膝の痛みと体重の関係 ― 減量で膝の負担を減らす理由
「最近、階段の上り下りで膝が痛い」 「歩き始めに膝がこわばる」 「体重が増えてから膝がつらくなった気がする」
このようなお悩みはありませんか。
膝の痛みには、加齢、筋力低下、運動不足、過去のけが、姿勢や歩き方など、さまざまな要因が関係します。その中でも、見落とされやすい重要な要因の一つが「体重」です。
体重が増えると、膝にはどれくらい負担がかかる?
膝は、歩く、立ち上がる、階段を上るといった日常動作のたびに、体重を支えている関節です。
研究では、体重が約1kg減ると、歩行時に膝へかかる負荷は1歩あたり約3〜4kg減ると報告されています。
つまり、体重が少し減るだけでも、毎日の歩行や階段で膝にかかる負担は大きく変わる可能性があります。膝の痛みを「年齢のせい」とあきらめる前に、体重という視点を一度見直してみる価値があります。
肥満・過体重は膝痛や変形性膝関節症と関係する
日本人を対象とした研究でも、BMIが高い人ほど膝の痛みを持っている割合が高いことが示されています。
また、10年間にわたってBMI 25以上の過体重が続いた人では、正常体重を維持した人に比べて、その後に膝の痛み(変形性膝関節症を含む)を持つリスクが高いことも報告されています。
膝への機械的な負担だけでなく、肥満に伴う慢性的な炎症や代謝の変化も、膝の痛みに関係している可能性があると考えられています。
減量で膝の痛みは本当に改善するのか?
過体重・肥満を伴う変形性膝関節症の方では、減量と運動療法を組み合わせることで、膝の痛みや身体機能が改善することが報告されています。
特に、体重の5%程度の減量でも膝への負担軽減が期待でき、10%以上の減量では痛みや機能の改善がより明確になる可能性があります。
たとえば体重80kgの方であれば、
- 5%減量:約4kg
- 10%減量:約8kg
が一つの目安になります。あせって短期間で落とす必要はなく、月に体重の1〜2%程度を目安に、無理のないペースで進めるのが安全です。
もちろん、急激な減量や無理な食事制限はおすすめできません。筋肉量が落ちると、かえって膝を支える力が弱くなることがあります。膝の痛みがある方では、食事管理だけでなく、筋力を保つ運動を組み合わせることが大切です。
肥満症の治療薬と膝の痛みについて
近年、肥満症に対する治療薬が注目されています。海外の研究では、肥満を伴う変形性膝関節症の方で、こうした肥満症治療薬による減量にともなって、膝の痛みや身体機能が改善したことが報告されています。
ただし、ここで大切なのは、肥満症治療薬は「膝の痛みそのものを直接治す薬」ではないという点です。
これらの薬は、肥満症や糖尿病など、適応(保険診療として使用できる基準)を満たす方に対して、医師の管理のもとで使用される薬です。膝の痛みに対しては、体重管理、運動療法、痛み止め、リハビリ、整形外科的な評価などを組み合わせて考える必要があります。
こんな方はご相談ください
- 体重が増えてから膝が痛くなった
- 階段や立ち上がりで膝がつらい
- 健診で肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧を指摘されている
- 膝の痛みがあり、運動したいが何から始めてよいかわからない
- 減量したいが、自己流では続かない
- 肥満症の治療について医師に相談したい
膝の痛みは「何科に行けばいいの?」と迷われることが多い症状です。当院では、まず内科的な視点から体重・生活習慣・全身の状態を評価し、必要に応じて整形外科での画像検査や専門的評価をご案内します。
膝の痛みがある場合、まずは痛みの原因を確認することが大切です。膝の痛みには変形性膝関節症をはじめ、体重以外のさまざまな原因が隠れていることもあります。
当院では、内科的な体重管理、生活習慣病の評価、運動・食事の相談、必要に応じてGLP-1などの肥満症治療薬の適応確認を行っています。
まとめ
膝の痛みと体重には、深い関係があります。
体重を減らすことで、膝にかかる負担が減り、痛みや動きやすさの改善につながる可能性があります。特に、過体重や肥満を伴う方では、体重管理は膝の痛み対策として重要な選択肢の一つです。
膝の痛みを「年齢のせい」とあきらめず、体重、筋力、生活習慣、関節の状態を一緒に見直していきましょう。
※肥満症治療薬は、すべての方に使用できるわけではありません。適応、持病、内服薬、副作用のリスクを確認したうえで、医師が必要性を判断します。効果や副作用の現れ方には個人差があり、減量効果や膝の痛みの改善を保証するものではありません。保険適用とならない場合は自由診療(全額自己負担)となります。費用や治療内容の詳細は診察時にご説明します。
監修
豊洲イーウェルクリニック 院長 石川浩雅
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