過敏性腸症候群
過敏性腸症候群について
この記事の要点
過敏性腸症候群とは?(IBS・敏感性腸症候群)
お腹の痛みや不快感が数か月以上続き、それに関連して便通の異常(下痢・便秘・両方)が起こる病気です。一般的な検査で異常が見つからない機能性消化管疾患に分類され、成人の約1割にみられます。
過敏性腸症候群はどんな痛み? 出血することはある?
おなかの痛みと、便通の異常(下痢・便秘)がくり返すのが特徴です。検査をしても腸に炎症や潰瘍などの異常が見つかりません。
どんな痛みか。へその周りや下腹部がキリキリ・シクシクと締めつけられるように痛むという表現が多く聞かれます。差し込むような強い痛みが波のように来て、排便すると軽くなるのが大きな手がかりです。
朝の通勤・通学前や、会議・試験の前など、緊張する場面で強くなりやすいのも特徴です。「トイレに行けない状況だと思うと痛くなる」というかたちで現れます。
夜中に痛みで目が覚めることは、ふつうありません。眠っているあいだは症状が出にくい病気です。夜間の痛みで起きる場合は、別の病気を考えます。
血便・出血は、この病気では起こりません。「過敏性腸症候群で出血する」と調べて来られる方がいらっしゃいますが、血が混じるときは別の原因です。痔のこともありますが、潰瘍性大腸炎・クローン病・大腸の腫瘍などを確かめる必要があります。出血があるときは、必ずご相談ください。
肌荒れ・ニキビとの関係
「腸内環境が悪いと肌が荒れる」とよく言われるため、過敏性腸症候群と肌荒れ・ニキビを結びつけて調べて来られる方が多くいらっしゃいます。
過敏性腸症候群そのものが、肌荒れやニキビを起こすわけではありません。腸に炎症があるわけではなく、栄養の吸収が悪くなる病気でもないためです。
ただし重なりやすい背景はあります。ストレス、睡眠不足、食事のかたよりは、腸の症状にも肌にも同時に響きます。便秘型の方で、排便が滞ることが体調全体に影響することもあります。つまりどちらも同じ原因から起きていることが多く、「腸を治せば肌が治る」という一方向の関係ではありません。
アトピー性皮膚炎の方に過敏性腸症候群が多いという報告はありますが、これも共通の体質や自律神経の関与が考えられており、因果関係が確かめられているわけではありません。
肌の症状が続くときは、腸のせいと決めずに皮膚科でも診させてください。当院は内科と皮膚科を併設しており、同じ日に診られます。
過敏性腸症候群のタイプ
| タイプ | 具体的な症状 | ブリストル |
|---|---|---|
| 便秘型IBS | 腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、慢性的な便秘を起こす 30歳代以下の若い女性に多く発症 | 1-2 |
| 下痢型IBS | 急激な腹痛でトイレに駆け込むと水のような激しい下痢 排便後は症状が改善する 男性に多い | 6-7 |
| 混合型IBS | 便秘と下痢を繰り返す | 1-2と6-7 |
| 分類不能型IBS | 上記以外のタイプ |
過敏性腸症候群の原因は?
❶ ストレス
過敏性腸症候群患者では脳が不安やストレスを感じると、その信号が伝わりやすく、腸が過剰に反応し、痛みを敏感に感じ取りやすい(知覚過敏)、脳に伝わった苦痛や不安感が増加することがわかっています。
❷ 細菌感染、腸の粘膜の炎症
特定の感染性腸炎のあとに過敏性腸症候群を発症したり、過敏性腸症候群患者では腸内細菌が異常増殖していることがわかっています。
こんなときは早めに受診してください
次のような症状があるときは、様子を見ずにご相談ください。当院の診療時間外の場合は、救急外来の受診もご検討ください。
検査
過敏性腸症候群はどのように診断しますか?
ローマIV基準を用いた診断が基本です。
「直近3か月で週1日以上の反復する腹痛」があり、以下のうち2項目以上に当てはまる:①排便に関連 ②排便回数の変化 ③便形状の変化(症状は少なくとも6か月前に開始)
❶ 便潜血検査
❷ 血液検査
❸ 画像検査(腹部レントゲン検査・腹部超音波検査)
❹ 便培養検査
❺ 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
当院で行う検査
過敏性腸症候群は「ほかの病気がないこと」を確かめたうえで診断します。
| 検査 | 何を見るか | いつ行うか | 窓口負担の目安(3割) |
|---|---|---|---|
| 血液検査(炎症・貧血・甲状腺機能) | 炎症性腸疾患・甲状腺の病気の除外 | 初診時 | 約1,300円〜
(項目数により変わります)
|
| 便潜血検査 | 大腸がん・炎症性腸疾患の手がかり | 初診時 | 約120円 |
| 腹部エコー | 腹痛のほかの原因の除外 | 必要に応じて | 約1,590円 |
横にスクロールできます。金額は3割負担の方の目安で、採血を伴う検査は調べる項目数によって変わります。
体重が減る、夜中に症状で目が覚める、血便があるときは、内視鏡検査をご相談します。
診察料の目安
上の検査費用に加えて、診察料がかかります。3割負担の方の目安です。
初診:約870円/再診:約230円/処方箋料:約180円
このほか、慢性の病気で計画的に管理する場合は特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料が加わることがあります。薬代は別に薬局でお支払いいただきます。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。実際の金額は行った検査と加算によって変わります。
治療
過敏性腸症候群はどのように治療しますか?
ポリカルボフィルカルシウム、プロバイオティクス、酸化マグネシウムなど腸管の内容物を調整する薬物やトリメブチンや臭化ブチルスコポラミンのような腸管の機能を調節する薬物がを使用します。
過敏性腸症候群の第一選択薬 — トリメブチンは便秘型にも使えます
まず使うのは、整腸剤(プロバイオティクス)とトリメブチン(セレキノン)です。どちらも作用がおだやかで、下痢型・便秘型のどちらにも使えます。
トリメブチンは、腸の動きが速すぎるときは抑え、遅すぎるときは促すという両方向の働きをします。このため便秘型にも下痢型にも使えます。「トリメブチンは便秘型に使えるのか」というご質問をいただきますが、使えます。腸の動きを整える薬だからです。
整腸剤(ビオフェルミン、ミヤBMなど)は、腸内の細菌のバランスを整えます。効果が出るまで数週間かかることがあり、続けることが大切です。
これで足りないときに、タイプに合わせた薬を足していきます。
タイプ別の治療薬(薬は女性で用量が変わることがあります)
腸管蠕動運動の活発化や腸管水分輸送異常の改善を促し、下痢を抑制し、便形状や便意切迫感を改善させます。朝の通勤通学途中で便意が切迫することが多いので、男性では朝1回5μg、女性では2.5μgから投与を開始します。
下痢型IBSの方にたいして、旅行やイベント時の際の頓用として使用
「女性向けの薬」があるわけではありませんが、ラモセトロン(イリボー)は男女で用量が分かれており、女性では少量から開始します。効きすぎによる便秘を避けるためです。また女性では月経周期にあわせて症状が変わることがあり、その点も踏まえて調整します。
生活上の注意点は?
過敏性腸症候群は症状の緩和が目標であり、薬物治療で症状が改善しても再発する可能性があるため生活習慣の改善が重要です。
❶ 症状が出やすい食品(脂質、カフェイン、香辛料、乳製品)の摂取を控えましょう
短鎖炭水化物FODMAP(Fermentable[発酵性],Oligosaccharides [オリゴ糖]、Disaccharides [二糖類]、monosaccharides [単糖類]and polyois [糖アルコール])を避けることが症状を抑えることが報告されています。
FODMAPは小腸で吸収されずに大腸内で水分を引き込んだり、発酵しガスを発生することで腹痛や下痢、おなかのはりの原因となります。
《FODMAPを含む食品》
❷ 水分をしっかりとる
❸ 適度な有酸素運動を行いましょう
| オリゴ糖 | タマネギ、ニンニク、アスパラガス、豆類 |
|---|---|
| 二糖類 | 牛乳、ヨーグルト、水飴、海藻類、キノコ類 |
| 単糖類 | 果物、はちみつ |
| 糖アルコール | リンゴ、アプリコット、モモ、ナシ、スイカ、人工甘味料 |
豊洲で過敏性腸症候群の相談をするには
豊洲イーウェルクリニックでは、次のように診療しています。ご不安な点は診察時にお聞かせください。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。診察の内容や検査の項目によって変わります。
記載は3割負担の場合の目安です。このほかに処方箋料(約180円)とお薬代がかかります。診療内容により変わります。
よくある質問
IBSは一生治りませんか?+
どんな検査を受けますか?+
最初に使う薬は何ですか?+
ストレスが原因ですか?+
検査で異常が出ないのはなぜですか?+
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。症状が強いときや長引くときは、記載にかかわらず受診してください。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
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