糖尿病の食事・運動療法
糖尿病の食事療法
糖尿病における食事療法は糖尿病治療の基本です。食事療法により摂取エネルギをコントロールすることにより、インスリンの分泌能力や効果を改善することにより血糖をコントロールします。
糖尿病には1型糖尿病、2型糖尿病、肝臓疾患に伴う糖尿病など要因は多岐に渡り、年齢や体格、体力もひとそれぞれです。ひとりひとりに合わせた食事療法を提案させていただきます。
食事療法の目的と効果は?
❶ 血糖コントロール
食事の質と量を調整することで血糖値の急激な変動を防ぐことができます。
❷ 適切な体重管理
適切な食事療法は、健康的な体重を維持または減少させるのに役立ちます。健康的な体重を維持することで、インスリン(膵臓から分泌されている血糖値を下げる唯一のホルモン)の効果が上がり、良好な血糖値コントロールに繋がります。
❸ 生活習慣病の予防
規則正しい食事、適切な食事量、間食の管理などを習慣化することで、血糖値の安定化が期待できます。
❹ 合併症の予防
心血管疾患、腎臓病、視力障害、免疫力低下、歯周病などの合併症に繋がります。
食事療法のポイント
糖尿病の食事療法には複数の選択肢があり、どれが最適かは個々の血糖値や体形のみならず、体質・生活スタイル・合併症リスク・好み(継続が可能か)によって異なります。
糖尿病の治療の目標は『健康な人と変わらない生活の質(QoL)と健康寿命』を実現することです。血糖や合併症を予防することではなく、無理なく継続ができる食事療法を選択することが重要です。
《糖尿病の食事療法の種類》
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食事パターン |
特徴 |
向いている人 |
注意点 |
|---|---|---|---|
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カロリー制限 |
摂取エネルギーを計算してバランスよく三大栄養素を摂る |
標準的な治療を希望する人 |
継続に努力が必要 |
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低糖質食(ローカーボ) |
糖質を制限して血糖上昇を抑える |
食後高血糖が目立つかた |
脂質の摂り過ぎに注意 |
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地中海食 |
魚・野菜・オリーブオイルが中心、低糖質・高脂質 |
心血管リスクが高い人 |
食材の手配に工夫が必要 |
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DASH食 |
高血圧予防にも有効。野菜・果物・低脂肪乳製品を中心とした減塩食 |
高血圧を合併している人 |
食塩量に注意 |
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プラントベース(植物中心食) |
野菜・豆類・全粒穀物中心で、動物性食品を控える |
高脂血症・肥満傾向の人 |
タンパク不足に注意 |
カロリー制限食
目標の体重を設定し適切なエネルギー量を守りましょう
肥満を伴う場合はエネルギー摂取量が過剰であることが多いです。摂取するカロリー量を制限することが減量と血糖値の安定に重要です。
《目標体重(kg)の目安》
総死亡が最も低いBMI は年齢によって異なり、一定の幅がある ことを考慮し、以下の式から計算します。
65歳未満 : [身長(m)] 2 2✕ 22
65歳以上:[身長(m)] 2 2✕ 22〜25
栄養バランスのよい食事を心がけ、適性体重を保ちましょう
太り過ぎも危険ですが、やせ過ぎにも注意が必要です。日本人ではBMIが20-25程度が最も死亡率が低いと考えられいます。炭水化物の摂取割合が多いと死亡率が高いことが分かっています。
炭水化物50-60%、たんぱく質15-20%、脂質25-30%程度のバランスを心がけましょう。
《炭水化物制限について》
必要に応じ穏やかな炭水化物制限・個人に合せた蛋白摂取
総摂取エネルギー量の目安=目標体重×エネルギー係数(kcal/ kg)
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軽い労作 |
大部分が座位の静的活動 |
25~30 (kcal/kg) |
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普通の労作 |
通勤・家事、軽い運動を含む |
30~35 (kcal/kg) |
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重い労作 |
力仕事、活発な運動習慣 |
35~ (kcal/kg) |
総エネルギー摂取量はあくまで目安であり個人差も大きいため、効果や継続が可能かなど適宜見直しを行いながら継続していくことが重要です。
緩やかな糖質制限
1日70gから130gの緩やかな糖質制限を行います。
糖質を極端に制限するのではなく、「質」と「量」に配慮することが大切です。
白米やパンなどの精製された糖質を減らし、野菜や玄米、全粒粉など食物繊維を多く含む食品を選ぶと、血糖値の急上昇を防げます。
糖尿病の運動療法
自身の糖尿病の状態、合併症、治療内容に加え、現在の運動機能を知ることが欠かせません。
運動療法の目的と効果は?
❶ 血糖値の改善
運動そのものにより血糖値の改善効果が期待できます。運動によってインスリンの効き目(インスリン抵抗性)が改善します。
❷ 体重減少と肥満の予防
食事療法と比べて減量効果は小さいものの、運動療法は内臓脂肪を減らすのに有効であることが分かっています。
❸ 高血圧や脂質異常症の改善
運動療法のポイント
❶ 有酸素運動とレジスタンス運動(筋トレ)を併用
有酸素運動、レジススタンス運動、併用のいずれも血糖の改善効果があることが告されています。「週に3〜5回,中等度~強度の有酸素運動を20---60分間行い,1週間に合計150分以上運動すること」が推奨されています。細切れで運動をしても同様の効果が期待できます。
《有酸素運動》
- 1回20〜30分、週3〜5日以上が目安
- 軽く息が上がる程度(ややきついと感じる強度)
- 継続が最も大切! 毎日の生活に無理なく取り入れましょう
《レジスタンス運動》
- 筋肉量を増やすことで血糖値を下げやすくなります
- 自宅でできる簡単な運動もOK!
❷ 生活の中での活動性を高めましょう
身体活動によるエネルギー消費には、水泳やジョギングなどの本格的な運動によるものの他に、家事や通勤など日常の活動の中で生じるものがあります。立っているだけで安静時より20%、歩けば300%もエネルギー消費量増加すると言われており、日常生活の動きで発生するエネルギー消費を高めることが重要です。
肥満者と非肥満者を比べると、肥満者は約150分も座っている時間が長く、これは350kcalに相当するします。日常生活の中で座って過ごす時間を減らし、立ってまたは歩いて過ごす時間を増やせるかということが1日のエネルギー消費量を上げるポイントです。
❸ 運動をする前に
運動をする前にメディカルチェックを行うことが重要です。
非常に血糖値が高い場合(250mg/dl以上》、増殖性網膜症がある、腎不全があるなどの場合には主治医と運動制限について相談を行いましょう。
