経口糖尿病薬
糖尿病薬はどのように選びますか?
1型糖尿病などでインスリンが必要な方はインスリンを使用します。
肥満(体重を減らす必要性)の有無や、合併する病気(動脈硬化性心血管疾患、心不全、慢性腎臓病)、安全に使用できるか(副作用のリスク)などを個苦慮して総合的に選択を行います。
メトホルミン
メトホルミンは1961年に発売されたもっとも古くから使用されている血糖降下薬ですが、今でも広く使用されている第一選択薬(まず始めに使う薬)です。
メトホルミンは主に肝臓からのブドウ糖の産生を抑えることで血糖を低下させます。
《メトホルミンが適した病態》
BMI、年齢によらず多くの場合第一選択となります。
下記の注意を要する病態にないことを確認します。
❶ インスリン療法を要する場合
❷ 重度の腎機能障害患者(eGFR<30未満)
❸ 心不全、肝硬変、呼吸不全
❹ 脱水や過度のアルコール摂取
《メトホルミンの特徴》
❶ 心筋梗塞や脳卒中などのリスクを下げる効果が報告されています
❷ 量が増えるほど血糖値を下げる効果が高くなります
下痢などの症状が出現するため、少量から開始して徐々に増量をします
❸ 26週から徐々に体重の減少が認められます
❹安価な薬剤
《メトホルミンの副作用》
☑︎ 下痢などの消化器症状
☑︎ 乳酸アシドーシス
SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬は腎臓で排出されるブドウ糖の再吸収を抑えて、尿に糖を多く出すことで血糖値を低下させます。
《SGLT2阻害薬が適したかた》
❶ アテローム性動脈硬化性心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞)の既往のあるかた
❷ 心不全
❸ 慢性腎臓病
❹ 肥満
腎機能が悪化した場合には血糖低下が得られにくいことがあります。
筋肉量、筋力が低下している高齢者には注意が必要です。
《SGLT2阻害薬の種類》
SGLT2阻害薬は6種類が販売されています。
脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病の予防に対するエビデンスの有無や1型糖尿病への適応の有無などに違いがあります。
SGLT2阻害薬は種類や投与量によって、血糖低下や体重減少効果に差があることが分かっています。
《SGLT2阻害薬の副作用》
☑︎ 低血糖
☑︎ 脱水(のどが渇く、体のだるさ、めまい、尿量の減少)
- 投与Ⅰ日目で約500mlの尿量が増えたとの報告があり、投与開始後1週間程度は脱水に特に注意してください
☑︎ 尿路感染症・性器感染症
☑︎ 便秘
☑︎ ケトアシドーシス(吐き気、嘔吐、食欲減退、腹痛、倦怠感など)
☑︎ 皮膚の症状
GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬はGLP-1が膵臓に働きかけてインスリンを分泌されることで血糖値が低下します。胃の排出を抑えたり食欲を抑えたりする作用もあります。
《GLP-1受容体作動薬が適した病態》
❶ アテローム性動脈硬化性心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞)の既往のあるかた
❷ 肥満
《GLP-1受容体作動薬の種類》
GLP-1受容体作動薬
《GLP-1受容体作動薬の副作用》
☑︎ 吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状
☑︎ 頭痛、めまい
☑︎ 胆のう炎、膵炎など
☑︎ 低血糖
DPP-4阻害薬
食事をしたときに、腸管から分泌されインスリン分泌を刺激するインクレチンというホルモンの分解を抑制することにより、インスリン分泌を促進したり、血糖値を上昇させるグルカゴンの分泌を抑制して血糖値を低下させます。
《DPP-4阻害薬が適した病態》
❶ 高齢者
❷ 腎不全のあるかた
《DPP-4阻害薬の種類》
《DPP-4阻害薬の副作用》
☑︎ 便秘、胃部不快感、下痢など
☑︎ 発疹、かゆみなど
☑︎ まれに低血糖
☑︎ 極まれに類天疱瘡などの皮膚疾患が現れる可能性があります
イメグリミン(ツイミーグ)
イメグリミンはミトコンドリアへの作用を介して、血糖値に応じたインスリンの分泌を促す作用と、インスリン抵抗性を改善する作用により血糖値を改善する薬剤です。
《イメグリミンの副作用》
☑︎ 便秘、胃部不快感、下痢など
チアゾリン薬(ピオグリタゾン)
主に脂肪組織に働きかけて脂肪細胞から分泌されるインスリン抵抗性を引き起こす物質を減少させて、その名の通りインスリン抵抗性を改善することで血糖を下げる薬です。
《チアゾリン薬(ピオグリタゾン)の副作用》
☑︎ 浮腫
☑︎ 体重増加
☑︎ まれに心不全
膀胱癌の発症や骨折リスクの上昇と関連するとの文献もあります。
α-グルコシダーゼ阻害薬
α‐グルコシダーゼ阻害薬は、α‐グルコシダーゼの働きを阻害することで糖質の分解を抑えて、消化・吸収を遅らせることで食後の血糖値の上昇をゆるやかにします。
《α-グルコシダーゼ阻害薬が適した病態》
❶ 食後高血糖主体
❷ 肥満傾向のかた
《α-グルコシダーゼ阻害薬の種類》
《α-グルコシダーゼ阻害薬の副作用》
☑︎ 腹部膨満感
☑︎ 放屁
☑︎ 下痢
☑︎ まれに腸閉塞
グリニド薬
グリニド薬は膵臓に働いてインスリン分泌のスピードを早めて、食後の血糖の上昇を抑えます。作用持続時間は2-3時間程度で、食後のインスリン分泌量を増加させる作用はSU薬に比べて弱くなっています。
《グリニド薬が適した病態》
❶ 食後高血糖主体
❷ α-グルコシダーゼ阻害薬が副作用で使いづらい場合、十分に食後高血糖が改善しない場合
《グリニド薬の種類》
《グリニド薬の副作用》
☑︎ 低血糖
☑︎ 便秘や腹部膨満
☑︎ 肝機能障害
SU薬
SU薬は膵臓に働きかけてインスリン分泌を高めます。血糖値によらずに効果を発揮するため。インスリンは持続的にうながされます。.作用時間は長く12時間から24時間作用するため特に空腹時の血糖値をさげるのに効果的です。
《SU薬の種類》
《SU薬の副作用》
☑︎ 低血糖
インスリンの分泌が過剰になると、低血糖(血糖値が低すぎる状態)が起こることがあります。
☑︎ 体重増加
過食や運動不足でエネルギーが過剰な状態となるとSU薬のインスリンを分泌作用で脂肪細胞に糖が取り込まれ体重が増加します。
☑︎ 二次無効
食事療法・運動療法がきちんとできていても次第にSU薬の効果が弱まってくることがあります。長期にわたって高血糖状態が継続すると、β細胞の働きが弱ってしまい、インスリンを分泌する働きが低下すると考えられています。
