みずいぼ(伝染性軟属腫)
みずいぼについて
この記事の要点
みずいぼ(伝染性軟属腫)とは — 中心臍窩と、膝裏にできやすい理由
伝染性軟属腫ウイルスによる、子どものありふれた皮膚の感染症です。5〜6歳がピークで、保育園・幼稚園でよく広がります。
見た目に特徴があります。1〜5mmほどの、つやのあるドーム状の盛り上がりで、色は白〜うすいピンク。中央がへこんでいるのが決め手で、これを中心臍窩(さいか)といいます。かゆみや痛みはほとんどありません。
できやすい場所は、わき、ひじの内側、ひざの裏、体幹、太ももの内側など、皮膚が薄くて擦れるところです。ひざ裏に多いのは、アトピー性皮膚炎の子に多いからでもあります。
中身はウイルスを含んだ白い粥状のかたまりです。つぶれると周囲にうつり、掻いた指で広げてしまうことがいちばん多い広がり方です。
水いぼ(伝染性軟属腫)でプールに入れますか — 4学会統一見解と学校感染症の扱い
入れます。これは個々の医師の意見ではなく、4つの学会が共同で出した見解があります。
日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会・日本小児科医会・日本小児科学会の4学会が、次のように示しています。
それでも園やスイミングスクールから「治してから来てください」と言われることがあります。これは施設ごとの方針であって、医学的な根拠にもとづくものではありません。ご希望があれば、この見解にもとづいた文書をお渡しできます。まずは施設にご相談ください。
水いぼ(伝染性軟属腫)の自然消失・自然消退までの期間
治ります。免疫ができると自然に消えていきます。健康なお子さんなら、6か月〜3年が目安です。長い方では5年ほどかかることもあります。
ただし、いつ治るかは予測できません。ここが判断を難しくします。「あと3か月で治ります」と申し上げられればよいのですが、個人差が大きく、お約束できないのです。
ひとつひとつの水いぼは、1〜2週間で自然に取れます。それなのに全体が長く続くのは、取れる前に周囲へうつって、次々に新しいものができるためです。数が増えていくのはこのためで、治療が効いていないわけではありません。
「一度かかれば二度とならない」わけでもありません。終生免疫はつかないため、また感染することがあります。
モイゼルト軟膏・コレクチム軟膏で水いぼが増えます
これは知っておいていただきたいことです。アトピー性皮膚炎の治療中に水いぼが出て、いつもの塗り薬を塗っていたら増えてしまった——よくあるご相談です。
モイゼルト軟膏(ジファミラスト)、コレクチム軟膏(デルゴシチニブ)、ステロイド外用薬は、いずれも皮膚の免疫のはたらきを抑える薬です。水いぼは免疫がついてはじめて治る病気なので、免疫を抑えると、増えるほうに働きます。
だからといって、アトピーの治療をやめる必要はありません。むしろアトピーで皮膚のバリアが弱っていること自体が、水いぼが広がる大きな原因です。湿疹を放っておくと、かゆくて掻いて、掻いた指でさらに広げます。
大切なのは、塗る場所を分けることです。水いぼのある場所には塗らず、湿疹のある場所には塗る。判断が難しければ、いま塗っているものをお持ちのうえでご相談ください。塗る範囲を一緒に整理します。
大人の水いぼ・性器伝染性軟属腫
水いぼは子どもの病気ですが、大人にもできます。大人にできた場合は、次の2つを考えます。
ひとつは、性行為による感染です。陰部・下腹部・太ももの内側にできた場合は、性感染症としての伝染性軟属腫を考えます。この場合はほかの性感染症の検査もおすすめしています。
もうひとつは、免疫が下がっている状態です。ステロイドや免疫を抑える薬を使っている、重い持病がある、といった場合に広い範囲に数多くできることがあります。大人で急に大量にできたときは、背景を調べます。
アトピー性皮膚炎の大人にもできやすく、これは子どもと同じ理由です。
こんなときはご相談ください
次のようなときは早めにご相談ください。
検査
水いぼはどのように診断しますか — 大きくなったとき
見た目で診断がつきます。特別な検査は要りません。中央のくぼみ(中心臍窩)が決め手です。
ただし10mmほどまで大きくなることがあり、そうなるとほかのできものと見分けが必要になります。若年性黄色肉芽腫、石灰化上皮腫、Spitz母斑などが候補です。ダーモスコピー(拡大鏡)で観察すると、水いぼに特徴的な白いかたまりが見え、区別に役立ちます。
迷ったときは無理に取らず、いったん経過を見ます。水いぼであれば数週間で変化しますし、そうでなければ形が変わらないためです。
費用の目安
3割負担の方の目安です。お子さんは自治体の医療費助成が使えます。
初診:約870円(再診 約230円)/摘除:個数により/ペンレステープ:処方
ワイキャンス外用液:薬価は1管(0.45mL)14,995.6円で、3割負担なら約4,500円、未就学のお子さん(2割)なら約3,000円が薬剤料の目安です。使う量は水いぼの数によります。
江東区の小児医療費助成をお持ちの方は、窓口でのお支払いがない場合があります。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。
治療
水いぼは取るべきか、待つべきか
どちらも正解です。「必ず取らなければならない」ものでも、「取ってはいけない」ものでもありません。お子さんの状態とご家庭の事情で決めていただいて構いません。
| 塗る(ワイキャンス) | 取る(摘除) | 待つ(自然に治るのを) | |
|---|---|---|---|
| 方法 | カンタリジンの外用液を診察室で水いぼに塗り、16〜24時間後にご家庭で石けんと水で洗い流します。3週間に1回くり返します | トラコーマ鑷子という先が輪になった専用のピンセットで、中身をつまみ取ります | 経過を見ます。ヨクイニン内服、シメチジン内服、サリチル酸絆創膏、液体窒素などを補助的に使うこともあります |
| よいところ | その場でつまむ痛みがありません。数が多くてもまとめて塗れます。押さえつけずに済みます | その場で数が減ります。広がるのを止められる。プールや園で気を使わずに済む | 痛い思いをさせずに済む。通院しなくてよい。お子さんが病院を怖がるようにならない |
| つらいところ | 塗ったところに水ぶくれとかさぶたができます(そのための薬です)。しみる感じや痛みも出ます。3週間おきに数回かかります。目のまわりと粘膜には使えません | 痛みがあります(ペンレステープで軽くできます)。1回では終わらず、数回の通院が必要です | 6か月〜3年かかります。そのあいだに掻き壊してとびひになったり、アトピーが悪化したり、数が増えたりします |
当院からの目安をお伝えします。数が少なく、掻いていないなら待って構いません。数が増えている、掻き壊している、アトピーがある、園やスイミングで困っている——このいずれかがあるなら、取ることをおすすめします。
伝染性軟属腫の摘除 — トラコーマ鑷子とペンレステープ
痛みへの心配は当然です。当院では局所麻酔のテープ(ペンレステープ)を使って、できるだけ痛くないように行います。
貼るときのお願い。汗をかくとテープがはがれてしまうため、涼しい部屋で静かに過ごさせてください。またまれに麻酔薬でアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることがあります。貼ったあとはお子さんの様子を見ていてください。顔色が悪い、ぐったりする、じんましんが出る——このようなときはすぐにはがしてご連絡ください。
塗る治療 — ワイキャンス(カンタリジン外用液)
水いぼに塗る薬が使えるようになりました。ワイキャンス外用液(有効成分カンタリジン)は、伝染性軟属腫に効能・効果をもつ国内で初めての外用薬です。2025年9月に承認され、2026年2月に発売されました。保険が使えます。
成人と2歳以上のお子さんが対象です。塗るのは診察室で、洗い流すのはご家庭です。
「痛くない治療」ではありません。この薬はわざと小さな水ぶくれを作って、水いぼを皮膚から持ち上げて取り除きます。ですから塗ったところにはほぼ必ず水ぶくれとかさぶたができ、赤みやしみる感じ、かゆみを伴います。臨床試験では水ぶくれが約96%、痛みが約80%の方にみられました。その場でつまむ痛みがないのが利点で、あとから皮膚に反応が出るのが引き換えです。強い痛みが出たときは早めに洗い流してください。
あわせて大切なこと — 保湿と湿疹の治療
水いぼだけを取っても、また増えることがあります。皮膚のバリアが弱いままだと、うつりやすいからです。
保湿をしっかりして、湿疹があればきちんと治す。これが再発を防ぐいちばんの近道です。アトピー性皮膚炎のあるお子さんではとくに大切です。
掻き壊さない工夫も有効です。爪を短く切る、水いぼのある場所を衣類やラッシュガードで覆う、かゆみが強いときはかゆみ止めを使う。掻かなければ、広がりはかなり抑えられます。
当院でのみずいぼの診療
豊洲イーウェルクリニックでは、次のように診療しています。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。診察の内容や検査の項目によって変わります。
記載は3割負担の場合の目安です。お子さんは自治体の医療費助成が使えます。江東区の小児医療費助成をお持ちの方は、窓口でのお支払いがない場合があります。
よくある質問
水いぼでプールに入ってもよいですか?+
園から「治してから来てください」と言われました。+
水いぼは自然に治りますか?どのくらいかかりますか?+
塗る薬(ワイキャンス)なら痛くないと聞きました。+
ワイキャンスは何回くらい塗りますか。1回で終わりますか?+
塗った日はお風呂に入れますか。保育園には行けますか?+
顔にできた水いぼにも塗れますか?+
2歳未満でも塗れますか?+
すべての水いぼを1回で取ってもらえますか?+
水いぼにモイゼルト軟膏やコレクチム軟膏を塗ってもいいですか?+
摘除は痛いですか?+
一度かかると二度とかかりませんか?+
大人にもできますか?+
兄弟にうつりますか?+
プールは入って構いません。取るか待つかは、ご家庭の事情もうかがって一緒に決めましょう。土日も診療しています。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。症状が強いときや長引くときは、記載にかかわらず受診してください。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
診療のご案内
内科・皮膚科・アレルギー科・泌尿器科を中心に、健康診断や予防接種、オンライン診療まで対応しています。
