ハチ毒アレルギー
蜂に刺されたとき、何を見て判断するか
この症状があれば、ただちに救急要請(119番)してください
ハチ刺傷で命に関わるのは、刺されたところの腫れではなく、全身に出る反応(アナフィラキシー)です。蜂のアナフィラキシーショック、蜂によるアナフィラキシーショックと呼ばれているのがこれにあたります。多くは刺されてから5分から30分以内、遅くとも2時間以内に始まります。次のような症状があるときは、様子をみたり、ご自分で運転して受診したりせず、ただちに119番通報してください。
初期症状は、のどのイガイガ感、声の変化、咳、皮膚のかゆみ、腹痛といったはっきりしないところから始まることがあります。刺されたあとにいつもと違う感じがしたら、その時点で救急要請の判断をしてください。
エピペン(アドレナリン自己注射薬)をお持ちの方は、迷ったら早い段階で使ってください。使ってから救急車を呼んでも順番は間違っていません。使用したあとに症状が落ち着いたように見えても、必ず医療機関を受診してください。
刺された直後にすること
まずその場を離れます。スズメバチやアシナガバチは、刺すときに仲間を呼び寄せる成分(警報フェロモン)を出すため、同じ場所にとどまると次々に刺されることがあります。手で払ったり大声を出したりすると刺激になります。姿勢を低くし、頭と首を手やタオルで守りながら、静かに、しかし早くその場から遠ざかってください。「蜂に襲われたら」まず行うべきなのは、退避です。巣がある場所は、あとから人が近づかないようにしておきます。
安全な場所まで離れたら、次の順で手当てをします。手当てをしながら、全身の症状が出ていないかを見ていてください。ひとりのときは、誰かに連絡がつく状態にしておくと安心です。
やってはいけないこと
口で吸い出してはいけません。口の中に傷があると毒が吸収されますし、口の中を刺された場合と同じ状態になります。ポイズンリムーバー(吸引器具)については、蜂の毒に対しては確実な効果が示されておらず、少なくとも刺されてしばらく経ってから使っても意味はほとんどありません。持っているなら刺された直後に使うのは構いませんが、これを使ったから安心という道具ではなく、受診や救急要請を遅らせる理由にしてはいけません。
「蜂の毒を解毒する」という薬はありません。アンモニアや尿を塗るという言い伝えがありますが、効果はなく、皮膚を傷めるだけです。市販の虫刺され薬でアンモニアを含むものも、蜂の毒を中和するわけではありません。
かゆいからといってこすったり掻いたりすると、腫れが広がり、傷口から細菌が入って化膿することがあります。熱いお風呂やお酒、運動は血流を増やして症状を強めるため、刺された当日は避けてください。
大きく腫れただけなのか、全身の反応なのか
このページでいちばんお伝えしたいのがこの区別です。刺されたところが赤く大きく腫れることは珍しくなく、刺された方のおよそ数パーセントから2割強にみられると報告されています。腕全体が腫れることもあり、驚かれますが、これは毒そのものによる局所の炎症で、命に関わるものではありません。大きな腫れが出たからといって、次に刺されたときにアナフィラキシーになるという予告ではありません。
一方、危険なのは刺されていない場所にも症状が出るときです。全身のじんましん、息苦しさ、めまい、血圧低下。これがアナフィラキシーで、刺されて数分から30分ほどで急に始まるのが特徴です。腫れの大きさとは関係がなく、腫れが小さくても起こります。
| みるところ | 大きな腫れ(局所の反応) | 全身の反応(アナフィラキシー) |
|---|---|---|
| 症状が出る場所 | 刺されたところとその周り | 刺されていない場所にも出る |
| 出るまでの時間 | じわじわ広がり、1日から2日でいちばん強くなる | 多くは5分から30分以内、遅くとも2時間以内 |
| 主な症状 | 赤み、腫れ、熱感、痛み、かゆみ | 全身のじんましん、まぶたや唇の腫れ、息苦しさ、声のかすれ、腹痛、嘔吐、めまい、血の気が引く、意識がもうろうとする |
| 大きさとの関係 | 直径10センチを超え24時間以上つづくものを大きな腫れ(大局所反応)と呼びます | 腫れの大きさとは関係ありません。小さくても起こります |
| その場での対応 | 冷やして様子をみます。翌日以降に強くなる、熱が出る、赤みが広がるときは受診 | ただちに119番。エピペンをお持ちなら迷わず使用 |
迷ったときは全身の反応として動いてください。刺されてから2時間ほどは、ひとりにならず、症状の変化を見られる状態にしておくことをおすすめします。
腫れの経過。翌日のほうがひどい、1週間後にかゆくなる
蜂に刺された翌日のほうが腫れがひどい、というご相談はとても多くいただきます。局所の腫れは刺された直後がピークではなく、24時間から48時間かけていちばん強くなり、そこから数日かけて引いていきます。腕や脚が腫れた場合、完全に落ち着くまで5日から10日ほどかかることもあります。翌日に悪化して見えること自体は、想定内の経過です。
刺されて1週間後にかゆくなる、かゆみがぶり返す、という経過もよくあります。腫れが引いていく過程で出るかゆみで、治りかけのサインであることがほとんどです。掻き壊すと色素沈着として蜂に刺された跡が長く残ることがあるため、かゆいときは冷やす、塗り薬を使う、飲み薬を使うという順で対応してください。
ただし次のような場合は、単なる経過ではなく感染(とびひや蜂窩織炎)を起こしていることがあります。ご受診ください。腫れが3日目以降も広がり続ける、押すと強く痛む、熱をもって赤黒くなる、発熱する、黄色い膿が出る。刺された場所が顔やまぶた、口の中、のどのときは、腫れが気道をふさぐことがあるため、早めに受診してください。
2回目以降が危ないと言われるのはなぜですか
蜂アレルギーとは、ハチの毒に対して体がアレルギー反応を起こすようになった状態のことです。ハチ毒アレルギー、蜂毒アレルギー、ハチアレルギーとも呼ばれます。刺されたときの痛みや腫れとは別のもので、体が毒を覚えてしまったときに起こります。蜂によるアナフィラキシーショックは、この状態にある方が刺されたときに起こります。
初めて刺されたときは、体はまだハチ毒を覚えていません。このとき痛みや腫れが出るのは毒の直接の作用によるもので、アレルギー反応ではありません。ところが刺されたことをきっかけに、体がハチ毒に対する抗体(ハチ毒特異的IgE抗体)をつくることがあります。この状態で次に刺されると、覚えた相手に対して一気に反応が起こり、アナフィラキシーにつながることがあります。これが「2回目以降が危ない」と言われる理由です。
ただし、蜂に刺されてアナフィラキシーになる方は多数派ではありませんし、2回目で必ず起こるわけでもありません。刺されたことのある方の大多数は、何度刺されても大きな腫れで済みます。刺されて全身の反応が出る方の割合は、大人でおよそ0.3パーセントから7.5パーセント、子どもではさらに低いと報告されています。二回目、三回目と回数が増えるほど確率が上がるというより、抗体をつくった方が次に刺されたときにリスクを負う、という関係です。
一方で、すでに一度アナフィラキシーを起こした方が次に刺されたときに再び全身の反応を起こす割合は、大人でおよそ3割から6割と高くなります。皮膚の症状だけで済んだお子さんではもっと低いことが知られています。ここが、備えが必要かどうかの分かれ目になります。
刺されない年数が長くなると、この確率は下がっていきます。全身の症状が出たことのある方でも、3年から5年刺されなければ再刺傷時のリスクはおよそ5割から3割台へ、10年刺されなければ2割台まで下がるという報告があります。ハチ毒特異的抗体の陽性率も、年数とともに低下していきます。
ハチの種類と毒の違い
ハチ毒とは、ハチが刺すときに針から注入する毒液のことです。痛みを起こす成分、組織にしみ込ませる成分、アレルギー反応の相手になるたんぱく質が混ざっています。医療の上で問題になる蜂の種類は、スズメバチ類、アシナガバチ類、ミツバチ類の3つです。ハチの毒は種類ごとに成分が違い、症状の出方や検査の選び方に関わります。養蜂やハウス栽培でミツバチにくり返し刺されて起こるミツバチアレルギーは、スズメバチによるものとは分けて考えます。
スズメバチとアシナガバチは同じスズメバチ科の仲間で、毒の成分が似ているため、どちらかに反応する方はもう一方にも反応することがあります(交差反応)。一方ミツバチの毒は成分が異なり、スズメバチ・アシナガバチとの交差は少ないと考えられています。どのハチに刺されたかがわかると、検査の解釈がしやすくなります。
針が刺し口に残っていたなら、ミツバチです。ミツバチの針には返しがあり、刺すと針と毒のうが体から抜けて残ります。スズメバチとアシナガバチの針は残らず、何度でも刺すことができます。刺された針がわからない、見当たらないという場合は、スズメバチかアシナガバチだった可能性が高いということになります。
| ハチの種類 | 毒の主な成分 | 刺されたときの特徴 | 針 |
|---|---|---|---|
| スズメバチ(キイロスズメバチ、オオスズメバチなど) | ホスホリパーゼA1、ヒアルロニダーゼ、抗原5、マストパラン、ヒスタミン、セロトニン | 焼けつくような強い痛み。腫れが大きくなりやすい。刺激すると集団で襲ってきます | 残らない |
| アシナガバチ | ホスホリパーゼA1、ヒアルロニダーゼ、抗原5 | 強い痛みと腫れ。洗濯物やベランダなど生活圏で刺されることが多いハチです | 残らない |
| ミツバチ | メリチン、ホスホリパーゼA2、ヒアルロニダーゼ、アパミン | 痛みはスズメバチより軽いことが多いものの、養蜂やハウス栽培でくり返し刺されやすく、感作されやすい | 残る(返しがあるため) |
| クマバチ、マルハナバチ | ミツバチに近い成分 | おとなしく、こちらから触らなければ刺されることはほとんどありません。ハウス栽培の受粉に使われます | 残らない |
毒の成分そのものによる痛み・腫れと、抗体を介したアレルギー反応(アナフィラキシー)は別のものです。前者は誰にでも起こり、後者は抗体をつくった方に起こります。
刺されやすい時期と、刺されやすい人
ハチが攻撃的になる時期はおおよそ決まっています。スズメバチは巣が大きくなる夏の終わりから秋にかけて特に危険で、この時期の草刈り、庭木の手入れ、墓参り、登山、キャンプ、果物狩りで刺される事故が集中します。旧盆の墓参りとスズメバチの活動期が重なるのは、毎年くり返される事故のかたちです。
お仕事として刺される機会が多い方もいます。林業、造園業、農業、養蜂業、電気工事や通信工事、屋根や外壁の工事、配送業など、屋外や軒下で作業する職種です。林業の現場で働く方の一定割合にハチ毒アレルギーがあるという報告があり、イチゴなどのハウス栽培では受粉用のミツバチに日常的に接するため、ミツバチに対して感作されることがあります。こうした職業の方は、刺された経験がなくても一度検査を受けておく価値があります。
| ハチの種類 | 気をつける時期 | 刺されやすい場面 |
|---|---|---|
| アシナガバチ | 7月から8月 | ベランダ、洗濯物、生け垣、軒下。巣に気づかずに近づいて刺されます |
| スズメバチ | 7月から10月(特に8月から9月) | 草刈り、庭木の手入れ、墓参り、登山、キャンプ、屋外作業。地面や樹洞の巣に気づかず刺激すると集団で襲われます |
| ミツバチ | 一年中 | 養蜂作業、ハウス栽培(イチゴ、メロンなど)の受粉作業、花壇や庭 |
黒い色、香水や整髪料のにおい、揺れる動きはハチを刺激します。屋外作業のときは白や薄い色の長袖・長ズボン、帽子、手袋を着けてください。
ハチ毒と似た毒をもつ虫 ― ムカデ
ムカデの毒には、ハチ毒と共通の性質をもつ成分(ホスホリパーゼなど)が含まれています。このため、過去にハチに刺された経験のある方がムカデに咬まれたときに、アナフィラキシーを起こす場合があることが知られています。ムカデに咬まれたあとに全身のじんましんや息苦しさが出たときは、ハチのときと同じように救急要請してください。
同じ虫刺されでも、アブやブユ(ブヨ)は刺咬による強いかゆみと腫れが主体で、マダニは咬まれたあとに獣肉(牛肉・豚肉)で遅れてアレルギー症状が出ることがあるという別の仕組みが知られています。トコジラミ(南京虫)は強いかゆみを起こしますが、ハチ毒との共通性は知られていません。虫によって注意すべき点が違います。
蜂に刺されたら何科を受診すればよいですか
刺された直後の傷の手当ては皮膚科、全身の症状やアレルギーの検査は内科・アレルギー科が窓口です。当院は内科・皮膚科・アレルギー科を併設しているため、刺されたあとの皮膚の治療から、ハチ毒アレルギーの抗体検査、エピペンの処方まで、同じ院内で対応できます。カルテの上の診断名は蜂刺症(ハチ刺傷)となります。
受診の目安は次のとおりです。全身の症状があるときは受診ではなく救急要請です。
ハチ毒アレルギーの検査
蜂の抗体検査(ハチ毒特異的IgE抗体)を血液で調べます
蜂の抗体検査とは、血液でハチ毒に対する特異的IgE抗体を測る検査のことです。蜂抗体検査とは何ですかというご質問も、ハチの抗体検査は何を調べるのですかというご質問も、同じこの検査を指しています。蜂アレルギー検査、ハチ抗体検査、蜂毒抗体検査、ハチ毒抗体検査、蜂毒検査、ハチ毒検査。呼び方はいろいろですが、中身は同じです。東京都江東区豊洲の当院(豊洲駅から徒歩3分)で実施できます。採血は通常の血液検査と同じで、1回の採血で調べられます。
測定できるのはスズメバチ、アシナガバチ、ミツバチの3種類です。スズメバチ抗体検査だけ、ミツバチだけという選び方もできますが、どのハチに刺されたかがはっきりしない場合は3種類とも調べておくと解釈がしやすくなります。いずれも一般に測定できる検査項目で、特別な取り寄せは必要ありません。
検査結果は後日のご説明になります。採血したその日に結果をお伝えすることはできません。結果が出ましたら、数値の意味と、エピペンが必要な状況にあたるかどうかをあわせてご説明します。
| 検査項目 | 何を見るか |
|---|---|
| スズメバチ特異的IgE抗体 | スズメバチの毒に対する抗体 |
| アシナガバチ特異的IgE抗体 | アシナガバチの毒に対する抗体 |
| ミツバチ特異的IgE抗体 | ミツバチの毒に対する抗体 |
特異的IgE抗体検査は健康保険で1回13項目までと決められています。ハチ毒3項目のほかに、花粉やダニ、食物など気になる項目があれば、同じ採血の中で13項目の枠内で一緒に調べられます。
刺されてすぐの検査は、陰性でもあてになりません
蜂に刺された直後に抗体検査を受けたい、というご希望をよくいただきます。ただ、刺された直後は抗体が一時的に検出されにくくなることがあり、この時期に測ると本当は陽性の方が陰性と出てしまうことがあります。刺されてから少なくとも1週間から2週間、できれば数週間おいてから測るほうが確かです。
刺されてすぐの受診で大切なのは、抗体検査を急ぐことではなく、全身の症状が出ないかどうかを見ることと、傷の手当てをすることです。検査はあらためて日をあらためてで構いません。
全身の症状が出たことがはっきりしているのに検査が陰性だった場合は、時期をずらしてもう一度測ります。検査が陰性というだけで、備えが不要と判断することはありません。判断のもとになるのは、実際に何が起きたかという経過のほうです。
蜂の抗体検査の数値とクラスの見方
特異的IgE抗体の結果は、測定値(UA/mL)と、それを7段階に区分したクラス0からクラス6で報告されます。クラスが上がるほど、そのアレルゲンに対する抗体が多いことを示します。
| クラス | 測定値(UA/mL) | 判定 |
|---|---|---|
| クラス0 | 0.34 以下 | 陰性 |
| クラス1 | 0.35 〜 0.69 | 疑陽性 |
| クラス2 | 0.70 〜 3.49 | 陽性 |
| クラス3 | 3.50 〜 17.4 | 陽性 |
| クラス4 | 17.5 〜 49.9 | 陽性 |
| クラス5 | 50.0 〜 99.9 | 陽性 |
| クラス6 | 100 以上 | 陽性 |
検査機関や測定法によって区分の呼び方が異なることがあります。結果用紙に記載された基準値もあわせてご確認ください。
蜂の抗体検査が陽性でした。危険ということですか
陽性イコール危険、ではありません。陽性は「体がハチ毒を覚えている」ことを示しているだけで、次に刺されたときに必ずアナフィラキシーが起こるという意味ではありません。刺されたことのある方では、症状がまったくなくても陽性になることがよくあります。この状態を感作されているといいます。
大切なのは、クラスの数字の高さではなく、これまでに実際に何が起きたかです。クラスが高くても大きな腫れで済んできた方もいれば、クラスが低くてもアナフィラキシーを起こした方もいます。数値と症状の重さは、そのまま比例しません。
逆に、検査が陰性でも、明らかに全身の症状が出たことのある方は備えが必要です。判断は、検査の数字と、これまでの経過の両方を見て行います。結果用紙をお持ちいただければ、他院で受けた検査についてもご説明できます。
皮膚プリックテストについて
当院では皮膚プリックテストを実施しています。腕の皮膚に検査液を1滴のせ、専用の針で表面をごく浅く刺して、15分後のふくらみを見る検査です。
ただし、ハチ毒については診断用の検査液が国内で一般に流通していないため、ハチ毒アレルギーの診断は血液検査(特異的IgE抗体)が中心になります。プリックテストは食物や一部の吸入アレルゲンで行っています。どの検査を行うかは診察のうえで決めますので、ご相談ください。
抗体は消えますか。毎年検査したほうがよいですか
ハチ毒特異的抗体は、刺されない年数が続くと少しずつ下がっていき、陰性になることもあります。実際に、全身の症状を起こした方でも、時間が経つほど再刺傷時のリスクが下がることが報告されています。
では毎年検査すべきかというと、症状が起きていない方に毎年くり返す必要はありません。抗体の数値が下がったからといってエピペンをやめてよいと単純には言えず、逆に数値が変わらないから危険が増したわけでもないためです。検査の数字だけで方針を決めることはしません。
検査を受け直す意味があるのは、あらためて刺されて何か症状が出たとき、お仕事や生活の環境が変わってリスクが変わったとき、エピペンの継続について相談したいときです。年に一度の見直しは、検査ではなくエピペンの使用期限の確認と使い方の再確認として行うのが実際的です。
保険で受けられる方と、自費になる方
現在アレルギーの症状がある方、過去に刺されて症状が出たことがある方の検査は健康保険の対象です。刺されたことがなく症状もない状態で、念のため調べておきたいというご希望での検査は自費診療となります。
自費の場合、ハチ毒の抗体検査は9,900円(税込)です。スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチの3項目を調べます。
お仕事で刺される機会が多く、これまでに刺された経験があるという場合は、保険診療の対象になることがあります。判断は診察のうえで行いますので、まずはご相談ください。
| 検査を受ける方 | 扱い | 費用 |
|---|---|---|
| 刺されて症状が出たことがある | 健康保険 | 約1,420円(3割負担の方・3項目) |
| いま症状がある | 健康保険 | 約1,420円(3割負担の方・3項目) |
| 刺されたことがなく、念のため調べたい | 自費 | 9,900円(税込・3項目) |
保険か自費かは診察のうえで判断します。お仕事で刺される機会が多い方は、過去の経験によって保険の対象になることがあります。
企業・団体からのお申し込み(請求書払い)
林業・造園・電気・建設・農業など、屋外作業でハチに刺される機会の多い職場から、従業員の方の抗体検査をまとめてお受けしています。
費用は企業・団体あての請求書払いに対応しています。従業員の方が窓口でお支払いいただく必要はありません。人数・実施日・結果の受け取り方をご相談のうえ、お見積りをお出しします。
検査結果は個人情報ですので、ご本人の同意なく企業へ結果そのものをお渡しすることはありません。実施の有無のご報告と、必要に応じた就業上の配慮に関する所見の作成という形で対応します。
備えかたと、刺されないための対策
備えは3つの柱で考えます
ハチ毒アレルギーの診療は、ハチに刺されないようにすること、刺されたときに正しく手当てすること、そしてアナフィラキシーが起きたときに使えるものを手元に置いておくことの3つで組み立てます。
どこまで備えるかは、これまでにどんな症状が出たかで変わります。大きな腫れだけで済んできた方と、全身の症状が出た方とでは、必要な備えが違います。
エピペンをおすすめしています
エピペンは、アナフィラキシーが起きたときに太ももの外側に自分で(またはご家族が)注射するアドレナリンの注射薬です。医療機関に到着するまでのあいだ、症状の進行を抑えるためのものです。過去にハチに刺されて全身の症状を起こしたことがある方には、エピペンの携帯をおすすめしています。
当院ではエピペン0.3mgを院内に在庫しており、診察のうえ当日お渡しできます。処方には使い方の説明と、練習用トレーナーでの手技の確認を含みます。エピペン0.15mg(体重の軽いお子さん向け)と、点鼻タイプのネフィーは院外処方となります。
抗体検査が陽性というだけでエピペンが必要になるわけではありません。刺されても大きな腫れで済んできた方、症状がないまま陽性が出た方は、必ずしも対象になりません。どなたに必要かは、これまでの症状、お仕事や生活で刺される可能性、医療機関までの距離をふまえて診察のうえで判断します。
お渡ししたあとは、使用期限の管理と、ご家族や職場の方への使い方の共有までがセットです。年に一度は使い方を確認しましょう。
ハチ毒の免疫療法(減感作療法)は当院では行っていません
ハチ毒アレルギーに対して、ハチ毒を少しずつ体に入れて反応しにくくする治療(ハチ毒免疫療法、減感作療法)があります。当院ではこの治療は行っておりません。
国内で実施できる施設は限られており、どなたにでもすすめられる治療でもありません。くり返し刺される環境にいる方など、必要と判断した場合には実施している医療機関をご紹介します。まずは検査とこれまでの経過をもとに、免疫療法を検討する状況かどうかをご相談ください。
なお、当院で行っている舌下免疫療法はダニとスギ花粉に対するもので、ハチ毒には使えません。
刺された傷の治療
刺されたところの赤み、腫れ、かゆみにはステロイドの塗り薬を使います。腫れが強い場合や、腕や脚の広い範囲に及ぶ場合は、抗ヒスタミン薬の飲み薬を併用し、ときに短期間のステロイド内服を行うことがあります。
掻き壊して細菌が入り、化膿したり蜂窩織炎になったりしている場合は、抗菌薬による治療が必要です。腫れが3日目以降も広がる、熱をもつ、押すと強く痛む、発熱するといった場合は感染を疑って受診してください。
傷跡やしみのように残る色素沈着は、掻き壊さずに炎症を早く抑えることで軽くできます。跡が気になる場合もご相談ください。
刺されないための具体策
屋外作業やレジャーの前にできることがあります。特にスズメバチの活動が活発になる8月から10月は、次の点を意識してください。
ハチが体のまわりを飛んでいるとき、手で払う、走って逃げる、大声を出すといった動きは攻撃を誘います。姿勢を低くしてゆっくり後ろに下がるのが基本です。
お薬の副作用と、受診していただきたい症状
抗ヒスタミン薬では眠気や口の渇きが出ることがあります。ステロイドの塗り薬を長く同じ場所に使うと皮膚が薄くなることがあるため、指示された期間で使ってください。ステロイドの飲み薬では、短期間であっても血糖値の上昇、胃の不快感、不眠がみられることがあります。エピペンを使用すると動悸、手のふるえ、頭痛、顔色が青白くなることがありますが、これは薬が効いているときにみられる反応で、使用をためらう理由にはなりません。
刺されたあと、次のような症状があるときは受診してください。ただし全身の症状のときは受診ではなく救急要請です。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。診察料は別に加わります。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。特異的IgE抗体検査は1項目110点で、ハチ毒3項目330点に免疫学的検査判断料144点を加えた474点が3割負担で約1,420円です。健康保険で算定できるのは1回13項目までで、13項目1,430点に判断料144点を加えた1,574点が約4,720円になります。皮膚プリックテストは皮内反応検査として1箇所16点で算定し、これに試薬代が加わります。エピペン0.3mgの薬価は10,197円、0.15mgは9,672円、ネフィー点鼻液2mgは24,672円10銭で、いずれも3割負担分を記載しています。院外処方のお薬は調剤薬局でのお支払いとなり、調剤料などが別に加わります。刺された傷の処置料やお薬代、診察料は別に加わります。症状がない状態でご希望による検査は自費診療となります。 症状がなく念のために調べる場合は自費となり、ハチ毒3項目で9,900円(税込)です。企業・団体からのお申し込みは請求書払いに対応しています。
よくある質問
蜂に刺されました。病院に行くべきですか?+
蜂に刺されて翌日のほうが腫れがひどいのですが大丈夫ですか?+
蜂に刺されて1週間後にかゆくなりました。ぶり返しでしょうか?+
蜂に刺されたのに針が見当たりません。抜けていないのでしょうか?+
蜂に刺されたらアナフィラキシーになる確率はどれくらいですか?+
蜂に刺されてもアナフィラキシーにならない人がいるのはなぜですか?+
蜂の抗体検査が陽性でした。エピペンが必要ですか?+
蜂に刺された直後に抗体検査を受けたほうがよいですか?+
蜂のアレルギー検査ではどの種類まで調べられますか?+
蜂アレルギー検査はどこで受けられますか。東京で受けたいのですが?+
蜂の抗体は消えますか。毎年検査したほうがよいですか?+
子どもが蜂に刺されました。2回目なのですが危険ですか?+
蜂の毒を解毒する薬はありますか。ポイズンリムーバーは効きますか?+
蜂毒アレルギーの免疫療法(減感作療法)は受けられますか?+
林業や農業の仕事をしています。刺される前に検査を受けられますか?+
蜂アレルギーだと、はちみつは食べられませんか?+
ムカデに咬まれたときもアナフィラキシーになりますか?+
刺されたあとの傷の手当てから、ハチ毒の抗体検査、エピペンの処方まで、内科・皮膚科・アレルギー科を併設した院内で対応します。過去に刺されて全身の症状が出た方、林業や農業などお仕事で刺される機会が多い方は、刺される前の備えについてご相談ください。エピペン0.3mgは院内に在庫があり、診察のうえ当日お渡しできます。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。検査の必要性や治療の選択は、症状・年齢・持病・併用薬をふまえて診察のうえで決めます。記載は2026年8月時点の情報です。
