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尋常性乾癬

PSORIASIS

尋常性乾癬うつりません。原因と治療のすべて

 

赤い盛り上がりの上に、銀白色のフケのようなものがついてポロポロとはがれる。乾癬(かんせん)はこうした皮膚の病気です。名前が「感染」と同じ音のため誤解されやすいのですが、人にうつることはなく、カビや細菌によるものでもありません。原因、部位ごとの見えかた、そして治療の進めかたを整理しました。

豊洲駅 徒歩3分人にはうつりません頭皮・爪・陰部も診ます
ABOUT

乾癬とはどんな病気か

人にはうつりません。カビでも細菌でもありません

乾癬(かんせん)は、皮膚の免疫のはたらきが過剰になり、皮膚の細胞が通常より速く入れ替わることで起こる、慢性の炎症性皮膚疾患です。読みかたが「感染」と同じであるため、うつる病気だと受け取られることがありますが、まったく別のものです。

握手、抱擁、入浴、タオルや衣類の共有、プール、性交渉のいずれでも、人から人へうつることはありません。ご家族と同じ湯船に入っていただいて構いませんし、お子さんを抱いていただいても問題ありません。学校や職場で制限を受ける理由もありません。

カビ(真菌)や細菌が原因の病気でもありません。「乾癬の菌」というものは存在しないため、抗菌薬や抗真菌薬では治りません。顕微鏡の検査をするのは、乾癬を確かめるためではなく、見た目の似ている水虫(白癬)などを否定するためです。

人にはうつりません(接触・入浴・タオル・プール・性交渉いずれも)
カビ・細菌・ウイルスによる病気ではありません
生活習慣や不潔が原因で起こる病気ではありません
遺伝する体質はありますが、親から必ず受け継ぐものではありません

尋常性乾癬とは — 皮膚で何が起きているのか

健康な皮膚では、表皮の細胞が生まれてはがれ落ちるまでにおよそ45日かかります。乾癬では免疫の信号(IL-17やIL-23といった炎症性サイトカイン)が過剰にはたらき、この入れ替わりが約4〜7日にまで速まります。未熟なまま押し上げられた細胞が積み重なるため、皮膚が盛り上がり、表面が銀白色のフケのようになってはがれ落ちます。

皮膚だけの病気ではなく、全身の慢性的な炎症を伴う病気であることが分かってきました。関節に炎症が出ることもあり、心臓や血管の病気、糖尿病、脂質異常症などを合併しやすいことも知られています。皮膚の見た目だけでなく、体全体を診る必要があるのはこのためです。

尋常性乾癬の原因 — 乾癬の原因はダニやカビではありません

発症の原因は完全には解明されていませんが、免疫に異常を来しやすい遺伝的な体質に、環境の要因が重なって発症すると考えられています。特定の食べ物や、部屋の汚れ、ダニによって起こる病気ではありません。

ダニやハウスダストが原因になるのはアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎で、乾癬とはしくみが異なります。掃除や寝具の対策で乾癬が良くなるわけではないため、そこに労力を集中させる必要はありません。

一方で、悪化のきっかけになる要因ははっきりしています。次のものが重なると症状が強くなることがあります。

要因 内容
皮膚への刺激 こする、かく、ベルトや下着で締めつける、けが。刺激を受けた場所に新しい皮疹が出ることがあり、ケブネル現象と呼びます
感染症 扁桃炎などの細菌感染。とくに滴状乾癬のきっかけになります
薬剤 一部の降圧薬(β遮断薬)、リチウム、抗マラリア薬など。心当たりがあればお薬手帳をお持ちください
生活習慣 喫煙、多量の飲酒
代謝の異常 肥満、糖尿病、脂質異常症。体重の減量で症状が軽くなることが報告されています
ストレス・乾燥 精神的な負荷、冬季の乾燥

遺伝的な体質はありますが、親が乾癬でもお子さんが必ず発症するわけではありません。日本人の乾癬の患者さんは人口の0.1%前後とされ、欧米より少ないと報告されています。

乾癬の種類

乾癬にはいくつかの型があります。もっとも多いのが尋常性乾癬で、全体のおよそ9割を占めます。

特徴
尋常性乾癬 乾癬全体の約9割。髪の生え際、ひじ、ひざ、腰、おしりなど刺激を受けやすい部位に出やすく、爪の変化を伴うことがあります
乾癬性関節炎 手足の指、首から背骨、アキレス腱、足の裏などに痛み・腫れ・こわばりが出ます。乾癬の患者さんの約15%に合併します。関節の破壊を防ぐため早期の発見が重要です
滴状乾癬 直径0.5〜2cmほどの小さな発疹が全身に散らばります。小児や若い方に多く、扁桃炎などの感染が誘因になることがあります
乾癬性紅皮症 全身の90%以上が赤くなり、細かい鱗屑がはがれ落ちます。全身管理が必要な状態です
膿疱性乾癬 発熱とともに、膿をもった小さな水ぶくれ(膿疱)が多数現れます。指定難病にあたり、入院が必要になることがあります

乾癬性紅皮症と膿疱性乾癬は、急いで専門的な治療が必要な状態です。急に全身が赤くなった、発熱を伴って膿疱が広がったというときは、様子を見ずにご相談ください。

SYMPTOMS

症状と、部位ごとの見えかた

3つの特徴 — 紅斑・肥厚・鱗屑

尋常性乾癬の皮疹には3つの特徴があります。この3つがそろっていると乾癬らしいと判断できます。

紅斑 — 皮膚が赤くなります。境目がはっきりしているのが特徴です
肥厚・浸潤 — 皮膚が硬く盛り上がります。触れると厚みを感じます
鱗屑 — 表面が銀白色のフケのようなものに覆われ、ポロポロとはがれ落ちます
かゆみは半数ほどの方にあります。かゆくないから乾癬ではない、とは言えません
はがれ落ちる鱗屑が多く、服や寝具、床に落ちることを負担に感じる方が少なくありません。これは治療で減らせる症状です。

部位で見えかたが変わります — 頭皮・爪・陰部・肛門部の尋常性乾癬

乾癬は、部位によって典型的な見た目から外れることがあります。そのため別の病気と間違われやすく、診断がつくまで時間がかかることがあります。

部位 見えかたと注意点
頭皮 髪の生え際を越えて広がる、厚みのある赤い盛り上がりとフケ。フケ症や脂漏性皮膚炎と間違われやすい部位です。生え際を越えるかどうかが見分けの手がかりになります
爪の表面に点状のくぼみ(点状陥凹)、先端が浮き上がって白く見える、爪の下が黄色くなる、変形する。爪水虫と間違われやすく、顕微鏡の検査で区別します
比較的出にくい部位ですが、生え際、眉、鼻のわきに出ることがあります。脂漏性皮膚炎との区別が必要です
ひじ・ひざ・腰・おしり もっとも多い部位です。こすれや圧迫の刺激が加わりやすく、左右対称に出やすいのが特徴です
陰部・性器 男性では亀頭や陰茎、女性では外陰部に出ることがあります。この部位は皮膚が薄く湿っているため、鱗屑がはっきりせず、境目のはっきりした赤みだけに見えます
肛門のまわり・おしりの割れ目 赤みと亀裂が出ることがあります。痔やカンジダと間違われやすく、市販の薬で長引いている方がおられます
わきの下・乳房の下・そけい部 しわの内側に出るタイプを間擦部乾癬と呼びます。鱗屑が目立たず、つやのある赤みになります

陰部や肛門まわりの症状は、恥ずかしさから受診が遅れがちな部位です。当院では男女いずれの方もご相談いただけます。この部位は皮膚が薄いため、体に使う強さの薬をそのまま使うと副作用が出やすく、部位に合わせた薬の選択が必要です。

間違われやすい病気との見分け

乾癬は、見た目の似た別の病気と間違われることがあります。次の病気との区別が問題になります。

病気 乾癬との違い
脂漏性皮膚炎 頭皮・生え際・鼻のわきに出る点は似ていますが、鱗屑が黄色っぽく脂っぽい、境目がぼやける、生え際を越えにくい、という違いがあります
白癬(水虫・たむし) 中心が治って輪のように広がる、片側だけに出ることが多い。顕微鏡の検査で菌を確認すれば区別できます
貨幣状湿疹 丸い湿疹ですが、じくじくしやすく、鱗屑が銀白色になりにくい点が異なります
扁平苔癬 紫色を帯びた平らな盛り上がり。口の中に出ることが多いのが特徴です
類乾癬 名前は似ていますが別の病気です。鱗屑が薄く、経過も治療も異なります。診断には生検が必要になることがあります
皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症) ごく初期は乾癬に似ることがあります。治療に反応しない皮疹が続くときは生検で確かめます

これらの区別は見た目だけでは難しいことがあります。市販薬を1〜2週間使っても良くならないときは、自己判断で続けずご相談ください。

どのように診断しますか

多くは診察での皮膚の所見から診断できます。必要に応じて次の検査を組み合わせます。

診察 — 皮疹の形、境目、鱗屑の色、出ている部位の分布を確認します。爪と頭皮も必ず診ます
顕微鏡の検査(KOH法) — 水虫やカンジダを否定するために行います。乾癬そのものを見つける検査ではありません
血液検査 — 高血圧・糖尿病・脂質異常症などの合併を確認します。全身療法を検討するときは肝腎機能や感染症の確認も行います
皮膚生検 — 診断が確定しないとき、類乾癬やリンパ腫との区別が必要なときに、麻酔をして皮膚の一部を採り顕微鏡で調べます
重症度はPASIやBSA(体表面積に占める割合)で評価します。手のひら1枚分がおよそ体表面積の1%にあたり、10枚分を超えると中等症以上の目安になります。ただし面積が小さくても、顔・頭皮・爪・陰部・手のひらや足の裏に出ている場合や、関節症状がある場合は、より積極的な治療を検討します。
TREATMENT

治療の進めかた

当院で行うこと・ご紹介すること

はじめにお伝えしておきます。当院では乾癬の診断と、外用薬を中心とした初期の治療を行っています。光線療法(紫外線療法)は行っておりません。生物学的製剤による治療も当院では行っておらず、必要な段階と判断した場合には実施している専門の医療機関へご紹介します。

外用薬で十分に良くならない方、関節の症状がある方、膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症が疑われる方は、早めにご紹介します。ご紹介したあとも、日常の皮膚の管理や合併症の確認は当院で続けることができます。

当院で行うこと — 診断、外用薬による治療(ステロイド・活性型ビタミンD3製剤・配合剤・ブイタマークリーム)、内服薬(オテズラ錠)、合併症(血圧・血糖・脂質)の確認、生活の指導
ご紹介すること — 光線療法、生物学的製剤、関節症状に対する専門的な治療、入院が必要な状態

治療の全体像

乾癬の治療は、外用療法・光線療法・内服療法・生物学的製剤の4つに分かれます。症状の広がり、部位、関節症状の有無、生活への影響をふまえて選びます。軽い段階では外用薬から始め、足りなければ次の段階へ進みます。

乾癬は今のところ完全に治しきる方法がない病気です。ただし、症状をほとんど分からない状態まで抑えて維持することは十分に可能になりました。目標は「治す」ではなく「出ていない状態を保つ」ことに置きます。

外用薬 — 治療の土台

外用薬は乾癬治療の基本です。炎症を抑えるステロイド外用薬と、皮膚の細胞の増えすぎを抑える活性型ビタミンD3製剤の2つが柱になります。

ステロイド外用薬は赤みに早く効きます。活性型ビタミンD3製剤は効きはじめがゆるやかですが、鱗屑や盛り上がりの改善に向いており、良くなった状態を保つのに適しています。

この2つを配合した薬(ドボベット、マーデュオックス)もあります。1日1回で済み、単独で使うより高い効果が得られます。ステロイドがビタミンD3の刺激感を抑え、ビタミンD3がステロイドによる皮膚萎縮を抑えるという、たがいの弱点を補う組み合わせです。

特徴
ステロイド外用薬 赤みに早く効きます。部位に合わせて強さを選びます。顔・陰部・間擦部には弱いランクを使います
活性型ビタミンD3製剤(オキサロール、ドボネックス、ボンアルファ) 鱗屑と盛り上がりに効きます。効果はゆるやかですが、維持に向きます。塗りはじめに刺激感が出ることがあります
ステロイド・ビタミンD3配合剤(ドボベット、マーデュオックス) 1日1回。単独より高い効果。軟膏・ゲル・フォームがあり、頭皮にはゲルやフォームが使いやすい剤形です
ブイタマークリーム(タピナロフ) 当院で処方しています。ステロイドでもビタミンD3でもない新しい薬で、AhRという受容体にはたらきかけます。1日1回、クリームで塗り広げやすく、毛包炎が出ることがあります

顔・陰部・わきの下など皮膚の薄い部位には、体と同じ強さのステロイドを使いません。ビタミンD3製剤やブイタマークリームを選ぶ、弱いランクを短期間にするなど、部位に合わせて組み立てます。余った薬をほかの部位に使い回さないでください。

活性型ビタミンD3製剤と配合剤の比較

活性型ビタミンD3製剤には3つの成分(カルシポトリオール、マキサカルシトール、タカルシトール)があり、強さと刺激感が異なります。顔や間擦部のような皮膚の薄い部位には、刺激の少ないタカルシトールを選ぶことが多くなります。

配合剤は、ステロイドと活性型ビタミンD3をひとつにまとめた薬です。1日1回で済み、それぞれを単独で使うより高い効果が得られます。ドボベットには軟膏・ゲル・フォームの3つの剤形があり、頭皮にはゲルやフォームが塗りやすい選択肢になります。

薬(成分) 分類 特徴 主な剤形
ドボベット
カルシポトリオール+ベタメタゾン
配合剤 1日1回。ストロングクラスのステロイドとの配合で効果が高く、初期治療の中心になります 軟膏・ゲル・フォーム
マーデュオックス
マキサカルシトール+ベタメタゾン
配合剤 1日1回。ドボベットと同じ配合の考えかたで、含まれるビタミンD3の成分が異なります 軟膏
ドボネックス(カルシポトリオール) ビタミンD3単剤 ビタミンD3のなかでは作用が強く、鱗屑と盛り上がりによく効きます。刺激感が出ることがあります 軟膏
オキサロール
マキサカルシトール
ビタミンD3単剤 刺激感が比較的少なく、広い範囲に使いやすい薬です 軟膏・ローション
ボンアルファ/ハイ
タカルシトール
ビタミンD3単剤 刺激がもっとも少なく、顔や間擦部にも使いやすい薬です。ハイは濃度が10倍で体幹・四肢向けです 軟膏・クリーム・ローション

活性型ビタミンD3製剤は、使いすぎると血液中のカルシウムが上がることがあるため、1週間あたりの使用量に上限があります。広い範囲に長期間使う場合は血液検査で確認します。効果が出るまでに数週間かかるため、2〜3日で効かないと判断せず続けてください。

シークエンシャル療法 — 減らしながら保つ進めかた

ステロイドとビタミンD3製剤を組み合わせ、段階的にステロイドを減らしていく進めかたをシークエンシャル療法と呼びます。ステロイドの長期使用による副作用を抑えながら、良い状態を保つことを目指します。

1. はじめは、ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬を朝と夜に塗り分けます
2. 皮疹が落ち着いてきたら、ステロイドは週末だけにして、平日はビタミンD3製剤のみにします
3. 最終的にビタミンD3製剤の単独へ移行します
保湿剤は、症状のあるなしにかかわらず続けてください

光線療法 — 当院では行っていません

光線療法(紫外線療法)は当院では実施しておりません。適応があると判断した場合は、行っている医療機関へご紹介します。以下は一般的な説明です。

皮疹に紫外線を照射し、免疫のはたらきを抑えることで症状を改善する治療です。紫外線のうち、細胞の増殖と炎症を抑える作用をもつUVA(長波長紫外線)とUVB(中波長紫外線)が使われます。UVAを用いるPUVA療法、UVBを用いるUVB療法・ナローバンドUVB療法・エキシマライトなどがあります。

一般に、入院では週4〜5回、外来では週2〜3回(1回5〜7分)、20回を1クールとして行われます。通院の回数が多くなるため、生活との兼ね合いで選択します。

内服薬

外用薬で十分な効果が得られない方、関節の症状がある方には、飲み薬を検討します。乾癬に使われる内服薬は6種類あり、しくみも、対象となる乾癬の型も、必要な検査も異なります。

当院で処方しているのはオテズラ錠です。オテズラは定期的な血液検査を必要としない点が特徴で、外来で始めやすい薬です。ほかの5剤は、専門の医療機関で用いられる薬として挙げています。

薬(一般名) 分類 適応となる乾癬 用法・用量 導入前後の検査 主な副作用
オテズラ錠
アプレミラスト
PDE4阻害薬 局所療法で効果不十分な尋常性乾癬/乾癬性関節炎 1回30mgを1日2回。飲みはじめの6日間で10mgから30mgへ少しずつ増やします 不要 下痢、吐き気、頭痛
ソーティクツ錠
デュークラバシチニブ
TYK2阻害薬 尋常性乾癬/膿疱性乾癬/乾癬性紅皮症 1回6mgを1日1回 レントゲンと血液検査が必要 感染症、単純ヘルペス・帯状疱疹、口内炎、にきび、横紋筋融解症、悪性腫瘍
リンヴォック錠
ウパダシチニブ
JAK阻害薬 乾癬性関節炎 15mgを1日1回。状態に応じて7.5mgへ減量できます レントゲンと血液検査が必要 帯状疱疹や肺炎などの感染症、肝機能障害、間質性肺炎、静脈血栓塞栓症
チガソンカプセル
エトレチナート
ビタミンA誘導体 尋常性乾癬/膿疱性乾癬/乾癬性紅皮症/乾癬性関節炎 1日40〜50mgを2〜3回に分けて2〜4週間。1日最高75mgまで 血液検査のみ 皮膚や口・鼻粘膜の乾燥、脱毛、結膜炎、爪周囲炎、頭痛、肝障害、中性脂肪の上昇
リウマトレックス
メトトレキサート
免疫抑制薬 尋常性乾癬/乾癬性関節炎/膿疱性乾癬/乾癬性紅皮症 1週間あたり6mgを1回または2〜3回に分けて服用。飲まない日があります 血液検査が必要 感染症、肝障害、骨髄抑制、間質性肺炎
ネオーラル
シクロスポリン
免疫抑制薬 尋常性乾癬/乾癬性関節炎/膿疱性乾癬/乾癬性紅皮症 1日5mg/kgを2回に分けて服用。効果がみられたら1ヶ月ごとに1mg/kgずつ減らし、維持量は1日3mg/kgが標準です 血液検査が必要 腎機能障害、血圧上昇、感染症、多毛

⚠️ チガソン(エトレチナート)は催奇形性があるため、女性は服用中止後2年間、男性は6ヶ月間、避妊が必要です。妊娠を希望される方、妊娠中・授乳中の方は使えない薬がほかにもあります。必ず受診の際にお伝えください。また、リウマトレックスは「毎日飲む薬ではない」点に注意が必要で、飲み方を誤ると重い副作用につながります。

生物学的製剤(注射薬)

外用薬や内服薬で十分な効果が得られない方には、生物学的製剤による治療があります。乾癬の炎症の中心にあるサイトカイン(TNFα、IL-17、IL-23など)を狙って抑える注射薬で、皮膚の症状も関節の症状も強く改善します。

当院では生物学的製剤による乾癬の治療は行っておりません。適応があると判断した場合は、生物学的製剤使用承認施設へご紹介します。導入には結核などの感染症の確認が必要で、定期的な通院と検査を続けられる体制が求められます。

参考として、乾癬に使われる生物学的製剤を挙げます。狙う標的によって4つのグループに分かれます。

分類(狙う標的) 薬(一般名) 投与
TNFα阻害薬 ヒュミラ(アダリムマブ) 皮下注射。初回80mg、以降2週ごと40mg
TNFα阻害薬 レミケード(インフリキシマブ) 点滴。0・2・6週、以降8週ごと
TNFα阻害薬 シムジア(セルトリズマブ ペゴル) 皮下注射。2週ごとまたは4週ごと
IL-17阻害薬 コセンティクス(セクキヌマブ) 皮下注射。導入後4週ごと
IL-17阻害薬 トルツ(イキセキズマブ) 皮下注射。導入後4週ごと
IL-17受容体阻害薬 ルミセフ(ブロダルマブ) 皮下注射。0・1・2週、以降2週ごと
IL-17A/F阻害薬 ビンゼレックス(ビメキズマブ) 皮下注射。導入後4〜8週ごと
IL-12/23阻害薬 ステラーラ(ウステキヌマブ) 皮下注射。0・4週、以降12週ごと
IL-23阻害薬 トレムフィア(グセルクマブ) 皮下注射。0・4週、以降8週ごと
IL-23阻害薬 スキリージ(リサンキズマブ) 皮下注射。0・4週、以降12週ごと
IL-23阻害薬 イルミア(チルドラキズマブ) 皮下注射。0・4週、以降12週ごと

いずれも当院では扱っておりません。導入前に結核・B型肝炎などの感染症の確認が必要で、投与間隔は薬によって2週から12週まで幅があります。生物学的製剤は薬剤費が高額なため、高額療養費制度の対象になることがほとんどです。どの薬を選ぶかは、乾癬の型、関節症状の有無、合併症、通院の間隔をふまえて紹介先で決まります。

合併しやすい病気 — 皮膚だけの問題ではありません

乾癬は全身の慢性的な炎症を伴うため、皮膚以外の病気を合併しやすいことが知られています。皮膚の治療と並行して、これらの確認と管理を行います。

乾癬性関節炎(患者さんの約15%)
メタボリックシンドローム — 高血圧、糖尿病、脂質異常症、心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患
うつ・不安障害などのこころの不調
炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
当院は内科も併設しているため、血圧・血糖・脂質の管理を同じ場所で続けていただけます。体重の減量が乾癬の症状を軽くすることも報告されており、生活習慣の見直しは治療の一部です。

日常生活で気をつけること

生活の工夫だけで乾癬が治るわけではありませんが、悪化の要因を減らすことは治療の効果を高めます。

皮膚をこすらない、かかない、強く洗わない。刺激を受けた場所に新しい皮疹が出ることがあります(ケブネル現象)
保湿を続ける。乾燥は鱗屑とかゆみを強めます
禁煙、飲酒を控える
体重の管理。減量で症状が軽くなることが報告されています
扁桃炎をくり返す方は、その治療が乾癬の改善につながることがあります
入浴は熱すぎない湯で。ナイロンタオルでこすらず、手でやさしく洗います
COST

費用の目安

すべて健康保険3割負担の場合の目安です。乾癬の治療は保険診療で行います。

初診(診察)約870円(3割)再診(診察)約230円(3割)処方箋料約180円(3割)
ドボベット軟膏 15g 1本約680円(3割)

1日1回。ゲル・フォームもあり、頭皮にはこちらが使いやすい剤形です。薬剤費のみの目安です。

マーデュオックス軟膏 15g 1本約540円(3割)

1日1回。ドボベットと同じ配合剤で、含まれるステロイドの種類が異なります。

ブイタマークリーム1% 15g 1本約1,350円(3割)

1日1回。ステロイドでもビタミンD3でもない薬です。毛包炎が出ることがあります。

ドボネックス軟膏 15g 1本[内容] 活性型ビタミンD3製剤約320円(3割)オキサロール軟膏 15g 1本[内容] 活性型ビタミンD3製剤約180円(3割)
オテズラ錠30mg 1日2回・30日分約15,390円(3割)

飲みはじめは量を少しずつ増やす導入パックを使うため、初月の金額は異なります。

薬剤費の目安です。このほかに調剤薬局での調剤料などがかかります。金額は処方する薬剤・規格・本数によって変わります。生物学的製剤による治療は当院では行っておりません。2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安です。

FAQ

よくある質問

乾癬は人にうつりますか?
うつりません。握手、抱擁、同じ湯船に入る、タオルや衣類を共有する、プール、性交渉のいずれでも人から人へ伝わることはありません。カビや細菌による病気でもないため、「乾癬の菌」というものは存在しません。読みかたが「感染」と同じであるため誤解されやすいのですが、まったく別の病気です。ご家族やお子さんとの生活を制限する必要はありません。
乾癬の原因はダニですか?
違います。ダニやハウスダストが原因になるのはアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎で、乾癬とはしくみが異なります。乾癬は、免疫に異常を来しやすい遺伝的な体質に、皮膚への刺激・感染症・薬剤・喫煙・肥満といった環境の要因が重なって起こると考えられています。掃除や寝具の対策で乾癬が良くなるわけではありませんので、そこに労力を集中させる必要はありません。
カビや菌が原因ではないのですか。顕微鏡の検査をされましたが。
乾癬はカビでも細菌でもありません。顕微鏡の検査(KOH法)を行うのは、乾癬を見つけるためではなく、見た目のよく似た水虫(白癬)やカンジダを否定するためです。とくに爪や足、股のあたりの症状は水虫と区別がつきにくいため、この検査で確かめてから治療を決めます。
陰部(亀頭・外陰部)や肛門のまわりにも乾癬は出ますか?
出ます。男性では亀頭や陰茎、女性では外陰部、また肛門のまわりやおしりの割れ目に出ることがあります。この部位は皮膚が薄く湿っているため、乾癬に特徴的な銀白色の鱗屑がはっきりせず、境目のはっきりした赤みだけに見えることがよくあります。そのためカンジダ、湿疹、痔と間違われ、市販薬で長引いている方が少なくありません。皮膚が薄い部位のため、体に使う強さのステロイドをそのまま使うと副作用が出やすく、部位に合わせた薬を選ぶ必要があります。男性・女性いずれの方もご相談ください。
爪の変形は乾癬のせいですか。爪水虫と違いますか?
乾癬では爪に変化が出ることがよくあります。爪の表面に点状のくぼみができる、先端が浮き上がって白く見える、爪の下が黄色くなる、変形するといった形で現れます。爪水虫と見た目が似ているため、顕微鏡の検査で菌の有無を確かめて区別します。爪の乾癬は外用薬が届きにくく治りにくい部位で、爪だけに症状がある場合でも飲み薬を検討することがあります。
頭のフケが多いのは乾癬ですか、脂漏性皮膚炎ですか?
見分けの手がかりは、髪の生え際を越えて広がっているかどうかです。乾癬は生え際を越えて額側にも厚みのある赤い盛り上がりが出ることがあり、鱗屑は銀白色で乾いています。脂漏性皮膚炎は生え際を越えにくく、鱗屑は黄色っぽく脂っぽいのが特徴です。ただし両方が混じることもあり、見た目だけでは判断が難しい場合があります。
類乾癬は乾癬と同じ病気ですか?
別の病気です。名前は似ていますが、原因も経過も治療も異なります。類乾癬は鱗屑が薄く、乾癬のような厚い盛り上がりになりません。一部は皮膚のリンパ腫との区別が必要になるため、診断には皮膚生検を行うことがあります。
乾癬は治りますか?
現時点で完全に治しきる方法はありません。ただし、症状がほとんど分からない状態まで抑えて、それを保つことは十分に可能になりました。治療の目標は「治す」ではなく「出ていない状態を保つ」ことに置きます。良くなったからと自己判断でやめると、ぶり返しやすくなります。減らしかたも含めて診察で組み立てます。
当院で生物学的製剤による治療は受けられますか?
当院では行っておりません。生物学的製剤の使用には承認を受けた施設であることが必要で、当院は該当しません。外用薬や内服薬で十分な効果が得られない場合、関節の症状がある場合には、実施している専門の医療機関へご紹介します。ご紹介後も、日常の皮膚の管理や、血圧・血糖・脂質といった合併症の確認は当院で続けていただけます。
光線療法は受けられますか?
当院では実施しておりません。適応があると判断した場合は、行っている医療機関へご紹介します。
家族に乾癬の人がいます。遺伝しますか?
乾癬になりやすい体質は遺伝しますが、親が乾癬でもお子さんが必ず発症するわけではありません。体質に環境の要因が重なって発症すると考えられており、体質だけで決まるものではありません。
食事で気をつけることはありますか?
特定の食品を避ければ良くなるという確かな根拠はありません。ただし、肥満・糖尿病・脂質異常症は乾癬を悪化させる要因であることが分かっており、体重の減量で症状が軽くなることが報告されています。極端な制限より、体重と血糖・脂質の管理を続けるほうが確実です。飲酒と喫煙は控えてください。
豊洲イーウェルクリニック
長く付き合う病気だからこそ、近くで診ます

乾癬は慢性の病気で、良くなったり出たりをくり返します。だからこそ通いやすい場所で続けて診てもらえることが大切です。診断と外用薬による治療は当院で行い、光線療法や生物学的製剤が必要な段階では専門の医療機関へご紹介します。ご紹介後も、皮膚の管理と合併症の確認は当院で続けていただけます。「フケが多い」「ひじの赤みが治らない」「陰部の赤みが市販薬で治らない」といったご相談から構いません。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。

豊洲駅から徒歩3分/土日も診療しています
REFERENCES
参考文献
  1. 日本皮膚科学会「膿疱性乾癬(汎発型)診療ガイドライン」
  2. 医薬品医療機器総合機構(PMDA)医薬品情報検索

本ページは一般的な情報提供を目的としています。治療の選択は症状・部位・関節症状の有無・合併症・妊娠の希望をふまえて診察のうえで決めます。効果の出かたには個人差があります。薬価は2026年8月12日時点、その他の記載は2026年8月時点の情報です。

監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック

本ページの内容は、上記の医師が監修しています。

監修記事一覧

2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。

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