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ステロイド外用薬

STEROID

ステロイド外用薬強さのランクと塗り方

 

ステロイドの塗り薬は、正しく使えば湿疹や皮膚炎をもっとも確実に鎮めてくれる薬です。一方で「怖い」「一生やめられない」「皮膚が黒くなる」といった話も広く流れています。強さの5段階、部位ごとの使い分け、塗る量と期間、そして実際に起こりうる副作用を、事実にもとづいて一つずつ整理しました。

豊洲駅 徒歩3分強さ5段階の一覧部位別の使い分け
ABOUT

ステロイド外用薬とは

ステロイド外用薬とは、炎症を抑える塗り薬です

ステロイド外用薬とは、副腎皮質ホルモン(コルチコステロイド)を成分とする、皮膚に塗るタイプの薬です。ステロイド外用剤とは、ステロイド剤とは、ステロイド薬とは、と言い換えても指しているものは同じです。ステロイド外用剤、外用ステロイド、ステロイド剤、ステロイド薬、ステロイド軟膏、ステロイドの薬、ステロイドの塗り薬、皮膚の薬(皮膚薬)など、いろいろな呼びかたをされますが、いずれも同じものを指しています。剤形が軟膏であればステロイド軟膏、クリームであればステロイドクリーム、ローションであればステロイドローションと呼ばれます。

そもそも外用薬とは、皮膚や粘膜に直接つける薬の総称です。簡単にいえば、飲み薬(内服薬)や注射に対して、塗る・貼る・つけるタイプの薬をまとめてこう呼びます。軟膏、クリーム、ローション、スプレー、テープなどが含まれます。

副腎皮質ホルモンはもともと体の中でつくられているホルモンで、免疫のはたらきを抑え、炎症を鎮める作用を持っています。これを薬にして皮膚に塗ると、赤み、腫れ、じくじく、そしてかゆみのもとになっている炎症そのものを抑えることができます。かゆみ止めではなく、かゆみを生んでいる炎症を止める薬だ、と考えるとわかりやすいと思います。

ステロイドの塗り薬は1950年代から使われてきた、長い実績のある薬です。効きめの強さによって5つのランクに分けられており、症状の強さと塗る部位に合わせて選びます。

飲むステロイドと、塗るステロイドは別のものです

「ステロイドの副作用」として語られていることの多くは、飲み薬や注射のステロイド(全身投与)のものです。塗り薬とは体に入る量が大きく違うため、そのまま当てはめることはできません。

飲み薬のステロイドを長く続けると、顔がまるくなる、体重が増える、血糖値が上がる、血圧が上がる、骨がもろくなる、感染症にかかりやすくなる、眠りにくくなる、胃の粘膜が荒れる、動悸がする、月経の周期が乱れる、といった変化が知られています。これらは全身にホルモンが行きわたることで起こるものです。

塗り薬から皮膚を通って全身に入る量はごくわずかです。日本のガイドラインでは、全身への影響が問題になりうるのは、成人でストロンゲストを1日10g、ベリーストロングを1日30g使い続けたような場合とされています。通常の湿疹の治療で処方される量は、5gや10gのチューブが数本という単位ですから、この量とは大きな隔たりがあります。

つまり、塗り薬で便秘になる、体重が増える、不正出血が起こる、といったことは、通常の使いかたでは起こりません。塗り薬で気をつけるべき副作用は、あくまで塗った場所の皮膚に起こる変化です。それは後半で詳しく説明します。

  飲み薬・注射のステロイド 塗り薬のステロイド
体に入る量 全身にゆきわたります 塗った場所が中心で、全身に入る量はごくわずかです
主な副作用 顔がまるくなる、血糖・血圧の上昇、骨がもろくなる、感染しやすくなる、月経周期の乱れ、不眠、胃の荒れ 塗った場所の皮膚萎縮、毛細血管拡張、にきびのような発疹、多毛、色素脱失など
急にやめたとき 副腎のはたらきが追いつかず、だるさや血圧低下が起こることがあります 全身のこうした反応は起こりません。ただし、治りきっていない湿疹はぶり返します

同じ「ステロイド」という言葉でも、飲み薬と塗り薬では体に入る量が桁違いです。ここから先の説明は、すべて塗り薬についてのものです。なお、運動選手の使う筋肉増強剤(アナボリックステロイド)は、名前は似ていますがまったく別の薬です。

どんなときに使う薬ですか

皮膚の炎症をともなう病気の多くが対象になります。当院では、次のような症状に対してステロイド外用薬を処方しています。

一方で、炎症のように見えても原因が違うものには効きません。むしろ悪化させてしまうことがあるため、はじめから自己判断で塗るのではなく、まず何が起きているのかを診てから薬を決めるのが安全です。

アトピー性皮膚炎、乳児湿疹、皮脂欠乏性湿疹(乾燥による湿疹)
かぶれ(接触皮膚炎)、化粧品やゴム、金属によるかぶれ、湿布やテープによるかぶれ
手湿疹(手荒れ)、陰嚢湿疹、脂漏性皮膚炎、口唇炎
虫刺され、汗疹(あせも)、結節性痒疹、円形脱毛症、花粉症皮膚炎(花粉による顔の皮膚炎)
薬疹など、皮膚に炎症が出ている状態(原因になった薬を止めることが第一です)

ステロイドを塗ってはいけない、塗っても効かない場面

ステロイドは免疫のはたらきを抑える薬なので、原因が感染症のときは菌やウイルスの勢いを助けてしまいます。次のような状態では、ステロイド単独では使いません。

「湿疹だと思って市販のステロイドを塗っていたら、かえって広がった」というご相談は少なくありません。実際には水虫やとびひ、ヘルペスだった、というケースです。塗る前に何であるかを確かめることが、遠回りに見えていちばん早い道です。

膿が出ている、痛みがある、熱をもっている、といったときは細菌の感染を疑います。この場合はステロイドではなく抗菌薬が必要になることがあります。

水虫(足白癬)、いんきんたむし(股部白癬)、カンジダなどの真菌(カビ)による感染
とびひ(伝染性膿痂疹)、毛包炎、蜂窩織炎など細菌による感染
単純ヘルペス、帯状疱疹、水いぼ、いぼなどウイルスによる感染
疥癬(ヒゼンダニによるかゆみ)
にきび(毛穴の炎症が中心のもの。ステロイドはむしろ悪化させます)
切り傷・すり傷・やけどなどの怪我そのもの(ステロイド軟膏は傷を治す薬ではなく、治りを遅らせることがあります)

市販薬のステロイドと、処方されるステロイドの違い

薬局で買えるステロイド外用薬は、5段階のうち下から2つ、ウィークとミディアム(マイルド)が中心です。これに対して、医師が処方する医療用のステロイドは5段階すべてが使えます。ストロング相当のものも一部ありますが、ベリーストロングやストロンゲストは市販されていません。

そのため、軽い虫刺されや一時的なかぶれには市販薬でも間に合いますが、赤みが強い湿疹や、広い範囲に出ているもの、くり返しているものには力不足のことがあります。弱い薬を長くだらだら塗るより、合った強さで短く抑えきるほうが、結果として薬を使う期間は短くなります。

また、市販薬には抗ヒスタミン薬、局所麻酔薬、殺菌成分などが一緒に入っているものが多く、これらの成分自体がかぶれの原因になることもあります。1〜2週間塗って良くならないときは、市販薬を続けずにご相談ください。

STRENGTH

強さのランクと部位ごとの使い分け

強さは5段階に分かれています

ステロイド外用薬は、効きめの強さによって5つのランクに分けられています。上から順に、ストロンゲスト(最も強い)、ベリーストロング(とても強い)、ストロング(強い)、ミディアム(中くらい。マイルドとも呼ばれます)、ウィーク(弱い)の5段階です。

強さのランクは、レベル、段階、番号などとも呼ばれます。手もとのステロイド軟膏の強さを知りたいときは、この5段階のどこにあたるかを確かめます。

どのランクを選ぶかは、症状の強さ、塗る部位、年齢、それまでの経過で決まります。強い薬がよい薬というわけではなく、弱い薬が安全な薬というわけでもありません。合わない強さを漫然と使い続けることが、いちばん避けたい状態です。

下の表は代表的な薬剤です。同じ成分でも、先発品の商品名とジェネリック(一般名)の両方の呼びかたがあるため、併記しました。お手もとの薬の名前がどのランクかを確かめるときにお使いください。

ランク(強さ) 代表的な薬(商品名/一般名) 主な使いどころ
Ⅰ ストロンゲスト(最強) デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)/ダイアコート・ジフラール(ジフロラゾン酢酸エステル) 手のひら・足の裏など皮膚が厚い部位、強く苔癬化した部位に短期間
Ⅱ ベリーストロング(かなり強い) マイザー(ジフルプレドナート)/アンテベート(ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル)/フルメタ(モメタゾンフランカルボン酸エステル)/ネリゾナ(ジフルコルトロン吉草酸エステル)/トプシム(フルオシノニド)/パンデル(酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン) 体幹・四肢の強い炎症、厚くなった湿疹
Ⅲ ストロング(強い) リンデロンV・ベトネベート(ベタメタゾン吉草酸エステル)/メサデルム(デキサメタゾンプロピオン酸エステル)/ボアラ(デキサメタゾン吉草酸エステル)/エクラー(デプロドンプロピオン酸エステル)/フルコート(フルオシノロンアセトニド) 体幹・四肢の中等度の炎症、頭皮
Ⅳ ミディアム(マイルド・中くらい) ロコイド(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)/キンダベート(クロベタゾン酪酸エステル)/アルメタ(アルクロメタゾンプロピオン酸エステル)/リドメックス(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル) 顔・首・陰部などの薄い皮膚、小さなお子さんの体
Ⅴ ウィーク(弱い) プレドニゾロン(プレドニゾロン)/ヒドロコルチゾン酢酸エステル ごく軽い炎症、まぶたなど。市販薬に多く含まれます

ランクの数字は「1が強い」ではなく「Ⅰが最も強い」という並びです。市販薬はおおむねⅣ〜Ⅴが中心で、一部にⅢ相当のものがあります。同じ成分でも濃度や剤形(軟膏・クリーム・ローション)が違えば製品名も変わります。手もとの薬がどのランクか分からないときは、薬の名前をそのままお伝えください。

部位によって、皮膚から入る量がまったく違います

同じ薬を同じように塗っても、体の場所によって皮膚から吸収される量は大きく変わります。皮膚の厚さと、角層のバリアの強さが場所ごとに違うためです。

前腕の内側を1としたときの吸収率を比べた古典的な研究があり、いまも使い分けの根拠になっています。足の裏はほとんど入らず、頬は13倍、陰嚢では42倍にもなります。顔や陰部に強い薬を長く使わないのは、この差があるからです。

逆に、手のひらや足の裏は皮膚が厚く薬が入りにくいため、弱い薬では歯が立ちません。ここには強いランクを使います。「強い薬は怖い」と一律に考えず、部位に合わせるのが原則です。

部位 吸収率(前腕内側を1としたとき)
足の裏(足底) 0.14
手のひら(手掌) 0.83
前腕の内側 1.0
前腕の外側 1.1
背中 1.7
頭皮 3.5
わきの下(腋窩) 3.6
額(ひたい) 6.0
頬(ほお) 13
陰嚢 42

数値はヒドロコルチゾンを用いた古典的な比較研究にもとづく目安で、薬剤や条件によって多少変わります。首やまぶたも顔に準じて吸収されやすい部位です。おしり(臀部)や太ももは背中と同じくらい、と考えておくとおおよそ合います。傷ついた皮膚やじくじくした皮膚では、健康な皮膚よりさらに吸収が増えます。

部位ごとに、どのくらいの強さを使うか

吸収率の違いをふまえると、部位ごとのおおまかな目安は次のようになります。実際にはこれに症状の強さと年齢を加味して決めますので、あくまで考えかたの枠組みとしてご覧ください。

大切なのは、余った薬をほかの部位に使い回さないことです。体に出された薬を顔に塗る、顔用の薬を手のひらに塗る、といった流用は、効かなかったり副作用が出たりする原因になります。

部位 目安となるランク 考えかた
顔・首・まぶた・陰部・わきの下 ウィーク〜ストロング(短期間) 吸収されやすく副作用も出やすい部位です。長く続けるならステロイド以外の塗り薬に切り替えます
体幹・四肢(胸、背中、おなか、腕、脚) ストロング〜ベリーストロング 標準的な部位です。症状が強ければベリーストロングで一気に抑えます
手のひら・足の裏 ベリーストロング〜ストロンゲスト 皮膚が厚く薬が入りにくいため、強いランクを使います
頭皮 ストロング〜ベリーストロング 毛があるためローションやスプレーが使いやすく、地肌に届かせます

顔にストロング以上を使うこともありますが、その場合は数日から1〜2週間程度にとどめ、良くなったら弱いランクやステロイド以外の薬に切り替えます。唇や口のまわりは顔よりさらに薄く、なめてしまうこともあるため弱いランクを選びます。目のまわりに使うときは、眼科用のステロイド眼軟膏(プレドニン眼軟膏など)を用いることがあります。

軟膏・クリーム・ローション、剤形の選び方

同じ成分・同じランクでも、剤形(基剤)によって使い心地と向き不向きが変わります。塗り続けられるかどうかは治療の成否を分けるので、生活に合う剤形を選ぶことも治療の一部です。

一般にクリームのほうが軟膏より薬が入りやすいとされていますが、そのぶん刺激を感じることもあります。じくじくした部位や、ひび割れて痛む部位には軟膏が向きます。

軟膏のべたつきが気になる方は、ローションを塗って乾いてからお化粧をするといった使いかたもできます。塗り心地が理由で続けられないときは、遠慮なくおっしゃってください。剤形の変更で解決することがよくあります。

剤形 特徴 向いている場面
軟膏(オイントメント) 油性で刺激が少なく、皮膚を保護します。べたつきます じくじくした部位、ひび割れ、乾燥した部位。どんな状態にも使えます
クリーム 伸びがよくべたつきません。傷やびらんにはしみることがあります 乾燥した部位、広い範囲、べたつきを避けたいとき
ローション・スプレー さらっとしていて広げやすく、毛があっても地肌に届きます 頭皮、毛のある部位、顔(化粧前)、広い範囲
テープ剤(貼付剤) 密封して薬を届けます。効きめが上がります 手指の亀裂、厚くなった痒疹結節など限られた部位に

ラップやテープで密封して塗る方法(密封療法)は効きめが上がるぶん副作用も出やすくなるため、指示があったときだけ、指示された部位と期間で行ってください。頭皮にはシャンプータイプの外用薬を使うこともあります。

HOW TO USE

塗り方・期間・副作用

塗る量の目安はFTU(フィンガーチップユニット)

ステロイド外用薬でいちばん多い失敗は、量が足りないことです。心配だからと薄く伸ばすと、炎症を抑えきれずに長引き、結果として薬を使う期間が延びてしまいます。

目安になるのがFTU(フィンガーチップユニット)という単位です。大人の人差し指の先から第一関節まで、チューブから絞り出した量が1FTUで、これが約0.5gにあたります。1FTUで大人の手のひら2枚分の面積を塗ることができます。

塗ったあとにティッシュが軽くはりつく程度、皮膚が少しテカる程度がちょうどよい量です。すりこまず、そっとのせて広げてください。チューブの口が細いタイプ(ローションなど)では1FTUの目安が変わるので、その場合は面積で考えます。

塗る場所(成人) 必要な量の目安
顔と首 2.5 FTU(約1.25g)
片腕(手を除く) 3 FTU(約1.5g)
片手(手のひらと甲の両面) 1 FTU(約0.5g)
胸とおなか 7 FTU(約3.5g)
背中とおしり 7 FTU(約3.5g)
片脚(足を除く) 6 FTU(約3g)
片足(足の甲と裏) 2 FTU(約1g)

上の表を合計すると、成人が全身に1回塗るのに必要な量はおよそ40FTU(約20g)になります。5gのチューブがすぐ空になるのはこのためで、量が減らないまま何週間も残っているとしたら、塗る量が足りていない可能性があります。お子さんは体の面積が小さいぶん必要量も少なくなります。赤くなっている真ん中だけでなく、その周囲の一見きれいに見える部分まで含めて塗るのが基本です。

お子さんの場合の目安(年齢別)

お子さんは体の面積が小さいぶん、必要な量も少なくなります。年齢と部位ごとの目安は次のとおりです。数字はFTUで、1FTU=約0.5gです。

お子さんに使うときも、少なすぎると効きません。表の量を目安に、赤くなっている部分とその周囲まで含めて塗ってください。体重や体格によって変わりますので、実際の量は診察でお伝えします。

1日何回、何日くらい塗るのか

ステロイド軟膏を一日何回塗るかは、症状の時期によって変わります。ガイドラインでは、炎症が強い時期(急性期)は1日2回、つまり一日二回の外用が勧められています。朝と入浴後など、時間を決めておくと続けやすくなります。1日1回と2回で効果に差がなかったという報告もあり、良くなってきたら一日一回に減らしていきます。

「ステロイドは何日塗っていいですか」「何日塗るのが上限ですか」「連続使用期間はどのくらいですか」「1日何回まで、どのくらいの塗る頻度なら使えますか」「一ヶ月、二ヶ月と常用しても平気ですか」というご質問をよくいただきますが、一律に何日で切れる、というものではありません。判断の軸になるのは日数よりも、どのランクのステロイド軟膏を、どの部位に、どれだけの面積に使っているかです。顔にストロング以上を一ヶ月、二ヶ月と常用するのと、体にストロングを一週間だけ、あるいは二週間使うのとでは、使用期間の意味がまったく違います。

実務的な目安としては、適切な強さの薬をきちんと塗れば、多くの湿疹は数日で赤みとかゆみが引きはじめ、一週間から二週間(1〜2週間)で落ち着いてきます。逆にいえば、二週間塗っても変わらないときは、薬の強さが合っていない、量が足りていない、あるいは診断そのものを見直す必要がある、というサインです。その時点で一度受診してください。塗る期間をどこまで延ばすか、次に塗るまで何日空けるかも、そこで一緒に決めていきます。

ステロイド軟膏の吸収時間、つまり塗ってから効くまでの時間もよくいただくご質問です。塗り薬が吸収されるまで何分くらいか、どれくらいで吸収されるかという目安でいえば、薬が角層に入るまでは30分から1時間ほど、経皮吸収としてはおおむね1時間前後です。血管を締める作用による赤みの引きはじめは数時間から1日程度でみられることが多いとされています。ただし炎症そのものが治まるには数日かかりますので、1回塗って変化がないからといって、すぐに効かないと判断しないでください。

急性期(赤み・かゆみが強い)は一日二回(1日2回)、朝と入浴後などに
落ち着いてきたら一日一回(1日1回)に減らします
さらに落ち着いたら週に2〜3回、そして週2回へと段階的に減らします
二週間(2週間)塗っても改善しないときは、続けずに受診してください
強いランクを顔や陰部に使うときは、数日から一週間〜二週間を目安にします

治しきってから、ゆっくり減らす(プロアクティブ療法)

見た目がきれいになっても、皮膚の下では炎症がくすぶっていることがよくあります。ここでぱたりとやめると、数日から数週間でぶり返します。これを何度もくり返すと、治療全体が長引いてしまいます。

そこで、まず炎症をしっかり抑えきり(寛解導入)、次に良い状態を保つ段階(寛解維持)に移り、そこから塗る回数を段階的に落としていく(漸減)という順番で進めます。

減らしかたの目安は、1日2回から1日1回へ、次に週5回、週3回、週2回といったように、半月から1か月ごとに1段階ずつです。このとき、薬のランクは原則として同じものを使い続け、回数だけを減らしていきます。良い状態を保ちながら週2回だけ塗り続けるやりかたを、プロアクティブ療法と呼びます。

症状がないときも保湿剤は毎日続けてください。保湿を続けることが、ステロイドを使う回数を減らすいちばんの近道です。

保湿剤との併用、塗る順番、重ね塗り

保湿剤とステロイドを両方処方されたとき、どちらを先に塗るか迷う方が多いところです。結論からいえば、塗る順番によって効きめ、かゆみの取れかた、副作用の出かたに差はなかったと報告されています。どちらが先でも構いません。

当院では、ステロイドを塗る範囲が必要以上に広がらないよう、まず保湿剤を全体に塗り、そのあとで湿疹のある部分にだけステロイドを重ねる方法をおすすめしています。こうすると、どこにステロイドを塗ったかが自分でも把握しやすくなります。

別々に塗るのが大変な場合には、ステロイドと保湿剤をあらかじめ混ぜた形(混合剤)で処方することもあります。ヘパリン類似物質、白色ワセリン、尿素製剤との混合が代表的です。それぞれに長所と短所があります。

なお、2種類のステロイドを同じ場所に重ねて塗る意味はありません。強いほうを塗ればよいだけです。部位ごとに違うランクを塗り分けるのは正しい使いかたですが、同じ場所に重ねるのは避けてください。

  混合剤(1本に混ぜて処方) 重ね塗り(別々に処方)
長所 塗り心地がよい。塗り分けが要らない。塗る時間がかからない。短期間で治る湿疹に向いています 症状が強いときにしっかり塗れる。プロアクティブ療法ができる。ステロイドを塗る量が把握しやすい。長く治療する病気に向いています
短所 配合によって薬の安定性や皮膚への入りかたが変わることがある。薄めても副作用が減るとは限らない。保湿剤が薄まって保湿力が落ちる可能性がある 塗る部位が増えると処方数が増えて煩雑になる。塗るのに時間がかかる

どちらがよいかは、症状の広さ、治療にかかる見込みの期間、生活のリズムによって変わります。長く続ける必要のあるアトピー性皮膚炎などでは、重ね塗りのほうが管理しやすいことが多いです。

ステロイドに耐性はできません

「ずっと塗っていると効かなくなるのでは」というご心配は非常に多くいただきます。ステロイド外用薬に、抗菌薬の耐性菌のような意味での耐性や抵抗性ができることはありません。

ただし、塗りはじめの数日はぐんと良くなり、2〜3週間経つと最初ほどの手応えを感じなくなる、ということはよくあります。これは薬が効かなくなったのではなく、炎症の強い部分がすでに治まって、変化の幅が小さくなったために起こる感覚です。

もし本当に効かなくなってきたと感じるときは、耐性ではなく別の理由を考えます。診断が違っていた(水虫や疥癬だった)、塗る量が足りていない、悪化の原因が続いている、あるいはステロイドそのものにかぶれている、といった可能性です。

なお、密封して長期間使い続けたときに一時的に反応が鈍くなるタキフィラキシーという現象が知られていますが、通常の使いかたで問題になることはほとんどありません。効かないと感じたら、量を増やす前にご相談ください。

塗っているのに悪化する場合 — ステロイドアレルギー

まれですが、ステロイド外用薬そのものにかぶれてしまうことがあります。ステロイドアレルギー(ステロイド外用薬による接触皮膚炎)と呼ばれる状態です。

特徴は、塗ると一時的に良くなるがすぐ戻る、あるいは塗るほど赤みやかゆみが広がる、という経過です。薬が効いていないだけに見えるため、より強い薬に変えられて、さらに悪化するという流れになりがちです。

確かめる方法としてはパッチテストがあります。ステロイドの成分は構造によっていくつかのグループに分かれており、かぶれる成分と、かぶれずに使える成分を見分けられる検査です。基剤に含まれる添加物(防腐剤など)が原因のこともあります。

ただし、ステロイド外用薬そのものを対象としたパッチテストは、当院では行っておりません。この可能性が高いと判断した場合は、実施している医療機関へご紹介します。当院で行っているパッチテストは、金属や化粧品など日本標準アレルゲンを対象としたものです。

まずは診察で、本当にかぶれているのか、それとも別の理由(診断の見直し、塗る量、悪化の原因が続いている)なのかを見極めます。塗り薬を変えても良くならない湿疹が続いているときは、そのまま強い薬に進まず一度ご相談ください。

塗った場所に起こりうる副作用

合わない強さのステロイドを、合わない部位に、長く塗り続けたときには、塗った場所の皮膚に変化が出ることがあります。どれも「起こりうる」もので、必ず起こるものではありません。

表にまとめたとおり、多くは薬をやめれば回復します。回復しにくいのは、高齢の方の皮膚萎縮です。逆にいえば、部位と症状に合った強さを、必要な期間だけ使えば管理できる範囲にあります。

塗った部分が白くなる、色が変わる、という点については誤解が多いため、次の項目で分けて説明します。

副作用 起こりやすい人 出やすい部位 出るまでの目安 中止したあと
毛包炎(毛穴の炎症) 全年齢 下肢に多い ストロング以上で、塗りはじめて間もなく すみやかに回復します
ステロイドざ瘡(にきびのような発疹) 若年者 顔・首 顔ではミディアム以上、胸背部ではストロング以上 回復します
白癬・カンジダなどの感染 小児を除く全年齢 陰部に多い 一定しません 抗真菌薬の外用で回復します
皮膚萎縮(皮膚が薄くなる) 高齢者に多い どの部位でも ストロング以上を数か月 若年者は回復しますが、高齢者では回復しにくいことがあります
毛細血管拡張(赤ら顔・血管が目立つ) 中高年 ストロング以上を数か月 回復します
多毛(うぶ毛が濃くなる) 小児 四肢 はっきりした目安はありません 回復します
色素脱失(塗った場所が白くなる) 全年齢 どの部位でも ベリーストロング以上を数か月 回復します
酒さ様皮膚炎(顔の赤みとほてり) 中年女性に多い ストロング以上を数か月 ゆっくり回復します

全身への副作用については、成人でストロンゲストを1日10g、ベリーストロングを1日30g使い続けたような場合に問題になりうるとされています。通常の処方量では、まず心配のいらない水準です。皮膚が薄くなってきた、顔の赤みが引かない、にきびのような発疹が増えたといった変化に気づいたら、自己判断で中止せず、次の受診でお知らせください。

肌が白くなる・黒くなる、という話について

「ステロイドを塗ると皮膚が黒くなる」という話が広まっていますが、ステロイド外用薬が色素沈着を起こすことはありません。実際に起こるのは、その逆の色素脱失、つまり塗ったところが白くなるという変化です。ステロイド軟膏を塗った場所の肌が白くなる、肌白くなると感じて心配される方は少なくありません。

塗ったところが白くなる、肌が白くなる理由は2つあります。1つはステロイドの血管収縮作用によるもので、皮膚の血流が一時的に減って白っぽく見えるものです。これは塗るのをやめれば戻ります。もう1つは、ベリーストロング以上を同じ場所に数か月使ったときに起こる色素脱失で、こちらも中止すれば時間をかけて回復します。

「いつ治るのか」については、血管収縮によるものは数時間から数日、色素脱失によるものは数か月かけて戻ることが多い、というのが目安です。ただし個人差があり、元の色の濃さや部位によっても変わります。

では黒ずみはどこから来るのか。これは炎症後色素沈着といって、湿疹の炎症そのものが長引いた結果として残るものです。順序としては、炎症が続く、色素沈着が起こる、その後ステロイドで赤みが引く、赤みが消えたことで下にあった黒ずみが目立つようになる、という流れです。薬が黒くしたように見えますが、実際には炎症が黒くしたのであって、ステロイドはむしろその原因を止める側にあります。

この観点からいえば、黒ずみを防ぐいちばんの方法は、炎症を早く確実に鎮めることです。ステロイドを怖がって中途半端に使うほうが、色素沈着は残りやすくなります。

急にやめるとどうなるのか(リバウンド)

塗り薬のステロイドを中止したときに起こる悪化は、飲み薬のような全身の離脱症状ではありません。まだ治りきっていない炎症が、抑えが外れて表に戻ってきた状態です。

ですから、リバウンドを起こさない方法はシンプルで、治しきってから、段階的に減らす、これに尽きます。回数を落とす途中でぶり返したら、1つ前の段階に戻してしばらく続け、また落とします。この上げ下げを繰り返しながら、少しずつ間隔を空けていきます。

顔にストロング以上を長く使っていた場合には、中止後に赤みとほてりが強く出ることがあります。酒さ様皮膚炎(ステロイド皮膚炎とも呼ばれます)と呼ばれる状態で、これは自己流に中断すると経過が長引きやすいため、必ず医師と相談しながら減らしてください。ステロイド皮膚炎が治るまでには数か月かかることがあります。

なお、いわゆる脱ステロイド(急にすべてを中止する方法)は、症状の強い悪化を招くことがあり、当院ではおすすめしていません。ステロイドを減らしたい、やめたいというご希望があれば、そのための減らしかたを一緒に組み立てますので、まずはお伝えください。

ステロイド以外の塗り薬という選択肢

ステロイドを長く使いにくい部位(顔・首・まぶた)や、良くなったあとの維持の場面では、ステロイド以外の抗炎症外用薬に切り替えることができます。当院ではいずれも処方しています。

どれもステロイドとは違うしくみで炎症を抑えるため、皮膚が薄くなる、毛細血管が目立つといったステロイド特有の変化が起こりません。そのぶん、塗りはじめにヒリヒリする、ほてる(塗ったところが熱くなる)といった刺激感が出ることがあります。

ステロイドと同じ場所に重ねて塗るのではなく、部位で塗り分ける、あるいは炎症が落ち着いたところで切り替える、という使いかたをします。組み合わせかたは診察でお伝えします。

薬(商品名/一般名) しくみ 使いどころ
プロトピック軟膏(タクロリムス) カルシニューリンを阻害し、免疫の反応を抑えます 顔・首の赤みに向きます。塗りはじめのほてりが出ることがあります。小児用0.03%があります
コレクチム軟膏(デルゴシチニブ) 塗るJAK阻害薬。かゆみと炎症の信号を伝える経路をブロックします 刺激感が少なく、顔にも体にも使いやすい薬です。0.25%と0.5%があります
モイゼルト軟膏(ジファミラスト) PDE4を阻害し、炎症をおこす物質の産生を抑えます 幅広い年齢で使えます。0.3%と1%があります
ブイタマークリーム(タピナロフ) AhRという受容体を介して、炎症とバリア機能の両方に働きます 1日1回で使えます

保険で使える年齢や部位、1回に使える量には薬ごとに決まりがあります。詳しくは各ページをご覧ください。

塗り薬で足りないとき

塗り薬を正しく使っても炎症が抑えきれない場合には、飲み薬や注射による全身の治療を検討します。アトピー性皮膚炎では、注射(生物学的製剤)と飲み薬(JAK阻害薬)が使えます。

なお、紫外線を当てる光線療法(紫外線療法)は当院では行っておりません。必要と判断した場合は、実施している医療機関へご紹介します。尋常性乾癬についても、当院で診断と初期の治療は行いますが、生物学的製剤や光線療法が必要な段階では専門医療機関へご紹介しています。

COST

診察・お薬の費用の目安

すべて健康保険3割負担の場合の目安です。湿疹・皮膚炎に対するステロイド外用薬の処方は保険診療で行います。

診察料と薬剤費の目安です。ステロイド外用薬そのものは、5gのチューブ1本あたり数十円と、薬の中ではかなり安価な部類に入ります。ステロイド以外の抗炎症外用薬(タクロリムス・デルゴシチニブ・ジファミラスト・タピナロフ)は同じ5gでも数倍から十数倍の薬価になります。保湿剤は25gや50gなど大きな規格が中心のため、実際の1本あたりの金額はこれより高くなります。このほかに調剤薬局での調剤料などがかかります。金額は処方する薬剤・規格・本数によって変わります。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。

FAQ

よくある質問

ステロイドとは何ですか。外用薬とはどういう意味ですか。
ステロイドとは、体の副腎という臓器でつくられている副腎皮質ホルモンをもとにした薬のことです。炎症を抑え、免疫のはたらきを抑える作用があります。外用薬とは、飲み薬(内服薬)や注射に対して、皮膚や粘膜に直接つける薬の総称です。軟膏、クリーム、ローション、スプレー、テープなどが含まれます。つまりステロイド外用薬とは、副腎皮質ホルモンを含んだ塗り薬のことです。
ステロイドの強さは何段階ありますか。一覧で知りたいです。
5段階です。強いほうから順に、ストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム(マイルド)、ウィークとなります。代表的な薬剤名との対応は本文の表にまとめました。デルモベートがストロンゲスト、マイザーやアンテベート、フルメタがベリーストロング、リンデロンVやメサデルムがストロング、ロコイドやキンダベート、アルメタがミディアム、プレドニゾロンがウィークにあたります。市販薬はおおむねミディアムとウィークが中心です。
リンデロンVGとリンデロンVは何が違うのですか。
リンデロンVはステロイド(ベタメタゾン吉草酸エステル)だけを含む薬で、ストロングにあたります。リンデロンVG軟膏(リンデロンVGクリーム、リンデロンVGローション)は、そこに抗菌薬のゲンタマイシンを加えた配合剤です。細菌の感染をともなっている、あるいはその心配があるときに使います。感染がないのにVGを長く使うと、耐性菌ができる原因になるため、必要な場面に限って使います。このほか、ステロイドと抗菌薬の配合剤にはテラ・コートリル軟膏やデキサンVG軟膏、ネオメドロールEE軟膏などがあります。
顔に塗れるステロイドはどれですか。
顔は薬が吸収されやすい部位なので、原則としてミディアム(ロコイド、キンダベート、アルメタなど)から選びます。症状が強いときに一時的にストロング以上を使うこともありますが、その場合は数日から1〜2週間にとどめ、落ち着いたら弱いランクやステロイド以外の塗り薬に切り替えます。体に処方された薬をそのまま顔に使うのは避けてください。長く顔に使う必要があるときは、プロトピック軟膏やコレクチム軟膏などへの切り替えを検討します。
首や陰部にはどのくらいの強さを使いますか。
首とまぶた、陰部(陰嚢・外陰部)、わきの下は、顔と同じかそれ以上に薬が吸収されやすい部位です。陰嚢では前腕の40倍以上という報告もあります。このため弱めのランクを短期間、というのが原則になります。同時に、この部位はカンジダや白癬といった感染を起こしやすい場所でもあるため、自己判断で市販薬を塗り続けず、一度診察を受けてください。
塗った場所が白くなってきました。元に戻りますか。
2つの可能性があります。ステロイドの血管収縮作用で一時的に血流が減って白く見えている場合は、塗るのをやめれば数時間から数日で戻ります。ベリーストロング以上を同じ場所に数か月使ったことによる色素脱失の場合も、中止すれば回復しますが、こちらは数か月かかることがあります。いずれも永久に残るものではありません。なお、ステロイドによって皮膚が黒くなることはありません。
ステロイドで色素沈着(黒ずみ)は起こりますか。
起こりません。黒ずみの正体は炎症後色素沈着といって、湿疹の炎症が長引いたことによって残るものです。ステロイドで赤みが引くと、下にあった色素沈着が見えるようになるため、薬のせいで黒くなったように感じられます。実際には順序が逆で、炎症を早く抑えるほど色素沈着は残りにくくなります。
皮膚萎縮(皮膚が薄くなること)は治りますか。治らないときの治し方はありますか。
ストロング以上を同じ場所に数か月続けたときに起こることがあります。治し方としては、原因になっている強さのステロイド軟膏をやめる、あるいは弱いランクやステロイド以外の塗り薬に切り替えることが基本で、薄くなった皮膚を厚く戻す特別な方法があるわけではありません。若い方であれば、薬をやめたあと数か月かけて回復することが多いとされています。一方、高齢の方ではもともと皮膚が薄くなっているため、治らないまま残ることがあります。予防が大切な副作用ですので、長く塗る必要があるときは、定期的に受診して皮膚の状態を診せてください。
ステロイドざ瘡(にきびのような発疹)はどのくらいで治りますか。
原因になっているステロイドを中止し、部位に合った治療に切り替えると、数週間から数か月かけて落ち着いていきます。ただし急に自己判断でやめると、もとの皮膚炎が悪化したり、顔では酒さ様皮膚炎に移行したりすることがあります。切り替えかたを含めて診察でご相談ください。
ずっと塗っていると効かなくなりますか。
ステロイド外用薬に耐性や抵抗性ができることはありません。塗りはじめの数日ほどの手応えを感じなくなるのは、炎症の強い部分がすでに治まっているためです。本当に効かなくなったと感じるときは、診断が違う(水虫や疥癬など)、量が足りていない、悪化の原因が続いている、ステロイドそのものにかぶれている、といった別の理由を考えます。
やめたら悪化しました。リバウンドですか。
塗り薬の場合、飲み薬のような全身の離脱症状は起こりません。治りきっていない炎症が戻ってきた状態です。急にやめるのではなく、1日2回から1日1回、週5回、週3回、週2回と段階的に減らしていくことで防げます。減らす途中でぶり返したら、1つ前の段階に戻して立て直します。顔に強い薬を長く使っていた場合は、中止後に赤みが強く出ることがあるため、必ず相談しながら減らしてください。
保湿剤とステロイド、どちらを先に塗りますか。
どちらが先でも構いません。塗る順番によって効果や副作用に差がなかったと報告されています。当院では、ステロイドを塗る範囲が広がりすぎないよう、まず保湿剤を全体に塗り、そのあとで湿疹のある部分にだけステロイドを重ねる方法をおすすめしています。混ぜて1本にする方法もありますが、保湿力が落ちる可能性があるなど一長一短があります。
塗ってからどのくらいで効きますか。
薬が角層に入るまでは30分から1時間ほど、赤みが引きはじめるのは数時間から1日程度が目安です。ただし炎症そのものが治まるには数日かかります。多くの湿疹は数日で赤みとかゆみが軽くなり、1〜2週間で落ち着いてきます。2週間塗っても変わらないときは、続けずに受診してください。
塗り薬で便秘や不正出血が起こることはありますか。
通常の使いかたでは起こりません。便秘、月経周期の乱れ、体重増加、血糖の上昇といった変化は、飲み薬や注射のステロイド(全身投与)で問題になるものです。塗り薬から全身に入る量はごくわずかで、日本のガイドラインでは成人でストロンゲストを1日10g、ベリーストロングを1日30g使い続けたような場合に全身への影響が問題になりうる、とされています。通常の処方量とは大きく離れた水準です。
子どもや赤ちゃんに使っても大丈夫ですか。
使えます。小児のアトピー性皮膚炎では使える薬が限られるため、ステロイド外用薬が治療の中心になります。皮膚萎縮や毛細血管拡張、にきび、多毛といった副作用は、成人と比べてむしろ少ないことがわかっています。年齢と部位に合わせて強さを選び、必要な量をきちんと塗ることのほうが大切です。塗る量が足りずに湿疹が長引くほうが、お子さんにとって負担になります。
妊娠中・授乳中でも使えますか。
使えます。ステロイド外用薬が皮膚から吸収される量は非常に少ないため、胎児や母乳への影響はほとんどないと考えられています。授乳中の方が胸に塗る場合は、授乳の直前を避け、授乳前に拭き取っていただくと安心です。妊娠中・授乳中であることは診察時にお知らせください。
目のまわりやまぶたに塗っても平気ですか。
まぶたは皮膚が薄く吸収されやすいため、弱いランクを短期間にとどめます。目のまわりに長期間使う場合には緑内障の発症に注意が必要とされており、漫然と続けることは避けます。目に入らないよう気をつけてください。なお、アトピー性皮膚炎では白内障の合併が多いことが知られていますが、これはアトピー性皮膚炎そのものによるもので、ステロイド外用薬との関連はありません。
頭皮に塗るときはどうすればよいですか。
髪があるため、軟膏やクリームでは地肌に届きにくく、べたつきも残ります。頭皮にはローションやスプレー、シャンプータイプの外用薬が向いています。髪を分けながら地肌に直接つけ、指の腹で軽くなじませてください。頭皮は前腕の3.5倍ほど薬が吸収される部位ですが、皮膚は比較的厚く、ストロングからベリーストロングを使うことが一般的です。
塗ったあとに手を洗ってよいですか。お風呂はどうしますか。
塗り薬をつけた指はそのつど洗って構いません。ただし、薬を塗った部位はすぐに洗い流さないでください。入浴のあとは皮膚がやわらかく薬がなじみやすいため、お風呂上がりに塗るのがおすすめです。逆に、塗ってすぐ入浴すると流れてしまいます。化粧をされる方は、ローションを塗って乾いてからにしてください。
膿が出ています。ステロイドを塗ってよいですか。
膿が出ている、痛みがある、熱をもっている、という場合は細菌の感染を疑います。ステロイド単独では悪化させることがあるため、まず何が起きているかを確かめる必要があります。抗菌薬が必要になることも、切開して膿を出す必要があることもあります。自己判断で塗らずに受診してください。
豊洲イーウェルクリニック
塗り薬が合っているか、一度見直してみませんか

強さが部位に合っているか、量は足りているか、いつまで続けるのか。この3つがはっきりするだけで、多くの湿疹は見通しが立ちます。ステロイドを減らしたい、やめたいというご相談も承ります。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」

本ページは一般的な情報提供を目的としています。薬の強さの分類、部位別の吸収率、FTUの数値はいずれも一般的な目安であり、薬剤や条件によって変わります。実際に使う薬の選択は、症状・部位・年齢・持病・併用薬・妊娠の希望をふまえて診察のうえで決めます。効果や副作用の出かたには個人差があります。記載は2026年8月時点の情報です。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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