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牛乳アレルギー

MILK

牛乳アレルギー乳糖不耐症との違いから

 

牛乳を飲むとお腹をこわす、下痢をする、気持ち悪くなる。このご相談の多くは牛乳アレルギーではなく乳糖不耐症です。まずこの2つを分けるところから始めます。そのうえで、赤ちゃんの粉ミルクとアレルギー用ミルク、ヨーグルトやチーズをどこまで食べてよいか、乳化剤や乳酸カルシウムは避けるべきか、いつ治るのかを整理します。

豊洲駅 徒歩3分乳糖不耐症との見分け方血液検査・皮膚プリックテスト土日も診療
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牛乳アレルギーについて

牛乳でお腹をこわすのは、アレルギーとは限りません

牛乳や乳製品を口にすると下痢をする、お腹が張る、ゴロゴロする、気持ち悪くなる。こうしたご相談でもっとも多い原因は、牛乳アレルギーではなく乳糖不耐症(牛乳不耐症)です。名前は似ていますが、体の中で起きていることも、必要な対応もまったく違います。

牛乳アレルギーは、牛乳に含まれるたんぱく質(カゼインや乳清たんぱく)に免疫が過剰に反応して起こります。ごく少量でも症状が出て、じんましんなどの皮膚症状や、咳・ゼーゼーといった呼吸器の症状をともなうことが多く、進むとアナフィラキシーを起こすことがあります。

乳糖不耐症は、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素のはたらきが足りないために起こる、消化の問題です。免疫は関係していません。症状はお腹だけにとどまり、飲んだ量が多いほど強く出ます。つらい症状ではありますが、命にかかわることはありません。

ご自身がどちらなのかを考えるとき、手がかりになるのは次の4点です。

症状の出る場所 — じんましん・かゆみ・唇やまぶたのはれ、咳やゼーゼーをともなうなら牛乳アレルギーを疑います。下痢・腹痛・お腹の張りだけなら、まず乳糖不耐症を考えます
量との関係 — 牛乳アレルギーはひと口でも症状が出ます。乳糖不耐症はコップ1杯なら平気でも2杯で出る、というように量に比例します
乳糖を減らした製品で平気かどうか — 乳糖を分解した牛乳(おなかにやさしいタイプの牛乳)で症状が出なければ、乳糖不耐症の可能性が高くなります
チーズやバターで症状が出るかどうか — 熟成したチーズやバターは製造の過程で乳糖がほとんど除かれています。牛乳ではお腹をこわすのにチーズは平気、という方は乳糖不耐症を強く疑います
見分けるポイント 牛乳アレルギー 乳糖不耐症
しくみ 牛乳のたんぱく質に対する免疫の反応 乳糖を分解する酵素が足りない。免疫は関係しない
主な症状 じんましん、かゆみ、唇やまぶたのはれ、咳、ゼーゼー、嘔吐、下痢。皮膚や呼吸の症状をともなうことが多い 下痢、お腹の張り、腹痛、ゴロゴロする、おなら。皮膚や呼吸の症状はともなわない
量との関係 ごく少量でも起こる 飲んだ量に比例する。少量なら平気なことが多い
症状が出るまで 多くは2時間以内。新生児・乳児の消化管アレルギーでは数時間後のこともある 30分から2時間ほど
チーズ・バター たんぱく質が含まれるため症状が出る 乳糖がほとんど残っていないため症状が出にくい
アレルギー用ミルク 必要になることがある 必要ない。乳糖を減らした食事で対応する
確かめ方 除去して症状が改善するかをみる。改善まで4から6週かかることがある。血液検査と皮膚プリックテストを併用する 乳糖を除いて症状が改善するかをみる。通常48時間ほどで改善する
命にかかわるか アナフィラキシーを起こすことがある 起こさない

乳糖不耐症には、生まれつきのものと、胃腸炎のあとに下痢が続く二次性のものがあります。実際には二次性が多く、胃腸炎で腸の粘膜が傷むと乳糖を分解する酵素が減り、下痢が長引きます。多くは6週間ほどで戻ります。また、乳製品を少量ずつ続けることで酵素のはたらきが戻り、症状が軽くなることもあります。

すぐに救急要請が必要な症状(アナフィラキシー)

次のような症状があるときはアナフィラキシーの可能性があります。様子をみたり、自分で運転して受診したりせず、ただちに救急要請(119番)をしてください。エピペンをお持ちの方は、迷ったら早い段階で使用してください。

牛乳は、鶏卵・小麦とならんでアナフィラキシーの原因になりやすい食品です。少量の誤食でも強い症状が出ることがあります。

呼吸が苦しい、ゼーゼー・ヒューヒューする、息が吸いにくい
声がかすれる、のどが締めつけられる感じがする、飲み込みにくい
嘔吐をくり返す、強い腹痛が続く
意識が遠のく、ぐったりする、めまいやふらつきで立っていられない、顔色が真っ青になる、失禁する
唇や爪が青紫色になる、脈が触れにくい

牛乳アレルギーの症状

牛乳アレルギーとは、牛乳に含まれるたんぱく質に免疫が過剰に反応して症状が出る状態のことです。乳アレルギーとは、この牛乳アレルギーの別の呼び方です。ミルクアレルギーとは、乳製品アレルギーとは、といった言葉もすべて同じものを指しており、にゅうアレルギー、乳成分アレルギーと書かれることもあります。ミルクアレルギーと牛乳アレルギーの違い、牛乳アレルギーと乳製品アレルギーの違いを気にされる方がいますが、区別する必要はありません。生乳(加熱していない牛乳)でも症状の出方は同じです。

牛乳のアレルギーの症状は、皮膚・消化器・呼吸器の3つに大きく分かれます。もっとも多いのは皮膚の症状で、じんましん(蕁麻疹)、赤み、かゆみ、発疹、唇やまぶたのはれです。牛乳を飲むと体が痒くなる、という形で気づかれることもあります。

牛乳では、腹痛・嘔吐・下痢といったお腹の症状の割合が高いことが特徴です。そのため乳糖不耐症と紛らわしくなります。皮膚や呼吸の症状が一緒に出ているかどうかが、見分けるうえで大切な情報になります。

症状が出るまでの時間は、多くが食べてから2時間以内で、そのうちの大半は30分以内です。数時間たってからお腹の症状だけが出るタイプもあります。何分後・何時間後だったかは、診断のうえで重要な手がかりですので、思い出せる範囲でお伝えください。

インターネットで牛乳アレルギーやミルクアレルギーの症状の写真を探される方が多いのですが、じんましんの見た目だけで原因の食品を判断することはできません。食べたもの、時間、症状の広がりを合わせて考えます。写真が残っていればお持ちください。

症状の出る場所 主な症状 おおよその割合
皮膚症状 じんましん、かゆみ、赤み、唇やまぶたのはれ、湿疹の悪化 50から70%
消化器症状 腹痛、嘔吐(飲んだあとに吐く)、下痢、血便 50から60%
呼吸器症状 咳、ゼーゼーする、息が苦しい、声がかすれる 20から30%
全身症状 血圧が下がる、ぐったりする、意識がもうろうとする(アナフィラキシー) まれ

ひとりの方に複数の症状が同時に出ることがあります。牛乳で口の中がかゆくなる、飲んだあとにじんましんが出るという形で気づかれることが多くみられます。牛乳アレルギー症状、乳製品アレルギー症状、ミルクアレルギー症状という言い方をされることがありますが、いずれも同じものを指します。

赤ちゃんの牛乳アレルギー(粉ミルクで気づかれることが多い)

牛乳は、乳児期に発症する食物アレルギーのなかで鶏卵に次いで2番目に多い食品です。生後まもなくから1歳ごろまでに発症し、粉ミルクを飲ませたときの症状ではじめて気づかれることがよくあります。乳児アトピー性皮膚炎に続いて発症することも少なくありません。

母乳だけで育てている場合でも、お母さんが食べた乳製品のたんぱく質がごく微量ながら母乳に移行し、症状が出ることがあります。ただし、その場合でもお母さんが自己判断で乳製品を完全にやめる必要はありません。除去が本当に必要かどうかは診察で判断します。

新生児期から乳児期には、じんましんが出ないタイプもあります。粉ミルクを飲んでしばらくしてから嘔吐や血便、下痢が出る、体重が思うように増えないという場合は、新生児・乳児消化管アレルギー(食物たんぱく誘発胃腸症)を考えます。IgEが関与しないタイプで、皮膚症状をともなわないのが特徴です。

発症時期 病気の名前 主な症状
新生児から乳児 新生児・乳児消化管アレルギー(食物たんぱく誘発胃腸症) 血便、嘔吐、下痢、体重が増えない。じんましんはともなわない
乳児 食物アレルギーが関与する乳児アトピー性皮膚炎 スキンケアと軟膏だけではくり返す、かゆみの強い湿疹
1から2歳までに 即時型反応 皮膚(かゆみ、赤み、じんましん)、消化器(嘔吐、腹痛、下痢)、呼吸器(咳、ゼーゼー、呼吸困難)、循環器(血圧低下、ショック)

1歳を過ぎてはじめて牛乳を飲ませたときに症状が出ることもあります。離乳食で乳製品を始めるときは、少量から、体調のよい日に、平日の日中に試してください。

大人になってから急に牛乳アレルギーになることもあります

これまで平気だった牛乳やチーズで、大人になってから急に症状が出るようになることがあります。牛乳アレルギーが急になる、突然、乳製品がだめになったというご相談です。数は多くありませんが、実際にあります。大人の牛乳アレルギーでは、じんましんや口の中の違和感に加えて、腹痛や吐き気が前面に出ることがあります。

大人で牛乳の症状が出たときには、食べたあとに運動をしたときだけ症状が出る食物依存性運動誘発アナフィラキシーや、慢性じんま疹など、別の病気も一緒に考えます。牛乳を飲んだあとに運動や入浴、飲酒、解熱鎮痛薬が重なっていなかったかを思い出してみてください。

子どものころに発症した牛乳アレルギーとくらべて、大人になってから発症したものは自然に治りにくいと考えられています。原因をはっきりさせたうえで、どこまで食べられるかを決めていきます。

牛乳を飲むと頭が痛くなる、肌が荒れるという場合

牛乳を飲むと頭痛が起きる、肌荒れやニキビが悪くなるというご相談があります。いずれも牛乳アレルギーの典型的な症状ではありません。じんましんやかゆみ、呼吸の症状をともなわない場合は、別の原因を考えます。

頭痛については、乳糖不耐症でお腹の調子が崩れているとき、あるいは片頭痛の誘因が重なっているときに、牛乳を飲んだタイミングと重なって感じられることがあります。くり返す頭痛は頭痛そのものとして診ていく必要があります。

肌荒れやニキビと乳製品の関係については、いくつかの報告がありますが、牛乳をやめれば治るというほど単純ではありません。湿疹が長引いているのであれば、まず皮膚の治療を行ったうえで、食べ物との関係を検討します。

牛乳アレルギーは治りますか(耐性獲得について)

乳幼児期に発症した牛乳アレルギーは、成長とともに食べられるようになることが多いとされています。3歳までにおよそ30%、6歳までにおよそ60%が改善すると報告されています。鶏卵ほど早くはありませんが、木の実やそば、甲殻類とくらべると治りやすいグループに入ります。

一方で、カゼイン特異的IgE抗体が高い方、アナフィラキシーや全身の症状を起こしたことがある方は、耐性を獲得しにくいことがわかっています。学童期以降まで続く場合もあります。

治ったかどうかは、血液検査の数値が下がったことだけでは判断できません。最終的には医師の管理下で実際に食べて確かめる食物経口負荷試験で判定します。年齢とともに再評価が必要ですので、除去を続けている方は定期的にご相談ください。

発症を防ぐためにできること

乳児期の湿疹を放置すると、荒れた皮膚から食物のたんぱく質が入り込んで感作が成立することがあります。これを経皮感作と呼びます。乳児湿疹やアトピー性皮膚炎をきちんと治し、なめらかな皮膚を保つことが、食物アレルギーの発症を減らすうえで大切です。

粉ミルクについては、生後早期から少量でも定期的に飲ませ続けているほうが、牛乳アレルギーの発症が少なかったという報告があります。反対に、はじめの数か月まったく飲ませずにいて、あるとき急にまとまった量を飲ませると症状が出やすいと考えられています。混合栄養から母乳のみに切り替える際は、一度ご相談ください。

妊娠中や授乳中にお母さんが牛乳・乳製品をやめても、赤ちゃんの牛乳アレルギーやアトピー性皮膚炎を予防できるという根拠はありません。むしろお母さんの栄養が不足します。妊娠中の食事制限は行わないでください。

心配だからと開始を遅らせることが、かえって不利にはたらく食品もあります。自己判断ではなく、湿疹の治療とあわせてご相談ください。

EXAMINATION

検査と診断

受診のときに教えていただきたいこと

牛乳アレルギーの診断でもっとも大切なのは、検査ではなく問診です。次の4点を整理してお越しいただけると診断が早くなります。

お子さんの場合は、粉ミルクの製品名、飲ませた量、飲ませてから症状までの時間がとくに重要です。母子健康手帳や、体重の増え方の記録もお持ちください。

何を、どのくらい食べたか — 牛乳何mL、ヨーグルト何g、粉ミルクの製品名など。加工品なら原材料表示の写真があると確実です
食べてから症状が出るまでの時間 — 何分後か、何時間後か
どんな症状が出て、どのくらい続いたか — 皮膚だけか、お腹だけか、呼吸の症状があったか。写真が残っていればお持ちください
くり返しているかどうか — 毎回出るのか、そのときだけだったのか。量が多いときだけ出るのか

血液検査(特異的IgE抗体検査)

牛乳アレルギーでは、牛乳(ミルク)特異的IgE抗体と、カゼイン特異的IgE抗体を調べます。カゼインは牛乳のたんぱく質の約8割を占める主要なアレルゲンで、一般の検査会社で測定できる項目です。

保険診療で算定できるのは13項目までと決められています。ほかに疑われる食品があれば、あわせて項目を選びます。

結果は後日のご説明となります。当日その場ではお伝えできません。

結果はクラス0から6の段階で報告されます。数値が高いほど症状が出る可能性は高くなりますが、数値の高さと症状の重さは必ずしも一致しません。クラス2や3と言われたことだけを理由に、除去を始めることはしません。実際に症状が出たかどうかと合わせて判断します。

下の図は、牛乳特異的IgE抗体の値と、実際に症状が出る可能性の関係を年齢別に示したものです。同じ抗体価でも、年齢が上がるほど症状が出る可能性は下がります。抗体価が3のとき、1歳未満では8割近くが症状を出しますが、2歳以上では2〜3割です。数値そのものより、何歳で、実際に何が起きたかのほうが大切だということが読み取れます。

血液のアレルギー検査では乳糖不耐症はわかりません。乳糖は糖であってたんぱく質ではないため、IgE抗体を測る意味がないためです。乳糖不耐症は乳糖を減らして症状が改善するかどうかで判断します。

横軸が牛乳特異的IgE抗体価(kUA/L)、縦軸が症状が出る可能性です。1歳未満(青)がもっとも症状を出しやすく、2歳以上(緑)ではかなり低くなります。同じ数値でも年齢によって意味が変わります。図はクリックすると拡大できます。

皮膚プリックテスト

当院では皮膚プリックテストを実施しています。皮膚にアレルゲンの液を1滴たらし、細い針でごく浅く傷をつけて、15分後の反応の大きさをみる検査です。その場で結果がわかります。

実物の食品を使って行うプリック・プリックテストも可能です。ふだん飲んでいる粉ミルクや、症状が出た乳製品そのもので反応をみたいときに役立ちます。

検査の前に抗ヒスタミン薬(アレルギーの飲み薬)を中止していただく必要がありますが、中止する期間は薬の種類によって異なります。自己判断で中止せず、一度受診してご相談ください。

食物経口負荷試験は当院では行っていません

食物経口負荷試験は、医師の管理下で実際に牛乳を少しずつ飲んで症状が出るかを確かめる検査です。診断の確定、食べられる量の決定、耐性がついたかどうかの判定に用いられます。牛乳では必要になる場面が多い検査ですが、検査中に強い症状が出る可能性があるため、当院では実施しておりません。必要と判断した場合は、体制の整った医療機関をご紹介します。

ご自宅で自己流に少しずつ飲ませて確かめることは絶対にしないでください。牛乳はアナフィラキシーを起こしやすい食品です。以前に即時型の症状を起こしたことがある方や、牛乳・カゼイン特異的IgE抗体が高い方では、ごく少量から慎重に進める必要があり、医療機関で行うべき検査です。

診断、原因の絞り込み、除去の範囲の相談、アレルギー用ミルクの選択、エピペンの処方、生活管理指導表の作成、日常の管理は当院で承ります。負荷試験が必要な段階になったら、紹介のタイミングをご相談ください。

症状がないときの検査は自費になります

実際に症状が出たことがあり、その原因を調べるための検査は保険診療で行えます。

一方で、症状が出たことはないけれど念のため調べておきたい、という目的の検査は保険の対象外となり自費診療になります。ご希望の場合は診察時にお申し出ください。

MANAGEMENT

診断がついたあとの管理

必要最小限だけ除去します

牛乳アレルギーの管理の原則は、正しい診断にもとづいて、必要最小限だけを除去することです。抗体の数値が高くても、必ずしも完全に除去する必要はありません。症状が出ない範囲まで食べられるようにしていくことで、食べられるメニューが広がり、耐性の獲得が促される可能性があります。

どこまで食べてよいかは、症状の出方と量をふまえて決めます。自己判断で除去を広げると、とくに成長期のお子さんでは体重の増えが悪くなる、カルシウムが不足するといった不利益につながります。

STEP01 正しい診断 — 症状が出た食品を問診と検査で確かめる。念のための除去はしない
STEP02 必要最小限の除去 — 食べられる範囲までは食べる。どこまで食べてよいかは医師の指示に従う
STEP03 安全の確保 — 誤食と混入を防ぐ。原材料表示を確認する。園や学校と対応を共有する
STEP04 栄養の確保 — カルシウムとたんぱく質を別の食品で補う

加熱や発酵では、牛乳のアレルゲンは弱くなりません

鶏卵では、しっかり加熱すれば食べられる方が多くいます。牛乳ではこの考え方は当てはまりません。主要なアレルゲンであるカゼインは熱に強く、加熱や発酵をしてもアレルゲンとしての強さがほとんど変わらないためです。

そのため、ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、アイスクリーム、練乳、乳酸菌飲料、はっ酵乳といった加工品も、牛乳と同じように扱います。加熱したから大丈夫、発酵させてあるから大丈夫とは考えません。

どこまで食べられるかは、含まれる牛乳たんぱく質の量で決めます。目安として、牛乳10mLに相当するたんぱく質の量を食品ごとに示します。同じ「ひと口」でも、チーズや脱脂粉乳では牛乳よりはるかに多くのたんぱく質をとることになります。

食品 たんぱく質 牛乳10mL相当量
有塩バター 0.6% 55g
生クリーム 1.9% 17g
牛乳 3.3% 10mL
ヨーグルト 3.6% 9g
アイスクリーム 3.9% 8.4g
プロセスチーズ 22.7% 1.4g
脱脂粉乳 34% 1g

実際に食べてよい量は、経口負荷試験の結果を参考に決めます。バターや生クリームはたんぱく質の割合が低いため、少量なら食べられる方がいる一方で、チーズや脱脂粉乳・全粉乳はごく少量でも牛乳を多く飲んだのと同じことになります。生クリームで症状が出たという方が少なくないのは、一度に食べる量が多くなりやすいためです。

避けるもの、避けなくてよいもの

牛乳の除去が必要になった場合、牛乳そのものだけでなく、牛乳を含む加工食品にも注意が必要です。一方で、名前に「乳」が付いていても牛乳の成分ではないものが多くあり、これらまで避けてしまうと食べられるものが不必要に減ります。

乳化剤、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸菌は、名前に「乳」が付きますが牛乳の成分ではありません。カカオバター(ココアバター)もカカオ豆の油脂であり、乳製品ではありません。原材料表示にこれらが書かれているだけであれば、除去の必要はありません。

乳糖(ラクトース)は牛乳由来ですが、精製されているためたんぱく質はごくわずかしか残っておらず、ほとんどの場合そのまま摂取できます。ヤギ乳(山羊乳)は牛乳とたんぱく質の構造が似ており、交差反応を起こすため代わりにはなりません。牛肉は牛乳とは別のたんぱく質であり、通常は除去の必要がありません。

避けるもの — 牛乳、ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、アイスクリーム、練乳、乳酸菌飲料、はっ酵乳、全粉乳、脱脂粉乳(スキムミルク)、一般の調製粉乳、ホエイ(乳清)パウダー、カゼインナトリウム
見落としやすい加工食品 — パン、カレーやシチューのルウ、ハムやウインナーなどの肉類加工品、チョコレートなどの洋菓子、調味料の一部
避けなくてよいもの — 乳化剤、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸菌、カカオバター、牛肉、乳糖(ほとんどの場合)
代わりにならないもの — ヤギ乳(山羊乳)。牛乳と交差反応を起こすため摂取できません
表示の例 牛乳の成分ですか
乳成分、カゼイン、乳清(ホエイ)、脱脂粉乳、全粉乳、バターオイル 牛乳の成分です。除去が必要です
乳化剤 大豆などが原料で、牛乳の成分ではありません
乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳酸 牛乳の成分ではありません
乳酸菌 菌そのものは牛乳の成分ではありません。ただし培養に牛乳由来の成分を使った製品があります
カカオバター(ココアバター) カカオ豆の油脂で、牛乳の成分ではありません
乳糖(ラクトース) 牛乳由来ですが、たんぱく質はごくわずかです。ほとんどの場合摂取できます

加工食品には、えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生の8品目について原材料表示が義務づけられています。「乳成分を含む」という表示があれば牛乳のたんぱく質が入っています。乳化剤に一部例外があるなど判断に迷う表示もありますので、実物の表示を診察でお見せいただければ一緒に確認します。

アレルギー用ミルク(加水分解乳・アミノ酸乳・大豆乳)

完全な除去が必要な赤ちゃんには、牛乳のたんぱく質を細かく分解した治療用のミルクを使います。まず加水分解乳を試し、それでも症状が出るようであればアミノ酸乳に切り替えます。大豆乳は、大豆アレルギーのない方に対する選択肢としてご提案しています。

市販の一般的な粉ミルクや、いわゆるペプチドミルクは、牛乳アレルギーの治療用ではありません。表示が似ているため取り違えが起こりやすいところです。どの製品を使うかは、症状の強さと月齢に合わせて診察でご相談ください。

アレルギー用ミルクは味やにおいに特徴があり、飲んでくれないというご相談もよくあります。切り替え方や、離乳食への使い方もご相談ください。

種類 製品の例 使いどころ
加水分解乳 ミルフィーHP、ニューMA-1、MA-mi、ペプディエット まず最初に使います。牛乳のたんぱく質を細かく分解してあります
アミノ酸乳 エレメンタルフォーミュラ 加水分解乳でも症状が出るときに使います
大豆乳 ボンラクトi 大豆アレルギーがない方の選択肢です

いずれも食品として市販されており、保険は適用されません。カルシウムやビタミンが強化されているため、月齢に応じた量を飲めていれば栄養面の心配は少なくなります。製品名は2026年8月時点のものです。

豆乳やほかの飲みもので代われますか

牛乳の代わりに豆乳を使うことはできます。牛乳アレルギーの方が大豆にも反応するとは限らず、大豆アレルギーがなければ問題ありません。ただし、調製豆乳のカルシウムは牛乳よりも少ないため、量でカバーするか、ほかの食品と組み合わせる必要があります。カルシウムを強化した豆乳もあります。

ヤギ乳(山羊乳)は牛乳と交差反応を起こすため代わりになりません。ライスミルクやアーモンドミルク、オーツミルクは牛乳の成分を含みませんが、たんぱく質やカルシウムの量は製品によって大きく異なります。乳児の主な栄養としては使えません。

赤ちゃんの場合は、豆乳ではなくアレルギー用ミルクを使います。豆乳は月齢に応じた栄養設計になっていないためです。

カルシウムを補いましょう

牛乳を除去すると、カルシウムの摂取量が不足しやすくなります。ほかの食品で意識して補ってください。牛乳コップ半分(90mL)に相当するカルシウムを、別の食品でとる場合の目安を示します。

お子さんでは、アレルギー用ミルクを続けることがもっとも確実な補い方です。離乳が進んだあとも、料理に使う、コップで飲むという形で続けていただくことがあります。

食品 目安量 具体的な量
普通牛乳 コップ1/2杯 90mL
アレルギー用ミルク コップ1杯 180mL
調製豆乳 コップ2杯弱 320mL
木綿豆腐 1/3丁 120g
しらす干し 2/3カップ 50g
桜エビ 大さじ1から2杯 5g
干しひじき 大さじ1から2杯 10g
切り干し大根(乾) 小鉢1/2皿 19g
まいわし(丸干し) 1/4尾 22g
ごま 大さじ1杯 9g
小松菜(ゆで) 2株 70g

カルシウムの1日あたりの目安量は、0から5か月で200mg、6から11か月で250mg、1から2歳で400から450mg、3から5歳で550から600mg、6から7歳で600から650mgです。除去する食品が多い場合は栄養が偏りやすくなりますので、定期的にご相談ください。

お薬に含まれる乳成分にご注意ください

一部のお薬には、製造の過程で牛乳由来の成分が使われています。牛乳アレルギーの方では、飲み薬や吸入薬が原因で症状が出ることがあり、添付文書上、牛乳アレルギーの方には使えないと定められているお薬もあります。

とくにご相談が多いのが整腸剤です。耐性乳酸菌製剤と呼ばれるグループには牛乳由来の成分が含まれており、牛乳アレルギーの方には使いません。乳成分を含まない酪酸菌製剤などに変更できますので、処方の前に牛乳アレルギーがあることを必ずお申し出ください。

喘息やインフルエンザに使う吸入薬のうち、粉を吸い込むタイプ(ドライパウダー)の多くには乳糖が使われています。乳糖に残るごくわずかなたんぱく質に反応することがあるため、重い牛乳アレルギーがある方では、乳糖を使っていない吸入薬を選びます。

市販薬や、ほかの医療機関で処方されたお薬も同じです。お薬手帳をお持ちいただければ一緒に確認します。

種類 注意点
耐性乳酸菌製剤(整腸剤) ビオフェルミンR、ラックビーR、レベニン、エンテロノン-R 牛乳由来の成分を含みます。牛乳アレルギーの方には使いません
乳成分を含まない整腸剤 ミヤBM(酪酸菌製剤)など 牛乳由来の成分を含まないため、代わりに使えます
止瀉薬 タンニン酸アルブミン(タンナルビン) カゼインを含みます。牛乳アレルギーの方には使いません
経腸栄養剤 エンシュア、ラコールなど カゼインを含む製品があります
吸入薬(ドライパウダー) 喘息やインフルエンザの吸入薬の多く 乳糖を使っています。重い牛乳アレルギーの方では乳糖を使わない製剤を選びます

該当するお薬の一覧は改訂されることがあります。ビオスリーなどここに挙げていない整腸剤についても、製品ごとに扱いが異なります。整腸剤・下痢止め・吸入薬・栄養剤を使うときは、そのつど牛乳アレルギーがあることをお伝えください。上記は代表的な例で、すべてを網羅したものではありません。

誤って食べてしまったときの対応とエピペン

誤食して症状が出た場合、皮膚のかゆみやじんましんだけであれば、あらかじめ処方された抗ヒスタミン薬を内服して安静にし、症状の変化を観察します。

症状が広がる、呼吸が苦しくなる、嘔吐をくり返す、ぐったりするといった変化があれば、ためらわずに救急要請をしてください。

アナフィラキシーを起こす可能性がある方には、アドレナリンの自己注射薬エピペンをおすすめしています。当院では0.3mg製剤を院内に在庫しており、診察のうえ当日お渡しできます。0.15mg製剤は院外処方となります。注射に抵抗がある方には、鼻にスプレーするタイプのアドレナリン製剤ネフィーもあり、こちらも院外処方です。

牛乳はアナフィラキシーの原因になりやすく、園や学校での誤食も起こりやすい食品です。使い方は処方時にご説明します。使用したあとは症状が落ち着いたように見えても、必ず救急要請をして医療機関を受診してください。

保育園・学校の生活管理指導表を作成します

保育園・幼稚園・学校に提出する「アレルギー疾患生活管理指導表」を当院で作成します。牛乳は給食で使われる頻度がもっとも高い食品のひとつで、牛乳そのもののほか、パン、シチュー、デザートなど多くの献立に関わります。どこまで除去するか、代替をどうするかを園や学校と共有するための書類です。

新学期の前は依頼が集中します。提出期限に間に合うよう、余裕をもってご相談ください。血液検査の結果が必要な場合は、結果が出るまでに1週間ほどかかります。

エピペンをお持ちのお子さんについては、園や学校での預かりと使用について記載します。牛乳パックのリサイクル活動(洗って開く作業)のように、食べる以外の場面で牛乳に触れる機会についても、必要に応じて記載します。ご不明な点は診察時にお尋ねください。

経口免疫療法は行っておりません

経口免疫療法(原因の食べ物を少量ずつ食べて体を慣らしていく治療)は、当院では行っておりません。食物経口負荷試験も当院では実施しておらず、必要と判断した場合は体制の整った医療機関へご紹介します。

診断、原因の絞り込み、除去の範囲の相談、アレルギー用ミルクの選択、エピペンの処方、生活管理指導表の作成、日常の管理は当院で承ります。

お薬の副作用と注意していただきたいこと

抗ヒスタミン薬では眠気、口の渇き、だるさが出ることがあります。運転や危険をともなう作業をされる方は、あらかじめお伝えください。

抗ヒスタミン薬はアナフィラキシーの進行を止める薬ではありません。呼吸の症状や血圧低下があるときに、飲み薬で様子をみることは危険です。

エピペンは太ももの外側に、衣服の上からでも打てます。使用後に一時的に動悸や手のふるえ、頭痛が出ることがありますが、迷って打たないことのほうが危険です。

自己判断で除去を広げたり、逆に「少しなら平気だろう」と量を増やしたりせず、どこまで食べてよいかは診察で決めていきましょう。

COST

費用の目安

健康保険3割負担の場合の目安です。実際の費用は検査する項目数や処方する内容によって変わります。

血液検査は特異的IgE抗体1項目110点で、保険で算定できるのは13項目までです。13項目に免疫学的検査判断料144点を加えた1,574点が3割負担で約4,720円になります。牛乳とカゼインで2項目を使います。皮膚プリックテストは21箇所以内で1箇所16点(22箇所以上は1箇所12点)で、これに使用するアレルゲン試薬の薬剤料が加わります。実物の食品を用いるプリック・プリックテストでは試薬代はかかりません。お薬の欄は薬剤料のみの目安で、診察料・調剤料は別にかかります。アレルギー用ミルクは食品のため保険適用外です。生活管理指導表の作成については診察時にご案内します。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。

FAQ

よくある質問

牛乳アレルギーと乳糖不耐症の違いは何ですか?
牛乳アレルギーは牛乳のたんぱく質(カゼインなど)に対する免疫の反応で、少量でも症状が出ます。じんましんなどの皮膚症状や、咳・ゼーゼーといった呼吸器の症状をともなうことが多く、アナフィラキシーを起こすことがあります。乳糖不耐症(牛乳不耐症)は乳糖を分解する酵素が足りないために起こる消化の問題で、免疫は関係しません。症状はお腹だけで、飲んだ量に比例します。命にかかわることはありません。牛乳ではお腹をこわすのに熟成チーズやバターは平気、という方は乳糖不耐症を強く疑います。
乳製品を食べると下痢をします。アレルギー検査を受けたほうがよいですか?
下痢や腹痛だけで、じんましんや呼吸の症状をともなわない場合は、まず乳糖不耐症を考えます。血液のアレルギー検査では乳糖不耐症はわからないため、検査だけでは答えが出ません。乳糖を減らした食事で症状が改善するかどうかを確かめます。乳糖不耐症であれば、通常48時間ほどで下痢が落ち着きます。ただし、下痢が長く続く場合や、体重が減る・血便が出るといった症状があるときは別の病気を考えますので、ご相談ください。
牛乳を飲むと気持ち悪くなる、吐き気がします。アレルギーでしょうか?
吐き気や気持ち悪さだけの場合、乳糖不耐症や、脂肪分による消化不良のことがあります。一方で、嘔吐をくり返す、じんましんが出る、のどが締めつけられるといった症状をともなうときは牛乳アレルギーを疑います。量が増えるほど強くなるか、ひと口でも出るか、皮膚や呼吸の症状があるかが手がかりになります。整理して診察でお伝えください。
粉ミルクを飲ませたら症状が出ました。どうすればよいですか?
まず粉ミルクを中止して受診してください。牛乳アレルギーであれば、牛乳のたんぱく質を細かく分解した治療用のミルク(加水分解乳)に切り替えます。それでも症状が出る場合はアミノ酸乳を使います。市販の一般的な粉ミルクやペプチドミルクは治療用ではありませんので、代わりにはなりません。製品名と、飲ませた量、症状までの時間をお持ちください。授乳のたびに嘔吐する、血便が出る、体重が増えないという場合は、新生児・乳児消化管アレルギーを考えます。
粉ミルクが飲めていれば牛乳アレルギーではないのですか?
そうとは限りません。少量なら症状が出ず、量が増えたときにはじめて症状が出ることがあります。また、生後まもなくは症状が出ず、しばらくたってから発症することもあります。反対に、粉ミルクを飲めているのに離乳食のヨーグルトで症状が出た、というケースもあります。飲めているから大丈夫と決めつけず、症状が一度でも出たときはご相談ください。
母乳アレルギーはありますか。母乳でも症状が出ますか。母親は乳製品をやめるべきですか?
お母さんが食べた乳製品のたんぱく質がごく微量ながら母乳に移行し、症状が出ることがあります。ただし、これは多い状況ではありません。お母さんが自己判断で乳製品を完全にやめることはおすすめしません。お母さん自身の栄養が不足しますし、除去が本当に必要かどうかは慎重に判断する必要があるためです。赤ちゃんの湿疹や下痢が続くときは、除去を始める前に一度ご相談ください。
ヨーグルト・チーズ・バターは食べられますか。ヨーグルトは大丈夫でしょうか?
牛乳アレルギーでは、加熱や発酵によってアレルゲンが弱くなりません。ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、アイスクリーム、練乳、乳酸菌飲料も、牛乳と同じように扱います。ただし、含まれる牛乳たんぱく質の量は食品によって大きく違い、バターや生クリームは割合が低く、チーズや脱脂粉乳は非常に高くなります。どこまで食べてよいかは、経口負荷試験の結果を参考に量で決めます。なお、熟成チーズやバターで症状が出ないという場合は、牛乳アレルギーではなく乳糖不耐症のことがあります。
生クリームアレルギーでしょうか。生クリームで症状が出るのに牛乳は大丈夫なのですが、なぜですか?
生クリームは牛乳よりたんぱく質の割合が低いのですが、ケーキやパフェのように一度に食べる量が多くなりやすく、結果として牛乳より多くの牛乳たんぱく質をとってしまうことがあります。生クリーム17gで牛乳10mLに相当します。また、洋菓子には生クリームのほかにバター、脱脂粉乳、乳成分を含むチョコレートが一緒に使われていることが多く、合計の量が増えます。牛乳は少量なら平気でも、洋菓子で症状が出るという方は珍しくありません。
脱脂粉乳(スキムミルク)、全粉乳、ホエイは避けたほうがよいですか?
いずれも牛乳を原料にした食品で、牛乳のたんぱく質を含みます。除去が必要です。とくに脱脂粉乳はたんぱく質の割合が34%と非常に高く、わずか1gで牛乳10mLに相当します。パン、菓子、ハムやウインナー、レトルト食品などに広く使われていますので、原材料表示で「脱脂粉乳」「全粉乳」「乳清(ホエイ)」「カゼイン」「乳成分を含む」を確認してください。
乳化剤や乳酸カルシウム、乳酸菌、カカオバターは避けるべきですか?
いずれも名前に「乳」やバターという語が付きますが、牛乳の成分ではありません。乳化剤は大豆などが原料で、乳酸カルシウム・乳酸ナトリウム・乳酸も牛乳とは無関係です。カカオバター(ココアバター)はカカオ豆の油脂です。これらが書かれているだけであれば除去の必要はありません。乳酸菌についても菌そのものは牛乳の成分ではありませんが、培養に牛乳由来の成分を使っている製品があるため、お薬については別に確認が必要です。判断に迷う表示は、実物をお持ちいただければ一緒に確認します。
乳糖は避けたほうがよいですか?
乳糖アレルギーという言い方をされることがありますが、乳糖は糖であってたんぱく質ではないため、アレルギーの原因にはなりません。乳糖(ラクトース)は牛乳由来ですが精製されており、たんぱく質はごくわずかしか残っていません。牛乳アレルギーの方でも、ほとんどの場合そのまま摂取できます。ただし、重い牛乳アレルギーの方では乳糖に残るわずかなたんぱく質に反応することがあり、とくに粉を吸い込むタイプの吸入薬では注意が必要です。なお、乳糖不耐症の方にとっては乳糖そのものが症状の原因ですので、扱いが逆になります。
ビオフェルミンなどの整腸剤は飲めますか。ミヤBMはどうですか?
整腸剤のなかには、製造に牛乳由来の成分が使われているものがあります。耐性乳酸菌製剤(ビオフェルミンR、ラックビーR、レベニン、エンテロノン-Rなど)は牛乳由来の成分を含むため、牛乳アレルギーの方には使いません。乳成分を含まない酪酸菌製剤(ミヤBMなど)に変更できます。また、下痢止めのタンニン酸アルブミン(タンナルビン)はカゼインを含みます。処方を受けるときは、牛乳アレルギーがあることを必ずお伝えください。市販の整腸剤についても同じです。
牛乳アレルギーは治りますか。治る確率はどのくらいですか?
乳幼児期に発症した牛乳アレルギーは、3歳までにおよそ30%、6歳までにおよそ60%が改善すると報告されています。鶏卵ほど早くはありませんが、木の実やそば、甲殻類にくらべると治りやすいグループです。カゼイン特異的IgE抗体が高い方や、アナフィラキシーを起こしたことがある方は耐性を獲得しにくいことがわかっています。治ったかどうかは血液検査の数値だけでは判断できず、最終的には医師の管理下で実際に食べて確かめる食物経口負荷試験で判定します。当院では負荷試験を実施していないため、その段階になったら実施できる医療機関をご紹介します。
大人になってから急に牛乳アレルギーになることはありますか?
あります。数は多くありませんが、これまで平気だった牛乳やチーズで症状が出るようになることがあります。大人ではじんましんや口の中の違和感に加えて、腹痛や吐き気が前面に出ることがあります。食べたあとに運動をしたときだけ症状が出る食物依存性運動誘発アナフィラキシーや、慢性じんま疹といった別の病気も一緒に考えます。子どものころに発症したものにくらべ、大人になってから発症した食物アレルギーは自然に治りにくいと考えられています。
カゼインアレルギーとは何ですか?
カゼインは牛乳のたんぱく質の約8割を占める主要なアレルゲンです。カゼインアレルギーという別の病気があるわけではなく、牛乳アレルギーのなかでカゼインに強く反応しているタイプを指してそう呼ばれています。カゼインは熱に強いため、加熱しても食べられるようにはなりません。血液検査では牛乳(ミルク)特異的IgEとあわせてカゼイン特異的IgEを測り、耐性がつきにくいかどうかの参考にします。
血液検査でクラス2、軽度と言われました。除去が必要ですか?
数値だけでは決められません。軽度と言われた、クラスが低いと言われたというだけで今後も軽いとは限らず、逆に数値が高くても食べられることがあります。血液検査が陽性でも、その食品を問題なく食べられることは少なくありません。症状が出たことのない食品を、クラスが高いというだけで除去することはしません。逆に、検査が陰性でも症状をくり返す場合には牛乳アレルギーと考えることがあります。判定は必ず症状と合わせて行います。ただし、以前に即時型の症状を起こしたことがある方や抗体が高い方では、自宅で試すことは危険ですので、必ず診察でご相談ください。
牛乳の代わりに豆乳を飲ませてよいですか。豆乳は大丈夫でしょうか?
大豆アレルギーがなければ、豆乳を牛乳の代わりに使うことはできます。牛乳アレルギーの方が必ず大豆にも反応するわけではありません。ただし、調製豆乳のカルシウムは牛乳より少ないため、量を増やすか、カルシウムを強化した製品を選ぶか、ほかの食品と組み合わせてください。赤ちゃんの場合は、豆乳ではなく月齢に合った栄養設計になっているアレルギー用ミルクを使います。ヤギ乳(山羊乳)は牛乳と交差反応を起こすため代わりになりません。
牛乳をやめるとカルシウムが足りなくなりませんか?
意識して補う必要があります。牛乳コップ半分(90mL)分のカルシウムは、木綿豆腐1/3丁、しらす干し50g、干しひじき大さじ1から2杯、小松菜(ゆで)2株などで補えます。お子さんではアレルギー用ミルクを続けることがもっとも確実です。除去する食品が多い場合は栄養が偏りやすくなりますので、定期的にご相談ください。
牛乳を飲むと頭が痛くなります。牛乳アレルギーですか?
頭痛だけで、じんましんや呼吸の症状をともなわない場合、牛乳アレルギーの典型的な症状ではありません。乳糖不耐症でお腹の調子が崩れているとき、あるいは片頭痛の誘因が重なったときに、牛乳を飲んだタイミングと重なって感じられることがあります。くり返す頭痛は、頭痛そのものとして原因を診ていく必要がありますのでご相談ください。
牛乳で肌荒れやニキビが悪くなりますか?
乳製品と肌の状態についてはいくつかの報告がありますが、牛乳をやめれば治るというほど単純ではありません。じんましんやかゆみが牛乳を飲んだあとに毎回出るのであればアレルギーを疑いますが、慢性的な肌荒れや湿疹の場合は、まず皮膚の治療を行ったうえで食べ物との関係を検討します。自己判断で乳製品を長期間やめてしまう前にご相談ください。
保育園や学校の給食はどうすればよいですか?
「アレルギー疾患生活管理指導表」を当院で作成します。牛乳は給食でもっとも使われる食品のひとつで、牛乳そのもののほかパンやシチュー、デザートにも入ります。どこまで除去するか、代替をどうするか、緊急時に誰がどう動くかを園や学校と共有します。新学期の前は依頼が集中しますので、余裕をもってご相談ください。血液検査の結果が必要な場合は1週間ほどかかります。牛乳パックのリサイクル活動のように、食べる以外の場面で牛乳に触れる機会についても必要に応じて記載します。
自宅で少しずつ飲ませて、食べられるか試してもよいですか?
おやめください。牛乳はアナフィラキシーを起こしやすい食品で、以前に即時型の症状を起こしたことがある方や抗体が高い方では、ごく少量から医療機関の管理下で進める必要があります。インターネットには自宅での進め方を書いた情報がありますが、症状が出たときにすぐ対応できない環境で行うことは危険です。当院では負荷試験を実施していないため、必要な段階になったら実施できる医療機関をご紹介します。
赤ちゃんのうんちがゆるいのですが、牛乳アレルギーでしょうか。牛乳はいつから飲ませてよいですか?
1歳ごろに牛乳を始めてうんちがゆるくなる場合、乳糖不耐症のことも、胃腸炎のあとに酵素が減っている二次性乳糖不耐症のこともあります。牛乳アレルギーであれば、じんましんや嘔吐をともなうことが多くなります。血便が出る、体重が増えない、機嫌が悪い状態が続くというときは、新生児・乳児消化管アレルギーを含めて確認が必要です。母子健康手帳の体重の記録をお持ちのうえご相談ください。牛乳を飲みものとして与えるのは1歳を過ぎてからが目安です。乳製品を離乳食でいつから始めるかについては、少量から、体調のよい日に、平日の日中に試してください。
牛乳アレルギーだと牛肉も避けたほうがよいですか?
通常は必要ありません。牛乳と牛肉ではアレルゲンとなるたんぱく質が異なります。ただし、乳児期から続く原発性の牛肉アレルギーでは、原因となるウシ血清アルブミンが牛乳にも含まれるため、牛乳アレルギーを合併することがあります。牛肉でも症状が出たことがある方は、肉アレルギーのページもあわせてご覧ください。
牛乳アレルギーかどうか、自宅でチェックする方法はありますか?
ご自宅でできる確実なアレルギーチェックの方法はありません。少しだけ飲んで試す、皮膚に塗ってみるといった自己流の確認は、思わぬ強い症状を招くことがあるため行わないでください。牛乳はアナフィラキシーを起こしやすい食品です。牛乳アレルギーのチェックは、症状の経過をうかがったうえで、血液検査と皮膚プリックテストで行います。乳糖不耐症かどうかは、乳糖を減らして症状が改善するかで確かめます。
牛乳アレルギーは何科を受診すればよいですか。結果は当日わかりますか?
内科・皮膚科・アレルギー科のいずれでも診療します。当院はアレルギー科として、皮膚の症状も消化器の症状も合わせて診察します。血液検査(特異的IgE抗体検査)の結果は後日のご説明となり、当日その場ではお伝えできません。皮膚プリックテストは15分後に反応をみるため、その日のうちに結果をご説明できます。
豊洲イーウェルクリニック
牛乳や乳製品で症状が出る方へ

これはアレルギーなのか、お腹が弱いだけなのか。粉ミルクをどれに替えればよいのか。どこまで食べさせてよいのか。判断に迷ったままの方は、一度ご相談ください。豊洲駅から徒歩3分、土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本アレルギー学会(食物アレルギー診療ガイドライン)
  2. 消費者庁(即時型食物アレルギー全国モニタリング調査・アレルギー表示)
  3. 厚生労働省(授乳・離乳の支援ガイド、日本人の食事摂取基準)

本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と除去の範囲は、症状・年齢・検査結果をふまえて診察のうえで判断します。記載は2026年8月時点の情報です。強い症状が出たときは、記載にかかわらず救急要請をしてください。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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