咳喘息
咳喘息とは?
咳喘息は、喘息(ぜんそく)と異なり喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)を伴わず、咳が長引くことを唯一の症状とする疾患です。咳喘息はアレルギー炎症などにより気道過敏性が亢進し、気道が少しでも伸び縮みすると咳が出やすくなってしまっていること(咳嗽反応の亢進)が原因と考えられています。そのため、気管支拡張薬により咳が改善することを確認することが診断の手がかりとなります。
咳喘息の症状は?
季節性や夜間や早朝に悪化する長引く咳で、喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)を伴わないことが特徴です。
☑︎ 寝る前、早朝に悪化する咳
☑︎ 季節の変わり目や天候によって悪化する咳
☑︎ 喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)は認めない
☑︎ 吸入を行うと咳が改善する
咳喘息はどのように診断しますか?
咳嗽に関するガイドライン第2版では咳喘息の診断基準は以下の通りです。
❶ 喘鳴を伴わない咳嗽が8週間以上持続する(聴診上も喘鳴を認めない)
❷ 気管支拡張薬(β 刺激薬)が有効
診断基準では8週間以上持続することが診断基準に含まれていますが、実際には2-3週間咳が続く場合には肺炎などがないかを確認するために胸部レントゲンなどの検査を実施します。呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査(FeNO)を参考にして気管支喘息やアトピー性咳嗽など他の病気と鑑別し診断を行います。
咳喘息はどのように治療しますか?
気管支喘息と同様に吸入ステロイドによる治療を行います。
重症度に応じて気管支拡張薬やロイコトリエン拮抗薬の内服を併用します。
|
|
軽症 |
中等症以上 |
|---|---|---|
|
症状 |
症状は毎日ではない |
症状が毎日ある 日常生活や睡眠が週1回以上げられる 夜間症状は週1回以上 |
|
長期管理薬 |
中等量吸入ステロイド薬 |
中~高用量吸入ステロイド薬±LABA またはLTRA またはテオフィリン放製剤 |
|
発作治療 |
吸入 SABA 頓用 効果不十分なら短期経口ステロイ ド薬 |
吸入 SABA 頓用 効果不十分なら経口ステロイド薬(症状に応じて治療開始時から数日間併用してもよい) |
《軽症咳喘息の治療》
❶ アニュイティエリプタ 1回1吸入 1日1回
❷ フルタイド200ディスカス 1回1吸入 1日2回
《中等症咳喘息の治療》
❶ レルベアエリプタ 1回1吸入 1日1回
❷ ルティフォーム125エアゾール 1回2吸入 1日2回
❸ シングレア(10mg) 1錠分1
よくある質問
咳喘息とアトピー性喘息はどのような違いがありますか?
アトピー性咳嗽は咳喘息と同様にアレルギー性の呼吸器疾患で咳症状を引き起こします。アトピー性喘息は気道の感覚神経が過敏となる『咳感受性』が高まっていることが原因と考えられています。
咳喘息は気管支拡張薬が有効
|
|
咳喘息 |
アトピー性咳嗽 |
|---|---|---|
|
咳症状 |
あり |
あり |
|
アトピー合併 |
40-80% |
40-50% |
|
気道過敏性 |
あり |
正常 |
|
気道のイガイガ、ひりひり |
ほぼ正常 |
あり |
|
呼気一酸化濃度(FeNO) |
上昇 |
正常 |
|
喀痰中好酸球数 |
増加 |
増加 |
|
喘息への移行 |
あり(30%程度) |
なし |
|
治療 |
吸入ステロイド |
抗ヒスタミン薬 |
喘息と咳喘息はどのような違いがありますか?
主症状が“咳だけ”で、ゼイゼイ(喘鳴)や強い息苦しさが目立たないタイプの喘息です。呼吸機能はおおむね正常でも、気道の炎症や過敏性があり、吸入ステロイド(ICS)が基本治療です。
|
|
喘息 |
咳喘息 |
|---|---|---|
|
喘鳴 |
あり |
なし |
|
咳 |
いつも |
しばしば認める |
|
呼吸機能検査 |
正常 |
閉塞性障害 |
|
気道過敏性 |
あり |
あり |
|
喀痰好酸球数 |
増加 |
増加 |
|
呼気一酸化窒素検査(FeNO) |
30 ppb以上 |
30 ppb以上 |
|
吸入ステロイドへの反応 |
症状改善あり |
症状改善あり |
咳喘息はいつまで治療をすれば良いですか?
咳喘息患者の30%程度がいずれ気管支喘息に移行するといわれています。少なくとも3ヶ月、半年から1年以上治療を行い吸入ステロイドが最低容量でも症状がなければ中断を検討します。呼吸機能検査や呼気一酸化窒素検査(FeNO)による気道炎症を参考にしながら治療期間を検討します。
風邪のあとに続く“感染後咳嗽”とどう見分けますか?
感染後咳嗽は多くが数週間で自然軽快しますが、咳喘息は炎症性(好酸球性)咳で、ICSなどへの治療によく反応することが特徴です。診断が難しいときは短期(2–4週)ICS投与して反応を見ることがあります。
どんな検査をしますか?
まず胸部レントゲンで肺炎・結核・腫瘍などを除外し、スパイロメトリー(気流制限の有無)やFeNO(好酸球性炎症の指標)を行います。
市販の“咳止め”だけで治りますか?
一時的に咳が和らぐことはありますが、咳喘息の主因は気道の炎症なので、抗炎症治療(ICS)を行わないと再燃しやすいです。自己判断で長期化させず受診を。
