牛乳アレルギー
牛乳は乳児期アレルギーで2番目におおく、多くは乳児アトピー性皮膚炎に続いて発症します。
牛乳アレルギーの症状は?
牛乳アレルギーは生後早期から1歳までに発症します。
乳児期の牛乳アレルギーはじんま疹や口のかゆみなどが一般的です。
☑︎ じんま疹などの皮膚症状(50-70%)
☑︎ 腹痛、嘔吐、下痢など胃腸症状(50-60%)
☑︎ 呼吸器症状(20-30%)
《食物たんぱく誘発胃腸症(消化管アレルギー)》
新生児や乳児では、原因となる食物(粉ミルクなど)を摂取してからしばらくして、嘔吐や血便、下痢などのお腹の症状、また体重が適切に増えないなどの症状がみられます。
IgEが関連しないアレルギーでじんま疹などの皮膚症状を伴わないのが特徴です。
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発症時期 |
疾患 |
主な症状 |
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新生児〜乳児 |
食物たんぱく誘発胃腸症 |
血便、嘔吐、下痢 |
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乳児 |
乳児期発症の食物アレルギーが関与するアトピー性皮膚炎 |
スキンケアと軟膏塗布だけでは症状を繰り返す痒みの強い湿疹 |
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1~2歳までに 発症 |
即時型反応 *アナフィラキシーを起こすこともある |
皮膚症状:痒み,発赤,蕁麻疹 消化器症状:嘔吐,腹痛,下痢 呼吸器症状:咳、ゼーゼー、呼吸困難 神経症状:意識の低下 循環器症状:血圧低下,ショック |
牛乳アレルギーはどのように診断しますか?
❶ 血液検査
血液検査で卵白特異的抗体とカゼイン特異的IgE抗体を検査します。
オボムコイド抗体の方が加熱した卵を食べられるかどうかを判断しやすいといわれています。
《検査》
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抗体検査 |
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牛乳特異的特異的IgE抗体 |
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カゼイン特異的IgE抗体 |
❷ 皮膚プリックテスト
❸ 食物経口負荷試験
以前に即時型の症状を起こしたことがあったり、牛乳特異的抗体がクラス3以上の場合は少量の負荷から開始することが推奨されています。
牛乳アレルギーはどのように管理しますか?
❶ 医師と相談をしながら症状がでない『食べられる範囲内』で食べましょう
抗体が高くても必ずしも完全に除去をする必要はありません。最低限の除去をすることで食べられるメニューが広がる、耐性獲得が促される可能性があります。
《完全除去が必要なお子さんへのアレルギー用ミルク》
①「加水分解乳」をまず使用します。それでもアレルギー症状が出現するようであれば②「アミノ酸乳」を使用します。③「大豆乳」については大豆アレルギーがない方に対する選択肢として提示しています。
❷ 牛乳の除去が必要な際の注意点
《食べられないもの》
- 牛乳と牛乳を含む加工食品
(ヤギ乳も交差抗原性があるので摂取できません。)
《基本的に除去する必要がないもの》
- 牛肉
- 乳酸菌、乳酸カルシウム、乳酸ナトリウム、乳化剤(一部を除く)は『乳』が付いていますが乳製品ではないため除去は不要です。
- 乳糖はほとんどの場合摂取が可能です。
《牛乳を含む加工食品の例》
完全に除去が必要な場合は牛乳のみではなく加工食品にも注意が必要です。
- ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、全粉乳、 脱脂粉乳、一般の調製粉乳、れん乳、乳酸菌飲料、はっ酵乳、アイスクリーム
- パン
- カレーやシチューのルウ
- 肉類加工品(ハム、ウインナーなど)
- 洋菓子類(チョコレートなど)、調味料の一部 など
❸ カルシウムを補いましょう
牛乳を除去すると、カルシウム摂取量が不足するため、他の食品で補います。
牛乳アレルギーを予防するには?
❶ 生後1か月から少量(最低10mL程度)でもいいので粉ミルクを定期的に摂取する
❷ 母乳栄養の継続を行う
❸ 乳児湿疹、アトピー性皮膚炎の早期治療
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下している病気ですので、アトピー性皮膚炎があると、アレルゲンの経皮感作(皮膚がアレルゲンに反応すること)から食物アレルギーが発症しやすくなります。卵アレルギーの予防と同時に、アトピー性皮膚炎の早期治療が重要となります。
よくある質問
牛乳アレルギーは治りますか?
乳幼児期に発症した牛乳アレルギーは3歳までに30%、6歳までに60%が改善すると言われています。
オボムコイド特異的IgE抗体が高い方、アナフィラキシーや全身の症状がでるかたは耐性化しづらいことがわかっています。
どのくらいの量を目安に食べればよいですか?
経口負荷試験の結果を参考に食べられる量を決定します。
乳製品は加熱や発酵によりアレルゲン性が大きく変わりません。摂取可能な量は牛乳たんぱくの量に基づき決めます。
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食品 |
たんぱく質(%) |
牛乳10mL相当量 |
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有塩バター |
0.6 |
55g |
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生クリーム |
1.9 |
17g |
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牛乳 |
3.3 |
10ml |
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ヨーグルト |
3.6 |
9g |
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アイスクリーム |
3.9 |
8.4g |
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プロセスチーズ |
22.7 |
1.4g |
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脱脂粉乳 |
34 |
1g |
加熱すれば乳製品は食べられますか?
牛乳アレルギーの原因であるカゼインは加熱してもアレルゲンが変化しないため摂取はできません。
乳糖不耐症との違いは?
乳糖不耐症とは乳製品を摂取した後に下痢症状を起こす病気です。
生まれつきのかたと、胃腸炎のあとに下痢が持続する二次性乳糖不耐症があります。
多くは二次性で、胃腸炎などで腸の機能が悪くなると乳糖を分解する酵素の分泌が悪くなり下痢症状を引き起こします。
チーズは製造過程で乳糖がほとんど除去されているためチーズで症状がでないこと乳糖不耐症の特徴です。また、乳製品を少量から少しずつ摂取することで酵素誘導が起こり、乳糖不耐性下痢症を軽快させる場合もあります。
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IgEを介さない牛乳アレルギー |
乳糖不耐症 |
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症状 |
下痢、嘔吐 |
下痢、嘔吐 |
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メカニズム |
牛乳蛋白による免疫反応 |
免疫反応ではない。 |
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検査 |
除去食による症状の改善を確認します。 |
除去食による症状の改善を確認します。 |
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食事療法 |
アレルギー用ミルクの使用 |
乳糖が少ない食事 |
カルシウム不足を補うためには?
牛乳を除去すると、カルシウム摂取量が不足するため、他の食品で補います。
《カルシウムを多く含む食品》
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食品 |
目安量 |
具体的な量 |
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普通牛乳 |
コップ1/2杯 |
90ml |
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アレルギー用ミルク |
コップ1杯 |
180ml |
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調整豆乳 |
コップ2杯弱 |
320ml |
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木綿豆腐 |
1/3丁 |
120g |
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しらす干し |
2/3カップ |
50g |
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桜エビ |
大さじ1-2杯 |
5g |
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干しひじき |
大さじ1-2杯 |
10g |
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切り干し大根(乾) |
小鉢1/2皿 |
19g |
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まいわし(丸干し) |
1/4尾 |
22g |
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ごま |
大さじ1杯 |
9g |
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小松菜(ゆで) |
2株 |
70g |
《カルシウムの食事摂取量(mg/日)》
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年齢 |
男児 |
女性 |
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目安量 |
推奨量 |
目安量 |
推奨量 |
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0〜5(月) |
200 |
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200 |
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6〜11(月) |
250 |
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250 |
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1〜2(歳) |
450 |
400 |
400 |
400 |
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3〜5(歳) |
600 |
550 |
550 |
550 |
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6〜7(歳) |
600 |
600 |
650 |
600 |
注意を要する学習活動はありますか?
牛乳パックのリサイクル活動(洗浄など)
牛乳アレルギーがある場合注意する薬はありますか?
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タンニン酸 |
タンナルビン |
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カゼイン |
ラコール |
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耐性乳酸菌 |
エンテロノン-R散 |
多くの気管支喘息やインフルエンザの吸入薬では乳糖を含んでいます。重度の牛乳アレルギー患者をもつ喘息の治療時にはパルミコートタービュヘラー/エアロゾールを使用します。
《投与可能な乳酸菌製剤》
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乳酸菌製剤 |
アタバニン®散、ビオチアスミンF-2散,ビオフェルミン®配合散、ビオラクト原末、ラクトミン散,ラクトミン末 |
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耐性乳酸菌製剤 |
ビオフェルミンR®散・錠、ラックビー®散、 レベニン®散・錠 |
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ビフィズス菌製剤 |
ビオスミン”配合散、ビオフェルミン®散・錠 |
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活性生菌製剤 |
ビオスリー®配合散・錠・OD錠 |
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三菌種配合乳酸菌製剤 |
レベニン®S配合散・錠 |
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酪酸菌製剤 |
ミヤBM®細粒・錠 |
