デュピクセント
当院では外用薬など従来の治療では効果が不十分である中等度から重度のアトピー性皮膚炎の患者様に積極的にデュピクセントを導入しています。
デュピクセントはどのような薬ですか?
アトピー性皮膚炎は「炎症」「かゆみ」「バリア機能低下」の3つの要素が関係しあい悪循環に至ります。デュピクセントは「IL-4」と「IL-13」という物質のはたらきを直接おさえることで、「炎症」「かゆみ」「バリア機能低下」のすべてに対する効果が期待できます。
デュピクセントを始めるには?
デュピクセントは炎症や痒みを速やかに抑える寛解導入として使用されるだけではなく、症状が改善したあとに皮膚の良い状態を維持していく寛解維持のためにも用いられます。
デュピクセントは中等症以上の方が対象の注射薬です。
❶今までの治療で効果不十分であるかた
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- ステロイド外用薬やプロトピック軟膏外用でコントロールが不十分なかたが対象です
❷年齢が6ヶ月以上
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- 2023年9月から6ヶ月以上の小児にも対象が拡大されました
❸一定の重症度要件を満たすかた
次の3つの重症度要件を医師が判断した上で適応を判断します。軽症のアトピー性皮膚炎の方には使用できません。
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- IGAスコアが3以上
- 全身または頭頚部のEASIスコアが16以上
- 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)が10%以上
デュピクセントにはどのような効果がありますか?
アトピー性皮膚炎では以下のような状態を目指すことを目標にしています。
- 症状がない状態、あるいはあっても日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としない状態
- 軽い症状はあっても、急に悪化することはなく、悪化してもそれが続かない状態
つまり単に湿疹が落ち着いているのみではなく、患者さんからみた症状やかゆみなども含めての改善が重要です。
デュピクセントでは湿疹やお困りの症状を大きく改善し、改善した状態を維持することができるお薬です。
❶湿疹の改善
16週間の投与で7割弱の患者さんで治療前に比べて75%以上の湿疹の改善を認めています。
❷すみやかに湿疹を改善し、改善した状態を維持する効果がある
投与開始から2週間程度で湿疹が大きく改善します。
デュピクセントとステロイド外用薬を併用することで、16週間の時点で80.1%の湿疹の改善がみとめられ、52週時にも85.0%と湿疹の改善を持続する効果があります。
❸ 痒みや患者さんの評価による全般的な自覚症状も改善する
かゆみやアトピー性皮膚炎に伴う症状が大きく改善することが報告されています。
2週間程度からかゆみが大きく改善していきます。
❹ 6ヶ月以上の小児から使用が可能
デュピクセントとステロイド外用薬を併用することで、16週間の時点で62.4%の湿疹の改善がみとめられ、52週時にも69.2%と湿疹の改善を持続する効果があります。
❺ スキンバリアを改善する
デュピクセントに副作用はありますか?
- 結膜炎:
目やまぶたの赤み、腫れ、かゆみ、乾燥などの症状があらわれます。 - ふらつき感、息苦しさ、心拍数の上昇、めまい、嘔気、嘔吐、皮膚のかゆみや赤み、関節痛、発熱、 血管性浮腫 など
デュピクセントの投与に注意が必要な方
- 生ワクチンを接種する予定のある方
- 喘息等のアレルギー性疾患をお持ちの方
- 寄生虫感染のある方
- 妊婦または妊娠している可能性がある方、授乳中の方
- 高齢の方
- アトピー性皮膚炎以外のアレルギー疾患をおもちの方
- アトピー性皮膚炎以外のアレルギー性疾患(喘息、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、じんましんなど)を合併している場合は、必ず受診時にお伝えください。また、アレルギー性疾患の主治医にデュピクセント®を使用していることを必ずお伝えください。
自己判断で喘息、慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、じんましんなどの治療薬を減量、中止せず、必ず主治医の指示に従ってください。
デュピクセント治療の医療費は?
- デュピクセントは2週間に1回の投与を行います。
- 1本あたり薬剤費は53,659円(2025年4月時点)となり、3割負担の方では16,098円となります
初回と2回目投与はクリニックで行い、3回目から在宅自己注射が可能です。在宅自己注射を行う場合は最大6本をまとめて処方することができます。
| 導入時の薬剤料 | ||
|---|---|---|
| 初回投与 | 2本分 | 32.195円 |
| 2回目投与 | 1本分 | 16,098円 |
| 在宅自己注射を行う際(3回目以降)の薬剤料 | |||
|---|---|---|---|
| 6本(12週間)分 | 1ヶ月あたり | 1本あたり | 1日あたり |
| 96,588円 | 32,195円 | 16,098円 | 約1,322円 |
その他再診料、在宅自己注射指導管理料、導入初期加算(導入後3ヶ月のみ)、採血などの検査料、塗り薬などのデュピクセント以外の薬剤費がかかります。
48週間投与を行った場合402,438円の薬剤費がかかります
高額療養費制度
年収770万円未満の場合、6本(12週間)まとめて処方を行うことで処方月に高額療養費制度が適応されます。
高額療養費制度(多回数該当)
過去12ヶ月以内に3回以上上限額に達した場合は4回目から多回数該当となり上限額が下がります(2週間に1回投与を継続し、概ね在宅自己注射開始9ヶ月後以降)
付加給付制度
1カ月間に支払った医療費が高額療養費の自己負担限度額を上回った場合に、超えた部分の医療費を払い戻してくれます。
上限となる自己負担限度額は加入している健康保険組合によって異なりますが、厚生労働省が指導している金額は2万5,000円で、それに近い金額が設定されています。
*協会健保や国民健康保険では付加控除制度は利用できません。
付加給付が適応となる可能性がある方別番号
自治体によるこども医療費助成
高校3年生等まで(18歳到達後の最初の3月31日まで)のお子様が医療機関等で健康保険証を使用して診療を受けたとき、保険診療の自己負担分を区が助成されます。
学生などへの医療費補助制度
よくある質問
デュピクセントはいつまで続ければよいですか?
デュピクセントは“寛解維持”を目的とした継続治療です。効果判定の目安は疾患により異なりますが、アトピー性皮膚炎は開始後およそ16週を一つの目安に評価します(必要に応じて継続)。中止すると再燃することもあるため、症状・副作用・通院状況を総合して継続可否を主治医と相談します。
デュピクセントの自己注射は可能ですか?
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可能です。初回は院内で打ち方を練習し、ご本人・ご家族が安全に実施できることを確認してから在宅自己注射に移行します。
- 保管:冷蔵(2–8℃)。使用前に室温へ戻す時間などは指導に従ってください。
- 注射部位:腹部・大腿・上腕など(詳細は指導書を配布)。
- 廃棄:使用済みデバイスは医療廃棄手順に従います。
【当クリニックへ転院を希望される方】
受診時紹介元からの紹介状(診療情報提供書)を必ずお持ち下さい。
紹介状には「施設要件」「前治療要件」「疾患活動性の数値(IGAスコア・全身又は頭頚部のEASIスコア・体表面積に占める病変割合)」の記載が必須となります。いずれかの項目でも記載漏れがあるとデュピクセントの投与・処方は出来かねますので、ご注意ください。
未成年でも治療できますか?
生後6ヶ月以上の小児から適応となりました。
どんな副作用がありますか?
多くは軽度で、注射部位反応、結膜炎・目のかゆみ、乾燥、紅斑などです。目の症状が続く場合は眼科と連携して対応します。
デュピクセント開始後は外用治療はいらなくなりますか?
デュピクセント導入後、かゆみや皮膚症状はよくなりますが、よくなっても引き続き保湿など外用治療を継続することが必要です。
