあります。

一年中続ける薬ではありません。その年のスギ花粉の飛散が終われば終了します。

1回の量・投与間隔・製剤の種類

1回の投与量は75mgから600mgまでの範囲で、血清総IgE値と体重によって決まります。投与間隔は2週間ごとまたは4週間ごとです。皮下注射で、上腕や腹部などに打ちます。「どこに打つのか」というご質問をよくいただきますが、静脈に入れる点滴ではなく、皮膚のすぐ下に少量を注射します。

製剤にはシリンジ(注射器にあらかじめ薬液が入ったもの)、ペン(オートインジェクター)、バイアル(粉末を溶かして使うもの)があります。300mgのように量が多い場合は、複数本に分けて注射することがあります。

ゾレアの注射は当院で行います。ご自身での購入や個人輸入はできません。医師の診察と検査にもとづいて投与量を決める薬であり、そのつど体調を確認したうえで注射します。

1回の投与量 使用する製剤の例 1回の薬剤費(3割) 4週ごとの場合(月) 2週ごとの場合(月)
75mg 75mgシリンジ 1本 約3,440円 約3,440円 約6,880円
150mg 150mgシリンジ 1本 約6,250円 約6,250円 約12,500円
225mg 150mg+75mg 約9,690円 約9,690円 約19,380円
300mg 300mgペン 1本 約11,800円 約11,800円 約23,600円
450mg 300mg+150mg 約18,050円 約18,050円 約36,100円
600mg 300mg 2本 約23,600円 約23,600円 約47,200円

1回の投与量と投与間隔は、血清総IgE値(30〜1500 IU/mL)と体重(20〜150kg)の組み合わせで決まります。ご自身がどこに当てはまるかは、検査の結果をもとに診察でお伝えします。2026年8月時点の薬価(75mgシリンジ11,476円・150mgシリンジ20,822円・300mgペン39,329円)にもとづく目安で、これとは別に再診料と注射の手技料があわせて約300円かかります。ひと月の自己負担は最も多い場合でも約47,800円で、70歳未満・区分ウ(上限80,100円台)の方はゾレアだけでは高額療養費の上限に届かないことが多い点にご注意ください。

1シーズンの通院回数と流れ

投与期間は臨床試験にもとづき12週間程度が目安です。4週間ごとの方は3回、2週間ごとの方は6回程度の注射になります。これに、開始前の重症度の確認と血液検査、結果のご説明が加わります。

注射後は、アナフィラキシーなどの急な反応が起きないことを確認するため、しばらく院内で経過をみさせていただきます。診療終了間際ではなく、時間に余裕をもってご来院ください。

注射は来院が必要です。オンライン診療で完結させることはできません。飲み薬の処方や経過のご相談についてはオンライン診療をご利用いただける場合があります。

1〜2月 診察で重症度を確認し、スギ特異的IgEと血清総IgEを採血
数日後 検査結果のご説明。条件を満たすかどうかを確認し、投与量と間隔を決定
2〜4月 2週間ごとまたは4週間ごとに皮下注射(12週間程度)
飛散終了後 そのシーズンの治療は終了。翌シーズンの方針をご相談

毎年打つ必要がありますか・飲み薬はやめられますか

ゾレアはスギ花粉のシーズンごとに行う治療です。飛散が終われば中止し、翌シーズンに症状が強く出るようであれば、その年の状態をみてあらためて判断します。一度打てば来年以降は不要になる、という薬ではありません。体質そのものを変える治療をお考えであれば、舌下免疫療法が該当します。

翌シーズンも受ける場合、条件の確認は改めて行います。体重が変わっていれば投与量が変わることがあり、血清総IgE値の再検査が必要になる場合もあります。

飲み薬と点鼻薬は、ゾレアの注射期間中も注射のあとも続けていただきます。ゾレアは既存の治療に上乗せする薬であり、置き換える薬ではありません。「注射をしたから薬は飲まなくてよい」という使い方はしません。

副作用と、すぐに受診していただきたい症状

もっとも多いのは注射した部位の反応です。赤み、腫れ、痛み、かゆみ、しこりなどで、多くは数日で軽くなります。「注射が痛いか」というご質問をいただきますが、皮下注射のため強い痛みを伴うものではなく、痛みの感じ方には個人差があります。

このほか、頭痛、発熱、だるさ、じんま疹、吐き気や下痢などの消化器の症状が報告されています。いずれも頻度は高くありませんが、注射のあと数日のあいだに気になる症状が出た場合はお知らせください。「副作用はいつまで続くのか」については、注射部位の反応は数日で治まることがほとんどです。長引く場合や、注射のたびに強くなる場合は次回の投与前にご相談ください。

まれにアナフィラキシー(急激で全身性のアレルギー反応)が報告されています。多くは投与後2時間以内に起こりますが、それ以降に生じた報告もあります。過去に薬や食べ物で強いアレルギー反応を起こしたことがある方は、必ず事前にお知らせください。

次の症状が出たときは、様子をみずにすぐ医療機関へご連絡ください。息苦しさ、ゼーゼーする、のどや胸が締めつけられる感じ、声がかすれる、全身に広がるじんま疹、まぶたや唇の強い腫れ、繰り返す嘔吐や強い腹痛、めまいや意識が遠のく感じ、血圧が下がったときの冷や汗・顔面蒼白。

妊娠中・授乳中の方、持病のある方(糖尿病、高血圧、肝臓や腎臓の病気など)、ほかに使っているお薬がある方は、診察のときにお知らせください。投与の可否と注意点を個別に判断します。寄生虫感染のリスクが高い地域へ渡航される予定がある方も、あわせてご相談ください。

起こりうること どのくらいの頻度か どうするか
注射した場所の赤み・腫れ・痛み・かゆみ・しこり もっとも多い 多くは数日でおさまります。冷やすと楽になることがあります。毎回強くなる場合は次の投与前にご相談ください
頭痛 ときどき 数日で軽くなることがほとんどです。強い場合や続く場合はお知らせください
鼻やのどの症状(鼻咽頭炎) ときどき かぜとの区別がつきにくいことがあります。長引く場合はご相談ください
発熱・だるさ まれ 注射のあと数日以内に出ることがあります。高熱が続くときは受診してください
吐き気・下痢などの消化器症状 まれ 軽ければ様子をみられますが、続く場合はご相談ください
めまい まれ 注射直後にふらつくことがあります。落ち着くまで院内でお待ちください
アナフィラキシー(急激で全身性のアレルギー反応) まれ(多くは投与後2時間以内) ただちに救急要請が必要です。下の症状をご確認ください

体重が増えるという副作用は、主なものとしては報告されていません。妊娠中・授乳中の方、持病のある方、ほかに使っているお薬がある方は、診察のときにお知らせください。寄生虫感染のリスクが高い地域へ渡航される予定がある方も、あわせてご相談ください。

注射のあとの過ごし方(お酒・運動・入浴)

ゾレアの添付文書に、飲酒や運動を一律に禁止する記載はありません。ただし注射当日は、注射した部位を強くこすったり、もんだりしないでください。入浴は差し支えありませんが、注射部位を強く洗うのは避けてください。

激しい運動や飲酒は、体調の変化とアレルギー反応の区別をつきにくくします。注射した日は、いつもより控えめに過ごしていただくほうが安心です。注射のあとに体調の変化を感じた場合は、無理をせず当院にご連絡ください。

車の運転についても、ゾレアそのものによる制限はありません。ただし併用している抗ヒスタミン薬に眠気が出るものがあります。運転をされる方は、飲み薬の種類を診察のときにご相談ください。

舌下免疫療法とどちらを選びますか

重症のスギ花粉症でご相談の多い選択肢は、ゾレアと舌下免疫療法(シダキュア)の2つです。この2つは競合するものではなく、始められる時期も、ねらいも、かかる年数も違います。

いちばん大きな違いは開始時期です。舌下免疫療法は花粉が飛んでいない6月から12月にしか新しく始められません。ゾレアは逆に、飛散が始まって症状が出てから始めます。つまり、いま何月かによって選べるものが決まります。

現実的な組み立ては「今シーズンはゾレアと飲み薬でしのぎ、飛散が終わった6月以降に舌下免疫療法を始める」という順序です。同じ年に両方を受けることもできます。

比べるところ ゾレア(オマリズマブ) 舌下免疫療法(シダキュア)
始められる時期 飛散が始まり症状が出てから(例年2〜4月) 花粉が飛んでいない6月〜12月
対象年齢 12歳以上 5歳以上
続ける期間 その年の飛散が終わるまで(12週間程度) 3〜5年間、毎日
通う頻度 2週間または4週間ごとに注射 開始後は原則1ヶ月ごと
ねらい いま出ているつらい症状を抑える 体質そのものを変えていく
費用(3割負担) 1シーズン 約1万円〜14万円 3年で約7万円、5年で約11万円
主な条件 重症・最重症、スギ特異的IgEクラス3以上、総IgEと体重の範囲 スギ花粉症の診断がついていること

どちらも健康保険が使えます。舌下免疫療法はスギのほかダニにも対応しており、ダニは季節を問わず一年中いつでも開始できます。初回はクリニックで服用し、そのあと30分間、院内で様子をみさせていただきます。

当院ではゾレアのほか、デュピクセントなどの生物学的製剤も扱っています。喘息やアトピー性皮膚炎でデュピクセントを使っている方から、スギ花粉症のためにゾレアへ切り替えられるかというご相談をいただくことがあります。病気ごとに保険で認められている薬が違うため、切り替えではなく、それぞれの病気に対してどの薬が適しているかという形で検討します。じんま疹や気管支喘息、アトピー性皮膚炎を合併している方は、あわせてご相談ください。

COST

費用の目安

ゾレアは健康保険が使えます。自由診療ではありません。ただし薬の値段が高いため、自己負担は飲み薬や点鼻薬よりかなり大きくなります。3割負担の場合の目安をお示しします。

金額は1回の投与量(75mg〜600mg)と投与間隔(2週ごと・4週ごと)で大きく変わり、これは血清総IgE値と体重で決まります。ご自身の金額は検査の結果が出た時点でお伝えできます。75mgを4週間ごとの方であれば1ヶ月あたり約3,700円、150mgを4週間ごとの方であれば約6,500円、600mgを2週間ごとの方であれば約47,800円が目安です。1ヶ月の医療費の自己負担が高額になった場合は、高額療養費制度の対象になります。あらかじめ加入している健康保険に限度額適用認定証を申請しておくと、窓口でのお支払いを自己負担限度額までに抑えられます。ただし70歳未満で年収がおおむね370万円以上の区分では自己負担限度額が80,100円台となるため、ゾレアだけでは限度額に届かず、制度の対象にならないことが多くなります。ほかの治療や入院と合算して高額になる場合、住民税非課税の区分に該当する場合は対象になり得ますので、加入している健康保険にご確認ください。自治体の医療費助成(子ども医療証など)をお持ちの方は、通常の保険診療と同じ扱いになります。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安で、改定により変わります。

FAQ

よくある質問

ゾレアは自由診療(自費)ですか?+
いいえ。重症・最重症のスギ花粉症で、既存の治療を1週間以上続けても効果が不十分な12歳以上の方であれば、健康保険が使えます。ただしスギ特異的IgE抗体がクラス3以上であること、血清総IgE値と体重の組み合わせが投与量を決められる範囲にあることが条件です。条件を満たさない方に自費で投与することは行っておりません。
費用はいくらかかりますか?+
3割負担の場合、薬剤費が1回あたり約3,440円(75mg)から約23,600円(600mg)です。これに再診料と注射の手技料(あわせて約300円)が加わります。1シーズン(12週間程度)の合計は約1万円から14万円が目安で、1回の量と間隔によって大きく変わります。量と間隔は血清総IgE値と体重で決まるため、正確な金額は検査の結果が出た時点でお伝えします。
ヒノキ花粉症です。ゾレアは受けられますか?+
ヒノキ花粉だけに反応している方は対象になりません。ゾレアの条件にスギ特異的IgE抗体の陽性が含まれるためです。ただしスギとヒノキの両方に反応している方は多く、その場合はスギ花粉症としてゾレアの対象になり、治療期間にヒノキの飛散時期が重なります。どちらに反応しているかは血液検査でわかります。
いつ受診すればよいですか。花粉が飛ぶ前に打っておけますか?+
飛散前に予防として打つことはできません。飛散が始まり、飲み薬と点鼻薬を1週間以上続けても症状が抑えきれないことを確認してから開始します。ただし重症度の確認と血液検査は先に済ませておけるため、1月から2月のうちにご受診いただくのが現実的です。効果を感じていただくためには、遅くとも3月までの開始をおすすめしています。
いつまで続けるのですか。毎年打つ必要がありますか?+
その年のスギ花粉の飛散が終わるまでです。投与期間は12週間程度が目安で、一年中続ける薬ではありません。スギ花粉のシーズンごとに行う治療のため、翌シーズンも症状が強ければあらためて検討します。一度打てば以後不要になる薬ではありません。体質そのものに働きかける治療をお考えであれば、舌下免疫療法をご検討ください。
副作用はいつまで続きますか。下痢や発熱は起こりますか?+
もっとも多い注射部位の赤み・腫れ・痛みは、多くの場合数日で軽くなります。このほか頭痛、発熱、だるさ、じんま疹、吐き気や下痢などが報告されていますが、頻度は高くありません。まれにアナフィラキシーが起こることがあり、多くは投与後2時間以内です。息苦しさ、全身のじんま疹、めまい、意識が遠のく感じが出た場合はすぐにご連絡ください。
ゾレアを打てば飲み薬をやめられますか?+
いいえ。ゾレアは飲み薬・点鼻薬に上乗せして使う薬で、置き換える薬ではありません。注射期間中も、注射のあとも、抗ヒスタミン薬などの内服は続けていただきます。内服をやめてしまうと症状が戻り、「ゾレアが効かない」と感じる原因になります。
猫アレルギーやハウスダスト、イネ科の花粉症にも使えますか?+
使えません。国内でゾレアの保険適用があるのは、気管支喘息、季節性アレルギー性鼻炎(スギ花粉症)、特発性の慢性じんま疹の3つです。猫・犬・ダニ・イネ科・雑草花粉・食物アレルギーは対象外です。ダニによる鼻炎であれば舌下免疫療法という選択肢がありますので、診察でご相談ください。
効き目はいつから出ますか。効果が出るまでどのくらいかかりますか?+
効果の現れ方には個人差があります。1回目の注射で変化を感じる方もいれば、2回目以降に感じる方もいます。そのため効果の判定は、複数回投与したうえで行います。注意していただきたいのは、スギ花粉の飛散のピーク直前や最中に始めると、そのシーズンに体感できる期間が短くなることです。遅くとも3月までの開始をおすすめしているのはこのためです。
何月まで続けますか。効果はどのくらいの期間続きますか?+
その年のスギ花粉の飛散が終わる時期まで、12週間程度が目安です。例年ですと2月から4月に投与し、5月ごろに終了する方が多くなります。ゾレアの効果は投与している期間に対するもので、注射をやめたあとも長く続くというものではありません。翌シーズンも症状が強ければ、その年にあらためて検討します。
ゾレアにジェネリック(後発品)はありますか。費用は下がりますか?+
当院ではゾレア(先発品)を用いています。費用は薬価によって決まり、薬価は改定されることがあります。現在の3割負担での目安は上記のとおりです。ご自身の金額は投与量が決まった時点で具体的にお伝えします。
公費の医療費助成や生活保護を受けています。受けられますか?+
ゾレアは保険診療のため、自治体の医療費助成(子ども医療証など)や生活保護の医療扶助をお持ちの方も、通常の保険診療と同じ扱いになります。お持ちの受給者証を受付にご提示ください。適用の範囲はお持ちの制度によって異なりますので、詳しくは受付にお尋ねください。
注射のあと、お酒や運動は控えたほうがよいですか?+
添付文書に飲酒や運動を一律に禁止する記載はありません。ただし注射当日は注射部位を強くこすらず、激しい運動や飲酒は控えめにしてください。体調の変化とアレルギー反応の区別がつきにくくなるためです。入浴は差し支えありませんが、注射部位を強く洗うのは避けてください。
オンライン診療で受けられますか。自分で購入することはできますか?+
注射のため来院が必要です。オンライン診療で完結させることはできません。またゾレアはご自身での購入や個人輸入ができる薬ではありません。検査にもとづいて投与量を決め、そのつど体調を確認したうえで医療機関で注射します。
豊洲イーウェルクリニック
重症スギ花粉症のご相談はWEB予約から

毎年、飲み薬も点鼻薬も使っているのに仕事や睡眠に差し支えている。そういう段階の方に向けた治療です。ゾレアの対象になるかどうかは、重症度の確認と血液検査で判断します。飛散のピークに間に合わせるためには、1月から2月のご受診をおすすめします。豊洲駅から徒歩3分、江東区豊洲のクリニックです。土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会「鼻アレルギー診療ガイドライン ― 通年性鼻炎と花粉症 ― 2024年版(改訂第10版)」
  2. 環境省「花粉症環境保健マニュアル」

本ページは一般的な情報提供を目的としています。ゾレアの対象になるかどうか、投与量と間隔は、症状・重症度・年齢・体重・血液検査の結果・持病・併用薬をふまえて診察のうえで判断します。費用は2026年8月時点の診療報酬点数および薬価から算出した目安で、改定により変わります。記載は2026年8月時点の情報です。

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