帯状疱疹
帯状疱疹について
いちばん大切なこと — 抗ウイルス薬は発疹が出てから72時間以内に
帯状疱疹の治療の柱は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。この薬は、発疹(赤い斑点や水ぶくれ)が出てからおおむね72時間以内、つまり3日以内に飲みはじめることが重要とされています。早く始めるほど、発疹の広がりや痛みを抑えることが期待できます。
一方で、実際に3日以内に皮膚科を受診できている方は半数程度にとどまるという報告があります。片側の体に、ピリピリした痛みをともなう赤い発疹が出たら、様子を見ずにその日のうちにご相談ください。
72時間を過ぎてしまった場合でも、新しい水ぶくれが出続けているとき、痛みが強いとき、顔や目のまわりに出ているとき、免疫を抑える治療を受けているときなどは、抗ウイルス薬を始める意味があります。「もう遅いから」と受診をやめないでください。
なお、飲みはじめてから効果を実感するまでには2日ほどかかることがあります。すぐ効かないからと自己判断で中止せず、決められた日数(多くは7日間)を飲みきってください。
すぐに受診・専門科への紹介が必要なサイン
帯状疱疹は多くが外来で治療できますが、次のような場合は合併症のリスクが高く、急いで診察を受けていただく必要があります。当院で診察のうえ、必要と判断した場合は眼科・耳鼻咽喉科・高度医療機関へご紹介します。
夜間や休診日にあてはまる症状が出たときは、翌日を待たずに救急外来を含めて受診をご検討ください。
帯状疱疹とはどのような病気ですか(VZV・水痘帯状疱疹ウイルス)
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV=varicella-zoster virus)が体の中で再び活動をはじめることで起こる病気です。子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが、治ったあとも背骨の近くにある神経のかたまり(神経節)にひそみ続け、年月がたってから目を覚まします。
日本人の成人は約9割がこのウイルスを体内に持っているとされ、80歳までにおよそ3人に1人が帯状疱疹を発症するといわれています。水ぼうそうにかかったことのある方は、誰でも発症する可能性があります。
きっかけになるのは、加齢、疲れ、ストレス、睡眠不足、ほかの病気や手術、免疫を抑える治療などです。50歳を過ぎると発症が増え、60代を中心に50〜70代に多くみられます。
ウイルスは神経に沿って皮膚へ出てくるため、症状は体の片側の、帯のような範囲に限られるのが特徴です。胸から背中、おなか、腰、顔(額・目のまわり)、頭皮、首、手足、まれに陰部や乳房などにも出ます。
帯状疱疹が治るまでの期間と経過 — 完治の判断はどこでするか
帯状疱疹はおおよそ次のような順番で進みます。痛みが先に来て、あとから発疹が出るため、はじめは「筋肉痛かと思った」「歯が痛いと思って歯科に行った」という方も少なくありません。
痛みのピークは、水ぶくれが出そろう時期、つまり発疹が出てからおおむね数日から2週間ごろにあたることが多いとされています。
「痛い病気」という印象が強いのですが、かゆみを訴える方も多く、痛みとかゆみが混じることもあります。
| 時期 | 皮膚の様子 | 痛みの様子 |
|---|---|---|
| 発疹が出る数日〜1週間前 | まだ何も出ていない | ピリピリ、チクチク、ヒリヒリする違和感や痛み(前駆痛) |
| 1〜3日目ごろ | 片側に、帯のように並んだ赤い斑点が出る | 痛みが強まることが多い |
| 3〜7日目ごろ | 赤い斑点の上に水ぶくれができ、次々に新しい発疹が加わる | 痛みがもっとも強い時期にあたることが多い |
| 1〜2週間ごろ | 水ぶくれが破れてただれ、乾いてかさぶたになる | 少しずつ和らいでくることが多い |
| 3〜4週間ごろ | かさぶたが取れてくる。色素沈着や傷あとが残ることがある | 多くの方は皮膚の改善とともに落ち着いてくる |
発症から5日目ごろまでは新しい水ぶくれが増えるのがふつうで、一週間ほどで乾きはじめます。通院は、飲みはじめて数日後に一度、飲み終わるころに一度が目安で、痛みが残る場合は続けて診ていきます。経過には個人差があり、年齢や免疫の状態、治療を始めた時期によって変わります。表は一般的な目安です。
帯状疱疹が顔・目・頭皮に出たとき — 片側が原則、両側なら汎発性帯状疱疹との違いを確かめます
帯状疱疹は1本ないし数本の神経に沿って出るため、体の片側だけ、背骨から前へ帯状に広がるのが典型的な出かたです。「左右両側に同時に出た」「離れた場所にも散らばっている」という場合は、汎発性帯状疱疹の可能性や、そもそも別の病気である可能性を考えて診察します。
頭皮に出ると、髪に隠れて発疹が見えにくく、頭痛や頭皮の痛みだけが目立つことがあります。片側の頭皮がヒリヒリして触ると痛いときは、髪をかき分けて確認します。
顔、とくに額から目のまわりに出た場合は、目の合併症を起こすことがあるため、鼻の先に発疹があるかどうかも含めて注意深く診察し、必要に応じて眼科へご紹介します。
なお、痛みだけが出て発疹が現れない型(無疱疹性帯状疱疹)もあります。頻度は高くありませんが、原因のはっきりしない片側の痛みが続くときには考えます。
人にうつりますか — ご家族・妊婦さん・赤ちゃん・ペットへ
帯状疱疹が「帯状疱疹として」ほかの人にうつることはありません。うつるのはウイルスそのもので、うつった相手には水ぼうそう(水痘)として発症します。
うつる相手は、水ぼうそうにかかったことがなく、水痘ワクチンも受けていない方に限られます。具体的には、乳幼児や、水ぼうそうの経験がない大人です。すでに水ぼうそうにかかった方や水痘ワクチンを受けたお子さんにうつす心配は、ほとんどありません。
感染経路は、水ぶくれの中の液に直接触れることによる接触感染です。水ぼうそうのような強い空気感染は、通常の帯状疱疹では起こりません。ただし、発疹が全身に広がる汎発性帯状疱疹では空気感染が起こりうるとされ、扱いが変わります。
感染力があるのは、水ぶくれが出ている間です。すべての発疹が乾いてかさぶたになれば、うつす心配はなくなります。それまでは発疹をガーゼや衣類で覆い、水ぶくれをつぶさず、触れたら手を洗ってください。タオルの共用は避けます。
水ぼうそうにかかったことのない妊婦さんは、妊娠中の水ぼうそうがご本人にも赤ちゃんにも影響しうるため、発疹に触れないようにしてください。ご家族に妊婦さんや生後まもない赤ちゃん、免疫を抑える治療中の方がいる場合は、診察のときに必ずお伝えください。
犬や猫にうつるかというご質問をよくいただきますが、水痘・帯状疱疹ウイルスはヒトにだけ感染するウイルスです。犬・猫などのペットにうつることはありませんし、ペットから人にうつることもありません。
診断と検査
多くは診察で診断できます
帯状疱疹は、片側に帯状に並ぶという発疹の分布と、痛みが先行するという経過に特徴があるため、問診と診察で診断がつくことが多い病気です。追加の検査をせずに、その場で治療を始められることもよくあります。
一方で、出はじめでまだ発疹が少ないとき、顔や陰部など見分けにくい場所のとき、水ぶくれが小さくまとまっているときなどは、単純ヘルペスやほかの皮膚の病気とまぎらわしいことがあります。
帯状疱疹とまぎらわしい病気
実際の診察では、次のような病気と見分けます。治療法が異なるため、区別することに意味があります。
単純ヘルペス(口唇ヘルペス・性器ヘルペス)とは原因ウイルスが別で、経過も再発のしかたも違います。どちらも人から人へは接触でうつり、空気感染するわけではありません。
| 単純ヘルペス | 帯状疱疹 | |
|---|---|---|
| 原因ウイルス | 単純ヘルペスウイルス(HSV) | 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV) |
| うつりかた | 接触感染 | 接触感染(水ぶくれの液に触れることで、水ぼうそうとしてうつる) |
| 痛み | 軽い灼熱感やチクチク感が中心 | 強い痛みをともないやすく、長引くことがある |
| 出る場所 | 同じ場所にくり返し出やすい(唇のふち、陰部など) | 神経の走行に沿って、体の片側に帯状に出る |
| くり返しやすさ | 年に何度もくり返すことがある | 生涯に1回のことが多い |
| きっかけ | 紫外線、疲れ、発熱、月経など | 加齢、疲労、ストレス、免疫が下がる状態 |
このほか、かぶれ(接触皮膚炎)、とびひ、虫さされ、毛虫皮膚炎、汗疱などとも見分けます。痛みが先行して発疹が出ていない時期には、筋肉痛、肋間神経痛、胆石、狭心症、歯の痛み、頭痛などと間違われることもあります。
見分けにくいときの迅速検査(デルマクイック)
単純ヘルペスとの区別がつきにくいときには、水ぶくれをぬぐって調べる迅速検査を行うことがあります。当院では、水痘・帯状疱疹ウイルスと単純ヘルペスウイルスを判定するデルマクイックを用意しています。
検体は水ぶくれの部分をぬぐって採取します。10分ほどで判定でき、その日のうちに治療の方針を決められるのが利点です。
すべての方に必要な検査ではありません。診察で診断がついている場合は、検査をせずに治療を始めます。実施するかどうかは診察のうえで判断します。
血液検査でわかること・わからないこと
水痘・帯状疱疹ウイルスの抗体は血液で測れますが、日本人の多くは過去の水ぼうそうによって抗体を持っているため、抗体があること自体は帯状疱疹の証明にはなりません。
また、血液検査の結果は当日にはお出しできません。急いで治療を始める必要がある帯状疱疹では、診察所見と迅速な検査で判断することが中心になります。
抗体を測るのは、水ぼうそうにかかったかどうかがはっきりしない方が、ワクチンを検討するときなどです。
治療と痛みの薬
帯状疱疹の薬 — 抗ウイルス薬4種類のちがい
帯状疱疹に使う飲み薬の抗ウイルス薬は、日本ではアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、アメナメビルの4種類があります。いずれもウイルスが増えるのを抑える薬で、原則として7日間続けます。
大きな違いは、1日に飲む回数、腎臓の働きに応じて量を減らす必要があるかどうか、そして薬の値段です。腎臓の働きが下がっている方や高齢の方では、量を調整しないと意識がぼんやりする、ふらつくといった副作用(腎排泄型の抗ウイルス薬による神経症状)が出ることがあり、ここが薬を選ぶうえで重要な点になります。
どの薬を使うかは、腎臓の働き、飲み合わせ、飲む回数を守れるか、費用をふまえて診察のうえで決めます。当院で採用している薬については、診察時にご確認ください。
| 一般名 | 主な商品名 | 1日の回数 | 腎機能に応じた減量 |
|---|---|---|---|
| アシクロビル | ゾビラックス | 1日5回 | 必要 |
| バラシクロビル | バルトレックス | 1日3回 | 必要 |
| ファムシクロビル | ファムビル | 1日3回 | 必要 |
| アメナメビル | アメナリーフ | 1日1回(食後) | 不要 |
アメナメビルは1日1回で腎臓の働きによる減量が要らない一方、薬剤費が高く、一緒に飲めない薬(リファンピシンなど)や注意が必要な飲み合わせがあります。ほかの3剤にはジェネリック医薬品があります。妊娠中・授乳中の方には使える薬が限られるため、必ずお申し出ください。
帯状疱疹の痛み止め① 帯状疱疹にカロナール(アセトアミノフェン)
帯状疱疹の急性期の痛みには、まず飲み薬の痛み止め(鎮痛剤)を使います。カロナール(一般名アセトアミノフェン)は、胃や腎臓への負担が比較的少なく、高齢の方や持病のある方にも使いやすい薬です。
量は年齢・体重・肝臓の働き・ほかに飲んでいる薬をふまえて決めます。添付文書上の1日の上限は成人で4,000mgですが、これは上限であって推奨量ではありません。自己判断で増やさず、処方された量を守ってください。
注意していただきたいのは、市販のかぜ薬・解熱鎮痛薬・鼻炎薬の多くにアセトアミノフェンが含まれていることです。処方された薬と市販薬を重ねて飲むと、知らないうちに上限を超えてしまいます。市販薬を併用するときは、必ず成分を確認してご相談ください。
お酒をよく飲む方、肝臓の病気がある方、食事がとれていない方では、肝臓への影響が出やすくなります。皮膚や白目が黄色い、尿が濃い、だるさが強いといった症状が出たら中止してご相談ください。
帯状疱疹の痛み止め② 帯状疱疹にロキソニン(NSAIDs)が向かない方がいます
ロキソニン(一般名ロキソプロフェン)に代表されるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を抑える働きがあり、痛みによく効きます。一方で、胃と腎臓に負担がかかるという弱点があります。
高齢の方、腎臓の働きが下がっている方、脱水気味の方では、NSAIDsで腎臓の働きがさらに落ちることがあります。胃・十二指腸潰瘍のある方、ぜんそくの方(アスピリンぜんそく)、妊娠後期の方には使えません。
NSAIDsにはロキソプロフェンのほかイブプロフェン、ジクロフェナクなどがあり、市販薬にも広く含まれています。ワルファリン(ワーファリン)などの抗凝固薬(血液をさらさらにする薬)を飲んでいる方では、NSAIDsとの併用で出血しやすくなります。この場合、痛み止めはアセトアミノフェンを選ぶのが基本です。抗凝固薬を飲んでいる方は必ずお申し出ください。
帯状疱疹では発熱をともなうこともあります。解熱の目的でもアセトアミノフェンから使うことが多く、市販の解熱鎮痛薬を自己判断で追加しないようにしてください。
| カロナール(アセトアミノフェン) | ロキソニン(ロキソプロフェンなどのNSAIDs) | |
|---|---|---|
| 主な働き | 熱を下げ、痛みを和らげる | 炎症を抑え、痛みを和らげる |
| 胃への負担 | 比較的少ない | 出やすい(胃薬を併用することがあります) |
| 腎臓への負担 | 比較的少ない | 出やすい(高齢・脱水・腎機能低下で注意) |
| 気をつけたい方 | 肝臓の病気、飲酒量が多い方、市販のかぜ薬との重複 | 胃・十二指腸潰瘍、腎機能低下、高齢、ぜんそく、妊娠後期、抗凝固薬を服用中の方 |
どちらが「強い」かではなく、その方の持病と併用薬で選びます。効果の感じ方には個人差があります。
カロナールとロキソニンは一緒に飲めますか
作用のしくみが違うため、医師の指示のもとで組み合わせて使うことはあります。痛みが強いときに、時間をずらして使う方法をとることもあります。
ただし、ご自身の判断で市販薬を足す形での併用はおすすめできません。市販のかぜ薬や解熱鎮痛薬には、アセトアミノフェンやNSAIDsが最初から含まれているものが多く、同じ成分を二重に飲んでしまうためです。飲み方は診察でご相談ください。
ステロイドの内服(プレドニンなど)を短期間併用することがありますが、すべての方に必要なものではなく、糖尿病や感染症など持病によっては避けます。使うかどうかは診察のうえで判断します。
どちらを使っても痛みが十分に和らがないとき、夜眠れないほど痛むときは、次の項目の神経の痛みに対する薬を組み合わせるか、ペインクリニックでの神経ブロックをご紹介します。我慢せずお伝えください。
それでも痛むとき — 神経の痛みに使う薬
帯状疱疹の痛みには、皮膚の炎症による痛みと、傷んだ神経そのものから生じる痛みが混じっています。焼けるような、電気が走るような、しびれるような痛み、服がこすれるだけで痛む(アロディニア)といった訴えは、神経の痛みを示すサインです。
こうした痛みには、通常の痛み止めとは別の系統の薬を使います。効果が出るまでに数日から数週かかること、少量から始めて様子をみながら増やしていくことが多い点は、あらかじめ知っておいてください。
これらの薬はいずれも眠気やふらつきが出ることがあります。とくに開始時と増量時は転倒に注意が必要です。車の運転や高所での作業は控えてください。「帯状疱疹になってから眠い」という場合、病気そのものより薬の影響であることがよくあります。つらいときは量や薬の種類を調整しますのでご相談ください。
| 薬(一般名) | 主な商品名 | 位置づけ | 代表的な副作用 |
|---|---|---|---|
| プレガバリン | リリカ | 神経の痛みに対する基本の薬 | 眠気、ふらつき、めまい、むくみ |
| ミロガバリン | タリージェ | 神経の痛みに対する基本の薬 | 眠気、ふらつき、めまい、むくみ |
| アミトリプチリン | トリプタノール | 神経の痛みに用いる三環系抗うつ薬 | 眠気、口の渇き、便秘、立ちくらみ |
| デュロキセチン | サインバルタ | 神経の痛みに用いる抗うつ薬 | 吐き気、眠気、便秘 |
| ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液 | ノイロトロピン | 痛みが軽めの方、長く続く方に併用することがある | 発疹、かゆみ、胃部不快感 |
| トラマドール | トラマール、トラムセットなど | ほかの薬で足りないときに検討する | 吐き気、眠気、便秘、めまい |
いずれも腎臓や肝臓の働き、年齢、ほかに飲んでいる薬をふまえて量を決めます。効果や副作用の出かたには個人差があり、合わないときは種類を変えて調整します。当院で扱っている薬については診察時にご確認ください。
帯状疱疹後神経痛(PHN)について
皮膚の症状が治ったあとも痛みが残る状態を、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼びます。急性期の炎症による痛みとは異なり、神経そのものの傷みによる痛みです。
痛みは多くの方で、皮膚の症状が落ち着くのに合わせて1か月ほどのうちに和らいでいきます。一方で、一部の方では3か月、半年、1年と長く残ることがあります。「必ず残る」ものでも、「まず残らない」ものでもありません。
残りやすさは年齢と強く関係します。50歳未満では長引くことは比較的少なく、年齢が上がるほど、また急性期の痛みが強かった方、発疹が広かった方ほど、痛みが残りやすいことが知られています。
長引かせないために大切なのは、発症早期に抗ウイルス薬を始めることと、急性期の痛みを我慢せずしっかり抑えることです。痛みが続くときは早めにご相談ください。数か月以上続く場合や、薬で十分に抑えられない場合には、神経ブロックを行うペインクリニックへご紹介します。
セルフケア — してよいこと、避けたいこと
皮膚の症状に対しては、水ぶくれやただれを保護する塗り薬を使うことがあります。市販の塗り薬で帯状疱疹そのものを治すことはできません。とくに口唇ヘルペス用の抗ウイルス外用薬は、帯状疱疹には効果が期待できません。
痛む部分は、冷やすより温めたほうが楽になる方が多くみられます。冷やすと血のめぐりが悪くなり、痛みが強くなることがあります。ただし炎症が強い時期はこの限りではありませんので、心地よいと感じるほうを選んでください。
入浴は、体調がよければ問題ありません。湯船につかることでかえって楽になる方もいます。ただし発疹をこすらないこと、水ぶくれをつぶさないこと、家族と一緒に入るときはご自身が最後に入り、タオルを共用しないことを守ってください。
休養と睡眠は治療の一部です。無理に仕事を続けると痛みが長引くことがあります。仕事を休むべきかどうか、いつから出勤してよいかは、職種や職場に免疫を抑える治療中の方がいるかによっても変わりますので、診察でご相談ください。お子さんの場合、学校や保育園は、発疹を覆えていて全身状態がよければ通えることが多いのですが、園の方針によりますので確認してください。
副作用と、治療中に受診してほしいとき
抗ウイルス薬では、吐き気、下痢、頭痛、発疹などがみられることがあります。まれに、腎臓の働きが下がっている方で、意識がぼんやりする、幻覚が見える、ふるえるといった神経の症状が出ることがあります。この場合は服用を中止してすぐにご連絡ください。
神経の痛みに使う薬では、眠気、ふらつき、めまい、むくみ、体重増加などがみられます。転倒には十分ご注意ください。急に自己判断で中止すると症状が出ることがあるため、やめるときもご相談ください。
治療を始めたあとでも、次のような変化があるときは追加の診察が必要です。
ワクチンで予防できます
帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛は、ワクチンで予防することができます。50歳以上の方が対象で、生ワクチンと、2回接種する不活化ワクチン(シングリックス)の2種類があります。江東区の定期接種にも対応しています。
帯状疱疹にかかったことがある方も、ワクチンを受けられます。再発する方は数パーセント程度と報告されており、予防の対象になります。ただし急性期の接種は避けるため、接種の時期は診察でご相談ください。
ワクチンの種類、効果、持続期間、料金、定期接種の対象は、専用のページにまとめています。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。帯状疱疹の診療は保険診療で行います。
2026年8月時点の診療報酬点数表・薬価基準にもとづく目安です。実際の金額は、処方する薬の種類・量・日数、検査の有無、加算の算定によって変わります。おくすり代には別途、薬局での調剤に関する費用がかかります。抗ウイルス薬7日分は、成人の標準的な用法(バラシクロビル1回1,000mgを1日3回/ファムシクロビル1回500mgを1日3回/アシクロビル1回800mgを1日5回/アメナメビル400mgを1日1回)で計算しています。迅速検査は水痘ウイルス抗原定性(上皮細胞)に免疫学的検査判断料を加えた額で、判断料は月に1回だけかかります。同じ月に別の免疫学的検査を受けている場合は、判断料が重ならないぶん安くなります。初診で迅速検査を行い処方箋を出した場合の窓口負担は、おおよそ2,170円が目安です。
よくある質問
帯状疱疹は何日で治りますか。痛みのピークはいつですか。+
完治したかどうかは、どこで判断すればよいですか。+
カロナールは1回何錠まで飲めますか。効かないときはどうしますか。+
市販のかぜ薬や解熱剤を一緒に飲んでも大丈夫ですか。+
帯状疱疹で熱が出ることはありますか。+
ワルファリンなどの血液をさらさらにする薬を飲んでいます。痛み止めはどちらを使えばよいですか。+
薬を飲みはじめてから眠気が強いのですが、病気のせいですか。+
家族にうつりますか。お風呂はどうすればよいですか。+
犬や猫にうつりますか。+
2回目(二回目)の帯状疱疹は軽くすみますか。再発しますか。+
汎発性帯状疱疹とは何ですか。+
市販薬だけで治せますか。何科を受診すればよいですか。+
妊娠中・授乳中でも治療できますか。+
発疹が出ずに痛みだけということはありますか。+
帯状疱疹になったあと、いつワクチンを受ければよいですか。+
帯状疱疹の抗ウイルス薬は、発疹が出てから72時間以内に飲みはじめることが大切です。痛みの薬は、持病や飲んでいる薬に合わせて選びます。見分けにくいときは約10分でわかる迅速検査に対応しています。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。WEB・LINEから24時間ご予約いただけます。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療の内容は、症状・年齢・持病・併用薬・腎臓と肝臓の働き・妊娠や授乳の有無をふまえて診察のうえで決めます。効果や経過には個人差があります。薬の用法・用量および相互作用は各医薬品の添付文書に従います。費用は2026年8月時点の診療報酬点数表・薬価基準にもとづく目安です。掲載している写真はイメージです。記載は2026年8月時点の情報です。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
