急性腸炎
急性腸炎について
この記事の要点
急性腸炎とは、腸炎とは — 胃腸炎・急性大腸炎との違い
急性腸炎は、腸に急に炎症が起きて下痢・腹痛・吐き気などが出る状態をまとめた呼び方です。多くはウイルスや細菌の感染によるもので、感染性腸炎とも呼ばれます。
「胃腸炎」とほぼ同じ意味で使われます。胃の症状(吐き気・嘔吐)が目立てば胃腸炎、腸の症状(下痢・腹痛)が目立てば腸炎、と呼び分けられることがありますが、実際には重なっており、区別に大きな意味はありません。
急性大腸炎は、炎症の場所が大腸であることを指した言い方です。大腸が中心だと、血の混じった下痢・強い腹痛・便意が頻繁に起こるといった出かたになります。
いっぽう、感染以外の腸炎もあります。抗菌薬を飲んだあとに起こるもの、虚血性大腸炎(腸への血流が一時的に悪くなる)、潰瘍性大腸炎やクローン病といった慢性の病気です。症状が2週間以上続く、血便をくり返すときは、これらを考えて検査を進めます。
急性腸炎は何日で治る? 胃腸炎何日で治るか、入院期間の平均も
このページで最もよくお調べいただく点です。原因によって日数が違います。
ウイルス性(ノロ・ロタ・アデノなど)がいちばん多く、2〜3日で峠を越えます。吐き気は半日〜1日で治まり、下痢がそのあと数日残ります。長くても1週間ほどです。
細菌性(カンピロバクター・サルモネラ・腸炎ビブリオなど)は、3〜7日とやや長引きます。発熱と腹痛が強く、血便をともなうことがあります。
下痢だけが2週間以上続くときは、感染以外の原因や、感染後に腸が過敏になっている状態(感染後過敏性腸症候群)を考えます。
治りかけの目安は、水分がとれるようになり、下痢の回数が減り、腹痛が軽くなってくることです。便がすぐに固まらなくても心配はいりません。腸の粘膜が元に戻るまでには、症状が治まったあとも1〜2週間かかります。
| 原因 | 主な症状 | 治るまでの目安 |
|---|---|---|
| ウイルス性(ノロ・ロタなど) | 吐き気・嘔吐が先。水のような下痢 | 2〜3日(長くて1週間) |
| 細菌性(カンピロバクター・サルモネラなど) | 発熱・強い腹痛。血便のことも | 3〜7日 |
| 腸炎ビブリオ | 激しい腹痛と下痢。魚介類のあと | 2〜3日 |
| 抗菌薬に関連するもの | 薬を飲みはじめてからの下痢 | 薬の中止と治療で数日〜 |
入院が必要になるのは、水分がとれず脱水が進んだときです。点滴で数日、というのが一般的で、多くの方は外来の点滴と内服で回復されます。 腸炎の入院期間の平均は、点滴が必要になった場合で数日程度です。多くの方は入院せず、外来の点滴と内服で回復されます。
急性腸炎の症状 — 下痢・腹痛・吐き気・発熱
どこに炎症が起きているかで、症状の出かたが変わります。
小腸型は主にウイルスによるもので、吐き気・嘔吐と、水のような下痢が中心です。
大腸型は主に細菌によるもので、発熱と強い腹痛をともない、血便が出ることもあります。
食べたものと、食べてから症状が出るまでの時間が原因を絞り込む手がかりになります。受診のときは、いつ・何を食べたかをお知らせください。
うつるのか。感染経路と、うつる期間
感染性の腸炎はうつります。経路は3つで、便や嘔吐物に含まれるウイルス・細菌が手を介して口に入る接触感染、嘔吐物が乾いて舞い上がったものを吸い込む飛沫感染、そして汚染された食品を口にする経口感染です。
うつしやすいのは、下痢や嘔吐がある期間です。ただし症状が治まったあとも、便にウイルスが出続けます。ノロウイルスでは通常1〜2週間、長い場合は1か月ほど排出が続くことがあり、本人が元気になっても手洗いは続ける必要があります。
ノロウイルスにはアルコール消毒が効きにくいという特徴があります。手指は石けんと流水での手洗いが基本で、嘔吐物や便で汚れた場所は次亜塩素酸ナトリウム(家庭用の塩素系漂白剤を薄めたもの)で処理します。
| うつりやすい時期 | 症状が治まったあと | |
|---|---|---|
| ウイルス性(ノロなど) | 下痢・嘔吐がある期間 | 便への排出が1〜2週間、長いと1か月続く |
| 細菌性(カンピロバクターなど) | 下痢がある期間 | 数日〜数週間、便に菌が出ることがある |
| 手指の消毒 | — | 石けんと流水での手洗い。アルコールはノロに効きにくい |
| 汚れた場所 | — | 次亜塩素酸ナトリウムで処理し、換気する |
嘔吐物を処理するときは、使い捨ての手袋とマスクを使い、乾く前に処理してください。乾くと空気中に舞い上がって感染が広がります。
仕事や学校はいつから行けますか
感染性胃腸炎には、インフルエンザのような法律で定められた出席停止期間がありません。学校保健安全法では、症状により医師が判断する扱いになっています。
目安は、下痢と嘔吐が治まり、食事がとれるようになることです。ただし便への排出は続くため、復帰後も手洗いを徹底してください。
飲食店、給食、保育、医療・介護の従事者は、職場ごとに独自の基準が定められていることがあります。検査や証明を求められる場合もあるため、勤務先の指示を確認してください。
入院が必要になるのはどんなときか
急性腸炎のほとんどは外来で治ります。入院が必要になるのは、脱水が進んで口から水分をとれなくなった場合が中心です。
当院では点滴で脱水を補正できます。それでも改善しない場合や、重い脱水・持続する高熱・血便が続く場合は、入院できる医療機関へご紹介します。
入院期間は状態によりますが、脱水の補正が目的であれば数日で退院できることが多く、原因や合併症によってはそれより長くなります。
こんなときは早めに受診してください
次のような症状があるときは、様子を見ずにご相談ください。当院の診療時間外の場合は、救急外来の受診もご検討ください。
検査
問診 — 何を聞かれますか
数日以内に飲食したものの内容や周囲の就航状況、海外の渡航歴、内服されているお薬、屋外の水や動物(爬虫類、両生類、牧場・動物園)など詳細にうかがい診断を行います。
診察 — 何を診ますか
腹部の診察を行い虫垂炎や胆のう炎などの他の疾患が隠れていないか確認をします。
感染性腸炎はどのように診断しますか?
急性腸炎はさまざまな原因で生じるため問診と診察による診断が重要です。
便培養検査
危険地域への海外渡航や重症例、長期間症状が持続する場合は便検査により細菌や寄生虫の有無、種類を確認します。
当院で行う検査
多くは数日で治ります。脱水と、細菌性腸炎の見分けが検査の目的です。
| 検査 | 何を見るか | いつ行うか | 窓口負担の目安(3割) |
|---|---|---|---|
| 血液検査(脱水・炎症・電解質) | 脱水の程度、細菌性かウイルス性かの手がかり | 症状が強いとき | 約1,300円〜
(項目数により変わります)
|
| 便検査 | 細菌性腸炎が疑われるとき | 血便があるとき | 約120円 |
| 腹部エコー | 虫垂炎など、ほかの原因の除外 | 痛みが強いとき | 約1,590円 |
横にスクロールできます。金額は3割負担の方の目安で、採血を伴う検査は調べる項目数によって変わります。
水分がとれない、尿が出ない、意識がぼんやりするときは点滴が必要です。すぐご連絡ください。
診察料の目安
上の検査費用に加えて、診察料がかかります。3割負担の方の目安です。
初診:約870円/再診:約230円/処方箋料:約180円
このほか、慢性の病気で計画的に管理する場合は特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料が加わることがあります。薬代は別に薬局でお支払いいただきます。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。実際の金額は行った検査と加算によって変わります。
治療
治療の中心は、脱水を防ぐことです
ウイルス性の胃腸炎に、ウイルスを直接やっつける薬はありません。吐き気と下痢が治まるまでのあいだ、脱水にならないよう支えることが治療になります。
使う薬と、あえて使わない薬
症状に合わせて必要な薬だけを使います。
| 薬 | 使い方 |
|---|---|
| 整腸剤 | 腸内細菌のバランスを整えます。基本の薬です |
| 吐き気止め | 水分がとれないときに使います |
| 下痢止め | 原則として使いません。原因を体の外に出すのを妨げ、かえって長引くことがあります |
| 解熱鎮痛薬 | 発熱やお腹の痛みが強いときに使います |
| 抗菌薬 | 多くはウイルス性のため使いません。高熱・血便・渡航後などに限って検討します |
水分のとり方
感染性腸炎の治療では適切な水分補給が重要となります。糖質とミネラルが含んだ経口補水液が理想的ですが、手に入れやすいスポーツドリンクでも構いません。嘔吐しないように常温でこまめに少しずつ摂取しましょう。
口からの水分摂取が不十分で十分に尿が出ないなど脱水の兆候がある場合には点滴治療が必要となります。
症状をやわらげる薬
感染性腸炎の多くは症状にあわせて状態を緩和する処方を行います。
ウイルス性腸炎と軽症の細菌性腸炎では抗菌薬で症状を緩和するお薬で自然に改善します。
手洗い — 人にうつさないために
石けんと流水で30秒以上。指先・親指・爪・手首まで丁寧に。厚労省配布の手順が参考になります。
食品の加熱と器具の衛生
肉・魚・二枚貝は中心温度75℃で1分以上が目安。まな板・包丁は洗浄後に熱湯または漂白剤で定期的に消毒しましょう。
豊洲で急性腸炎の診察・点滴を受けるには
豊洲イーウェルクリニックでは、次のように診療しています。ご不安な点は診察時にお聞かせください。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。診察の内容や検査の項目によって変わります。
記載は3割負担の場合の目安です。このほかに処方箋料(約180円)とお薬代がかかります。診療内容により変わります。
よくある質問
胃腸炎は何日で治りますか?+
胃腸炎はうつりますか?+
胃腸炎にかかったら出社していいですか?+
胃腸炎の時に何を食べたらいいですか?+
市販の下痢止めは使ってよい?+
腸炎と胃腸炎は違うものですか?+
下痢が2週間以上続いています。まだ腸炎ですか?+
便がすぐに固まりません。治っていないのでしょうか?+
抗生物質は必要ですか?+
家族にうつさないためにできることは?+
脱水かどうかは、どう見分けますか?+
点滴はしてもらえますか?+
牡蠣を食べたあとに症状が出ました。ノロウイルスですか?+
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。症状が強いときや長引くときは、記載にかかわらず受診してください。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
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