粉瘤
粉瘤について
急いでいる方へ — よくある4つの疑問
粉瘤についてとくに多くいただくご質問に、先に結論をまとめます。
どれも自己判断で悪化させやすいところです。迷ったら、腫れる前にご相談ください。
粉瘤とはどのような状態ですか
粉瘤(アテローム、表皮嚢腫)は、本来なら皮膚の表面ではがれ落ちるはずの角質が、皮膚の下にできた袋の中にたまってできるしこりです。
袋の内側は皮膚の表面と同じ構造をしているため、内側でも角質が作られ続けます。行き場のない角質がたまることで、しこりは少しずつ大きくなります。
中央に黒っぽい小さな点(開口部)が見えることがあり、ここを押すとにおいのある白いかたまりが出てきます。このにおいは、たまった角質が分解されたものによるものです。
粉瘤初期の症状 — 初期はどんな見た目ですか
初期の粉瘤は、皮膚の下に数ミリの小さなしこりとして現れます。押すと少し動き、痛みはありません。色は肌色から少し白っぽく見えます。
よく見ると、中心に黒い点のような小さな開口部があることがあります。これは袋の入り口で、粉瘤を見分ける大きな手がかりです。
この段階では気づかれないことも多く、数か月から数年かけてゆっくり大きくなります。1〜2cmになってから相談される方がほとんどです。
小さいうちに取ったほうが、傷あとは小さくすみます。炎症を起こしてからでは、いったん膿を出して落ち着くのを待つ必要があります。
どこにできますか
全身どこにでもできますが、背中、首、耳のうしろ、顔、おしりに多くみられます。
「ぶつけたから」「不衛生だから」できるものではありません。多くははっきりした原因がなく生じます。体質的にできやすい方もいらっしゃいます。
粉瘤の中身は何ですか
中身は角質(垢)と皮脂です。本来ははがれ落ちるはずの皮膚の成分が、袋のなかにたまり続けたものです。
白っぽい、あるいは黄色がかったドロっとしたもので、独特のにおいがあります。「臭い」と表現される方が多いのはこのためです。
よく「脂肪のかたまり」と思われていますが、脂肪腫は別の病気です。粉瘤の中身は脂肪ではありません。
中身を押し出しても袋そのものは残るため、また同じところにたまります。根本的に治すには、袋を取り除く必要があります。
粉瘤かゆいのはなぜですか
かゆみが出るのは、袋の中身が外に漏れて、まわりの皮膚を刺激しているときです。袋が破れかけていたり、炎症が始まりかけていたりするサインのことがあります。
また、下着や衣類でこすれる場所(背中、脇、おしり)では、その刺激だけでかゆくなることもあります。
かゆいからといって掻いたり押し出したりすると、袋が破れて一気に炎症を起こします。赤く腫れて強く痛むようになると、その日のうちに袋ごと取ることができなくなります。
かゆみが出てきたら、掻かずにご相談ください。落ち着いているうちのほうが、治療の選択肢が多く残ります。
炎症性粉瘤 — 赤く腫れて痛むとき
袋が破れて中身が周囲に漏れると、強い炎症が起こります。赤く腫れ、押すと痛み、熱を持ちます。細菌が入ると膿がたまります。これを炎症性粉瘤といいます。
この状態は、放っておくと自然に破れて膿が出ることもありますが、痛みが強く、傷あとも残りやすくなります。早めに受診してください。
発熱を伴う、腫れが急速に広がる、痛みで眠れないといった場合は、その日のうちにご相談ください。
粉瘤に塗り薬やステロイドは効きますか
塗り薬で粉瘤が消えることはありません。粉瘤は皮膚の下にできた袋そのものが原因なので、外から塗る薬は袋に届きません。
ステロイドの塗り薬は、まわりの赤みやかゆみを一時的に抑えることはあります。ただし袋は残るため、やめればまた戻ります。
赤く腫れて痛む炎症性粉瘤では、抗菌薬の飲み薬を使うことがあります。これも炎症を抑えるためのもので、粉瘤そのものを治す薬ではありません。膿がたまっていれば、切開して出すほうが早く楽になります。
市販の軟膏で様子を見ているあいだに大きくなり、取るときの傷が大きくなってしまうことがあります。気づいた段階でご相談ください。
見分け方と検査
粉瘤とは何科を受診すればよいですか — ニキビ・脂肪腫との違い
皮膚の下のしこりは粉瘤だけではありません。診察では、次のようなものと見分けます。
| 考えられるもの | 粉瘤との違い |
|---|---|
| 脂肪腫 | やわらかく、境界がはっきりしない。中央の開口部がなく、においも出ません |
| せつ(おでき) | 毛穴の細菌感染。袋がないため、治れば残りません |
| 石灰化上皮腫 | かたく、石のような手ざわり。お子さんに多くみられます |
| リンパ節の腫れ | 首や脇の下など、もともとリンパ節がある場所にできます |
| 皮膚の腫瘍 | 形がいびつ、色にむらがある、急に大きくなるといった変化があるとき |
当院で行う検査
多くは見た目と触った感じで診断できます。判断に迷う場合や、ほかのものとの見分けが必要な場合に次の検査を行います。
治療と手術
落ち着いているときは、袋ごと取ります
どちらの方法を選ぶかは、大きさ、場所、炎症をくり返したかどうかによって変わります。診察のうえで医師が判断します。
炎症がない状態であれば、袋ごと取り除く手術を行います。袋を残すと再発するため、取り切ることが目的です。
局所麻酔で行い、その日のうちにお帰りいただけます。
| 方法 | 内容 | 向いているもの |
|---|---|---|
| くり抜き法 | 開口部の周りを小さく円形にくり抜き、そこから袋と中身を取り出します | 小さめのもの。傷が小さくて済みます |
| 切開法 | しこりの上を線状に切開し、袋ごと取り出して縫合します | 大きいもの、以前に炎症を起こしたもの、袋が周囲とくっついているもの |
炎症を起こしているときは、まず膿を出します
赤く腫れて痛む炎症性粉瘤では、まず切開して膿を出します(切開排膿)。これで痛みは大きく楽になります。
ただし、この時点では袋を取り切れません。炎症で組織の境目が分からなくなっているためです。炎症がおさまってから、あらためて摘出を検討します。
細菌感染を伴う場合は、抗菌薬の内服を併用します。
手術のあと
縫合した場合は、1〜2週間後に抜糸します。くり抜き法では縫わずに自然に閉じるのを待つこともあります。
傷あとは、はじめは赤みが目立ちますが、数か月かけて目立たなくなっていきます。ただし完全に消えるわけではありません。
手術当日の入浴は避けていただき、翌日以降はぬらしても差し支えない場合が多いです。個別にご説明します。
取らずに様子を見るという選択もあります
小さく、炎症を起こしたことがなく、見た目も気にならない場所であれば、そのまま様子を見ることもできます。
ただし、大きくなるほど手術の傷も大きくなります。また、一度炎症を起こすと袋が周囲とくっつき、取りにくくなります。将来的に取るつもりがあるなら、小さいうちのほうが体への負担は小さくて済みます。
費用の目安
保険診療です。3割負担の方の目安を示します。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。初診料、再診料、処方箋料、超音波検査(断層撮影法・その他)、ダーモスコピー、皮膚切開術(長径10センチメートル未満)、皮膚、皮下腫瘍摘出術は露出部で長径2センチメートル未満・2センチメートル以上4センチメートル未満、露出部以外で長径3センチメートル未満・3センチメートル以上6センチメートル未満、組織診断料。「露出部」とは顔・頸部・肘から先・膝から先を指します。手術の日は上記のほかに診察料、麻酔に用いる薬剤費、処置料などが加わります。実際の金額は大きさ・場所・方法によって変わりますので、診察時にご説明します。
よくある質問
粉瘤は自然に治りますか+
中身を押し出せば治りますか+
赤く腫れて痛いのですが、すぐ手術できますか+
手術の傷あとは残りますか+
手術の日に帰れますか+
保険はききますか+
粉瘤はうつりますか+
また同じところにできますか+
がんの可能性はありますか+
何科を受診すればよいですか+
粉瘤は自然には治らず、放っておくと大きくなったり、赤く腫れて痛みが出たりします。押し出したくなりますが、袋が残るため必ず再発します。小さいうちのほうが手術の負担も傷も小さくて済みます。豊洲駅から徒歩3分、土日も診療しています。
