口唇炎
口唇炎について
急いでいる方へ — よくある4つの疑問にお答えします
唇の荒れが続くとき、とくに多くいただくご質問が次の4つです。先に結論をまとめます。
口唇炎とは — 唇の炎症・唇の湿疹をまとめた呼び名です
口唇炎は、唇そのものと、その周りの皮膚に炎症が起きた状態です。乾いてかさかさする、皮がむける、赤くなる、ひび割れる、かさぶたが付く、ときに腫れる。こうした変化が唇全体、あるいは上唇や下唇のどちらかに広がって出ます。
唇は、体の中でもとくに守りが弱い場所です。汗をかく穴も皮脂を出す穴もほとんどなく、角層が薄いため水分が逃げやすい。そのうえ食べる、話す、飲む、なめると一日じゅう動いていて、飲食物や歯磨き粉、化粧品が直接触れます。荒れやすく、そして治りにくい条件がそろっています。
症状が長く続くものを慢性口唇炎と呼ぶことがあります。口唇炎が治らない、半年たっても1年たっても変わらない、というご相談は少なくありません。重症化して食事がつらいという方もいらっしゃいます。長引くほど「体質だから仕方がない」と思われがちですが、原因が特定できると落ち着くことがあります。自然に治るのを待っている間に、なめる・むく・塗り重ねるという行動が加わって悪くなることもあります。
口唇とは唇のことです。「唇の炎症」「唇に湿疹」「唇の湿疹」「唇にかさぶた」「唇が赤くなる病気」「唇赤い病気」「唇真っ赤」「唇の皮膚炎」「唇のかぶれ」「唇アレルギー」「唇がかゆい」「口唇できもの」といった言い方で調べてこのページにたどり着かれる方が多くいらっしゃいますが、いずれも口唇炎として扱う範囲に入ります。口唇症、唇口炎、こう唇炎と書かれることもあります。
場所も人によって偏ります。上唇だけ、下唇だけが赤くなる、唇のふちだけが荒れる、唇の周りの皮膚まで赤い。かゆみをともなうこともあれば、痛みだけのこともあります。唇の表面が硬くごわつく角化という変化が出ることもあります。
「口脣炎」と旧字で書かれることもありますが、同じ病気です。
唇全体か、口の端だけか、水ぶくれか — まずここを分けます
唇の周りにできるものは口唇炎だけではありません。見た目が似ていても治療が変わるため、区別が必要です。唇の病気の一覧として、代表的なものを次にまとめます。目安になるのは、症状が出ている場所と形です。
唇全体が乾いて荒れて皮がむけるなら口唇炎、口の端だけが切れているなら口角炎、小さな水ぶくれが集まってできてピリピリする前ぶれがあったなら口唇ヘルペスのことが多くなります。口の中の粘膜だけに症状があるときは口内炎のことが多くなります。
| 見た目・症状 | 考えられるもの | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 唇全体が乾いて荒れる、皮がむける、赤くなる | 口唇炎 | なめるくせや化粧品によるかぶれが関わります。ウイルスではありません |
| 口の端(口角)だけが切れる、赤くただれる、痛い | 口角炎 | カンジダや細菌、こすれや乾燥、かぶれなどが関わります。水ぶくれは通常できません |
| 唇の縁や口のまわりに、小さな水ぶくれが集まってできる。前もってピリピリした | 口唇ヘルペス | 前ぶれがあり、同じ場所にくり返すのが特徴です |
| 口の中の粘膜に、白っぽい丸いくぼみができて痛い | 口内炎(アフタ性口内炎など) | 口の内側にでき、水ぶくれの形はとりません |
| 唇が急にぱんぱんに腫れ、かゆみやじんま疹をともなう | じんま疹・血管性浮腫 | 数時間から1日で引くことが多く、荒れや皮むけとは別のものです。息苦しさがあれば救急受診を |
自己判断がむずかしい場合は診察でご相談ください。口唇ヘルペスとの見分けがつきにくいときは、当院ではヘルペスウイルスの迅速検査を行うことができます。
口唇炎の原因と、治らない理由 — 3つの悪循環
口唇炎で最も多いご相談が「何をしても治らない」というものです。塗り薬が効かないというより、原因が止まっていないことがほとんどです。よくあるのは次の3つです。
どれも本人には「ケアをしている」つもりの行動である点が共通しています。だからこそ気づきにくく、長引きます。
口唇炎の6つのタイプ — 接触性口唇炎・剥脱性口唇炎など
口唇炎は原因によっていくつかのタイプに分けられます。治療の方向が変わるため、どれにあたるかを見極めることが出発点になります。ひとりの方に2つ以上が重なっていることもあります。
かぶれの原因になりやすいもの
アレルギー性接触口唇炎では、原因になりやすい成分と食べ物がある程度わかっています。当院でこれまでにご相談の多かったものを含めてまとめました。心当たりのあるものがあれば、受診のときに教えてください。
食べ物や歯磨き粉が原因のときは、唇だけでなく口の周りの皮膚まで症状が出ることがあります。
| 区分 | 原因になりやすいもの |
|---|---|
| 化粧品・日用品の成分 | オキシベンゾン(日焼け止め、ファンデーション)/ホルムアルデヒド(化粧品)/プロピレングリコール(化粧品、洗顔料)/ラウリル硫酸ナトリウム(歯みがき粉)/フッ素(歯みがき粉)/赤色202号(口紅)/ニッケル、クロム、コバルトなどの金属 |
| 口紅に含まれる成分 | ヒマシ油/コロフォニー/シェラック/アゾ染料/ゴマ油/防腐剤/オゾン化オリーブ油/プロポリス/コポリマー |
| 食べ物 | アボカド、キウイフルーツ、バナナ、パイナップル、マンゴー/栗、山芋 |
すべての方にこれらが当てはまるわけではありません。何が原因かを確かめるにはパッチテストが必要です。ここに挙げていない成分が原因のこともあります。
原因の調べ方と検査
診察でどこまでわかりますか
口唇炎の診断は、症状の出方と見た目、そして生活の状況をうかがうことが中心です。いつから続いているか、悪くなる時期や場面があるか、唇をなめるくせはあるか、リップクリームを1日に何回塗っているか、口紅や歯磨き粉を変えたことがあるか、といったことを確かめます。
すでに使った市販薬や、以前に処方された塗り薬の内容も大きな手がかりになります。使い残しがあれば、そのままお持ちください。塗り薬そのものにかぶれていることもあります。
お使いのリップクリーム、口紅、歯磨き粉のパッケージを写真に撮ってきていただけると、成分を一緒に確認できます。
パッチテストで原因を確かめる
何度もくり返す、原因が絞り込めないという場合には、パッチテストで確かめる方法があります。疑わしい成分の試薬を背中にはり、時間をおいて反応が出るかどうかを見る検査です。触れてから半日から数日たって症状が出るタイプのアレルギーを調べることができます。
当院ではパッチテストを行っています。かぶれの原因として頻度の高い成分をまとめたパネルで24箇所、金属だけを集めたシリーズで15種類を調べられます。両方を同時に行う場合は39箇所になります。何を調べるかは診察で決めます。
検査には、貼付の日を入れて計3回のご来院が必要です。詳しい進め方と費用はパッチテストのページにまとめています。
血液検査ではこのタイプのアレルギーは調べられません。アレルギー検査を受けたのに原因がわからなかったという方の中には、調べるべき検査がパッチテストだった、という方がいらっしゃいます。
見分けが必要なときの検査
唇の症状がウイルスや細菌によるものかどうかで、治療がまったく変わります。水ぶくれがある、片側だけに出ている、以前にも同じ場所にくり返しているという場合には、単純ヘルペスウイルスの抗原を調べる迅速検査を行うことができます。5分から10分ほどで結果がわかります。
じくじくして黄色いかさぶたが付いている場合には、細菌や真菌の培養を行い、どの菌がいるかを確かめることがあります。結果が出るまでには数日かかります。
症状が重い場合や、原因を絞り込めない状態が長く続く場合には、血液検査や皮膚の一部を採って調べる検査を検討することがあります。どこまで行うかは診察で相談して決めます。血液検査の結果は当日にはお出しできません。
受診をおすすめする症状
次のような場合は、様子を見ずに受診してください。口唇炎以外の病気が隠れていることがあります。
治療とセルフケア
口唇炎の治し方の順番 — まず原因を減らし、次に守り、それから炎症を抑える
口唇炎の治療は、塗り薬から始めるものではありません。原因が続いているかぎり、塗り薬でよくなってもまた戻るためです。次の順番で考えます。
塗り薬の選び方
唇に使う塗り薬は、原因と炎症の強さで選びます。以下はよく使う選択肢です。どれを使うかは診察で決めます。
やらないほうがよいこと
口唇炎を長引かせている行動として、診察でよくうかがうものを挙げます。心当たりがあれば、まずここから止めてみてください。
よくなったあとにくり返さないために
症状が落ち着いたら、止めていた口紅やリップクリームを一つずつ戻していきます。一度に全部戻すと、また荒れたときにどれが原因かわからなくなります。1〜2週間ごとに一つずつ、が目安です。
パッチテストで原因がはっきりしている場合は、その成分を含まない製品を選びます。成分表示の見方はご相談ください。
唇の荒れは、季節、花粉症の時期、マスクの使用、体調によっても変わります。悪くなりやすい時期がわかっている方は、その前からワセリンでの保護を始めておくと軽く済むことがあります。
費用の目安
すべて健康保険3割負担の場合の目安です。口唇炎の診療は保険診療で行います。
はじめて受診され、検査を行わずに塗り薬を処方した場合、窓口でのお支払いはおおむね1,050円です(初診料、処方箋料の合計を3割負担で計算)。おくすり代は調剤薬局でのお支払いとなり、上記のほかに調剤薬局の技術料などが別途かかります。パッチテストの費用はパッチテストのページをご覧ください。ステロイド以外の塗り薬は、アトピー性皮膚炎に対して用いる薬です。金額は2026年8月時点の診療報酬・薬価にもとづく目安で、実際には症状や処方する量によって変わります。
よくある質問
口唇炎の読み方を教えてください+
口唇炎は何科を受診すればよいですか+
口唇炎は人にうつりますか+
口唇炎はどれくらいで治りますか。何日で治りますか+
何年も治りません。体質だからあきらめるしかないですか+
リップクリームは使ってよいですか+
口紅は使えますか+
子どもの唇の周りがぐるりと赤くなっています+
唇の写真を見て自分で判断できますか+
口唇炎はどの病院にかかればよいですか。市販薬で様子を見てもよいですか+
ワセリンやリップクリームを塗ると、かえって悪化する気がします+
唇が腫れた状態が引きません+
口唇炎は、塗り薬より先に原因を止めることが近道になります。毎日使っているリップクリームや歯磨き粉が原因のこともあり、パッチテストで確かめることができます。何年も続いている方も、一度ご相談ください。江東区豊洲、有楽町線豊洲駅から徒歩3分。土日も診療しています。WEB・LINEから24時間ご予約いただけます。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療の内容は、症状・年齢・持病・併用薬・妊娠や授乳の有無をふまえて診察のうえで決めます。効果や経過には個人差があります。掲載している写真はイメージです。実際の症状とは異なる場合があります。記載は2026年8月時点の情報です。
