ソバアレルギー
そばアレルギーについて
そばアレルギーには、ほかの食物アレルギーと違う点があります
そばアレルギーとは、そばに含まれるタンパク質(たんぱく質)に体が過剰に反応して症状が出る食物アレルギーのことです。蕎麦アレルギー、ソバアレルギー、そば粉アレルギー(蕎麦粉アレルギー)とも呼ばれます。原因物質はそばの実に含まれるタンパク質で、そば粉(蕎麦粉、ソバ粉)を使った麺やお菓子だけでなく、ゆで汁や立ちのぼる湯気、そばがら枕から出る粉じんでも症状が出ることがあります。
そばは、食物アレルギーの原因食物のなかでは多いほうではありません。それでも特別に注意して扱われるのは、次の理由があるからです。
すぐに救急要請が必要な症状(アナフィラキシー)
そばアレルギーでもっとも警戒するのがアナフィラキシーです。次のような症状があるときは、様子をみたり、自分で運転して受診したりせず、ただちに救急要請(119番)をしてください。エピペンをお持ちの方は、迷ったら早い段階で使用してください。
どのような症状が、いつ出ますか
そばアレルギーの症状は、食べてから数分から2時間以内、その多くは30分以内に出ます。何時間後に出るのか、発症時間はどのくらいかというご質問をよくいただきますが、そばの場合は「食べてすぐ」がほとんどです。逆に、翌日や数日後に出た不調をそばで説明することは通常できません。症状がおさまるまでの時間は、軽い皮膚の症状であれば数時間ですが、そばでは途中から重度の症状へ進むことがあるため、おさまるのを待つのではなく、進んでいないかを見てください。
もっとも多いのは皮膚の症状です。じんましん(蕁麻疹)、かゆみ、赤み、まぶたや唇のはれ、湿疹の悪化として出ます。そばでは、これに加えて消化器の症状と呼吸器の症状が出る割合が高いことが知られています。
症状の出はじめは、唇がかゆい、舌がピリピリする、口の中や唇の違和感、喉(のど)のイガイガ、まぶたや目が腫れる、せき込むといった軽いものであることが少なくありません。そばでは、そこから急速に進むことがあるため、初期症状の段階で「まだ軽いから様子をみよう」と考えないことが大切です。
| 出る場所 | 主な症状 | 報告されている頻度 |
|---|---|---|
| 皮膚 | じんましん、かゆみ、赤み、まぶたや唇のはれ、発疹、湿疹の悪化 | 約80% |
| 消化器 | 腹痛、吐き気、嘔吐、下痢 | 約60% |
| 呼吸器 | 咳(せき)、息苦しさ、ゼーゼーする、声のかすれ | 約60% |
| 口・のど | 口の中や唇の違和感、舌のピリピリ感、喉(のど)のイガイガ、飲み込みにくさ | しばしば |
| 鼻・目 | くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血、目が腫れる | しばしば |
| 全身 | 血圧が下がる、意識がもうろうとする(アナフィラキシー) | 約50%との報告 |
頻度はそばアレルギーについて報告されている数値で、調査によって幅があります。ひとりの方に複数の症状が同時に出ます。そばは、ほかの食物アレルギーに比べてアナフィラキシーに至る割合が高いことが知られています。症状の画像や写真をお探しの方が多いのですが、じんましんの見た目だけで原因を決めることはできません。写真が残っていれば診察でお見せください。
「軽い症状」でも、次も軽いとは限りません
そばアレルギーの軽い症状、軽度の症状としてご相談が多いのは、口のまわりが少し赤くなった、唇がかゆくなった、少しじんましんが出たが自然に引いた、といったものです。そばを食べたあとにこうした症状が出たことがあるなら、それは軽いそばアレルギーというより、症状が出ることが確かめられた状態と考えてください。
重要なのは、そのときの症状の軽さが、次に食べたときの症状の重さを保証しないという点です。同じ量でも、体調不良、寝不足、飲酒、運動、解熱鎮痛薬の内服、月経前などが重なったときに、前回より強い症状が出ることがあります。そばはとくにこの振れ幅が大きい食品です。
「軽かったから受診しなくてよい」ではなく、「軽いうちに確かめておく」のが、そばでの考え方です。
そばを食べていないのに症状が出た(ゆで汁・同じ釜・湯気)
当院でもっともご相談の多いのが、これです。そば自体は食べていないのに、そば屋やうどん屋、ラーメン店で食事をしたあとに症状が出た、というものです。
そばのたんぱく質は熱に強く、水に溶けやすいという性質があります。ゆでてもこわれず、ゆで汁のほうへ溶け出していきます。そのため、そばそのものを口にしていなくても、次のような経路で症状が出ることがあります。
そばがら枕・そば茶・そばの花(食べる以外で症状が出る経路)
そばがら枕(そば枕、蕎麦殻枕、そば殻の枕)は、そばの実の外側の殻を詰めた枕です。使っているうちに殻がくだけて細かい粉じんになり、寝ている間にそれを吸い込むことで、朝の鼻づまりやくしゃみ、せき、目のかゆみ、顔まわりのかゆみや湿疹が出ることがあります。そばがら枕のアレルギー症状として気づかれ、そこからそばアレルギーが見つかることもあります。
殻には、そばの実のたんぱく質がわずかに残っています。またそばがら枕は湿気を含みやすく、ダニやカビが増えやすいという別の問題もあるため、症状がダニによるものかそばによるものかを分けて考える必要があります。血液検査でそばとダニの両方を調べると整理がつきます。
そばアレルギーとわかっている方、あるいはそばがら枕を使うと朝に症状が出るという方は、枕の中身をポリエステルなど別の素材に替えてください。そば殻の座布団やクッション、抱き枕も同じです。
そば茶、韃靼(だったん)そば茶も、そばの実からつくられています。カフェインがないので健康茶として飲まれていますが、そばアレルギーの方は避けてください。そばの花のはちみつ(そばはちみつ)も同様です。
そばを栽培している地域や養蜂に関わる方では、そばの花の花粉を吸い込んで鼻や目の症状が出ることが報告されています。花粉症の季節ではない時期に、そば畑の近くで症状が出るという場合には、この可能性も考えます。
大人になって急にそばアレルギーになることがあります
これまで何十年もそばを食べてきたのに、突然そばアレルギーになった、急になったというご相談は珍しくありません。大人になってから急になる、突然なるということはあるのか、というご質問へのお答えは「あります」です。後天的に発症することがあり、大人になってからの発症も報告されています。「昔は平気だったからそばではない」とは言えません。
後天性のそばアレルギーとして新たに症状が出たときは、次のような点を確認します。
そばアレルギーはどのくらい多いですか(割合・何人に一人)
そばアレルギーの割合、何人に一人なのかというご質問をよくいただきます。消費者庁が行っている即時型食物アレルギーの全国調査では、原因食物に占めるそばの割合は1%前後で、鶏卵・牛乳・木の実類・小麦などに比べると多くはありません。
一方、学童を対象とした全国調査では、そばアレルギーがあると報告された児童生徒は0.2%程度でした。おおよそ500人に1人という数字になります。
数としては多くありませんが、そばはアナフィラキシーに至る割合が高いため、学校給食や外食の現場では、鶏卵や牛乳と同じかそれ以上に慎重にあつかわれます。数の多さと、危険性の高さは別のものです。
そばを食べたあとの下痢・腹痛・吐き気は、アレルギーとは限りません
蕎麦を食べると下痢になる、お腹が痛い、お腹を壊す、お腹がゆるくなる、胃が痛くなる、胃もたれがする、気持ち悪くなる、そばにあたる(食あたりや食中毒ではないか)。このようなご相談も多くいただきます。消化器の症状だけで、皮膚やのど、呼吸の症状をともなわない場合には、アレルギー以外の原因も一緒に考えます。
そばには食物繊維が多く含まれ、冷たいそばを一度にたくさん、つゆや水分と一緒に早食いすると、お腹が痛くなったり、ゆるくなったりすることがあります。天ぷらやかき揚げの脂質、そばつゆの量、食べ過ぎも消化器の症状や胃もたれの原因になります。毎日そばを食べていて調子が悪いという場合も、量や食べ方の影響のことがあります。もともと過敏性腸症候群がある方では、そばに限らず麺類全般で症状が出ることもあります。
蕎麦を食べると頭が痛くなる、頭痛がするという場合も同様で、アレルギーの典型的な出方ではありません。また、アレルギー反応そのもので高い熱が出ることは通常ありません。発熱があるときは、感染症など別の原因を考えます。何日も続く肌荒れや、肌のあれが治らないという症状も、そばだけで説明できることは多くありません。
見分け方の手がかりは次の3点です。この3点にあてはまるほど、アレルギーの可能性が高くなります。
なぜ、そばの症状は強く出やすいのですか
そばアレルギーの原因、なぜ強い症状が出るのかという点には、そばのアレルゲンの性質が関係していると考えられています。
そばの主要なアレルゲンは、そばの実に含まれる貯蔵たんぱく質です。このたんぱく質は、加熱してもこわれにくく(熱に強い)、水に溶けやすく、胃や腸で消化されにくいという性質をもっています。加熱でこわれやすい果物や野菜のアレルゲンとは対照的です。
熱に強いのでゆでても焼いても残り、水に溶けやすいのでゆで汁や湯気に移り、消化されにくいので腸まで届いて全身の反応につながる。これがそばで、ごく少量でも全身の強い症状が出やすい理由と考えられています。
なお、そばはタデ科の植物で、小麦や米などのイネ科の穀物とは別のグループです。そばアレルギーがあるからといって、小麦や米まで避ける必要はありません。そばアレルギーがあると他のアレルギーも出るのか、というご質問もいただきますが、ほかの食品と明らかな交差反応があるとは考えられていません。ただし、複数の食物アレルギーを合わせもつ方はいらっしゃいます。
検査と調べ方
家でできる「そばアレルギーチェック」はありません
そばアレルギーのチェック方法(蕎麦アレルギーチェック)、確認方法、試し方をお探しの方が多くいらっしゃいます。はじめにお伝えしたいのは、ご自宅で安全に確かめる方法はないということです。
少しだけ食べてみる、皮膚に塗ってみる、そば湯を少し飲んでみるといった自己流の確認は、絶対に行わないでください。そばは、ごく少量でもアナフィラキシーを起こしうる食品です。そばアレルギーのチェックを量を加減して試す、という進め方は、そばに関してはとくに危険です。
受診の前にできるのは、次の点を整理しておくことです。これが診断のいちばんの手がかりになります。
血液検査(特異的IgE抗体検査)
そばアレルギーの検査(蕎麦アレルギー検査)の基本は、そばに対する抗体(そば特異的IgE抗体)を血液で調べる検査です。そばは一般に測定できる項目で、当院で調べられます。採血だけで済むため負担が少なく、小さなお子さんにも行えます。
保険診療で算定できるのは13項目までと決められています。そばだけを1項目調べることも、そばと一緒に、症状から疑われるほかの食品やダニ・花粉を含めて調べることもできます。何を何項目調べるかは、症状の出方をふまえて診察で決めます。
結果は後日のご説明となります。当日その場ではお伝えできません。
そばの血液検査には、知っておいていただきたい限界があります。そばでは、抗体の数値が低くても症状が出ることがあります。数値が低いことは、食べても安全だという保証にはなりません。逆に、数値が陽性でも問題なく食べられている方もいます。数値だけで判断せず、必ず症状と合わせて判定します。
そばには、成分(コンポーネント)ごとに分けて測る検査が国内で一般に受託されていないため、血液検査は「そば」の特異的IgE抗体で調べます。
皮膚プリックテスト・プリック・プリックテスト
当院では皮膚プリックテストを実施しています。皮膚にアレルゲンの液を1滴たらし、細い針でごく浅く傷をつけて皮膚の中に少量入れ、15分後にじんましんのような膨らみが出るかどうか、その大きさを測って評価する検査です。その日のうちに結果をご説明できます。
実物の食品を使うプリック・プリックテストも行えます。そばの場合、市販の診断用エキスがないため、そば粉やゆでたそばそのものを用いて調べます。血液検査で判定がつきにくいとき、そば以外の食品との切り分けが必要なときに役立ちます。
検査の前に抗ヒスタミン薬(アレルギーの飲み薬)を中止していただく必要がありますが、中止する期間は薬の種類によって異なります。自己判断で中止せず、一度受診してご相談ください。
そばは少量でも強い反応が出うる食品です。以前にアナフィラキシーを起こしたことがある方では、皮膚プリックテストであっても実施の可否を慎重に判断します。まず血液検査から始めることもあります。
食物経口負荷試験・経口免疫療法について
食物経口負荷試験は、医療機関で実際に少しずつ食べて、症状が出るかどうかを確かめる検査です。診断を確定するとき、どのくらいの量まで食べられるかを確かめるとき、耐性がついたかを再評価するときに行われます。
この検査は、検査中に強い症状が出る可能性があるため、当院では実施しておりません。必要と判断した場合は、体制の整った医療機関をご紹介します。そばは、負荷試験を行う場合でもとくに慎重な体制が求められる食品です。
原因の食べ物を少しずつ食べて体を慣らしていく経口免疫療法も、当院では行っておりません。
問診と血液検査・皮膚プリックテストによる診断、除去の範囲のご相談、エピペンの処方、日常の管理、保育園や学校に提出する生活管理指導表の作成は当院で承ります。
受診の前にメモしてきていただきたいこと
そばアレルギーは、検査よりも問診で決まる部分が大きい病気です。次の点をメモしてお越しいただけると、原因を絞り込みやすくなります。
診断がついたあと
そばは、原則として完全に除去します
食物アレルギーの管理は「必要最小限の除去」が原則で、多くの食品では症状が出ない範囲まで食べていただきます。ただし、そばはその原則の例外になる食品です。そばアレルギーと診断された場合は、原則として完全な除去を行います。
理由は、ごく少量でも重い症状が出ることがあり、安全に食べられる量を見きわめることが難しいためです。食べられる量を少しずつ広げていくという進め方も、そばでは通常とりません。
除去にともなう栄養面の心配はほとんどありません。そばはご飯・パン・うどんなど、ほかの主食で問題なく置きかえられます。
そば粉が入っている食品・入っていない食品
そばアレルギーで何がダメなのか、食べてはいけないものはどこまでかというご質問をよくいただきます。そば粉(蕎麦粉)が入っているかどうかは、名前や見た目では判断できません。「そば」という名前でも小麦が主原料のものがあり、逆に「そば」と名前がついていないのにそば粉が入っているものもあります。
| 分類 | 食品 | 注意していただきたいこと |
|---|---|---|
| そば粉が主原料 | 十割そば(そば粉10割)、そばがき、そば米、そばの実(蕎麦の実) | そば粉そのものです |
| そば粉と小麦粉を混ぜたもの | 二八そば、乾麺のそば、生そば、茶そば、韃靼(だったん)そば | 「そば」という表示の麺でも、原料の多くが小麦粉で、そば粉の割合が少ない商品があります。そば粉が少ないから安全ということはありません。割合にかかわらず避けます |
| そば粉と気づきにくいもの | ガレット(そば粉のクレープ)、そばぼうろ、そば茶・韃靼そば茶、そば粉入りのパン・クッキー・パンケーキ、そばはちみつ、韓国冷麺 | 名前や見た目からそば粉に気づきにくいものです。ガレットはそば粉を使うのが本来の作り方です |
| 名前に「そば」がつくがそば粉を使わないもの | 中華そば(ラーメン)、焼きそば、沖縄そば・ソーキそば、そうめん | これらは小麦粉が主原料で、そば粉は使いません。ただし日本そばも出すお店では、同じ厨房・同じ釜を使うため混入に注意が必要です |
| 食品以外 | そばがら枕(蕎麦殻枕、そば殻の座布団・クッション・抱き枕) | 中身の粉じんを吸い込んで、鼻炎や喘息の症状、皮膚の症状が出ることがあります。中身を別の素材に替えてください |
そばぼうろには卵や小麦も使われます。そば屋のそばは、つなぎに小麦粉や卵を使うことがあります。ほかの食物アレルギーがある方は、あわせてご確認ください。判断に迷う商品は、写真やパッケージをお持ちいただければ診察で一緒に確認します。
外食で気をつけること
そばアレルギーでもっとも事故が起きやすいのが外食です。そば屋(蕎麦屋)でそばを注文しなければ安全、とはいきません。
原材料表示の読み方
そばは、食品表示法で表示が義務づけられている特定原材料の8品目(えび・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)のひとつです。包装された加工食品には、原材料名に必ず「そば」と表示されます。「そばを含む」というかっこ書きで示されることもあります。
同じ製造ラインでそばをあつかっている商品には、「本製品はそばを使用した設備で製造しています」といった注意表示がつくことがあります。この表示は義務ではありませんが、そばアレルギーの方は、こうした表示のある商品も避けていただくのが安全です。
表示のルールは、包装された加工食品と、外食・中食(惣菜やテイクアウト)とで異なります。判断に迷うときは診察でご説明します。
エピペン(アドレナリン自己注射薬)をおすすめしています
そばアレルギーと診断された方には、エピペンの携帯をおすすめしています。そばは、少量の混入でアナフィラキシーが起こりうること、外食での誤食を完全には防ぎきれないことから、備えの必要性が高い食品です。
当院ではエピペン注射液0.3mg製剤を院内に在庫しており、診察のうえ当日お渡しできます。0.15mg製剤は院外処方となります。注射に抵抗がある方には、鼻にスプレーするタイプのアドレナリン製剤ネフィーもあり、こちらは院外処方となります。
使い方は処方時にご説明します。太ももの外側に、衣服の上からでも打てます。使用したあとは、症状が落ち着いたように見えても必ず救急要請をして医療機関を受診してください。
とくに次にあてはまる方では、携帯をおすすめしています。
誤って食べてしまったときの対応
誤って食べてしまったときの対処法です。症状が出た場合、皮膚のかゆみやじんましんだけであれば、あらかじめ処方された抗ヒスタミン薬を内服し、横になって安静にして、症状の変化を観察します。このとき、ひとりにしないでください。
そばでは、皮膚の症状から呼吸の症状へ短時間で進むことがあります。息苦しさ、声のかすれ、くり返す嘔吐、強い腹痛、ぐったりするといった変化があれば、ためらわずに救急要請をしてください。エピペンをお持ちであれば、その前に使用してください。
立たせたり歩かせたりしないでください。血圧が下がっているときに体を起こすと、急激に悪化することがあります。足を上げて寝かせた姿勢で救急車を待ちます。
保育園・幼稚園・学校で過ごすお子さんでは、誤食が起きたときに誰がどう動くかを、あらかじめ園や学校と決めておくことが大切です。
お薬の副作用と、注意していただきたいこと
抗ヒスタミン薬では眠気、口の渇き、だるさが出ることがあります。運転や危険をともなう作業をされる方は、あらかじめお伝えください。
抗ヒスタミン薬は、アナフィラキシーの進行を止める薬ではありません。呼吸の症状や血圧低下があるときに、飲み薬で様子をみることは危険です。
エピペンは、使用後に一時的に動悸や手のふるえ、頭痛が出ることがあります。それでも、迷って打たないことのほうが危険です。
皮膚プリックテストでは、まれに検査そのもので全身の症状が出ることがあります。そばのように強い反応が予想される場合は、実施の可否を慎重に判断します。
市販薬で様子をみるのではなく、そばで症状が出たことがある方は一度受診してご相談ください。
そばアレルギーは治りますか
そばアレルギーの治る確率、治し方、克服の方法についてよくご質問をいただきます。正直にお伝えすると、そばは自然に食べられるようになりにくい食品です。
鶏卵・牛乳・小麦は、成長にともなって食べられるようになる方が多い食品です。一方、そば・木の実類・落花生・甲殻類は耐性を獲得しにくいことが知られており、大人になっても除去を続けることが多くなります。大人になってから発症した場合は、さらに治りにくいと考えられています。
そばアレルギーそのものを治す治療(原因の食べ物を少しずつ食べて体を慣らす経口免疫療法)は、当院では行っておりません。「いつか治るかもしれないから」と受診せずに自己判断で避け続けるのではなく、まず診断をはっきりさせて、除去とエピペンの備えを整えることを優先します。そのうえで、年齢とともに再評価が必要になった場合は、負荷試験を行える医療機関をご紹介します。
血液検査の数値が下がったことだけを理由に、食べられるようになったと判断することはできません。とくにそばでは、数値の低さが安全の根拠になりません。
保育園・学校の生活管理指導表を作成します
保育園・幼稚園・学校に提出する「アレルギー疾患生活管理指導表」を当院で作成します。給食での除去や、症状が出たときに誰がどう動くかを、園や学校と共有するための書類です。
そばは、地域によっては給食で提供されます。そばが献立に入る日の対応、同じ調理場でそばをゆでる日の対応、そば茶や韃靼そば茶が出る場合まで、具体的に書き分けておくことが安全につながります。
学習活動にも注意が必要なものがあります。そば打ち体験や調理実習は粉じんを吸い込む機会になります。参加の可否や代替の活動について、あらかじめ園や学校と相談しておきましょう。修学旅行や宿泊行事の食事、年越しそばを出す行事も同様です。
エピペンをお持ちのお子さんについては、園や学校での預かりと使用について指導表に記載します。
新学期の前は依頼が集中します。提出期限に間に合うよう、余裕をもってご相談ください。血液検査の結果が必要な場合は、結果が出るまでに1週間ほどかかります。
子供にそばを食べさせるのは何歳からですか
子供(お子さん)にそばを何歳から食べさせてよいか、いつから大丈夫か、というご質問をよくいただきます。そばに関しては、離乳食の時期に急いで始める必要のない食品です。ほかの主食で栄養は十分にとれます。
初めて食べさせるときは、次の点を守ってください。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。実際の費用は検査する項目数や処方する内容によって変わります。
血液検査は特異的IgE抗体1項目110点で、保険で算定できるのは13項目までです。そば1項目に免疫学的検査判断料144点を加えた254点が3割負担で約760円、13項目まで調べた場合の1,574点が約4,720円になります。皮膚プリックテストは21箇所以内で1箇所16点(22箇所以上は1箇所12点)です。そばは市販の診断用エキスがないため実物の食品を用いて行い、試薬代はかかりません。お薬の欄は薬剤料のみの目安で、診察料・調剤料は別にかかります。生活管理指導表の作成については診察時にご案内します。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。
よくある質問
そばアレルギーの症状は?何時間後に出ますか?+
そばアレルギーのチェック方法はありますか。家で試してもよいですか?+
そばアレルギーは何人に一人ですか。割合はどのくらいですか?+
そばアレルギーは治りますか。治し方はありますか?+
大人になってから急にそばアレルギーになることはありますか?+
軽い症状でした。軽度なら除去しなくてもよいですか?+
そばは食べていないのに、そば屋やうどん屋で症状が出ました。なぜですか?+
そばがら枕(そば殻枕)で症状が出ることはありますか?+
蕎麦を食べると下痢や腹痛になります。アレルギーでしょうか?+
そばアレルギーで熱は出ますか。頭痛はどうですか?+
ガレットやそばぼうろ、そば茶は避けたほうがよいですか?+
中華そばや焼きそば、沖縄そば(ソーキそば)は食べられますか?+
「そば」と表示された麺でも、そば粉の割合が少なければ大丈夫ですか?+
そばを食べ過ぎるとアレルギーになりますか?+
そばアレルギーは遺伝しますか?+
そばアレルギーがあると、ほかの食べ物も避けたほうがよいですか?+
子どもにそばを食べさせるのは何歳からですか?+
検査の結果は当日わかりますか。何科の病院を受診すればよいですか?+
保育園や学校の生活管理指導表は書いてもらえますか?+
エピペンは持ったほうがよいですか?+
そばを食べてじんましんが出た、そばは食べていないのにうどん屋で具合が悪くなった、そばがら枕を使うと朝に鼻が出る。そばは、ごく少量でも重い症状が出やすく、自然には治りにくい食品です。だからこそ、思い当たることがあれば早めに確かめて、除去の範囲とエピペンの備えを決めておく意味があります。豊洲駅から徒歩3分、土日も診療しています。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と除去の範囲は、症状・年齢・生活の様子・検査結果をふまえて診察のうえで判断します。記載は2026年8月時点の情報です。強い症状が出たときは、記載にかかわらず救急要請をしてください。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
