掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症とは?
掌蹠膿疱症は手のひらや足のうらに水ぶくれや膿(膿疱)が繰り返し出来る病気です。
掌蹠膿疱症の原因は?
掌蹠膿疱症の原因は解明されていないこともありますが喫煙や特定の感染症と関連があることが分かっています。
❶ 喫煙
掌蹠膿疱症患者の患者さんの70-90%が喫煙者です。禁煙のみで完治することは稀ですが、症状が改善することが報告されています。
❷ 扁桃炎や歯周炎などの感染症
無症状の扁桃炎や歯周炎、副鼻腔炎、上咽頭炎など慢性の細菌感染による炎症が発症に係ることが多く、約80%で感染症が認められています。
❸ 金属アレルギー
歯科金属などの金属アレルギーも関連があると言われていますが、歯科金属の除去だけではよくならないことも多く、歯周炎などの感染症の治療を行うことが重要です。
掌蹠膿疱症の症状は?
皮膚の症状
☑︎ 水疱・膿疱性水疱:水ぶくれ(水疱)から始まり膿のふくろ(膿疱)に変化するのが特徴です
☑︎ 膿疱:膿のふくろ
☑︎ 痂皮(かさぶた)や鱗屑:症状が進行するとかさぶたが見られるようになり角質が厚くなったりひび割れができます
爪の症状
約30%に爪の症状を合併します。爪のしたに膿疱や炎症が起こることで爪がはがれてきたり、爪や爪の下が分厚くなったり点状にへこみが認められます。
関節の症状
約10-30%に関節の痛みなどの症状を合併します。
掌蹠膿疱症はどのように診断しますか?
❶ 診察による確認
典型的な乾癬は特徴的な皮膚所見から診断が可能です。ダーモスコピーで観察することで水疱の中央に膿(膿疱)が認められるのが異汗性湿疹や手湿疹、乾癬との区別に有効です。
手足白癬と区別をするために顕微鏡による検査を行います
❷ 生検
皮疹がある場所を麻酔して一部切り取り、皮膚に起きている異常を顕微鏡で確認する病理組織検査を行う場合があります。
❸ 血液検査
糖尿病や甲状腺などの合併する内科疾患の検査を行います。
掌蹠膿疱症はどのように治療しますか?
扁桃炎、歯周炎、副鼻腔炎などの病巣感染の治療
皮膚症状の治癒には病巣治療後半年程度で改善傾向が現れ、治癒には1-2年程度かかると言われています。
❶ 歯の治療
中等度異常の歯周病や根尖病巣が掌蹠膿疱症の原因となります。歯科治療は60-80%程度の患者さんで有効です。
歯性感染症は無症状ではっきり自覚できないこともあるため、歯科をご紹介しオルソパントモグラフィーなどによる検査を行います。
❷ 扁桃摘出
保存的治療に反応しない場合や掌蹠膿疱症性骨関節炎を合併する場合には扁桃摘出が検討されます。
対症療法
病巣治癒や禁煙による治療を行う前から症状を緩和するために治療を行います。
❶ 外用療法(ステロイド外用薬/活性化ビタミンD3外用薬)
ステロイド外用薬と活性化ビタミンD3外用薬を併用して開始し、改善後はビタミンD3外用薬に切り替えを行います。
ステロイド外用薬により炎症を抑え、皮膚が硬くなったり膿疱を改善します。
活性化ビタミンD3外用薬であるオキサロール(マキサカルシトール)は膿疱や水疱に効果的です。
❷ 内服治療
- 抗菌薬:感染症の治療や炎症のコントロールを目的として投与することがあります。
- 漢方薬:十味敗毒湯、黄連解毒湯、温清飲、桂枝茯苓丸などが使用されることがあります。
- チカゾン(エトレチナート):ビタミンA誘導体であり、免疫を落とすことがないため発症や悪化の原因となった感染病巣の治療前や治療中にも使用しやすい特徴があります。
- ビオチン(ビタミンH):高用量のビオチンが補助的に用いられることもあります。
❸ 紫外線(光線)療法
皮膚に紫外線を照射して症状の改善を促します。用いる紫外線の波長によって特徴が異なり、「外用PUVA(プーバ)療法」、「ナローバンドUVB療法」などがあります。
全身療法
乾癬病巣がない場合や病巣治療を行っているが効果がない場合には免疫調整薬や生物学的製剤による治療が使用されます。
掌蹠膿疱症性骨関節炎が重度で治療が遅れることで関節破壊や骨折などの後遺症が懸念されるケースなども状況に応じて全身療法を行います。
❶ 免疫調整薬
ネオーラル(シクロスポリン)、リウマトレックス(メトトレキサート)、アザルフィジン(サラゾスルファピリジン)などが用いられることもあります。
❷ PDE4阻害薬
オテズラ錠(アプレミラスト)
PDE4(ピーディーイーフォー;ホスホジエステラーゼ4)阻害剤とよばれる新しいタイプの掌蹠膿疱症の飲み薬です。体の中で乱れた免疫バランスを整え、炎症を抑えて、掌蹠膿疱症の症状を改善します。
❸ 生物学的製剤
トレムフィア(セクキヌマブ)
IL(インターロイキン)-23という物質の働きを抑えるお薬です。IL-23の働きを抑え、ることでIL-17の放出を減らし皮膚や関節の症状を改善します。
生活の改善
❶ 禁煙
喫煙は掌蹠膿疱症を引き起こしたり、悪化させる要因の一つです。
また、喫煙を続けることで、掌蹠膿疱症の治療効果が低下するとされています。
❷ 口腔ケア
虫歯や歯周炎などの歯性病巣は掌蹠膿疱症を引き起こしたり、悪化させる要因の一つです。定期的な歯科検診と日頃から口腔ケアはしっかりと行いましょう。
❸ 便秘や下痢に気をつけましょう
下痢症や便秘,過敏性腸症候群などが合併することがあり、腸内環境が改善することで皮疹や骨関節症状の改善をみることがあります。
掌蹠膿疱症の合併症は?
掌蹠膿疱症患者さんの約10~30%にみられることが報告されています5)。
症状は、前胸壁 (胸骨、鎖骨、肋骨及びその周辺部位や結合部)に発症することが多く、これら以外にも首、背中、腰、手足などの骨に生じることもあります。
❷ バセドウ病、橋本病
❸ 糖尿病
よくある質問
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)を治すには?
外用薬(ステロイドなど)や内服薬(アプレミラスト〈オテズラ〉など)を使いながら、再発を予防する生活習慣の見直しも重要です。禁煙やストレス管理も治療の一環です。
掌蹠膿疱症はストレスが原因ですか?
ストレスは再発や悪化のきっかけになるとされています。
掌蹠膿疱症は一生治らないのですか?
長く付き合うことのある病気ですが、治療によって症状をコントロールし、再発を抑えることは可能です。
掌蹠膿疱症の原因はタバコですか?
喫煙者に多く、タバコが発症や再発の引き金になるとされており、禁煙が非常に重要です。
掌蹠膿疱症と似た病気は?
尋常性乾癬、手湿疹、汗疱(かんぽう)、掌蹠膿疱性乾癬などが類似します。診断には皮膚科での診察が必要です。
掌蹠膿疱症は感染しますか?
いいえ。膿疱は無菌性であり、人にうつることはありません。
