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プロバンサインの出荷停止

[2026.09.07]
SHORTAGE

プロバンサインの出荷停止

多汗症に保険で使える唯一の飲み薬が、2026年9月に出荷停止となりました。理由と見通し、いま飲んでいる方の選択肢を、メーカーの通知と診療ガイドラインをもとに整理します。

豊洲駅 徒歩3分2026年9月再開時期は未定
POINTS

何が起きたのか

このコラムの要点

2026年9月、プロ・バンサイン錠15mgが出荷停止になりました。製造販売元のファイザー株式会社が「出荷停止に関するお詫び」を公表しています。
理由は原薬(プロパンテリン臭化物)への異物混入です。海外の委託製造所でつくられた原薬に混入が確認され、製造を保留して調査中です。
再開時期は未定とされています。調査と再発防止策に時間を要するためです。
すでに流通している分は、今回問題となった原薬とは別の原薬でつくられていると案内されています。在庫がある間は保険診療で続けられます。
プロ・バンサインは「多汗症」が効能・効果に書かれた唯一の国内承認の飲み薬です。代わりになる飲み薬に、保険が使えるものはありません。

メーカーの通知に書かれていること

ファイザー株式会社は2026年9月、医療関係者向けに「プロ・バンサイン錠15mgの出荷停止に関するお詫び」を出しました。要点は次のとおりです。

「本製品は大幅な需要増加に対応するため増産を継続してまいりましたが、更なる需要増に伴い、2025年6月より出荷量通常による限定出荷を開始しております。加えて、今般、海外の委託製造所において製造された原薬(プロパンテリン臭化物)に異物混入が確認されたため、本製品の製造を保留し、調査および再発防止策を行うこととしました」

つまり、もともと需要に供給が追いつかず限定出荷が続いていたところに、原薬の問題が重なった形です。区分は「出荷停止(供給停止)」で、通知には「調査および再発防止策の対応には時間を要するため、出荷再開時期は現時点で未定です」と書かれています。

医療機関に対しては、在庫が尽きたあとは「代替品でのご処方または代替治療をご検討いただきますよう」と求めています。

なぜ代わりの飲み薬に保険が使えないのか

多汗症の飲み薬として国内で承認されているのは、プロ・バンサインだけだからです。効能・効果に「多汗症」と明記されている内服薬はほかにありません。

同じ抗コリン薬でも、オキシブチニン(ポラキス)やソリフェナシン(ベシケア)は、承認されているのは膀胱の症状に対してです。多汗症に使う場合は承認された効能・効果と異なる使い方(適応外使用)にあたり、保険は使えず自由診療になります。

HOW

どうすればよいか

まず、汗の出る場所で整理します

飲み薬が止まっても、部位によっては保険で使える薬が残っています。慌てて飲み薬を探す前に、ご自身の汗がどこに出るかで確認してください。

汗の出る場所保険で使えるもの保険が使えないとき
わきエクロックゲル/ラピフォートワイプ(塗り薬)。重度の原発性腋窩多汗症ではボツリヌス毒素の注射飲み薬(自費)
手のひらアポハイドローション(塗り薬・2023年6月から)飲み薬(自費)
顔・頭なし飲み薬(自費)
足の裏・全身なし飲み薬(自費)

『原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版』は、まず塩化アルミニウム液か抗コリン薬の塗り薬を使い、効果が乏しい場合にボツリヌス毒素の局所注射を検討することを勧めています。

いま飲んでいる方へ

すぐに薬が消えるわけではありません。流通在庫がある間は、これまでどおり保険診療で処方を受けられます。

ただし在庫の見通しは立っていません。次の受診を待つのではなく、残りが少なくなる前に一度ご相談ください。汗の出る場所によっては、保険の塗り薬やボツリヌス注射に切り替えられることがあります。

自己判断で急にやめると、汗の症状が戻ります。やめ方や切り替え先は診察でご相談ください。

飲み薬を続けたい場合

顔や頭、全身のように塗り薬が届かない場所の汗では、飲み薬の代わりが必要になります。当院では自由診療で、オキシブチニン(ポラキス)とソリフェナシン(ベシケア)をご用意しています。

オキシブチニンについては、日本皮膚科学会のガイドラインが「欧米では多汗症に対する有効性が確認され、広く使用されている」と記載し、エビデンスレベルIとしています。海外で最も使われてきた飲み薬です。

ただし注意点があります。オキシブチニンは脳に移行しやすく、同ガイドラインは高齢の方への使用を避けるべき(推奨度D)としています。当院では65歳以上の方にはお出ししていません。若い方でも長く飲み続けることは勧められておらず、汗が気になる時期に絞って使います。

CLINIC

当院について

多汗症の診療について

当院では皮膚科で多汗症の診療を行っています。まず保険で使える塗り薬やボツリヌス注射の適応を確認し、それが届かない部位の汗について、自由診療の飲み薬をご案内しています。

自由診療の飲み薬は、承認された効能・効果と異なる使い方(適応外使用)です。保険は使えません。重篤な副作用が生じた場合も、国の医薬品副作用被害救済制度の対象とならないことがあります。主な副作用は口の渇き、便秘、眠気、めまい、尿が出にくいなどです。処方の可否は診察のうえで判断します。

供給状況は変わることがあります。記載は2026年9月時点の情報です。

豊洲イーウェルクリニック
在庫が尽きる前にご相談ください

汗の出る場所によって、保険で続けられる方法があります。まずは診察で確認させてください。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. ファイザー株式会社「プロ・バンサイン錠15mgの出荷停止に関するお詫び」(2026年9月)
  2. プロ・バンサイン錠15mg 添付文書
  3. 日本皮膚科学会『原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版』

本ページは一般的な情報提供を目的としています。医薬品の供給状況は変わることがあるため、最新の情報はメーカーの案内をご確認ください。治療方針は診察のうえで判断します。記載は2026年9月時点の情報にもとづきます。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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