不眠症(睡眠障害)
不眠症について
この記事の要点
不眠症とは(睡眠障害とは)— 違いはありますか
不眠症は入眠障害(寝つくのに長く時間がかかる)、中途覚醒(一旦寝ても夜間に何度も目が覚める)、早朝覚醒(朝早く目が覚めてしまう)などの睡眠の障害から日中の眠気などの不調が出る病気です。3~5割程度の人が、これらの不眠症状を一過性に経験し、おおよそ1割の人が慢性的な不眠で悩むと言われています。
「不眠症」と「睡眠障害」は同じ意味ではありません。睡眠障害は眠りに関する問題の総称で、不眠症のほか、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、過眠症(日中に強い眠気が出るもの)なども含みます。
不眠症はそのうちのひとつで、眠る機会があるのに眠れず、日中の不調が出ている状態を指します。夜ふかししていて睡眠時間が短いだけなら、不眠症とは呼びません。
睡眠障害の原因は?
睡眠障害は1つの原因だけでなく、複数が重なって起こることも少なくありません。
ステロイド・抗生物質・イソトレチノインで不眠になることがあります
「この薬を飲みはじめてから眠れない」というご相談は少なくありません。不眠は薬の副作用として起こりうるもので、原因になりやすい薬は決まっています。
ステロイド(飲み薬)。目がさえて寝つけない、気分が高ぶるという形で出ます。朝に飲むことで軽くなることが多く、飲む時間の調整で対応できる場合があります。
抗生物質(抗菌薬)。ニューキノロン系(レボフロキサシンなど)では、不眠・悪夢・落ち着かない感じが出ることがあります。飲み終われば戻ります。
イソトレチノイン(重いニキビに使う薬)。添付文書に不眠や気分の変化の記載があります。当院では自費診療でお出ししていますが、眠れない・気分が沈むといった変化があればすぐにご連絡ください。
そのほか:気管支拡張薬(テオフィリン)、一部の降圧薬、甲状腺ホルモン薬、花粉症などに使う一部の点鼻薬、カフェインを含む鎮痛薬。
睡眠薬そのものが悪夢の原因になることもあります。「リスミーで悪夢を見る」といったご相談をいただきますが、睡眠薬では夢を鮮明に感じたり、悪夢が増えたりすることがあります。薬を替えることで改善することが多いため、我慢せずお知らせください。
自己判断で薬をやめないでください。飲む時間を変える、別の薬に替える、といった対応ができます。お薬手帳をお持ちください。
睡眠障害の種類は?
❶ 不眠症
『夜になかなか寝つけない』、『途中に何度も目が覚める』、『朝早く目が覚めてしまう』といった不眠症状により日常生活に支障をきたします。
❷ 過眠症/過眠障害
夜は十分睡眠をとれていても日中に強い眠気が生じ目覚めている状態が困難が生じます。
❸ 概日リズム障害
体内時計のリズムがずれてしまうことで、1日の中で望む時間帯に眠れず不適切な時間帯に眠気が生じることで日常生活に支障を来します。
❹ 睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が止まってしまうことにより十分な睡眠をとることができず睡眠不足な状態となり、日中の眠気を生じます。
睡眠時無呼吸症候群の詳細
❺ むずむず脚症候群・レストレスレッグス症候群
脚が『ムズムズする』、『痛がゆい』などの間隔がありベッドのなかでじっとしていることができず睡眠不足となります。
❻ 睡眠時随伴障害
睡眠中に歩き回る、泣き叫ぶなどの体験を睡眠時随伴症と呼びます。
不眠症の症状と特徴 — 入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害
不眠症状は、眠れなさの出かたで4つに分けます。不眠症の特徴は、タイプによって背景も、選ぶ薬も変わることです。重なることもよくあります。
| タイプ | どんな状態 | 背景にありやすいもの |
|---|---|---|
| 入眠障害 | 布団に入っても30分〜1時間以上寝つけない | 不安・緊張、就寝前のスマホやカフェイン。いちばん多いタイプです |
| 中途覚醒 | 夜中に何度も目が覚め、そのあと寝つけない | 加齢、夜間のトイレ、睡眠時無呼吸症候群、飲酒 |
| 早朝覚醒 | 予定より2時間以上早く目が覚めて、そのまま眠れない | 加齢のほか、うつ病でみられやすいことが知られています |
| 熟眠障害 | 時間は眠っているのに眠った気がしない | 睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、痛みやかゆみ |
早朝覚醒で来られる方が多くいらっしゃいます。年齢とともに眠りが浅くなって早く目が覚めるのは自然なことですが、気分の落ち込み・興味がわかない・食欲が落ちたをともなうときはうつ病を考えます。熟眠障害でいびきや日中の強い眠気があるときは、睡眠時無呼吸症候群の検査をおすすめします。
こんなときは早めに受診してください
次のような症状があるときは、様子を見ずにご相談ください。当院の診療時間外の場合は、救急外来の受診もご検討ください。
検査
当院で行う検査
眠れない原因が、別の病気にあることがあります。それを見つけるための検査です。
| 検査 | 何を見るか | いつ行うか | 窓口負担の目安(3割) |
|---|---|---|---|
| 血液検査(甲状腺機能・貧血) | 甲状腺機能亢進症・貧血など、不眠の原因になる病気 | 初診時 | 約1,300円〜
(項目数により変わります)
|
| 簡易睡眠検査(自宅で1晩) | いびき・無呼吸が不眠の原因になっていないか | いびきや日中の眠気があるとき | 約2,160円 |
横にスクロールできます。金額は3割負担の方の目安で、採血を伴う検査は調べる項目数によって変わります。
睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、うつ病が背景にあることがあります。眠りの様子をお聞かせください。
診察料の目安
上の検査費用に加えて、診察料がかかります。3割負担の方の目安です。
初診:約870円/再診:約230円/処方箋料:約180円
このほか、慢性の病気で計画的に管理する場合は特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料が加わることがあります。薬代は別に薬局でお支払いいただきます。
2026年8月時点の診療報酬にもとづく目安です。実際の金額は行った検査と加算によって変わります。
治療
不眠症の治療は?
まずは問診や検査により他の病気が睡眠障害の原因となっていないか診断を行います。他の睡眠障害ではないと診断された場合には不眠症として治療を開始します。
不眠症の治療はまずは生活習慣の見直しを行います。
生活衛生のみで症状が改善しない場合は薬物療法を検討します。
睡眠薬で治療を行っている場合生活習慣や睡眠環境が保たれ不眠症に伴う症状がなくなったら徐々に薬の量を減らしていきます。
| 環境作り | 日中にできるだけ日光を浴びて体内時計を調整します 寝室にはスマホやタブレットを持ち込まずできるだけ暗くして寝ましょう 就寝の約1-2時間前に入浴し体を暖めます |
|---|---|
| 運動や食事など の生活習慣 | 適度な運動習慣を身に付け日中に体を動かすことは入眠を促進し睡眠時間を増やします。 しっかり朝食をとり、終身直前の夜食を控えることで睡眠のリズムを整えます 就寝前はリラックスに努めます。 |
| 嗜好品 | カフェインの摂取は1日400mg(コーヒー700ml程度)を超えないようにします 夕方以降にはカフェインの摂取を控えます 深酒や寝酒は睡眠の質を悪化させる可能性があります 喫煙はリラックスできてもその後の覚醒作用がつづきます |
睡眠薬による治療 — 選び方・やめ方・難治性不眠症のとき
睡眠薬に対して怖いイメージがあるかもしれませんが、医師と相談しながら治療を行うことで適切な治療を行えます。万が一副作用が出てもすぐにご相談をいただければ症状にあったお薬を提案させていただきます。
難治性不眠症と呼ばれるのは、生活の見直しと薬を組み合わせても改善しない状態です。このときは薬を増やす前に、原因を探し直します。睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、うつ病や不安症、慢性の痛みやかゆみ、飲んでいる薬の影響が隠れていることがあります。
薬だけで解決しようとしないことが大切です。睡眠薬を足していくと、日中のだるさやふらつき、転倒の危険が増えます。必要に応じて専門の医療機関をご紹介します。
睡眠薬が効いている時間の違い
睡眠薬は体から抜けるまでの時間(半減期)で分けられます。どのタイプを選ぶかは、不眠のタイプによって決まります。
寝つけない(入眠障害)なら短く効くもの、夜中に目が覚める・朝早く目が覚めるならやや長く効くものを選びます。
長く効くものほど、翌朝に持ち越します。日中の眠気、ふらつき、頭がぼんやりする、といった形で出ます。ご高齢の方では転倒の原因になるため、できるだけ短く効くものを少量から使います。
| 作用時間(半減期) | 向いている不眠 | 翌朝への持ち越し |
|---|---|---|
| 超短時間型(2〜4時間) | 寝つけない(入眠障害) | ほとんどなし |
| 短時間型(6〜12時間) | 寝つけない+夜中に目が覚める | 少ない |
| 中時間型(12〜24時間) | 夜中に目が覚める・早朝に目が覚める | 出ることがある |
| 長時間型(24時間以上) | 早朝覚醒、日中の不安が強いとき | 出やすい |
薬の名前ごとの一覧は載せていません。同じ分類でも体質によって効き方が変わるため、実際の薬は、眠れなさのタイプ・年齢・持病・お仕事をうかがって決めます。
フルニトラゼパム(サイレース)の半減期と、注意しておきたいこと
フルニトラゼパムは、長く使われてきたベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。半減期はおよそ20〜24時間と長く、このページの分類では中〜長時間型にあたります。寝つきだけでなく、夜中に目が覚める・朝早く目が覚めるタイプにも使われてきました。
ただし半減期が長いということは、翌日も体に残るということです。日中の眠気、ふらつき、集中しにくさとして出ることがあり、ご高齢の方では転倒の原因になります。長く続けると依存や耐性(同じ量では効かなくなること)も起こりえます。自己判断で急にやめると、かえって眠れなくなる(反跳性不眠)ため、減らすときは少しずつ、相談しながら進めます。
フルニトラゼパムは第二種向精神薬に指定されており、アメリカなど持ち込みを禁じている国があります。海外へ行かれるご予定があるときは、必ず事前にお申し出ください。
こうした事情から、当院で新しく睡眠薬を始めるときは、オレキシン受容体拮抗薬など依存の起こりにくい薬からご提案しています。すでにフルニトラゼパムを飲んでおられる方は、急にやめずに、切り替えや減量の相談からご一緒に進めましょう。
睡眠導入剤の種類 — しくみによる違い
睡眠薬は、はたらき方で大きく2つに分かれます。脳の活動を抑えて眠らせる薬(ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系)と、自然な眠気を強める薬(オレキシン受容体拮抗薬・メラトニン受容体作動薬)です。
いまは後者から始めることが増えています。依存や耐性(だんだん効かなくなること)が起こりにくいためです。
| 種類 | 薬剤名 | 効果 |
|---|---|---|
| オレキシン受容体拮抗薬 | ベルソムラ、デエビゴ、クービビック、ボルズィ | 脳の覚醒に関わるオレキシンという物質のはたらきを抑え、自然な眠気を導きます。依存性が少なく、第一選択として使われることが多い薬です |
| メラトニン受容体作動薬 | ロゼレム | 睡眠と覚醒のリズムを整えて眠りを促します |
| 非ベンゾジアゼピン系 | マイスリー、アモバン、ルネスタ | ベンゾジアゼピン系より依存や耐性が少ない薬です |
| ベンゾジアゼピン系 | レンドルミン、エバミール、サイレース、リスミー | 脳の興奮を抑え、不安や緊張をやわらげて眠りを助けます。筋肉をゆるめる作用があり、ふらつきに注意が必要です |
オレキシン受容体拮抗薬の4剤を比べる(ベルソムラ・デエビゴ・クービビック・ボルズィ)
オレキシンは、脳を目覚めさせておくための物質です。夜になると自然に減り、眠気が訪れます。この薬はオレキシンのはたらきを一時的に抑えることで、覚醒のスイッチを切るという発想の薬です。
眠らせる薬ではなく、目を覚まさせておく力を弱める薬だとお考えください。脳全体の活動を抑えるベンゾジアゼピン系とは仕組みが違い、ふらつきや筋肉のゆるみが起こりにくく、依存も生じにくいのが利点です。
現在、日本では4剤が使えます。いずれも同じ仕組みですが、薬が体から抜ける速さが大きく違い、そこが翌朝に眠気を持ち越すかどうかを分けます。発売順に並べています。
「半減期」は、薬の血中濃度が半分になるまでの時間です。短いほど翌朝に残りにくくなります。4剤に共通する注意点として、食事の直後に飲むと効きはじめが遅れます。夕食から時間をあけ、寝る直前に飲んでください。また悪夢や、寝入りばな・目覚めぎわに体が動かない感じ(睡眠麻痺)が出ることがあります。多くは軽く、量の調整や薬の変更で改善します。お酒との併用は避けてください。どれが合うかは実際に使ってみないと分かりません。効き方と翌朝の様子をうかがいながら調整します。
豊洲で不眠の相談をするには
まず初診ではしっかりとお話を伺い、寝られなくなったきっかけや具体的な症状について睡眠障害の評価を行います。
依存性や転倒などのリスクが非常に少ない睡眠薬が処方できるようになりました。睡眠障害のタイプやお困り事やご要望に応えながらよりよい睡眠治療をご提案させていただきます。 ナルコレプシー(過眠症)や睡眠時随伴症などにより専門的な検査治療が必要と考えられる場合は専門医療機関をご紹介いたします。
費用の目安
健康保険3割負担の場合の目安です。診察の内容や検査の項目によって変わります。
記載は3割負担の場合の目安です。このほかに処方箋料(約180円)とお薬代がかかります。診療内容により変わります。
よくある質問
睡眠薬にはどのような副作用がありますか?+
薬は毎日飲んだほうが良いですか?+
今飲んでいるお薬との飲み合わせが心配です+
睡眠薬をやめられなくなってしまわないか心配です+
翌日に眠気が残ることが心配です+
睡眠薬はいつやめることができますか?+
背景に別の病気が隠れていることもあります。まず一度ご相談ください。WEB・LINEから24時間ご予約いただけます。
本ページは一般的な情報提供を目的としています。診断と治療方針は診察のうえで判断します。症状が強いときや長引くときは、記載にかかわらず受診してください。
監修医師 石川 浩雅(豊洲イーウェルクリニック)
本ページの内容は、上記の医師が監修しています。
2006年 国立国際医療センター 初期研修、2008年 同センター 後期研修。2011年 東京医科歯科大学 医療経営政策学。第一生命保険株式会社、株式会社Linc'well/クリニックフォア、医療法人社団シンシアエージェンシーを経て、2025年11月 東京都江東区豊洲に「豊洲イーウェルクリニック」開院。内科・皮膚科・アレルギー科を中心に、小児から泌尿器科領域まで幅広く診療しています。渡航ワクチンの接種にも対応しています。日本渡航医学会、日本旅行医学会、日本内科学会、日本アレルギー学会、日本産業衛生学会 所属。
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