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昆虫アレルギー-ガ・ゴキブリ

INSECT

ゴキブリ・蛾(ガ)アレルギー珍しい病気ではありません

「ゴキブリアレルギーなんてあるのですか」「蛾(ガ)のアレルギーは珍しいのでは」とよく聞かれます。実際には、喘息や鼻炎の方を調べると決してまれではなく、家の中のありふれたアレルゲンです。何人に1人なのか、どんな症状が出るのか、どうやって調べるのかを順に説明します。

豊洲駅 徒歩3分珍しくありません血液検査で調べられます土日も診療
ABOUT

昆虫アレルギーは珍しいのか、何が原因なのか

昆虫アレルギー(ゴキブリアレルギー・蛾アレルギー)とは

ゴキブリアレルギーとは、ゴキブリのフンや脱皮殻、死骸が細かい粒子になったものを吸い込んで起こるアレルギーです。蛾アレルギーとは、蛾の鱗粉や幼虫のフンを吸い込んで起こるアレルギーを指します。昆虫アレルギーとは、これらをまとめた呼び方で、虫アレルギーとも呼ばれます。

虫アレルギーとは刺されて起こるものだと思われがちですが、ガやゴキブリで問題になるのは刺咬ではありません。ハチのように刺されて起こるアレルギーは別のページにまとめています。

昆虫アレルギーは珍しいですか。何人に1人ですか

もっとも多いご質問です。結論からお伝えすると、ゴキブリアレルギーも蛾(ガ)アレルギーも珍しいものではありません。ハチに刺されるアレルギーのような特別な体質ではなく、ダニやハウスダストと同じ「室内のアレルゲン」の仲間として、日常的にみられます。

一般の方を対象にした「日本人の何人に1人」という信頼できる統計はありません。数字が出ているのは、すでに喘息や鼻炎のある方を調べた報告です。それによると、気管支喘息の患者さんの26.6パーセント、アレルギー性鼻炎の患者さんの13.4パーセントでゴキブリに対する抗体が陽性でした。喘息の方ではおよそ4人に1人、鼻炎の方ではおよそ7人に1人という割合になります。

つまり「珍しいアレルギーですか」への答えは、症状のない方のなかでは目立たないけれど、喘息や鼻炎で困っている方のなかではありふれている、というのが正確なところです。ご自身が該当するかどうかは、確率ではなく血液検査で確かめられます。

割合は国内の報告にもとづく目安で、調査した集団や年齢によって数字は変わります。

どんな症状が出ますか

昆虫アレルギーというと刺される・咬まれるものを思い浮かべますが、ガやゴキブリで問題になるのは刺咬ではなく、細かくなった体の一部を吸い込むことで起こる吸入アレルギーです。そのため症状は鼻・目・気道・皮膚に出ます。

部位 みられる症状
鼻 くしゃみ/さらさらした鼻水/鼻づまり/においがわかりにくい
目 目のかゆみ/充血/涙/まぶたの腫れ
気道 咳が長引く/ゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)/息苦しさ/喘息の発作
皮膚 皮膚のかゆみ(痒み)/湿疹/じんましん(蕁麻疹)/かき壊し
そのほか のどのイガイガ感/掃除や衣替えのあとに症状が強くなる

すべてが出るわけではありません。一年中つづく鼻炎や、原因のわからない咳として気づかれることが多い症状です。

原因は虫そのものではなく、フン・死骸・鱗粉です

ゴキブリアレルギーの原因物質(アレルゲン)は、ゴキブリのフンや脱皮殻、死骸に含まれるたんぱく質です。蛾(ガ)では、幼虫のフンと成虫の鱗粉(りんぷん)、そして粉々になった死骸が原因になります。生きた虫に触れなくても、これらが乾いて微細な粒子となりホコリにまじって空気中に舞い上がり、吸い込むことで症状が出ます。

「家でゴキブリを見たことがないのに、なぜゴキブリアレルギーになるのですか」というご質問をよくいただきますが、原因はこのためです。目にする1匹よりも、見えない粒子のほうがアレルギーの上では問題になります。集合住宅では配管や共用部を通じて隣室から入り込むこともあり、ご自宅の清潔さだけで決まるものではありません。

この仕組みはダニアレルギーとまったく同じです。ダニも生きた個体ではなく死骸とフンが原因になります。ゴキブリ・ガ・ダニは、いずれも家の中で一年中さらされている吸入アレルゲンという点で共通しています。

ゴキブリアレルギー

ゴキブリは室内のアレルゲンとして重要で、一年を通じて室内から検出されます。とくに夏に数が多く、秋は繁殖期にあたります。日本の住宅で問題になるのは主にチャバネゴキブリとクロゴキブリで、検査項目としては一般にチャバネゴキブリを測定します。

発生しやすいのは、台所・お風呂場・洗面所などの水まわり、冷蔵庫の裏やOA機器のように温度が保たれる場所、ゴミ箱や食品のまわりです。飲食店が入るビルや、飲食店に隣接した住まい、築年数の経った集合住宅では、室内のゴキブリアレルゲン量が多くなりやすいことが知られています。

ゴキブリアレルギーは喘息の発症や重症度と関連することが報告されています。とくに都市部の小児喘息では、ゴキブリに感作されていて、かつ室内のアレルゲン量が多い場合に、症状が重くなりやすいことが海外の大規模調査で示されています。「都会に住んでいる子どもの喘息が治りにくい」背景に、ゴキブリが関わっていることがあります。

ペットとしてマダガスカルゴキブリなどを飼育している方、昆虫を扱う研究職や販売業の方では、職業的・趣味的な曝露として症状が出ることがあります。カブトムシやクワガタといった甲虫(こうちゅう)でも、飼育ケースの中のフンや体液、飼育マットの粉じんを吸い込むことで同じことが起こり、甲虫アレルギーとして症状が出ることがあります。飼育を始めてから鼻炎や咳が出るようになった場合はご相談ください。

蛾(ガ)アレルギー・鱗粉アレルギー

蛾のアレルギー(蛾アレルギー)の原因は、蛾の鱗粉(リンプン)、幼虫のフン、そして粉砕されて微細になった死骸です。蛾の粉と呼ばれるものは、この鱗粉のことです。鱗粉は羽の表面をおおう粉状のうろこで、飛んだり物にぶつかったりするたびに剥がれ落ち、空気中に舞います。鱗粉アレルギーという呼び方は、この成分に対するアレルギーを指しています。蝶(チョウ)の鱗粉も成分としては同じですが、家の中や街灯まわりで大量に接するのは圧倒的にガのほうです。

蛾の飛来数は春から初夏と秋にかけて増えることが報告されており、この時期に症状が強くなる方がいます。喘息のある方では、秋から冬にかけて蛾に対する抗体価が上がり、発作を起こしやすくなるという報告もあります。「花粉の季節ではないのに秋に鼻炎や咳がひどくなる」という方は、ダニに加えてガが関わっていることがあります。

職業性のアレルギーとしても古くから知られています。養蚕や製糸の現場ではカイコガの鱗粉や繭の粉じんを大量に吸い込むため、職業性喘息の原因になることが報告されてきました。現在でも昆虫の飼育施設や標本を扱う職場では同様の注意が必要です。

家の中で問題になるガ ― イガとメイガ

家の中で見かける小さなガは、大きく2種類に分けられます。衣類につくイガと、食品につくメイガです。どちらも幼虫のフンと成虫の鱗粉がアレルゲンになります。

イガは年に3回産卵するとされ、秋に産まれた卵は秋から冬にかけて長い幼虫期間を過ごします。幼虫は暗くて暖かい場所を好み、繊維やたんぱく質汚れをエサにするため、クローゼットやたんすの中はとくに注意が必要です。ウールのセーターに穴が開く、いわゆる衣類を食べる虫(毛食い虫)がこれにあたります。イガは接触性皮膚炎、じんましん、喘息症状の原因になることがあります。

メイガ(ノシメマダラメイガなど)は、穀類・乾燥果実・お菓子・ペットフードといった食品に発生します。密閉性の低い容器で保存していたり、食べカスを放置していたりすると発生のもとになります。米びつや粉類の中で増えるため、開封後の保存方法が対策になります。

ユスリカアレルギー

ユスリカは蚊によく似ていますが、人を刺しません。河川・湖・用水路・下水処理場などの水辺で大量発生し、灯りに誘われて屋内に入り込みます。飛ぶときに放出される翅や体の断片、分泌物、そして死骸が吸入アレルゲンとなり、鼻炎・結膜炎・喘息を引き起こします。

見落とされやすいのが、釣り餌や熱帯魚のエサとして使われるアカムシです。アカムシはユスリカの幼虫で、これを日常的に扱う方では強く感作されることがあります。「水槽の世話をすると鼻水とくしゃみが出る」という方は、ユスリカを疑う価値があります。

ユスリカも血液検査で抗体を調べることができます。豊洲・有明のように運河と水辺に囲まれた地域では、夏から秋にかけて窓や外壁に大量の死骸がたまることがあり、身近なアレルゲンです。

屋内で注意すべき昆虫

家の中でアレルゲンになりやすい昆虫を整理しました。いずれも刺されて起こるものではなく、死骸やフン、抜け殻が細かくなったものを吸い込むことで症状が出ます。

昆虫 アレルギーの原因になるもの 発生場所 対応のポイント
ゴキブリ(チャバネゴキブリ・クロゴキブリ) フン、脱皮殻、死骸 台所・風呂場・洗面所などの水まわり/冷蔵庫やOA機器など温度が保たれる場所/ゴミ箱や食品のまわり 冷蔵庫の裏側やすき間まで掃除する。ゴミ箱はふたのあるものにする
ノシメマダラメイガ 幼虫のフン、鱗粉 穀類、乾燥果実、お菓子、ペットフードなど 食品は密閉性の高い容器で保管する。米びつには虫よけ剤を入れる
蛾(イガ) 幼虫のフン、鱗粉 ウールなど動物性繊維の衣類や布団 クローゼットには防虫剤を使う。衣替えの前後は洗濯してから収納する

いずれも刺したり咬んだりして起こるものではなく、フン・鱗粉・死骸を吸い込むことで起こります。

屋外から入ってくる昆虫

屋外で発生し、窓や換気口から入ってきたり、屋外にいるときに吸い込んだりすることで症状を起こす昆虫です。発生する季節がはっきりしているため、症状の出る時期が手がかりになります。

昆虫 アレルギーの原因になるもの 発生場所 対応のポイント
ユスリカ 死骸、翅や体の断片、分泌物 河川・湖・用水路・下水処理場などの水辺 窓やドアに網戸をつけて侵入を防ぐ
蛾(ガ) 鱗粉、死骸 街灯や玄関灯のまわりに集まり、灯りに誘われて屋内へ入る 灯りに集まったガやユスリカの死骸は窓辺にたまるため、窓まわりをこまめに掃除する

屋内に入ったガの鱗粉やユスリカの死骸は室内のホコリにまじるため、室内の掃除もあわせて行います。

エビやカニで症状が出る方へ ― トロポミオシンという共通のたんぱく質

このページでいちばんお伝えしたいのがこの話です。ゴキブリ・ガ・ダニ、そしてエビ・カニなどの甲殻類は、いずれもトロポミオシンという筋肉のたんぱく質を持っています。これらの生き物は節足動物という同じグループに属していて、トロポミオシンの構造が互いによく似ています。そのため、体がどれか1つに反応するようになると、ほかのものにも反応してしまうことがあります。これを交差反応といいます。

ここから、直感とは逆の話が出てきます。エビを食べてじんましんが出た方の背景に、実はダニやゴキブリへの感作があることがあるのです。食べ物が先に原因になったのではなく、家の中で毎日吸い込んでいたダニやゴキブリに対して体が反応を覚え、その反応がよく似たエビのトロポミオシンにも及んだ、という順番です。海外では、甲殻類を食べたことのない地域の方が甲殻類に陽性を示す例が報告されており、ダニへの感作が先に起きていたと考えられています。

逆向きの見方もできます。ゴキブリアレルギーとエビアレルギーの検査がどちらも陽性だったとき、それは2つの別々のアレルギーではなく、1つの共通成分への反応を2か所から見ているだけ、ということがあります。

大切な注意点として、検査が陽性でも実際に食べて症状が出るとは限りません。トロポミオシンが似ているといっても同じものではないためです。これまで問題なくエビやカニを食べられているのであれば、検査結果だけを理由に除去する必要はありません。食べたあとに症状が出たことがある方は、そのときの様子をうかがったうえで判断します。

昆虫食についても同じ理屈があてはまります。コオロギやバッタなどの食用昆虫はトロポミオシンを持つため、甲殻類アレルギーやダニアレルギーの方では反応することがあります。心当たりのある方は、試す前にご相談ください。

食べ物の側からみた解説は甲殻類アレルギーのページに、虫の側からみた解説はこのページにまとめています。

喘息・長引く咳との関係

ゴキブリとガは、ダニと並んで喘息と関係の強い室内アレルゲンです。ゴキブリアレルギーは喘息の発症と重症度の両方に関わることが報告されており、ユスリカも喘息の原因になります。咳が3週間以上つづく、夜間や明け方に咳き込む、掃除や衣替えのあとに息苦しくなるという場合は、これらが引き金になっている可能性があります。

当院では呼吸機能検査(スパイロメトリー)とFeNO検査(呼気中の一酸化窒素濃度の測定)を行っています。スパイロメトリーは息を吸って一気に吐き出す検査で、気道が狭くなっていないかを数値で確認します。FeNO検査は静かに息を吐くだけの検査で、気道にアレルギーによる炎症が起きているかどうかの目安になります。どちらも当日その場で結果が出ます。

血液検査で原因アレルゲンを確かめることと、呼吸機能検査で気道の状態を確かめることは別のことです。両方をあわせて、吸入薬が必要な状態かどうかを判断します。

皮膚に出る症状

ゴキブリやガのアレルギーで、皮膚のかゆみ、湿疹、じんましんが出ることがあります。イガの幼虫や毛虫、蛾の鱗粉に直接触れた場合は、かぶれ(接触性皮膚炎)として、触れた部分に一致した赤みとかゆみが出ます。一方、吸入アレルゲンとしての反応では、触れていない部分にも広くかゆみが出ます。

「ゴキブリを見てから体がかゆくなる」というご相談もありますが、この場合は驚きや不快感による反応と、実際のアレルギー反応を分けて考える必要があります。皮膚の状態を診察させてください。

数週間以上つづくじんましんについては、特定の虫だけが原因と決められることはまれで、別の考え方で診療します。

すぐに救急要請が必要な症状

吸入によるアレルギーで命に関わることはまれですが、喘息の強い発作や、まれに全身のアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こすことがあります。次のような症状があるときは、様子をみたり自分で運転して受診したりせず、ただちに救急要請(119番)をしてください。エピペンをお持ちの方は、迷ったら早い段階で使用してください。

息が苦しい、ゼーゼー・ヒューヒューという音がして会話がしにくい
唇、舌、のどが腫れて飲み込みにくい
全身にじんましんが広がる
気が遠くなる、意識がもうろうとする、血の気が引く
激しい腹痛、くり返す嘔吐や下痢
唇や爪の色が青白い、ぐったりしている
EXAMINATION

ゴキブリ・ガのアレルギー検査

血液検査でゴキブリ・ガの特異的IgE抗体を調べます

「アレルギー検査でゴキブリや蛾は調べられますか」というご質問をよくいただきます。調べられます。アレルゲンごとの抗体(特異的IgE抗体)を血液検査で測定する方法で、ゴキブリ(チャバネゴキブリ)、ガ、ユスリカはいずれも一般的な測定項目として用意されています。

一度に多くの項目を調べられますが、健康保険で算定できるのは13項目までと決められています。症状の出方、症状が強くなる場所と時期、お住まいの環境、お仕事や趣味での虫との接触をうかがったうえで、どの項目を選ぶかを決めます。

検査結果は後日のご説明になります。採血したその日に結果をお伝えすることはできません。

分類 選ぶことの多い項目
昆虫 ゴキブリ(チャバネゴキブリ)/ガ/ユスリカ(成虫)/ヤブカ(属)
一緒に調べることが多い室内アレルゲン ヤケヒョウヒダニ/コナヒョウヒダニ/ハウスダスト/カビ(アルテルナリア、アスペルギルスなど)/ネコ皮屑/イヌ皮屑
交差反応の確認 エビ/カニ
季節性の症状がある場合 スギ/ヒノキ/カモガヤ/ブタクサ/ヨモギ

上の項目は一例です。13項目という上限があるため、症状に結びつきそうなものから優先して選びます。トロポミオシンという共通成分だけを取り出して測る検査は、当院では行っておりません。

検査結果のクラスは何を意味しますか

特異的IgE抗体の結果は、測定値(UA/mL)と、それを7段階に区分したクラス0から6で報告されます。クラスが上がるほど、そのアレルゲンに対する抗体が多いことを示します。

クラス 測定値(UA/mL) 判定
クラス0 0.34 以下 陰性
クラス1 0.35 〜 0.69 疑陽性
クラス2 0.70 〜 3.49 陽性
クラス3 3.50 〜 17.4 陽性
クラス4 17.5 〜 49.9 陽性
クラス5 50.0 〜 99.9 陽性
クラス6 100 以上 陽性

検査機関や測定法によって区分の呼び方が異なることがあります。結果用紙の基準値もあわせてご確認ください。

陽性でも症状がなければ治療の対象になりません

検査が陽性でも症状がまったくない状態を、感作されているだけといいます。この状態は治療の対象にはなりません。クラスの数字は「体がそのアレルゲンをどれだけ強く認識しているか」を表すもので、症状の重さとそのまま比例するわけではありません。

治療は数字ではなく、いま実際に出ている症状で決めます。一方でクラスが高いことには意味があり、その虫が症状の原因である可能性が高いと判断でき、環境対策の効果が期待できることがわかります。

現在アレルギーの症状があり原因を調べる必要がある場合の検査は健康保険の対象です。症状がない状態で念のため調べておきたいというご希望での検査は自費診療となります。

皮膚プリックテスト

当院では皮膚プリックテストも実施しています。腕の皮膚に検査液を1滴のせ、専用の針で表面をごく浅く刺して、15分後の膨らみを見る検査です。採血が難しいお子さんや、その場で反応を確認したいときに用います。

ただしプリックテストで使える検査液は限られており、どの虫でも実施できるわけではありません。ゴキブリ・ガについては血液検査が中心になります。どの検査を行うかは診察のうえで決めますので、ご相談ください。

咳や息苦しさがある方に行う検査

咳がつづく、息苦しい、ゼーゼーするという症状がある方には、原因アレルゲンを調べる血液検査に加えて、気道の状態を調べる検査を行います。

呼吸機能検査(スパイロメトリー)では、思いきり息を吸って一気に吐き出していただき、息の通り道が狭くなっていないかを数値で確認します。FeNO検査は、静かに息を吐くだけで気道のアレルギー性の炎症の程度を推定できる検査です。いずれも当院で実施でき、その場で結果をご説明できます。

この2つの検査は血液検査と違って当日結果が出ます。喘息の診断と、治療を始めたあとの効果判定の両方に使います。

TREATMENT

治療と、虫を減らすための対策

治療の考え方は2つです

ゴキブリ・ガのアレルギーの治療は、原因となるアレルゲンを家の中から減らすことと、出ている症状を薬でおさえることの2本立てです。ダニやスギ花粉と違って体質そのものに働きかける治療(舌下免疫療法)が使えないため、環境対策の比重が大きくなります。

どちらか一方だけでは不十分になりやすく、薬でおさえながら並行して環境を整えていく形になります。

ゴキブリ・ガの舌下免疫療法はありません

当院ではダニとスギ花粉の舌下免疫療法を行っていますが、ゴキブリやガを対象とした舌下免疫療法の薬は、国内には存在しません。海外では研究段階の報告がありますが、日本で受けられる治療ではありません。

ただし、ダニにも感作されている方は少なくありません。ダニの舌下免疫療法によって鼻炎や喘息が全体として軽くなれば、虫のアレルゲンによる悪化も起こりにくくなります。検査でダニが陽性であれば、そちらの治療を検討する価値があります。

薬による治療

鼻の症状には抗ヒスタミン薬の飲み薬とステロイド点鼻薬を使い、鼻づまりが強い場合はロイコトリエン受容体拮抗薬を併用します。目のかゆみには点眼薬を使います。

咳や喘鳴があり喘息と診断された場合は、吸入ステロイド薬を中心とした吸入治療を行います。皮膚の症状には塗り薬を中心に、かゆみに対して飲み薬を併用します。

薬でおさえても症状が残る重症の喘息に対しては、生物学的製剤という注射の治療があります。当院ではゾレアやデュピクセントなどを扱っており、対象になるかどうかを診察と検査のうえで判断します。

エピペンについて

吸い込むことで起こるアレルギーでアナフィラキシーに至ることはまれですが、過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方や、その危険がある方にはエピペンの携帯をおすすめしています。当院ではエピペン0.3mgを院内に在庫しており、当日お渡しできます。処方には使い方の説明と練習用トレーナーでの手技確認を含みます。

ハチに刺されたことによるアレルギーについては、別のページにまとめています。

ゴキブリのアレルゲンを減らす方法

ゴキブリ対策で大切なのは、駆除して数を減らすことと、残ったフンや死骸を取り除くことの両方です。殺虫剤で駆除しても、フンや死骸がそのまま残っていればアレルゲンは減りません。ダニと同じ理屈です。

完璧に行う必要はありません。まずは台所と、寝室に近い場所から始めるのが効率的です。掃除機は排気の細かいフィルターがついたものが向いています。

台所・洗面所・風呂場など水まわりの水気をためない。夜のうちにシンクを乾かす
冷蔵庫や電子レンジの裏側、家具のすき間など、暖かく暗い場所を定期的に掃除する
食品は密閉容器に入れる。ペットフードを出したままにしない
ゴミ箱はふた付きにし、生ゴミは早めに捨てる
段ボールは室内にためない。すき間が住みかになり、外から持ち込む経路にもなります
駆除剤(ベイト剤)を使ったあとも、掃除機がけと拭き掃除でフンと死骸を取り除く
配管まわりや換気口のすき間をふさぐ。集合住宅では隣室からの侵入経路になります

ガ・ユスリカのアレルゲンを減らす方法

ガやユスリカは屋外で発生するため、ゴキブリのように発生源をなくすことはできません。家の中に入れないこと、入ったものを早く取り除くことが中心になります。

症状が強くなるタイミングがはっきりしている方は、その作業の前に薬を飲んでおくという使い方もできます。

窓やドアに網戸をつけ、すき間をなくして侵入を防ぐ
玄関や窓のそばの照明を、虫が寄りにくい色のものに替える
灯りに集まった死骸は窓辺やベランダにたまるため、こまめに掃除する
衣類は洗濯してから収納し、クローゼットには防虫剤を使う。衣替えの前後に掃除機をかける
米・小麦粉・乾物・お菓子・ペットフードは密閉容器に入れる。米びつには虫よけ剤を入れる
掃除のときと衣替えのときはマスクをつける。症状が出るのはこの作業中が多いためです
水槽のアカムシ(ユスリカの幼虫)を扱うときは手袋とマスクを使い、換気する

薬の副作用と、受診していただきたい症状

抗ヒスタミン薬では眠気や口の渇き、ステロイド点鼻薬では鼻の中の刺激感や乾燥、まれに鼻血がみられることがあります。吸入ステロイド薬では、のどの違和感や声のかすれ、口の中のカンジダ症が起こることがあり、吸入後のうがいで予防します。生物学的製剤では注射部位の反応が多く、ごくまれにアナフィラキシーを起こすことがあるため、投与後に院内で経過をみます。

殺虫剤や防虫剤そのもので皮膚がかぶれたり、咳が出たりすることもあります。対策を始めてから症状が変わった場合はお知らせください。

次のような症状は、虫のアレルギーだけでは説明がつきません。市販薬で様子をみずに受診してください。

咳が3週間以上つづく、体重が減る、血の混じった痰が出る
片側の鼻だけがつまる、血の混じった鼻水が続く、においがわからない状態が続く
顔の痛みや頬・目の奥の重い感じ、発熱をともなう
発作の頻度が増えている、市販の吸入薬や飲み薬が効かなくなってきた
皮膚のただれや強い痛み、じくじくして広がる
COST

費用の目安

健康保険3割負担の場合の目安です。お薬代は処方する種類と日数によって変わります。

血液検査は健康保険で算定できる項目数の上限が13項目と決められています。症状がない状態でご希望による検査は自費診療となります。診察料・処方料などが別に加わります。2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。

FAQ

よくある質問

ゴキブリアレルギーは珍しいですか。何人に1人ですか?+
珍しくありません。一般の方を対象にした「日本人の何人に1人」という統計はありませんが、気管支喘息の患者さんの26.6パーセント、アレルギー性鼻炎の患者さんの13.4パーセントでゴキブリの抗体が陽性だったという国内の報告があります。喘息の方ではおよそ4人に1人という割合です。症状のない方のなかでは目立ちませんが、喘息や鼻炎で困っている方のなかではありふれたアレルゲンです。ご自身が該当するかどうかは血液検査で確かめられます。
蛾(ガ)アレルギーとは何ですか。蛾のアレルギーの原因は何ですか?+
蛾のアレルギーは、蛾の鱗粉(りんぷん)、幼虫のフン、粉々になった死骸を吸い込むことで起こるアレルギーです。刺されたり咬まれたりして起こるものではありません。蛾のアレルギー症状は、鼻水・くしゃみ・鼻づまり、目のかゆみ、咳や喘鳴、皮膚のかゆみです。ガの飛来数は春から初夏と秋に増えるため、この時期に症状が強くなる方がいます。血液検査でガの特異的IgE抗体を調べることができます。
鱗粉アレルギーはありますか。蝶の鱗粉でも起こりますか?+
あります。鱗粉はガや蝶(チョウ)の羽の表面をおおう粉状のうろこで、飛ぶたびに剥がれて空気中に舞います。これを吸い込むことでアレルギー症状が出ます。成分としては蝶の鱗粉も同じですが、家の中や街灯のまわりで大量に接するのはガのほうであるため、実際に問題になるのはガの鱗粉がほとんどです。
家でゴキブリを見たことがないのに、なぜゴキブリアレルギーになるのですか?+
原因は虫そのものではなく、フン・脱皮殻・死骸が乾いて細かくなった粒子だからです。これがホコリにまじって空気中に舞い、吸い込むことで症状が出ます。集合住宅では配管や共用部を通じて隣の部屋から入り込むこともあり、飲食店が入るビルや飲食店に隣接した住まいでは室内のアレルゲン量が多くなりやすいことが知られています。ご自宅で1匹も見ていなくても、感作されることはあります。
エビを食べると症状が出ます。ゴキブリやダニと関係がありますか?+
関係があります。ゴキブリ・ガ・ダニ・エビ・カニは、いずれもトロポミオシンというよく似た筋肉のたんぱく質を持っています。そのため、どれか1つに反応するようになると、ほかのものにも反応することがあります(交差反応)。エビで症状が出る方の背景に、家の中で吸い込んでいたダニやゴキブリへの感作があることがあります。ただし検査が陽性でも実際に食べて症状が出るとは限りません。これまで問題なく食べられているのであれば、結果だけを理由に除去する必要はありません。
昆虫食(コオロギなど)は食べても大丈夫ですか?+
甲殻類アレルギーやダニアレルギーのある方は注意が必要です。コオロギなどの食用昆虫もトロポミオシンを持つため、交差反応で症状が出ることがあります。エビやカニで症状が出たことがある方、ダニの検査で強い陽性が出ている方は、試す前にご相談ください。
ゴキブリアレルギーで皮膚のかゆみやじんましんは出ますか?+
出ることがあります。吸入したアレルゲンによる反応では、触れていない部分にも広くかゆみや湿疹が出ます。イガの幼虫や毛虫に直接触れた場合は、触れた部分に一致した赤みとかゆみ(接触性皮膚炎)になります。ただし数週間以上つづくじんましんについては、特定の虫だけが原因と決められることはまれで、別の考え方で診療します。皮膚の状態を診察させてください。
蛾アレルギーの時期はいつですか?+
ガの飛来数は春から初夏と、秋にかけて増えることが報告されています。この時期に症状が強くなる方がいます。また喘息のある方では、秋から冬にかけて抗体価が上がり発作を起こしやすくなるという報告もあります。花粉の季節ではないのに秋に鼻炎や咳がひどくなるという方は、ダニに加えてガが関わっていることがあります。一方、ゴキブリは一年を通じて室内から検出され、夏に多く秋が繁殖期です。
ユスリカアレルギーとはどんなものですか?+
ユスリカは蚊に似ていますが人を刺しません。河川・湖・用水路・下水処理場などで大量発生し、灯りに誘われて屋内に入ります。飛ぶときに出る翅や体の断片、分泌物、死骸を吸い込むことで、鼻炎・結膜炎・喘息が起こります。釣り餌や熱帯魚のエサに使うアカムシはユスリカの幼虫で、これを日常的に扱う方では強く感作されることがあります。血液検査でユスリカの抗体を調べられます。
昆虫のアレルギー検査はできますか。虫の種類はどこまで調べられますか?+
調べられます。血液検査でゴキブリ(チャバネゴキブリ)、ガ、ユスリカ、ヤブカといった項目の特異的IgE抗体を測定できます。ダニやハウスダスト、カビ、ペット、花粉なども同時に調べられますが、健康保険で算定できるのは13項目までです。症状の出る場所と時期、お住まいの環境、お仕事や趣味での虫との接触をうかがったうえで項目を選びます。結果は後日のご説明になります。
掃除や駆除をすればアレルギーは治りますか?+
症状は軽くなりますが、体質そのものが変わるわけではありません。また、殺虫剤で駆除しただけでは不十分です。残ったフンや死骸がアレルゲンとして残るためで、掃除機がけと拭き掃除でこれらを取り除くところまでが対策になります。ダニ対策とまったく同じ考え方です。まずは台所と寝室の周辺から始めるのが効率的です。
ゴキブリやガの舌下免疫療法はありますか?+
ありません。国内で舌下免疫療法の薬があるのはダニとスギ花粉だけで、ゴキブリやガを対象とした薬は存在しません。当院ではダニとスギの舌下免疫療法を行っています。検査でダニも陽性であれば、ダニの治療によって鼻炎や喘息が全体として軽くなり、虫のアレルゲンによる悪化も起こりにくくなることが期待できます。
ゴキブリアレルギーで命に関わることはありますか?+
吸い込むことで起こるアレルギーで直接命に関わることは、まれです。ただしゴキブリアレルギーは喘息の重症度と関連することが報告されており、気づかないまま喘息が悪化して強い発作につながることがあります。息が苦しい、会話がしにくい、唇や爪の色が青白いといった症状があるときは、ただちに救急要請してください。咳や息苦しさが続く方は、早めに呼吸機能検査を受けておくことをおすすめします。
昆虫アレルギーは何科を受診すればよいですか?+
鼻や目、咳の症状が中心であれば内科・アレルギー科、皮膚の症状が中心であれば皮膚科が窓口になります。当院は内科・皮膚科・アレルギー科を併設しており、鼻から皮膚、喘息までまとめて診察できます。血液検査、皮膚プリックテスト、呼吸機能検査、FeNO検査も同じ院内で対応します。
豊洲イーウェルクリニック
昆虫アレルギーのご相談はWEB予約から

一年中つづく鼻炎、掃除や衣替えのときの咳、エビを食べたあとの症状。どれも家の中の虫が関わっていることがあります。血液検査で原因を確かめ、そのうえで薬と環境対策をご案内します。内科・皮膚科・アレルギー科を併設し、呼吸機能検査まで院内で対応します。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 一般社団法人 日本アレルギー学会
  2. 独立行政法人 環境再生保全機構(ERCA)ぜん息などの情報館
  3. 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会「鼻アレルギー診療ガイドライン ― 通年性鼻炎と花粉症 ―」

本ページは一般的な情報提供を目的としています。検査の必要性や治療の選択は、症状・年齢・持病・併用薬をふまえて診察のうえで決めます。記載は2026年8月時点の情報です。

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