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JAK阻害薬

JAK阻害薬とは

JAK阻害薬は、免疫細胞の中にあるヤヌスキナーゼ(JAK)という部分に結合して、アトピー性皮膚炎のかゆみや炎症の原因となる炎症性サイトカインを抑えます。

皮膚の内部の炎症を抑えることで、皮膚の表面に現れる炎症やかゆみの改善が期待されます。痒みをおさえることで痒みに伴う皮膚バリア機能やアレルギー炎症を改善させます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュピクセントなどの生物学製剤の注射薬は特定のサイトカインを狙い撃ちしてブロックを行いますが、JAK阻害薬はいろいろなタイプのサイトカインを抑えることで広く効果を発揮します。

JAK阻害薬を始めるには?

❶今までの治療で効果不十分であるかた

  • ステロイド外用薬やプロトピック軟膏外用でコントロールが不十分なかたが対象です

❷年齢が一定以上以上であるかた

  • オルミエントは2歳以上、リンヴォック・サイバインコは12歳以上が対象です。

❸一定の重症度要件を満たすかた

次の3つの重症度要件を医師が判断した上で適応を判断します。軽症のアトピー性皮膚炎の方には使用できません。

    • IGAスコアが3以上
    • 全身または頭頚部のEASIスコアが16以上
    • 体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)が10%以上

JAK阻害薬服用前に確認すること

⓵ 血液検査

  • 採血をしてB型肝炎ウイルスや結核に感染していないかを調べます。
  • 白血球やヘモグロビン値、血小板値、 肝機能・腎機能障害の有無を確認します

⓶ レントゲン検査

  • 結核を発症しているかどうかを胸部レントゲンによって調べます。

 

投与中も定期的に血液検査や胸部レントゲン検査を行い、副作用の有無をチェックする必要があります。

当院では胸部レントゲンや採血まで一環して実施することが可能です。

JAK阻害薬の副作用・服用中に注意すること

感染症

免疫の働きが低下し、感染症にかかりやすくなる可能 性があります。また、感 染 症にかかったときにみられる発 熱や体のだるさなど の症状があらわれにくくなるかもしれません。

● 口唇ヘルペス(単純疱疹:口の周りのはれ、水ぶくれ)
● 帯状疱疹
● 高熱や胸の痛み、激しい咳、息切れ
● 発熱、寒け ● 咳、たん ● のどの痛み
● 腹痛、下痢、吐き気
● 口内炎、歯ぐきの痛み
● 排尿時の痛み、頻尿・残尿感

にきび

静脈血栓症

主に足の静脈に血栓(血のかたまり)ができること、また、その血栓が血流にのって 肺の動脈を詰まらせる状態になることです。 
● ふくらはぎの色の変化、痛み、はれ
● 急な息苦しさ
● 胸苦しさ

非黒色腫皮膚癌

  • 皮膚や髪の色に関わるメラニン色素を産生する細胞から発生するがんをメラノーマといいますが、それ以外の皮膚のがんをまとめて非黒色腫皮膚癌といいます。
  • 今までなかったホクロや赤いイボ・湿疹のようなものができたり、大きくなってきた場合には非黒色腫皮膚癌の可能性があります。

その他

吐き気・嘔吐 1週間いない、2週間くらいまでによくでる副作用です。多くは胃薬や吐き気止めで対応が可能です。
間質性肺炎 間質性肺炎とは、肺の中で 酸 素を取り込む肺胞の壁やその周辺に炎症が起きて、酸素がうまく取り込めなくなる状態です。
消化管先行 何らかの原因によって、胃や腸に穴が空いてしまった状態です。
横紋筋融解症・ミオパチー 筋肉に障害が見られた例が報告されています。
心筋梗塞、脳卒中など 心筋梗塞、脳卒中が診られた例が報告されています。

JAK阻害薬の種類は?

名称
(一般名)
オルミエント
(バリシチニブ)
リンヴォック
(ウパダシチニブ)
サイバインコ
(アブロシチニブ)
適応疾患
  • アトピー性皮膚炎
  • 円形脱毛症
  • 関節リウマチ
  • COVID19
  • アトピー性皮膚炎
  • 乾癬性関節炎
  • 潰瘍性大腸炎
  • 強直性脊椎炎
  • 関節リウマチ
  • アトピー性皮膚炎
阻害分子
  • JAK1
  • JAK2
  • JAK1
  • JAK1
適応年齢
  • 2歳以上
  • 12歳以上
  • 12歳以上
副作用
  • 血栓症
  • 帯状疱疹
  • 血栓症
  • 帯状疱疹
  • ニキビ
  • 帯状疱疹
  • 単純ヘルペス
特徴

痒みや湿疹が比較的早期から改善する報告があり

2歳以上と小児に適応がある

腎機能による用量調節が明確

痒みは投与後2日目など早期改善の報告があり

かゆみは4日目など早期改善の報告

 

JAK阻害薬の薬剤費

  • 下記の他に初診料、再診料、処方箋料などが発生いたします。
  • 薬剤費は薬価の改定により変更される場合があります。
 

オルミエント
(バリシチニブ)

リンヴォック
(ウパダシチニブ)
サイバインコ
(アブロシチニブ)
自己負担額
(28日分)
2mg 4mg 15mg 30mg 100mg 200mg
3割 20,750円 40,490円 36,370円 55,690円 36,040円 54,020円
2割 13,830円 26,990円 24,259円 37,130円 24,020円 36,000円
1割 6,920円 13,500円 12,129円 18,560円 12,020円 18,000円

2026年2月時点

 

よくある質問

JAK阻害薬ってどんな薬ですか?

炎症やかゆみに関わる“体のサイン(サイトカイン)”の伝達を抑えて、湿疹とかゆみを改善する内服薬です。アトピーの病態に関わる複数のサイトカインのシグナル(JAK-STAT経路)を抑えることで効果が期待されます。

どんな人が対象になりますか?

一般に、外用治療(保湿・ステロイド外用薬・カルシニューリン阻害薬など)だけでは十分に落ち着かない中等症~重症で、生活の質(睡眠・仕事・学業など)への影響が大きい場合に検討されます。最適使用推進ガイドラインに沿って適正に使うことが求められています。

効果はどれくらいで出ますか?

個人差はありますが、比較的早期(数日~数週間)にかゆみや皮疹の改善を感じる方がいます

臨床試験では、外用薬併用下で一定割合の方が皮疹スコアの改善(EASI-75など)を達成しています。

外用薬(ステロイド等)はやめられますか?

多くの方で外用量を減らせる可能性はありますが、自己判断で急にやめると再燃しやすいです。

医師と相談しながら、皮膚の状態に合わせて段階的に調整します。

なぜ血液検査が必要なのですか?

JAK阻害薬は免疫の働きにも関わるため、感染症のリスクや、血球(白血球など)・肝機能などの変化をチェックします。

適正使用ガイドでは、重い感染症や活動性結核、重度肝機能障害、血球減少などが禁忌・注意として整理されています。

他の治療(注射の生物学的製剤など)とどう違いますか?

デュピクセントなどの生物学製剤の注射薬は特定のサイトカインを狙い撃ちしてブロックを行いますが、JAK阻害薬はいろいろなタイプのサイトカインを抑えることで広く効果を発揮します。

  JAK阻害薬 生物学的製剤
投与方法

飲み薬

毎日内服が基本です。痒みや状態に応じて用量を調節したり、中断・再開することもできます。

注射薬

2-4週間毎(薬剤によって異なる)に注射を継続します。

効き方の実感 比較的早く痒みがよくなる 湿疹にしっかりとした効果
どんな時に検討

内因性のアトピー性皮膚炎
頭頚部に強い湿疹
痒みが強い
『とにかく痒みで眠れない』
『早く生活をたて直したい』

喘息など他のアレルギー疾患を合併している

帯状疱疹をしたことがあり安全性重視
『注射でも良い』
『長期的に安定的な治療を行いたい』

検査・通院のポイント

重い感染症、帯状疱疹、血栓症、心血管系事象、悪性腫瘍などに注意(リスク評価とモニタリングが大事)

注射部位反応
目の症状(結膜炎などが話題になることがある)

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