高血圧症
高血圧症について
この記事の要点
日本人の高血圧 — 4,300万人のうち治療できているのは4人に1人
高血圧はわが国で患者数がもっとも多い病気で、現在約4300万人の患者さんがいると推計されています 。その中でも血圧が適切にコントロールされているのはわずか1200万人程度といわれています。
高血圧とは?
血圧とは、心臓が全身に血液を送り出す際に、血管にかかる圧力のことを指します。
血圧150は高いか、180は突然死につながるか — 数値の見かた
「この数字は大丈夫でしょうか」というご相談がいちばん多くいただくものです。目安を具体的にお示しします。
診察室で測った値では、140/90mmHg以上が高血圧です。家庭で測る場合は135/85mmHg以上が目安になります。家庭のほうが基準が低いのは、診察室では緊張で高く出やすいためです。
血圧150は、高血圧の中では軽い段階(I度)にあたります。すぐに命に関わる数字ではありませんが、放っておいてよい数字でもありません。まず家庭で1〜2週間測って、本当に続いているかを確かめます。
血圧180以上は重度の高血圧(III度)です。この段階では、正常な方と比べて脳や心臓の病気で亡くなるリスクが大きく上がることが知られています。症状がなくても、早めに受診してください。
200を超えている、あるいは180以上に加えて強い頭痛・吐き気・胸の痛み・ろれつが回らない・視野の異常があるときは、様子を見ずに救急の受診をご検討ください。
110/75のような値は正常です。低すぎて心配される方がいらっしゃいますが、ふらつきなどの症状がなければ問題ありません。
| 分類 | 診察室での血圧 | 家庭での血圧 |
|---|---|---|
| 正常 | 120/80未満 | 115/75未満 |
| 正常高値・高値 | 120〜139 / 80〜89 | 115〜134 / 75〜84 |
| I度高血圧 | 140〜159 / 90〜99 | 135〜144 / 85〜89 |
| II度高血圧 | 160〜179 / 100〜109 | 145〜159 / 90〜99 |
| III度高血圧(重度) | 180以上 / 110以上 | 160以上 / 100以上 |
上か下のどちらか一方が基準を超えていれば、その分類にあたります。重度の高血圧とは180/110mmHg以上を指します。血圧正常値は50代・60代といった年代で変わるものではありません。「50代の正常値」として別の数字があるわけではなく、基準は同じです。ただし治療でどこまで下げるかの目標は、年齢や持病によって変わります。
高血圧の症状 — 自覚症状がないまま進みます
高血圧には、ほとんど自覚症状がありません。しかし、症状がないからといって放置すると、さまざまな合併症を引き起こします。このように、気づかぬうちに身体を蝕んでいくことから、高血圧は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれています。
血圧が正常値(120/80mmHg)より高くなるほど、脳や心臓の血管疾患による死亡リスクが高まります。特に重度高血圧(180/110mmHg以上)では、正常な人と比べて死亡リスクが9倍以上に上昇します。適切な治療を行うことで、脳血管疾患の約60%を予防できるとされています。

正しい血圧の測定方法は?
起床時と就寝前(寝る前)の毎日決まった時間帯に測定することが推奨されています。
朝の血圧測定のタイミング
起床後1時間以内に測定しましょう
トイレを済ませ、朝食・服用前に測定しましょう。
夜の血圧測定のタイミング
就寝直前に測定しましょう
飲酒後や入浴の直後はさけて測定しましょう
血圧は日内変動があり、睡眠中は10〜20%低下し、起床とともに上昇します。日中は高く、夕方から夜にかけて再び低下します。
「夜間高血圧(Riser型)」は、脳卒中の発症リスクが高く、睡眠時無呼吸症候群、心不全、腎不全などとの関連が指摘されています。また、朝の血圧急上昇(モーニング・サージ)も脳卒中の重要な危険因子とされています。
白衣高血圧・仮面高血圧・夜間高血圧
白衣高血圧は、診察室では高いのに、家庭では正常な状態です。緊張によるもので、すぐに治療が必要とは限りません。ただし将来的に本当の高血圧へ移行しやすいことが知られており、家庭での測定を続けていただきます。
仮面高血圧は、その逆です。診察室では正常なのに、家庭や職場では高い。通常の高血圧よりリスクが高いとされており、家庭で測らないと見つかりません。
夜間高血圧は、本来なら睡眠中に10〜20%下がるはずの血圧が下がらない、あるいは上がってしまう状態です。脳卒中との関連が強く、睡眠時無呼吸症候群・心不全・腎不全が背景にあることがあります。「夜の血圧が高い」と気づかれた方は、いびきや日中の眠気もあわせてお伝えください。
早朝高血圧(モーニングサージ)は、起床とともに血圧が急に上がるもので、これも脳卒中の危険因子です。朝の測定が大切なのはこのためです。
花粉症・アレルギー性鼻炎と高血圧 — 薬で血圧が変動することがあります
「花粉症の季節になると血圧が高い」というご相談をよくいただきます。いくつか理由が考えられます。
いちばん多いのは、市販のかぜ薬・鼻炎薬に入っている血管収縮薬です。プソイドエフェドリンという成分で、鼻づまりをとる目的で総合感冒薬や鼻炎薬に配合されています。これは血管を縮める作用があるため、血圧を上げます。高血圧のある方は、この成分の入っていないものをお選びください。成分表示で確認できます。分からなければお持ちください。
点鼻薬にも注意が必要です。血管収縮薬入りの点鼻薬(ナファゾリンなど)を長く使い続けると、かえって鼻づまりが悪化し、血圧にも影響することがあります。
いっぽう、アレグラ・ビラノアなどの抗ヒスタミン薬そのものは、血圧を上げません。花粉症の治療としては、こちらを中心に使います。
薬以外の理由もあります。鼻づまりで夜よく眠れないと、睡眠中に下がるはずの血圧が下がりきらず、朝の血圧が高くなることがあります。くしゃみや咳き込みでも一時的に血圧は上がります。
当院はアレルギー科も標榜しています。血圧を上げない花粉症の薬を選ぶことができますので、両方お持ちの方はまとめてご相談ください。
高血圧症の原因は?
高血圧の約90%は「本態性高血圧」と呼ばれ、明確な原因がないタイプです。遺伝的体質に加え、塩分の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、喫煙などが関与します。
残り約10%は「二次性高血圧」で、特定の病気が原因で血圧が上昇するタイプです。以下は代表的な二次性高血圧の原因です。
以下のようなケースでは、血液検査や超音波、睡眠検査などを行い、二次性高血圧の可能性を精査します。
| 年齢 | 二次性高血圧の割合 | よくある原因 |
|---|---|---|
| 19-39歳 | 5% | 線維筋性異形成、腎実質性高血圧、甲状腺機能異常 |
| 40-64歳 | 8-12% | 原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能異常、Cushing症候群、褐色細胞腫 |
| 65歳以上 | 17% | 腎血管性高血圧、腎不全、甲状腺機能異常 |
こんなときは早めに受診してください
次のような症状があるときは、様子を見ずにご相談ください。当院の診療時間外の場合は、救急外来の受診もご検討ください。
検査
高血圧症の診断は?
高血圧とは、正常値よりも高い血圧が持続している状態を指します。血圧の測定には以下の3つの方法があります。
特に家庭血圧は、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを予測するうえで重要とされており、診察室血圧よりも優先して治療の目安とされます。
また、診察時は正常でも家庭や職場で血圧が高い「仮面高血圧」は、通常の高血圧以上にリスクが高いため注意が必要です。自宅での定期的な測定が、仮面高血圧の診断に有用です。
当院で行う検査
高血圧そのものには症状がありません。検査の目的は「臓器がすでに傷んでいないか」と「治療できる原因(二次性高血圧)が隠れていないか」を確かめることです。
| 検査 | 何を見るか | いつ行うか | 窓口負担の目安(3割) |
|---|---|---|---|
| 血液検査(腎機能・電解質・血糖・脂質) | 腎臓の傷み、二次性高血圧の手がかり、合併しやすい糖尿病・脂質異常症の有無 | 初診時と年1〜2回 | 約1,300円〜
(項目数により変わります)
|
| 尿検査 | たんぱく尿・血尿。腎臓が高血圧の影響を受けていないか | 初診時と年1〜2回 | 約80円 |
| 心電図 | 左心室の肥大、不整脈、過去の心筋梗塞の痕跡 | 初診時と年1回 | 約390円 |
| 胸部X線 | 心臓の大きさ、心不全の兆候 | 初診時 | 約630円 |
| 心エコー | 心電図で異常があったとき、心臓の壁の厚さと動きを直接見る | 必要に応じて | 連携医療機関へご紹介 |
横にスクロールできます。金額は3割負担の方の目安で、採血を伴う検査は調べる項目数によって変わります。
家庭血圧の記録がいちばん重要な「検査」です。朝と夜の値をお持ちください。
診察料の目安
上の検査費用に加えて、診察料がかかります。3割負担の方の目安です。
初診:約870円/再診:約230円/処方箋料:約180円
このほか、慢性の病気で計画的に管理する場合は特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料が加わることがあります。薬代は別に薬局でお支払いいただきます。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。実際の金額は行った検査と加算によって変わります。
治療
高血圧症の治療
高血圧と診断され治療が必要となった場合、血圧をどこまで下げるかの目標値を降圧目標といいます。降圧目標は、年齢や過去にかかった病気、現在かかっている病気によって異なります。
生活習慣の改善方法
高血圧の主な原因として、塩分の摂りすぎ、肥満、過度の飲酒など、生活習慣に関わる要素が多く含まれます。以下のような改善が有効です。
薬による高血圧治療
血圧を下げる薬は併存する病気などを考慮して適切に選択をしていきます。
薬による高血圧治療
| 種類 | 作用 |
|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | 血管収縮を抑え、血圧を下げます |
| アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB) | 血圧を上げるホルモンの作用を抑制し、血圧を下げます |
| アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬) | アンジオテンシンⅡの産生を抑え、血圧を下げます |
| ARNI | 心不全治療で用いられ、血圧を下げる作用もあります |
| 利尿薬 | 体内の余分な水分・塩分を排出し、血圧を下げます |
| アルドステロン拮抗薬 | アルドステロンの働きを抑え、体内のナトリウム保持を防ぎます |
| β(ベータ)遮断薬 | 心拍数を抑え、心臓の負担を軽減し血圧を下げます |
| α(アルファ)1遮断薬 | 交感神経の働きを抑え、血管の収縮を防いで血圧を下げます |
| 直接的レニン阻害薬 | 血圧上昇の原因となるアルドステロンをブロックすることでナトリウムを排出を促すことで血圧を下げます。 |
豊洲で血圧の相談・治療を受けるには
豊洲イーウェルクリニックでは、最新のガイドラインに基づき、科学的根拠のある治療を心がけています。高血圧治療では「生活習慣の改善」と「薬物療法」を並行して行うことが重要です。
とはいえ、生活背景や価値観は人それぞれ。「できるだけ薬に頼りたくない」「通院回数を減らしたい」「副作用が心配」など、患者さん一人ひとりのご希望を大切にしています。
当院では「Shared Decision Making(共同意思決定)」を重視し、複数の治療選択肢の中から、納得のいく方法を一緒に選んでいきます。必要なときに薬を使い、改善すれば減薬する。押し付けではなく「続けられる治療」を目指します。
ご不安な点があれば、どんな些細なことでも遠慮なくご相談ください。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。診察の内容や検査の項目によって変わります。
記載は3割負担の場合の目安です。このほかに処方箋料(約180円)とお薬代がかかります。診療内容により変わります。
よくある質問
血圧はどこまで下げればいいですか?+
血圧の変動が大きいのですが大丈夫ですか?+
拡張期血圧(下の血圧)が高いのが気になります。+
血圧150/90は高血圧ですか?+
高血圧が引き起こす病気は?+
高血圧の症状にはどんなものがありますか?+
原因として最も多いものは?+
高血圧は治りますか?+
予防するにはどうすればよいですか?+
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。症状が強いときや長引くときは、記載にかかわらず受診してください。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
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