COPD
COPDとは?
慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、これまで慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。タバコを長期に吸入することで喫煙者の15~20%に発症します。
COPDの症状は?
☑︎ 慢性的な咳
☑︎ 慢性的な痰、痰がらみ
☑︎ ゼイゼイ、ヒューヒュー
☑︎ 息切れ
息切れの自己評価にはmMRC息切れスケール(0–4)を用います。世界標準のCOPDガイドライン(GOLD)では、mMRC 2 以上の息切れがあると、重度の息切れに分類し、治療を必要とすることが明記されています。
|
Grade0 |
激しい運動をした時だけ息切れがある |
|---|---|
|
Grade1 |
平坦な道を早足で歩く、あるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れがある |
|
Grade2 |
息切れがあるので、同世代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息継ぎのために立ち止まることがある。 |
|
Grade3 |
平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息継ぎのために立ち止まる。 |
|
Grade4 |
息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある。 |
COPDはどのように診断しますか?
❶ 呼吸機能検査
息を吸ったり吐いたりして、肺の機能を調べます。
|
努力肺活量 |
胸いっぱい吸い込んだ空気を、できるだけ勢いよく吐いて測定します |
|---|---|
|
1秒量 |
最初の1秒間に吐くことができた空気の量 |
|
1秒率 |
努力肺活量に対する1秒量の割合で、70%以上を正常とします。 |
呼吸機能検査の結果から重症度(GOLD1〜4)を評価します。
呼吸機能検査の結果からCOPDの重症度の判定
|
GRADE |
GOLD1 |
GOLD2 |
GOLD3 |
GOLD4 |
|---|---|---|---|---|
|
FEV1 |
≧80 |
50-79 |
30-49 |
<30 |
❷ 胸部レントゲン・胸部CT
画像のみではCOPDと診断することはできませんが、他の呼吸器疾患ではないことを確認するため、合併する肺癌の早期発見のために検査を行います。
❸ 血液検査
末梢血好酸球数は吸入ステロイド(ICS)の効果予測に有用です。
❹ 心臓超音波検査
重度のCOPDではうっ血性心不全や肺高血圧となることもあるため心エコーで評価を行います。
❺ FeNO検査
気管支喘息との区別や合併を評価するために行います。
COPDはどのように治療しますか?
COPDを治療することによって症状を緩和し、COPDに伴う疾病リスクを減らすことが目標です。
|
|
|
|---|---|
|
症状の緩和 |
リスクを減らす |
|
QoL(生活の質)を改善する |
病気の進行を遅らせる |
|
運動できる能力の向上 |
急性増悪を減らす |
|
身体活動性の向上と維持 |
合併症を予防する |
禁煙
COPDの原因の90%以上が喫煙によるものといわれており、禁煙をすることでCOPDの進行がゆるやかになります。
一定の条件を満たす場合健康保険で禁煙外来で禁煙補助薬による治療が可能です。
薬物治療
吸入気管支拡張薬を中心に治療を行います。初期の薬物治療は呼吸機能検査や呼吸困難の程度から重症度を判断し、治療方法を選択します。
初期治療の吸入薬の選び方
息切れのために同世代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、平地歩行でも息切れのため休む必要があるなど呼吸困難の程度が強い場合は初期治療から配合剤を選択します。
かぜなどによってCOPDが悪化し、咳や痰の増加や呼吸困難の悪化がみられる『急性増悪』の頻度も考慮します。
フォロアップの際のステップアップ方法
❶ LAMA (長時間作用性抗コリン薬)
COPDの第一選択薬です。気管支を拡げることにより症状やQoL(生活の質)を改善します。
COPDの悪化を抑える効果がLABAよりも強いといわれています。閉塞隅角緑内障や前立腺肥大で排尿障害があるかたは使用出来ません。
❷ LABA (長時間作用性β2刺激薬)
❸ LABA/LAMA (長時間作用性抗コリン薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤)
2種類の気管支拡張薬が含まれてよりLAMAやLABAで効果が不十分な場合に使用します。
❹ 吸入ステロイド
(1) 入院を要するもしくは年2回以上の増悪がある、(2) 血中好酸球数≧300/μL、(3) 喘息を合併する場合で追加が推奨されています。
COPDで使用される吸入薬の一覧
ワクチン
❶ インフルエンザワクチン
インフルエンザワクチンによってCOPDの増悪の頻度と死亡リスクが低下します。
❷ 肺炎球菌ワクチン
❸ RSVワクチン
COPDの併存症・合併症は?
|
肺以外の合併症 |
|
|---|---|
|
栄養障害(筋肉や脂肪量の減少) |
気管支喘息 |
|
骨粗鬆症(脊椎圧迫骨折など) |
肺癌 |
|
不安・抑うつ |
気腫合併肺線維 |
|
糖尿病、メタボリックシンドローム |
|
|
睡眠時無呼吸症候群 |
|
|
貧血 |
|
よくある質問
COPDと気管支喘息の違いは?
COPDは主に喫煙が原因で持続的な気流制限、症状は徐々に進行。喘息はアレルギー性炎症が主体で変動性・発作性が特徴です。
|
|
COPD |
気管支喘息 |
|---|---|---|
|
発症時期 |
中高年以上 |
全年齢 |
|
原因 |
主に喫煙 |
アレルギー |
|
症状の特徴 |
徐々に進行 |
季節、時間帯などで変動する |
|
呼吸機能検査 |
1秒率が低下 |
上昇 |
|
FeNO値 |
正常 |
上昇 |
|
CT検査結果 |
異常あり |
異常なし |
|
アレルギー性鼻炎の合併 |
少ない |
2/3であり |
|
血液検査 |
好酸球は正常 |
好酸球増加 |
吸入薬は何を使いますか?
初期はLABAまたはLAMA、症状が多い/増悪があればLABA+LAMA、血液検査で好酸球が高い場合やや増悪が続く場合にICS追加を検討します。デバイスは続けやすさと手技で選びます。
ワクチンは必要ですか?
インフルエンザは毎季、肺炎球菌(PPSV23)は公的制度の対象年齢で、RSVは年齢・リスクで検討します。重症化や増悪の予防効果が示されています。

