亜急性甲状腺炎
亜急性甲状腺炎とは?
亜急性甲状腺炎は『甲状腺の風邪』のような病気で、多くは2–8週間前の上気道炎(のどの痛み・発熱・咳)をきっかけに、強い前頸部(甲状腺)の痛みで発症します。炎症で壊れた甲状腺から貯蔵ホルモンが一気に漏れ出すため、最初は“甲状腺中毒症状”が出現し、その後一時的に甲状腺機能低下に移行してから自然回復するのが典型です。
亜急性甲状腺炎の症状は?
甲状腺ホルモンが少なくなることで、全身の臓器の働き・代謝が低下することでさまざまな症状が出現します。
☑︎ 首の痛み(多くは片側で両側で見られたり、反対側に移動することもあります)
☑︎ 鼻水、咳・痰などの風邪症状
☑︎ 発熱
☑︎ 甲状腺中毒症状(動悸、発汗、体重の減少など)
☑︎ 倦怠感(だるさ)
亜急性甲状腺炎はどのように診断しますか?
炎症がある部位を診察で触れると強い痛みがあります。エコーで特徴的な所見があればば亜急性甲状炎と判断して、すぐに治療を開始します。血液検査で炎症反応が高かったり、甲状腺ホルモンが高いといった値が出ることで診断を確定します。
❶ 診察
甲状腺を押した時の痛みがあるかを確認します。
❷ 甲状腺ホルモン(fT4)と甲状腺ホルモン刺激ホルモン(TSH)の測定
fT4が高くなり、分泌を抑制するためにTSHが低くなります。
❹ 超音波検査
痛みがある部位が黒く(低エコー)となっていることを確認します。
亜急性甲状腺炎はどのように治療しますか?
鎮痛・消炎のための治療
❶ ロキソニン錠(ロキソプロフェン)
炎症と痛みを抑えるために使用します。
❷ プレドニン(プレドニゾロン)
中等症以上の場合、もしくは軽症でNSAIDsで改善しない場合に使用します。
2-3ヶ月かけて徐々に投与量を減らしていきます。
動悸や発汗などの甲状腺中毒症状がある場合は脈拍を抑える薬を併用することもあります。
甲状腺中毒症状への対症療法
β遮断薬(プロプラノロール等):動悸・手のふるえが強いときに短期追加。
治療経過を観察するために2〜4週間ごとに通院フォローを行います。
甲状腺ホルモンは、はじめは高くなりますが、経過とともに正常に戻ります。一部は正常までしない場合もあります。
生活上の注意点は?
❶ 運動は避けて出来るだけ安静に過ごしましょう
❷ 炎症が強い時は、入浴や飲酒は控えましょう
よくある質問
亜急性甲状腺炎になりやすい人は?
男性より女性に多く、30~40歳代の女性に多く発症します。
亜急性甲状腺炎は完治するまでにどれくらいの期間がかかります?
ほとんどの方が2~3ヶ月で症状が消失し、甲状腺ホルモン値も正常化します。 一部には甲状腺機能が低下したままとなる方もいるため2-8週間ごとに甲状腺機能検査を行いフォローをしていきます。
亜急性甲状腺炎は完治しますか?
34%が6-12か月以内に、15%が1年以後に甲状腺機能低下症を発症します。
ほとんどは完治しますが、約5.9%の患者さんが甲状腺機能低下症が継続するため甲状腺ホルモンの補充治療を継続する必要があります。プレドニンで治療された場合は永続性の甲状腺機能低下症になりにくいとされています。
亜急性甲状腺炎再発は平均13.6年で1.6%との報告されています。
ほかの人にうつりますか?
うつりません。ウイルス感染が“引き金”になることはありますが、亜急性甲状腺炎そのものは感染症ではありません。
